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- エアプランツでガーデニングデビュー! 初心者向けの品種や手入れをご紹介
ガーデニングに興味があったり、植物を育ててみたいのに、「場所や時間がなくて管理に不安がある」と思っている方もいるのではないでしょうか? そんな方におすすめなのが、手入れの簡単なエアプランツ(チランジア)。植え替える必要もなければ、吊しておけるので場所も取りません。そしてたくさんの種類があり、形や大きさ、色もさまざま。可愛い花も咲きますよ。きっとお気に入りのエアプランツが見つかるはず。ここではそんな魅力的なエアプランツを育ててみたいという初心者の方に向けて、おすすめの種類や手入れ方法をご紹介します。
目次
エアプランツの基礎知識
まず、エアプランツとは何なのかについて解説します。エアプランツというのは通称で、正式には学名をチランジア(Tillandsia)といい、パイナップル科ハナアナナス属の植物です。種類は700種以上あり、その中の、主に葉から水分を吸収する一部のグループがエアプランツとして流通しています。管理のしやすさから、最近は100円ショップなどでも販売されており、手に入れやすい植物といえるでしょう。
原産地は北〜南アメリカ大陸や西インド諸島など。自生地では木の幹や枝、岩などに引っかかったり、くっついたりして生育しています。雨や霧の水分を葉から吸収するため土を必要とせず、時に根のようなものが出ても、それは自身が吹き飛ばされたりしないように着生するためのもので、水分は吸収できません。市販のエアプランツは着生のための根が切られていることが多く、そのため水やりの必要がないと思われがちですが、雨の降らない屋内で育てるためには、代わりの水やりは必要不可欠です。
また、エアプランツは形態的なことと管理方法の違いから、大きく2グループに分けられます。一つは葉に産毛のようなものがあり白っぽく見える銀葉種、もう一つは緑色で光沢がある緑葉種です。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
銀葉種の特徴とは
銀葉種の産毛のようなものは、水分を効率よく吸収するための器官。トリコームと呼ばれ、雨や霧などの空中の水分を吸収します。トリコームがあることで葉の表面から水分を吸収できるだけでなく、強光から身を守っているとされています。比較的乾燥に強いですが、反面、夏の高温多湿には弱いという特徴があります。水やり後は風通しよく管理することが大切です。
緑葉種の特徴とは
緑葉種はトリコームが少ないため、表面が白くはならず、緑っぽい見た目となります。夏の高温多湿による枯死の心配はあまりありませんが、トリコームによる吸水量が少ないため乾燥しやすく、室内管理はしやすい分、銀葉種よりも水やりの回数は多くなります。
エアプランツをインテリアに生かそう! おすすめの飾り方
用土や植木鉢での管理の必要がないというエアプランツの特徴を生かした飾り方をしてみましょう。ワイヤーなどでハンギングにすれば、部屋のさまざまな場所にお洒落に飾ることができます。無機質な空間にグリーンが浮かんでいるだけで、だいぶ印象が変わります。またコルクやヘゴ、流木などに活着させることで、自生地風のインテリアとしても楽しむことができます。自分の好みの種類をたくさん着生させれば、世界に一つだけの素敵なインテリアになるはず。ほかにも、ガラスや耐水性のある器にのせると、スタイリッシュなインテリアとして可愛く活用できます。好きな小物の近くに置くだけでも、雰囲気はかなり変わりますよ。生育適性を考えると、銀葉種はハンギング、緑葉種はガラス製のコップやテラリウムのような透明の容器で育てるほうが管理しやすいでしょう。
初心者にも育てやすい! おすすめのエアプランツ
エアプランツにはたくさんの種類があり、その中には育てやすい種から気難しい種までさまざまなものがあります。ここでは初心者でも気軽に育てられる、難易度低めの種類をご紹介します。
カプトメドゥーサエ
壺形のでっぷりとした形と、くねくねと伸びる葉が特徴的な銀葉種です。その姿がギリシャ神話に登場するメデューサに似ていることから名付けられました。丈夫で乾燥にも強く、赤紫の可愛い花を咲かせます。流通も多いため、エアプランツの中でもメジャーで人気のある種です。育てる上での注意点は、壺形なので葉と葉の間に水が溜まりやすく、夏は蒸れて腐りやすいこと。水やりは夜間に行い、その後は風にしっかりと当てて乾かしましょう。
イオナンタ
