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美しい葉の色と模様が魅力のカラジウム! 育て方のコツを押さえて楽しもう
観葉植物として人気の高いカラジウム(カラジューム)。エキゾチックな雰囲気を持ち、インテリアに飾ればスタイリッシュな演出に一役買ってくれます。「寒さに弱い」というイメージが先行しがちですが、コツさえ押さえればビギナーでも栽培は容易です。この記事では、カラジウムの基本情報や育て方、種類など、深掘りしてご紹介していきます。
目次
カラジウムってどんな植物? まずは基本情報と特徴を確認
カラジウム(カラジューム)は、サトイモ科ハイモ属(カラジウム属)の球根植物です。原産地は熱帯アメリカで、7種が分布しているとされています。熱帯植物なので、暑さには強い一方で寒さには大変弱く、15℃以下になると生育が止まり、5℃以下になると球根が腐ってしまいます。「寒さの厳しい日本では到底育たない!」というイメージを持ってしまうかもしれませんが、寒くなる前に地上部を枯らして球根の状態で休眠するため、掘り上げて貯蔵しておき、翌年の春に植え直せばOKです。
カラジウムは主に葉色の美しさを愛でる観葉植物で、種類や品種によって葉の色にバラエティーがあり、コレクションする楽しみもあります。葉色はグリーンに赤やピンク、白などの斑が入り、トロピカルな表情が魅力。品種によっては小型種や大型種があり、草丈は10〜50cmと幅があります。
カラジウムの名前の由来と花言葉
カラジウムの名前は諸説あり、ギリシア語のカラディオン(カップ、杯の意味)から来ているとされています。また、インドでの呼び名となっている「ケラディ」が由来とも。和名は美しい葉を持つイモとして「錦芋(ニシキイモ)」と呼ばれました。
カラジウムの花言葉には、「喜び」「歓喜」「さわやかさ」「分かち合い」などがあります。
気をつけておきたいカラジウムの栽培環境!
カラジウムは、暑さに強い一方で、寒さに弱い性質を持っています。酷暑・極寒を経験する厳しい気候の日本では、季節に応じたケアが必要です。ここでは適した栽培環境についてご紹介します。
日光の当て方と夏越しには注意が必要
基本的には、日当たりがよく、風通しのよい場所で管理します。日照不足になると、葉色が冴えなくなるので注意してください。生育適温は25℃以上と夏の暑さには強いので、戸外で管理して差し支えありません。
ただし、種類によっては真夏の強い直射日光に負けて、葉焼けすることがあります。その場合は、午前中のみ日が差す東側や、一日中木漏れ日がチラチラと差す程度の落葉樹の足元などで夏越しするとよいでしょう。鉢栽培の場合は、軒下などの半日陰の場所に移動してください。
寒さに弱いカラジウムは冬越しの環境を整えることも大切
カラジウムは熱帯性の植物のため、冬越し対策が必要です。庭植えにしている場合は、気温が15℃を下回るようになったら、鉢上げして室内に移動するか、球根を掘り上げて貯蔵するかして、冬越しさせます。
【鉢上げして室内で冬越しさせる】
株の大きさに合わせ、5〜10号鉢を用意し、植え替えます。
用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用培養土を半分くらいまで入れましょう。カラジウムの株を掘り上げ、根鉢を崩さずに鉢に仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。暖房の効いた部屋では乾燥しがちなので、水切れに注意して管理してください。
夜温が15℃以下になる場合は、室内に置いても枯れてしまうことがあるので、次項のように球根を掘り上げるほうがよいでしょう。
【球根を掘り上げる】
気温が15℃を下回り始めると、葉が傷んで枯れ込んできます。葉が倒れ込んできた順に付け根で切り取り、1〜2枚残った頃に球根を掘り上げます。残った葉は全て付け根で切り取っておきましょう。箱にバーミキュライトかおがくずを入れ、その中に球根を埋め込んで室内の暖かい場所で貯蔵します。
カラジウムを上手に育てるコツ
ここまで、カラジウムの特徴をまとめた基本情報、把握しておきたい栽培環境などについてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、植え付けからスタートし、水やりや施肥など日頃の管理、成長に応じたケア、増やし方などについて詳しく解説していきます。
植え付け方法と注意点
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球根の植え付け
球根の植え付け適期は、4月頃です。
【地植え】
植え付けの2〜3週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕しておきます。土づくりの後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
土作りをしておいた場所に、地表から3〜5cmの深さに球根を植え付けて覆土します。複数植える場合は、約20cmの間隔を取ってください。最後にたっぷりと水を与えます。
【鉢植え】
5〜6号鉢に2〜3球を目安に球根を植え付けます。
用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れます。鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にウォータースペースを残し、草花用培養土を入れます。穴を掘って球根を植え付け、2〜3cmほど覆土してください。カラジウムの根は球根の上部から出てくるので、あまり浅植えにならないように注意しましょう。最後に鉢底から流れ出すまで、たっぷりと水やりします。
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ポット苗の植え付け
