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宝石のような美しさ! ジュエルオーキッドの基礎知識と育て方

Fabrizio Guarisco/Shutterstock.com
皆さんはジュエルオーキッドという植物をご存じですか? その名の通り宝石のような輝きを持つ、美しい葉を楽しめる植物です。この記事では、そんなジュエルオーキッドの特徴から育て方までを詳しくご紹介します。
目次
ジュエルオーキッドとは

ジュエルオーキッドとは、葉の美しさを観賞するランの総称です。
東南アジアの熱帯や亜熱帯の森林などに生息する常緑性のラン科の植物で、マコデス属やドッシニア属、キバナシュスラン属などが含まれます。中でもマコデス属のジュエルオーキッドが、園芸用として最も広く普及しています。
ジュエルオーキッドは少しだけ栽培にコツが必要な植物で、急激な気温の上下などの環境の変化はやや苦手。こう聞くと難易度の高い植物と感じられるかもしれませんが、逆にいえば安定した環境を作ってしまえば、ほったらかしに近い状態でも栽培できます。何やら耳新しい名前に聞こえるかもしれませんが、日本国内に自生している種類もあります。国内での栽培の歴史は古く、江戸時代の中後期から葉を観賞する植物として親しまれています。
ジュエルオーキッドの中でも代表的なマコデス・ペトラは、無許可での販売・譲渡が禁止されているので、購入の際は注意しましょう。
ジュエルオーキッドの名前の由来

オーキッドというのはランのことで、ジュエルオーキッドはラン科のため、そのように呼ばれています。
ジュエルオーキッドの葉はビロード状で全体に美しい艶があり、葉脈はまるで光る糸で刺繍をしたような輝きを持っています。暗い森林の中でも葉が美しく光る様子が、まるで宝石のように見えることから「ジュエルオーキッド」と呼ばれるようになりました。そのまま日本語に直訳して「宝石蘭」と呼ばれることもあります。
どんな花を咲かせる?

ジュエルオーキッドは、主に東南アジアの熱帯雨林などに自生しています。自生地では、時期になると白からクリーム色の花を咲かせます。花の細部の構造は属や種によって違いますが、基本的に開花時期には花茎を高く伸ばし、小さい花を穂状につけます。ジュエルオーキッドは花よりも葉の観賞がメインの植物ということもあり、大きな花が咲くものはあまりありません。
花期は7月頃です。開花により体力を消耗すると生育が鈍るので、愛好家の中には花茎が出てくると摘み取る人もいます。
ジュエルオーキッドの花言葉

ジュエルオーキッドの代表的な花言葉は3つあります。
1つめは「優雅」。葉が非常に美しく、光るような艶のある特徴的な見た目から「優雅」という花言葉がつけられたとされています。
2つめは「美しい淑女」。ラン科の多くはその美しさを女性に例えた花言葉が多く、ラン独特の花の形や気品に由来しています。ランは咲く姿の美しさから花の女王とも呼ばれています。
3つめは「日々平安」。ジュエルオーキッドは観葉植物として広く親しまれており、四季による変化が少ないことに由来しています。ちなみに、同じ花言葉を持つ植物にはホンコンシュスラン(香港繻子蘭)があります。
ジュエルオーキッドの葉は光る?

照葉樹林という、葉が太陽光を反射してキラキラと光る美しい森林があります。光るといっても、自らが発光しているわけではなく、太陽光を反射することで輝いて見えるというもの。ジュエルオーキッドは、その照葉樹林を構成する植物に含まれています。
照葉樹林とは冬でも葉を落とさない常緑広葉樹に覆われた、温帯に成立する森林のことです。照葉樹林を構成する植物の葉には厚みと光沢があります。葉に厚みがあるのは、鬱蒼とした森の弱い光の中でも光合成できるように葉緑体をたくさん持つためです。
照葉樹林の植物の葉の表面にはクチクラ層が発達しています。クチクラ層というのは水分の蒸発を防いだり、体表を保護する丈夫な膜のことで、髪の毛の「キューティクル」と同じものです。一年中葉を落とさない常緑広葉樹は、乾燥から身を守るためにこのクチクラ層が発達しています。照葉樹林に生息する植物の葉がキラキラと光って見えるのは、葉の表面にあるガラスのように透き通ったクチクラ層が光を反射するためです。
ジュエルオーキッドの育て方

