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2020年から引き続き、おうち時間によってガーデニングを始めたり庭を見直す人が増え、花苗を買い求める人がとても多かった2021年。素敵な植物を身近に咲かせたい! と思っている人に必見の宿根草人気ランキング2021年度版をご紹介します。4千種を超す植物を扱う「おぎはら植物園」店長の荻原範雄さんに、2021年に人気が高かった宿根草を5種教えていただきます。

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植えっぱなしで丈夫に育ち
選ばれている人気の宿根草

長野県上田市で宿根草と山野草を扱っている「おぎはら植物園」では、越年して毎年花を咲かせる「長生きする植物」の宿根草を中心に、幅広くガーデン植物を取り扱っています。全国のガーデニングを趣味にする人たちをはじめ、観光ガーデンや公共の庭などからも珍しい植物や目当ての植物を求めて注文が入るという「おぎはら植物園」で、2021年に人気が急上昇した宿根草を5種ピックアップ。人気の理由と育て方、特徴を解説していただきます。

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セレクト1
インパクト大で庭のフォーカルポイントに!
アーティチョーク

アーティチョーク

地中海原産で、大株になると株張り・草丈ともに2mを超える特大サイズのアザミの仲間です。若いつぼみは高級食材として知られている野菜の一つでもあります。よく分枝して次々と開花する紫色の花は、直径15cmほど。遠くから見ても存在感を発揮する、他にはないキャラクター。本格派ガーデンを目指している人に、是非おすすめです。例えば、細やかな草花の背景に、アーティチョークの巨大な花があることで、おしゃれな雰囲気が演出できます。

アーティチョーク

食用にする場合、採りどきは5月下旬。花の時期は5〜6月なので、それよりも少し前のつぼみが膨らんできたときが食べ頃です。一度植えたら何年も育つので、広いスペースがある庭では、自家採取の楽しみに加え、シルバーリーフのダイナミックな姿も楽しめることでしょう。おしゃれなキッチンガーデンにはぜひ仲間に入れておきたい存在です。

アーティチョークの性質

アーティチョーク

暑さ、寒さに強く、とても丈夫です。日向であれば植え場所は選びません。風通しがよく、水はけのよい土壌で、少し乾き気味に育てるのがコツです。湿っぽい場所では、梅雨時期や夏に高温多湿になった場合に、徒長して倒れることもあるので避けたほうがよいでしょう。

アーティチョークの育て方

アーティチョーク

主に入手できる苗は小さいため、本格的な開花までに1年以上必要かかりますが、育てがいのある宿根草です。マイナス10℃前後の耐寒性があり、晩秋になると葉が枯れる落葉性です。

セレクト2
ナチュラルガーデンに爽やかな色彩をプラス
ロシアンセージ

ロシアンセージ

成長を始める春はシルバーリーフが特に美しく、スッと上に伸び上がる株姿で、花壇がまとまった印象になります。別名サマーラベンダーとも呼ばれ、夏から秋にかけて分枝した先に細かなブルーの花を咲かせます。70~100cmと丈高く伸びながら周囲の植物ともよく調和して、庭にナチュラルな雰囲気をプラス。花期以外もカラーリーフとして十分に楽しめます。

ロシアンセージの性質

ロシアンセージ

暑さ、寒さともに強く、寒冷地でも暖地でも育つ、丈夫な多年草です。日向で風通しがよく、少し乾き気味の場所が栽培に適しています。日陰や湿り気のある場所では徒長して倒れやすくなるので、避けたほうが無難です。

また、肥沃な場所では伸びすぎるので、少しだけ痩せ気味場所に植えるとよいでしょう。

ロシアンセージの育て方

ロシアンセージ

開花前の春に伸び始めた茎を半分以下にカットしておくと姿が整いやすく、夏からの花枝も増えます。 翌年に備えて花後の秋に短くカットし、株を充実させておくとよいです。 冬は落葉して、枯れた枝に芽が残って、春に芽吹きましょう。 冬の間も3~4節残る程度に短めにカットしておくと、翌年も姿よく開花します。 旺盛によく伸びるので、年3回程度の剪定をしてボリュームのある草姿に仕立ててください。

セレクト3
暑さに強く花は香り豊か! クラフトにも重宝
ラベンダー ‘グロッソ’

ラベンダー‘グロッソ’

多くの種類があるラベンダーのなかでも、暑さや寒さに強くて、丈夫で育てやすいラバンディン系です。また、花粒が大きくて見応えがあるので、地植えの庭におすすめ。 気候条件によっては、初夏から秋にかけて長い期間咲き続けることや、芳香が強いのでラベンダーバンドルやポプリなどに利用できることからも人気があります。