ポット苗の植え付け適期は、6月下旬〜8月です。
【地植え】
植え付けの2〜3週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕しておきます。土づくりの後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
土作りをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えます。
【鉢植え】
鉢で栽培する場合は、10号前後の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用培養土を半分くらいまで入れましょう。カラジウムの苗をポットから取り出し、根鉢をくずさずに鉢に仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。
カラジウムの水やりで気をつけるポイント
株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。
真夏に水やりする場合は、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまいます。
また、真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。
【地植え】
植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いて乾燥が続く場合は、水やりをして補いましょう。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。カラジウムは乾燥を嫌うので、水切れしないようにすることが大切です。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。また、冬に室内で栽培する場合も、カラカラに乾燥させることのないように、適宜水やりを続けてください。
カラジウムを元気に育てるための肥料の与え方
【地植え・鉢植えともに】
生育期の5〜9月は、2カ月に1度を目安に、緩効性化成肥料を株の周りにばらまき、スコップなどで軽く耕して土になじませます。
カラジウムを育てるうえで注意しておきたい病気と害虫
【病気】
カラジウムに発生しやすい病気は、白絹病などです。
白絹病は、真夏に発生しやすい病気です。土壌に生息する病原菌で、植物につくと地際から周辺に白い糸のようなものが発生し、やがて立ち枯れてしまいます。カラジウムに発生が見られたら、蔓延するのを防ぐためただちに株を抜き取り、周囲の土ごと処分してください。鉢やプランターで栽培している場合は、株は抜き取って処分し、土は黒いビニール袋に入れて1カ月ほど直射日光にさらし、熱消毒するとよいでしょう。
【害虫】
カラジウムに発生しやすい害虫は、ハダニ、イモムシなどです。
ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要です。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけて予防するとよいでしょう。
イモムシは、チョウやガの幼虫で、葉について食害します。放置するとどんどん葉に穴をあけていって見苦しくなるので、見つけ次第捕殺して処分しましょう。虫が苦手な場合は、土中に混ぜ込んでおく粒剤タイプの薬剤を使用するのも一案です。
カラジウムの芽かきと花芽かき
【芽かき】
カラジウムが越年して生育期を迎え、新芽が出始めた時に行う作業です。新芽の数が1〜2本しかない場合は、大きいほうの芽を切り取ってください。すると、後から複数の芽が出てきて、株が充実します。
【花芽かき】
生育期に入り、新芽が出始めると同時に花芽もつきます。カラジウムの花は観賞価値が低く、また花を咲かせると株が消耗して葉数が少なくなってしまいます。球根の中心部に他の芽よりもふっくらとした芽があれば、早めに切り取っておきましょう。
カラジウムの増やし方! 上手に分球するポイント
最初の植え付けから数年が経ち、球根が大きく育っていたら、分球して増やすことができます。春の植え付け前に、2〜3芽つけて球根を鋭利なナイフで切り分けてください。切り分けた部分には菌が入るのを防ぐために、草木灰をまぶしておきましょう。分球した球根をそれぞれに植え直します。
多彩な葉の色があるカラジウムの品種
古くから愛されているのは、白地に紫の葉脈が浮き出る‘キャンディダム’ですが、グリーンの葉に鮮やかな赤色が中央に広がる‘スカーレットビューティ’、グリーンの葉に白雪をうっすらとかぶったような風情を持つ‘ホワイトクリスマス’、長さが5〜8cmでハート形の葉がたくさん茂る、ガーデン向きの ‘ハート・トゥ・ハート’など、カラジウムの品種は多彩に揃います。
鉢植えや寄せ植え、花壇でも楽しめるカラジウム
観葉植物としての人気が高いカラジウムは、室内の明るい窓辺などに飾って、インテリアにみずみずしい彩りを添えるのにおすすめ。近年は地植え向きの品種も多く出回るようになっており、カラーリーフプランツの一つとして、花壇や寄せ植えの引き立て役としても重宝します。葉の造形が大変美しいので、切り取って一輪挿しに飾るのも素敵です。
育て方のコツを押さえて美しい葉を持つカラジウムを楽しもう!
ここまで、カラジウムの特徴や育て方、品種などについて、幅広くご紹介してきました。寒さに弱いイメージがありますが、それほど気難しい植物ではありません。カラフルな葉が美しいカラジウムは、春から秋までと観賞期間が長いのもいいですね。ぜひ、インテリアやガーデンに取り入れてはいかがでしょうか。
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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