暑くなるほどに生育が旺盛になり、次々と実りをもたらしてくれるオクラ。アオイに似た花も愛らしいので、庭の一角に植えれば花の観賞と果実の収穫を楽しめる、二刀流の野菜と言ってもいいかもしれません。この記事では、オクラの基本情報や特徴、花言葉、種子からの育て方、保存方法など、幅広くご紹介します。

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オクラとは?

オクラ
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オクラは、アオイ科トロロアオイ属の果菜類です。原産地は東北アフリカで、暑さに強い性質を持っています。原産地では一度植え付ければ毎年決まった時期に開花する多年草ですが、日本での栽培は冬の寒さに耐えられずに枯死してしまうので、一年草として扱われています。オクラの名前は、アフリカの現地語がそのまま日本に伝わって広まりました。学名はAbelmoschus esculentus(アベルモスクス・エスクレンツス)。アメリカネリ、オカレンコン、ガンボなどの別名もあります。

オクラの特徴

オクラ
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オクラの草丈は100〜150cmで、比較的大きく育つ夏野菜です。十分気温が上がった5月以降に植え付けると、真夏の暑さにも負けずに旺盛に生育し、たくさんの実を収穫することができます。オクラの花は7月頃から開花し、アオイに似たパステルイエローの愛らしい花を咲かせます。開花から1週間くらいすると、7cmほどの実が収穫可能。原産地では多年草ですが、日本では寒い冬を越せないので草勢が衰えてきたら抜き取って処分する…という短いライフサイクルです。

オクラには実の断面が五角形の五角オクラと、丸い丸オクラとがあります。スーパーや青果店で見かけるのはほとんどが五角オクラですが、丸オクラは多少取り遅れても硬くならないので、家庭菜園での人気が上昇中。また、実が赤紫色の赤オクラもあるので、食べ比べをしてみるのも楽しいですね。品種では、五角オクラは‘グリーンソード’や‘アーリーファイブ’、丸角オクラは‘ヘルシエ’や‘まるみちゃん’、赤オクラは‘レッジソード’や‘赤まるみちゃん’がポピュラーです。

オクラの花言葉

オクラ
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オクラの花言葉は、「恋で実が細る」「恋の病」など。オクラはレモンイエローの大きな花を咲かせ、華やかな雰囲気があります。しかし、花の豊かさに比べると、実るのはほんの小さく細い莢のため、このような花言葉が与えられたのでしょう。

花オクラとは?

ハナオクラ
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オクラの近縁種に、ハナオクラ(トロロアオイ)があります。花色は淡い黄色で、花径25cmほどにも及ぶ大輪の花を咲かせるのが特徴。一日花のため、朝に開花すると夕方にはしぼんでしまいます。このハナオクラの花、じつは食べることができるんです! 開花したての花を摘み取り、茹でるとぬめりが出ます。これを三杯酢かポン酢、または麺つゆなどで和えるとおいしくいただけます。ただし、ハナオクラの実は、短くて硬いため、食用には向いていません。

オクラの育て方

ここまで、オクラの基本情報や特徴、花言葉などについて、幅広くご紹介してきました。では、ここからは家庭菜園の実践編として、オクラの育て方について詳しく解説します。

土づくり

土づくり
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植え付ける場所に畝幅を40cm取り、園芸用支柱や割りばしなどで畝幅の目印を四隅に立てておきます。畝の長さは、環境や作りたいオクラの量に合わせて決めて構いません。

植え付けの2〜3週間前に、苦土石灰を1㎡当たり約100g全体に散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおきます。耕している際に、小石や木片などの異物が見つかった時には取り除いておき、全体にふかふかとした土壌を目指します。

植え付けの約1週間前に、畝の中央に深さ約30cmの溝を掘り、1㎡当たり堆肥約2kg、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)約100g、ヨウリン約50gを溝全体に均一にまきます。耕して土に馴染ませて、溝に土を埋め戻しましょう。さらに高さ10cmほどの畝を作り、地表を平らにならしておきましょう。土に有機質資材や肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