ラベンダー ‘グロッソ’の性質

ラベンダー‘グロッソ’

成長スピードはゆっくりなものの大型になる種類で、株張りは1mほど。花茎が多数伸びるうえ、花数も多いので見栄えがよく、大株になると見事です。 冷涼な環境が好きなラベンダーですが、この ‘グロッソ’は温暖な地域でも栽培可能な数少ない種類です。 暑さには強いのですが、高温時の多湿で弱ることがあるため、風通しと水はけがよい場所で栽培しましょう。

ラベンダー ‘グロッソ’の育て方

ラベンダー‘グロッソ’
左/花後に刈り込んでおくとこんもりした姿に。右/真冬でも葉が残ります。

高温多湿にならないよう、水が溜まりやすい場所や湿気が多い場所での栽培は避けてください。 乾燥に強い性質はありますが、極端に乾く場所ではうまく育ちません。ほどよく乾き、最低限の水分が保てるような適地ならよく育ちます。もし水分や湿気が多い場所ならば、水はけがよくなる軽石などを混ぜ込んだり、盛り土をして植える位置を少し高くしましょう。 一般的な用土で育ちますが、酸性土壌は嫌うので、他の植物の葉が黄色くなりやすいような酸性にかたよった場所は避けるとよいでしょう。 心配な場合は、石灰を混ぜてから植えれば安心です。

セレクト4
ふんわり茂る軽やかな姿とシックな花色も魅力
黒花フウロ(ゲラニウム・ファエウム)

黒花フウロ(ゲラニウム・ファエウム)

多種あるゲラニウムのなかでも、紫褐色のシックな花色がおしゃれ。初夏にたくさんの花を咲かせるのが魅力で、宙に浮くように咲く花は、風に揺れてナチュラルな雰囲気です。和の庭にも、洋の庭にもどちらとも相性がよい宿根草です。

黒花フウロの性質

黒花フウロ(ゲラニウム・ファエウム)

黒花フウロの系統(ファエウム種)は、特に丈夫なことで知られています。耐暑性があり、大株に育てやすい 強健なゲラニウムなので、フウロ草の栽培に挑戦したいという初心者さんにもおすすめです。乾燥にも比較的耐え、広がるように低く株が張るので、他の宿根草の株元や間をつなぐような役割にも重宝します。 暖地では暑さ対策として、やや半日陰に植えますが、夏場涼しい地域では日向でもよく育ちます。

黒花フウロの育て方

黒花フウロ

暑さには耐えますが多湿を嫌うので、夏に蒸れないようにするのが栽培のコツです。水はけがよい用土にすることで、多湿への対策に効果がありますが、栄養分が少なくなると生育に影響するので、時々追肥するとよいでしょう。また、夏に直射日光を避けることができる落葉樹の下を選んだり、茂りすぎた葉を間引いたり、伸びた茎をカットします。適した場所であれば、こぼれ種でも増えます。

セレクト5
虹色に輝く穂に一目惚れする人続出
ホルデューム・ジュバタム

ホルデューム・ジュバタム

ガーデンのアクセントとして、人気急上昇のグラス類。そのなかでも人気の種類で、ピンクがかるクリームグリーンの穂は、やわらかで美しく「リスの尾」の愛称も。涼しい地域ならば夏越ししますが、温暖な地域では一年草扱いに。しかし、その美しさから毎年植え直すファンが多いグラスです。庭で刻々と姿を変えていく様子も楽しめますが、切り花やドライフラワーとしての楽しみもあります。

ホルデューム・ジュバタムの性質

ホルデューム・ジュバタム
美しいライムグリーンの穂が出始めた頃。

植えどきは、秋。根をしっかり張らせることで、春から初夏により多くの穂が上がってきます。寒さにはとても強く、霜が降りてもダメージになりません。

ホルデューム・ジュバタムの育て方

ホルデューム・ジュバタム
穂が満開を迎えると、白くなり幻想的。

肥沃な土地よりも、痩せ地で育てると株がしまってまとまりよく育ちます。手がかからない植物ですが、こぼれ種で増やしたくないときや場所を限定したい場合は、穂が白っぽく熟す前にカットしておくとよいでしょう。

2021年に人気だった宿根草は、 全体的にスタイリッシュなフォルムをもちながら、かつナチュラルガーデンにも似合うものでした。植物はとても種類が多く、何を選ぶとよいか、自分の庭に何を加えると素敵になるかなどの悩みも多いと聞きます。ご紹介した人気の植物にチャレンジして、新しいコラボレーションを楽しんでみませんか? お気に入りの植物との出会いが2022年もありますように!

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