エアプランツといったらコレ! というくらいに普及していて、おそらく一番簡単に入手できる種です。100円ショップなどでも購入できます。見かける機会は多いですが、同じ種でもさまざまなバリエーションがあるため、好みの形や花色のものをたくさん集めても楽しいでしょう。銀葉種なので乾燥に強く、丈夫です。蒸れに対しても他の種より耐性があり、水やり後の管理もさほど気をつかわず、日の当たる場所であれば、通年室内で管理しても問題がありません。花芽が上がってくると同時に葉も紅葉し、とても綺麗な姿になります。その際は、しっかりと日光に当てることが大切です。
ブルボーサ
壺形で葉がうねることからカプトメドゥーサエに似ていますが、この種は緑葉種で、トリコームが少なく艶のある緑色をしていることで区別できます。イオナンタ同様流通量が多く、100円ショップや園芸店、雑貨店などでも売られています。紫色の花を咲かせますが、その際、花芽の上がってくる茎の部分(花序)が赤く染まり、紫、赤、緑と段階的なコントラストがとても鮮やか。乾燥に弱い緑葉種のため、こまめに水やりをしましょう。
ストレプトフィラ
乾燥すると長くてやや幅広の葉がクルクルとカールする、印象的なエアプランツです。曲線を描く優美な姿や大ぶりな花から「チランジアの女王」と呼ばれています。銀葉種のため乾燥に強く、また乾燥すればするほどカールが強くなります。水やりのサインが分かりやすいので、初心者向けといえるでしょう。強光には弱いため、夏場に外に出す場合は遮光の必要があります。また室内で管理する場合も、窓からの直射日光で葉焼けする場合があるので、レースのカーテン越しの光が当たる場所などに置きましょう。
テクトラム
ツンツンした細長い葉を多数つけ、ふわふわのトリコームで覆われた姿はどこか小動物的でとても可愛らしく、人気がある種です。銀葉種のため乾燥にも強いほうですが、涼しく、空中湿度が高いほうが綺麗に育ちます。夏の直射日光や蒸し暑さには弱く、水のやりすぎで葉が濡れた状態が続くと腐りやすいので、水やり後は風通しのよい場所でしっかり乾かしましょう。
初心者でも簡単! エアプランツの手入れ方法
種類によって水やりの頻度が違い、また生態も他の植物と異なるため、どう手入れをしたらいいのか分からないという方もいるかと思います。ここではエアプランツの管理の仕方について、ポイントを交えてご紹介します。
水やりは霧吹きとソーキングを組み合わせて
エアプランツの水やりの基本は霧吹きです。最低週に2回、種によっては毎日、全体にまんべんなく水がかかるように行いましょう。また、栽培環境が特に乾いている場合や水切れを起こした場合は、水をためた器にエアプランツを浸し、1~2時間ほどそのままにするソーキングを行います。ただし、種類によってはソーキングをすると水分過多になる可能性があるので気を付けましょう。
水やりのポイントは、全体をしっかり濡らしたら、しっかり乾かすこと。特に壺形のエアプランツは葉と葉の間に水がたまって抜けにくいため、逆さに吊すなどして水をよく切りましょう。また夏場などは水やり後にたまった水が熱くなり、蒸れによる枯死の原因となります。夜間に水やりをするか、水やり後は日陰に移すなど、温度上昇を防ぐ工夫をすることが大切です。反対に、冬は暖かい日中に水やりをすることで水切れも早くなり、寒さによるダメージも軽減できます。
エアプランツを増やすには?
エアプランツは通常開花後に親株は枯れ、その後周りに子株が数個出てきます。生育が順調だと開花前に子株を出して増えることもあります。その子株を外さずそのまま生育させ、群生させてボリュームのある株にするのも素敵ですし、別株として増やしたい場合は、子株を親株の2/3ほどの大きさまで生育させたあと外すことも可能です。
エアプランツに肥料を施すには?
適度な施肥はエアプランツの生育を促すのに効果的です。生育期の春と秋に週に1回程度、2,000倍に薄めた液体肥料を霧吹きで与えましょう。濃度や頻度によって肥料焼けする場合があるため、様子をよく観察しながら行いましょう。
エアプランツで心安らぐインテリアを作ろう
エアプランツは「水やりが不要」というわけではありませんが、コツをつかめば手入れの手間も少なく、初心者でも育てやすい植物です。土を必要としないため植木鉢の必要がなく、スペースを取らず、また衛生的に植物を育てることができます。そのままシェルフに置いたり、お気に入りの容器や雑貨と合わせたりすることで、素敵なインテリアとして、おうち時間をさらに心安らぐものにしてくれることでしょう。まずは一株育ててみて、管理に慣れたら徐々に増やしていき、ナチュラルな癒やしのある部屋を目指してみてはいかがでしょうか?
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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