種まき・間引き

オクラの種
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オクラは、ビギナーでも種まきから簡単に育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。たくさんの苗を育てたい場合は、コスト削減にもなります。

ただし、オクラの苗は初夏から花苗店に出回り始めます。手軽にスタートしたいなら、苗の植え付けからのスタートがおすすめです。「1〜2株あれば十分だから、苗の植え付けから始めたい」という方は、次項に進んでください。

【種まき】

オクラの発芽適温は25〜30℃で、種まきの適期は気温が十分に上がった5〜6月頃です。オクラの種子は硬実種子で、種子の皮は硬く、あらかじめ水を張った容器に種を一昼夜浸けておき、ふやかしておくと発芽率がよくなります。

1〜2週間前に土づくりしておいた畝が少しくずれていたら、幅約40cm、高さ約10cmになるようにもう一度クワを入れて調整し、表土を平らにしておいてください。畝の中央に空き缶の底などを押し当て、深さ2cmほどの穴を開けます。株間が30cmほどになるように、畝に種まき用の穴を設けてください。種まき用の穴に、オクラの種子を4〜5粒ずつまき、種子が隠れる程度に土をかぶせます。軽く手のひらで押さえて土に馴染ませて、たっぷりと水やりをしておきましょう。

【間引き】

1回目の間引きは、双葉が出揃った頃に行います。生育のよい株を3本残し、他は間引いて株元に軽く土を寄せて苗が倒れないようにしておきましょう。間引く際は、ヒョロヒョロと長く伸びて徒長しているもの、葉色が薄く傷んでいるもの、虫に食われているものなどを選んで抜き取りましょう。

2回目の間引きは、草丈が15cmほどに育った頃に行います。生育のよい苗を1本残してほかは間引き、1本立ちにしてください。この時、追肥として緩効性化成肥料1㎡当たり30gを目安に株元にばらまき、周囲の土を軽く耕して株元に土を寄せておきましょう。約2週間後にも、同量の追肥をして株元に土寄せをしておいてください。

苗の植え付け

オクラの苗
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この項目は、購入苗の植え付けからスタートする方に向けての解説です。種まきからスタートする方は次項へ進んでください。

オクラの苗の植え付け適期は、5月頃です。

オクラの苗は花苗店やホームセンターなどで入手できます。苗を選ぶ際は、ヒョロヒョロと頼りなく伸びているものや、虫食い跡があるものなどを避け、節間が短くがっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。

また、オクラはゴボウのように太く長く伸びる「直根性」の根を持っていて、この根を傷めると後の生育が悪くなるので、根を傷めないように根鉢を崩さずに植え付けるのがポイントです。

1〜2週間前に土づくりしておいた畝が少しくずれていたら、幅約70cm、高さ約15〜25cmになるようにもう一度クワを入れて調整し、表土を平らにしておいてください。

畝幅の中央に植え穴を掘り、約30cmの間隔を取って苗を植え付けていきましょう。ポットから苗を出したら、根鉢を崩さずにそのまま植え付けてください。最後に、たっぷりと水を与えておきます。

水やり

水やり
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根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、真夏に日照りが続いて乾燥する時期は水やりをして補います。

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏に水やりする場合は、気温が上がっている昼間に行うと、すぐに水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

追肥

肥料
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オクラが開花し始めた頃から、10日〜2週間に1度を目安に、1㎡当たり緩効性化成肥料約30gを施してください。開花し始める頃には、オクラの根は地中では畝の外にまで範囲を伸ばしています。根の先端から養分を吸収しやすいので、株元ではなく畝の周囲に肥料をばらまき、軽く耕してから畝に土を寄せましょう。

オクラは肥料を吸収する力が強い野菜です。肥料を与える際に窒素成分が多すぎると、株の勢いが増して茎葉ばかりが茂り、実がつかない「つるボケ」の状態になってしまいます。これを見極めるには、葉に注目してください。葉の大きさが手のひらよりも大きくなっていたら、注意が必要です。

