冬に主な旬を迎えるケールは、健康ドリンクの青汁の材料として有名な野菜ですね。じつは植物としてはキャベツに近い仲間です。そんなケールには、青汁以外にもさまざまな活用法があります! この記事では、ケールの育て方や豊富な活用法について詳しくご紹介します。
目次
ケールってこんな野菜! まずは基本情報を確認
ケールはアブラナ科アブラナ属に分類され、学名はBrassica oleracea。原産地は地中海沿岸で、野菜として扱われる植物です。草丈は30~80cmになり、黄色い花を咲かせます。
ケールの特徴
ケールの和名は「羽衣甘藍(はごろもかんらん)」といいます。甘藍とはキャベツを意味しており、その名の通り、キャベツの原種に近い野菜です。イメージとしては葉が丸まっていないキャベツのようで、キャベツの葉に似た円形や長円形の葉が上に向かって伸びます。葉には縮れやしわがあるタイプと、無いタイプがあります。葉を収穫せずそのまま育てていると、花茎を伸ばしてアブラナ科らしい黄色い菜の花を咲かせます。
ケールの起源と世界に広まった歴史
ケールの原産地は地中海沿岸ですが、紀元前にはすでに利用されていたといわれています。キャベツやブロッコリー、英語で「オーナメンタルケール」と呼ばれる葉ボタンも、ケールの原種から改良されて生まれた植物です。
ケールは栽培の歴史も古く、ギリシアで栽培が始まって古代ローマ人も食していたといわれています。さらに、現在のスペインでケールを食べているのを見たケルト人が、自分たちも栽培を始め、彼らが世界に広めたそう。8世紀頃には中国でもケールの仲間が栽培されており、日本には江戸時代に伝わったとされています。もっとも、日本には初めは観賞用として伝来したそうです。
ケールの種類
ひと口にケールといってもさまざまな種類があり、日本では「コラードケール」や「シベリアンケール」「カーリーケール」などがよく栽培されています。
コラードケールは、大きくなる品種で、葉にしわがほとんどなく、青汁によく利用されています。
シベリアンケールは比較的小さめの品種で、葉にしわが少なくカールしているという特徴を持っています。
カーリーケールは葉に細い切れ込みが多いのが特徴で、苦みが少ないためサラダにも使えます。
これらのほか、ベビーケールという名前でケールの新芽もよく流通しています。
ケールを上手に育てるためのポイント
ここまで、ケールの基本的な特徴についてご紹介しました。
ここからは、そんなケールの育て方について、項目別に詳しく解説していきます。
ケールに適した栽培環境
ケールを育てるには、日当たりがよく、風通しのよい場所がベストです。生育の適温は8〜25℃です。
また注意が必要なポイントとして、連作障害があります。アブラナ科の植物を植えた場所には続けて植えないようにしましょう。代表的なアブラナ科の作物としては、キャベツ、ハクサイ、チンゲンサイなどがあります。
ケールを植えるのに適した用土
ケールを植える用土は、弱酸性から中性の土が適しています。酸性の土壌は苦手なので、地植えではあらかじめ石灰を混ぜ込んで中和しておくとよいでしょう。プランターで栽培する場合は、野菜専用の培養土を用いればOKです。
ケールは種から育てられる!種まきの方法
ケールは、3~4月が種まきの適期です。
育苗ポットや播種用のトレイに種まき用土を入れて、4粒程度ずつ播きます。種を播いたらたっぷりと水やりをして、発芽まで水を切らさないように注意します。芽が出たら生育の悪いものを間引きながら育て、最終的に本葉が2~3枚の頃に1株だけ残るようにしましょう。
苗の選び方と植え付け方法
種から育てている場合は、本葉が5~6枚になったら植え付けます。苗を購入して植える場合は、本葉が5枚以上出ているものを選びましょう。
植え付けの時期は、寒冷地では5~8月、暖地では4~5月または7月~10月初旬まで、中間地では5月または7月~9月上旬です。
植え付けの際は、地植えであれば株の間隔を40cm程度とり、プランターであれば幅60cmのものに2~3株を目安に植え付けます。
ケールの水やり
ケールの苗を植え付けた直後は、たっぷりと水やりをします。しっかりと根付いたあとは地植えの場合は降雨のみで育ちます。プランター栽培の場合は、土の表面が乾いたら水やりをしてください。極度に乾燥すると葉が傷むので、乾燥しすぎに気をつけましょう。
ケールの肥料
ケールが肥料切れして株が弱らないよう、追肥をする必要があります。本葉が10枚ほどになったら、野菜用の固形肥料を施しましょう。その後も2週間おきに固形肥料、または1週間おきに液体肥料を施して株の成長が衰えないようにします。
ケールの収穫
収穫時期は寒冷地では夏から秋にかけて、暖地では種まきや植え付け時期を除けば、ほぼ通年収穫することが可能です。葉が30~40cmになった頃が収穫のタイミング。ケールはキャベツのように葉が巻いて結球しないため、外側の葉から順次収穫していくことができます。
ケールを育てるうえで注意しておくべき病気や害虫
ケールは比較的病気には強い植物ですが、べと病や灰色カビ病、黒腐病などにかかることがあります。こういった病気の予防のためには、株間をあけて風通しをよくしておくことが大切です。
またケールはアブラナ科のため、アオムシやコナガなどの害虫がつきやすいです。防虫ネットや寒冷紗などをかけて、虫の侵入を防ぎましょう。
スーパーフードと呼ばれるケール! その栄養価は?
ケールは非常に栄養価が高い野菜で、βカロテンやビタミンC、葉酸などのビタミン類、カルシウムや食物繊維などの栄養素をバランスよく含んでいます。さらに、ルテインやスルフォラファンなど、抗酸化作用を持つ成分が多く含まれていることも特徴です。
栄養豊富なケールを美味しく食べる方法
栄養バランスもよくビタミン豊富なケールですが、どのように調理すればよいのでしょうか。苦いというイメージが強いケールを美味しく食べる、おすすめの方法をご紹介します。
生のままジュース、スムージー、サラダなどに
生のままケールを食べるには、青汁はもちろん、バナナやリンゴなど甘みの強い果物や豆乳などと一緒にスムージーにするのもおすすめです。
ケールの苦みを和らげる食材やドレッシングを合わせたり、苦みの少ないベビーケールを使用すれば、サラダとして食べることもできます。
炒め物や和え物にもおすすめ
火を通すとボリュームが減るので、炒め物や和え物にすると栄養豊富なケールをたっぷり食べられます。苦みが気になる場合は、さっと塩ゆでするか、調味料に風味が強いオイルやマヨネーズ、ガーリック、粉チーズなどを使うと食べやすくなります。
煮込み料理やスープにしても
煮込み料理や鍋、スープにすると汁ごと食べられるので、ケールの栄養を余すことなくいただけます。スープの場合は、ミキサーにかけてクリーミーな食感にアレンジすることもできるほか、他の野菜やベーコンなどの肉類と一緒にミネストローネにするのもおすすめ。煮込み料理に添えたり、鍋やみそ汁の具材にすることもできます。
さまざまな方法で食べられるケールを育ててみよう!
この記事ではケールの基本的な情報から育て方、おすすめの食べ方についてご紹介しました。
丈夫で育てやすく、とっても栄養豊富なケールは、生で食べるのはもちろん、アレンジ次第でさまざまな料理に使うことができます。ぜひケールを栽培して、美味しい料理に活用してみてはいかがでしょうか?
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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