美しい葉が魅力的なジュエルオーキッドの特徴についてご紹介してきましたが、ここからはジュエルオーキッドの育て方について詳しくご紹介します。
栽培環境

ジュエルオーキッドは、比較的湿った森の暗いところで育つ、常緑性の多年草です。そのため直射日光の当たらない、湿度が高くかつ風通しのよい環境を好みます。夏のギラギラとした直射日光は特に苦手。地上部は風通しよく、根は乾かさないように育てるとよいでしょう。また、熱帯雨林に自生する植物ですので、日本の寒い冬も苦手としています。
鉢植えや、上の画像のようにガラス容器などに入れ、春夏秋冬の気候に合わせて、もっとも適した場所に移動させてもよいでしょう。20〜25℃くらいの気温の場所が適しています。容器に入れる場合は、風が通るよう蓋をせずに栽培します。
土作り

ジュエルオーキッドは水はけのよい環境を好みます。一般的なランと同様に、ジュエルオーキッドも水苔で育てるのが基本です。用土の場合はランの栽培向けに販売されているものを使うとよいでしょう。適度な湿度を保つために、生きた水苔でジュエルオーキッドの茎あたりを覆う方法もあります。また、pHを調整したピートモスでも育てられます。
植え付け

ジュエルオーキッドは冬の寒さに弱いので、植え付けや植え替えも春や夏の暖かい時期に行います。
湿らせた水苔でジュエルオーキッドの根を優しく包み、その後用土や水苔を敷いた鉢に植えます。苗が安定するまでは直射日光の当たらない風通しのよい場所で管理し、乾燥しないように水やりを続けましょう。
水やり

ジュエルオーキッドは熱帯雨林の植物ですが、過度な湿り気を嫌います。あまりに多湿の環境が続くと根腐れを起こして枯れてしまうことがあります。
水苔で植え付けた場合は、水苔が固く絞ったおしぼり程度の湿り気になっているのがベストです。
水やりは水苔が乾いた時に、株元や植えている周りに霧吹きで水を吹きかける程度がおすすめです。たっぷり水を与えて水苔が湿りすぎないよう注意しましょう。
肥料

ジュエルオーキッドはそれほど多くの肥料を必要としない植物です。もし成長具合が気になる場合は、成長期である初夏に液体肥料を与えるとよいでしょう。この場合、原液ではなく、かなり薄めた液体肥料を与えてください。ハイポネックス原液であれば、2,000〜5,000倍程度が目安です。
過度に肥料を与えたり、成長期以外の春、秋、冬に肥料を与えると根が傷んで枯れてしまうので注意が必要です。
病害虫

ジュエルオーキッドの栽培では病害虫の心配はあまりありません。
春から秋に直射日光の当たらない屋外に鉢を置く場合は、カイガラムシやアブラムシ、ハダニがつくことがあります。ハダニを防ぐためには適度に湿度を上げるのと同時に、ジュエルオーキッドの株全体や葉の裏側に霧吹きで水をかけることが重要です。
花がら切り
花芽が上がってきたら、葉や茎の生育を優先させたい場合は、ハサミなどで切り取ります。花を楽しみたい時はそのままにしておき、花が咲き終わったら花茎のつけ根で切ります。そのほか、枯れた葉や茎は、そのままにしておくとカビや病気の原因となるので、見つけたら取り除いておきましょう。また、ジュエルオーキッドは基本的に剪定は必要ありません。
ジュエルオーキッドの美しい葉を楽しもう

この記事では、ジュエルオーキッドの特徴から詳しい育て方までご紹介しました。きらびやかな葉が美しいジュエルオーキッドは、鉢植えだけでなく、テラリウムなどにも適しています。ぜひ自分で育てて、その美しい姿を楽しんでみてはいかがでしょうか。
Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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