支柱を設置し、倒伏を防ぐ

ガーデニング
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オクラは草丈が高くなり、強風によって倒れやすくなるため、支柱を設置しておきましょう。株1本につき、苗の近くに1本の園芸用支柱を設置し、ビニタイや麻ひもなどで茎を誘引して倒れないようにしておきます。

たくさんのオクラを育てている場合は、畝の四隅と中央当たりに園芸用支柱を差し込み、麻ひもで囲い込んでおくのも一案です。草丈が高くなるとともに、麻ひもの囲いを中段、上段へと増やしていきます。

園芸用支柱を設置する際には、地中50〜60cmくらいまで深く差し込んで、支柱自体が倒れることのないようにしておきましょう。

病害虫

アブラムシ
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【病気】

オクラの栽培で発症しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。

灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほどで多湿の環境下で発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合いすぎていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合いすぎている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。

【害虫】

オクラの栽培で発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目にも不愉快なので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじいたりして防除しましょう。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要です。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけて予防するとよいでしょう。

収穫

オクラの実
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オクラの収穫適期は、開花後1週間ほどで、実の長さは7cmくらいがベスト。ハサミでヘタの先を切り取って収穫します。オクラの実はたった1日でも大きく育ち、採り遅れると食感が落ちるので適したタイミングを逃さないようにしましょう。

オクラは葉の付け根(節)に実がつくので、収穫したらすぐ下の葉を摘み取っておきましょう。実がついている節より下は、葉が一枚もない状態が理想です。風通しがよくなって病害虫の予防にもなります。

オクラの処理方法

オクラ
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収穫したオクラをおいしく食べるための、下処理や保存方法についてご紹介します。

冷蔵で保存する

オクラは低温に弱い性質なので、冷蔵庫では野菜室に入れて保存してください。キッチンペーパーなどにくるみ、保存袋に入れて直接冷気が当たらない場所で保存します。利用する際は、オクラをまな板に置いて塩をひとつまみ全体にまぶし、そのまま手でゴロゴロと転がすと、うぶ毛が取れて食感がよくなります。オクラはあまり長くは保存できないので、3〜4日のうちに利用するようにしましょう。

冷凍で保存する

冷蔵で保存する手順と同様に、まずはオクラをまな板に置いて塩をひとつまみ全体にまぶし、そのまま手でゴロゴロと転がすと、うぶ毛が取れて食感がよくなります。さらにヘタを切り落とし、ガクに包丁を入れて取り除けば下処理の完了です。

2〜3本ずつラップに包み、密閉袋に入れて冷凍庫へ入れると、1カ月は保存できます。冷凍したオクラを使用する場合、そのままの状態で加熱調理が可能です。カットしたい場合は、常温で数分置いておくと、包丁の刃がすんなりと入ります。

オクラを下茹でしてから、水分を拭き取って粗熱をとり、輪切りにして冷凍してもOK。輪切りしたオクラを密閉袋に入れ、平たくしてから冷凍庫に入れましょう。調理する際は、使いたい分だけ折りとって、そのまま利用できます。

オクラを育ててみよう!

オクラ
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オクラはビギナーでも育てやすい野菜の一つで、庭に植えておけば花の美しさと美味しい果実の両方が楽しめます。採れたての新鮮なオクラは食感も風味もよく、家庭栽培ならではの醍醐味を味わえるので、ぜひ庭で育てて夏の味覚を味わってはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

参考文献/
『別冊やさい畑 野菜づくり名人 虎の巻』発行/家の光協会 2009年2月1日発行
『週刊 ベランダでも楽しめる野菜づくり 花づくり』16号 発行/朝日新聞出版 2010年6月20日発行
『やさしい家庭菜園』 監修者/藤田智、加藤義松 発行/家の光協会 2006年3月1日第1刷

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