生け垣に利用されることが多いカナメモチは、新芽が真っ赤なことから華やかな雰囲気を持ち、庭に彩りを与えてくれます。他の庭木に比べて強健な性質で、放任してもよく育ち、刈り込みにも耐えるので、初心者にもメンテナンスがしやすいのも特徴です。この記事では、カナメモチの特性や育て方など、詳しく解説します。

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カナメモチの概要

赤い新芽が特徴的なカナメモチは、どんな性質を持った植物か、ご存じでしょうか。栽培していくうえでは、その植物の特徴を把握しておくことが大切です。まずは、カナメモチの基本情報についてご紹介します。

基本情報

カナメモチ
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カナメモチは、バラ科カナメモチ属の中高木で、自然樹高は3〜10mほど。ガーデニングの初心者の方は「10mも伸びるの!?」と驚くかもしれませんが、剪定によって樹形をコントロールすることができます。家庭で育てるなら1〜2mくらいに樹高を抑えて管理するとよいでしょう。また、常緑性で冬も葉を落とさずにみずみずしい葉姿を楽しめるのも長所の一つ。そのため目隠しなどを目的に、生け垣としてよく利用されています。カナメモチの原産地は日本、中国南部、東南アジアで、暑さには強いものの、寒い気候はやや苦手とし、栽培適地は東北南部以西です。

特徴

カナメモチの花
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カナメモチはツヤのある肉厚な葉を持ち、3月下旬〜4月にかけて一斉に新芽を出します。この新芽が鮮やかな赤色をしているので、まるで花が咲いたかのように豊かな彩りをもたらすのが特長。葉が赤いのは新葉のうちだけで、成長するにしたがって緑色に落ち着いてきます。開花期は5月〜6月中旬で、花色は白。小さな5弁花が頂部に集まって咲く姿には清楚な魅力があります。ちなみに、このカナメモチの花言葉は「にぎやか」。開花後には小さな丸い実がつき、秋には赤く熟した姿を楽しめます。

カナメモチとレッドロビンの違いは?

レッドロビン
‘レッドロビン’ okazaki hayato/Shutterstock.com

人気が高くてあまりにも有名になったために、「レッドロビン」の名前がカナメモチの代名詞にもなっているようですが、この「レッドロビン」は植物名ではなく、園芸品種名です。‘レッドロビン’はカナメモチと近縁種のオオカナメモチを掛け合わせて作出された、フイゼリ種の一つ。‘レッドロビン’はカナメモチよりも葉が大きくて萌芽力も強く、新芽の赤もより濃く発色する特性があります。

カナメモチの育て方は?

ここまで、カナメモチの基本情報や特性などについてご紹介してきました。ここからはガーデニングの実践編として、カナメモチの育て方について、詳しく解説します。

栽培環境

カナメモチ
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カナメモチの栽培には、日当たり、風通しのよい場所が最適です。半日陰の場所でも生育しますが、新緑が出る時期の赤い芽の発色が悪くなるようです。また、水はけ、水もちがよく、腐植質に富んだふかふかとした土壌を好みます。

カナメモチの栽培適地は東北南部以西で、やや寒さに弱い性質。雪がよく降る寒冷地での栽培には向いていません。一方、暑さには強い性質を持っています。

用土

土
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【地植え】

植え付けの2〜3週間前に、直径、深さともに50cm程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。粘土質などの水はけの悪い土壌であれば、腐葉土や堆肥を多めにすき込んで土壌改良し、土を盛って周囲よりも高くしておくとよいでしょう。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

樹木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。自身で配合土を作りたい場合は、赤玉土中粒、鹿沼土、腐葉土を等量ずつ用意し、よく混ぜ合わせたものを利用します。

植え付け・植え替え

カナメモチの植え付け・植え替えの適期は3月〜4月中旬、9月下旬〜10月中旬です。

【地植え】

土作りをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。

カナメモチは、一年を通して庭植えにしたままにして構いません。植え付けから数年がたってしっかりと根が張るまでに生育するとあまり移植を好まず、根回しが必要になるため、植え場所にはあらかじめよく吟味しておくとよいでしょう。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、入手した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。カナメモチの苗木をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢の中に入れて仮置きして高さを決めます。少しずつ土を入れて、植え付けていきましょう。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。カナメモチがしっかりと根づくまでは支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぎましょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりしてくるので、1〜2年に1度は植え替えましょう。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から木を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を整理して小さくし、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢を崩す程度にして植え替えてください。

水やり

水やり
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水やりの際は、木の幹や枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって木が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いてひどく乾燥する場合は水やりをして補いましょう。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。また、茎葉がややだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は生育が止まり、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。

肥料

肥料
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【地植え】

カナメモチを庭植えにした場合、肥料を与えるのに適したタイミングは、生育期に入る少し前の2月頃です。有機質肥料を株元から少し離れた周囲にまいて、クワかスコップで軽く耕して土に馴染ませましょう。

【鉢植え】

鉢栽培しているカナメモチには、3月頃に緩効性化成肥料を株の周囲にまきます。スコップで軽く表土を耕して土に馴染ませましょう。チッ素成分が多く含まれた肥料を与えると、新葉の発色が悪くなることがあるので、N-P-K(チッ素・リン酸・カリ)が等量に配合された肥料を選んでください。

剪定

剪定
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【生け垣】

カナメモチは萌芽力が強く、刈り込みに耐えるので生け垣に向く庭木です。

生け垣に仕立てる場合、剪定の適期は5月中旬〜6月中旬、8月下旬〜9月中旬とされています。しかし枝が伸びやすく樹形が乱れやすいので、一年を通し必要に応じて剪定してもかまいません。

メインは5月中旬〜6月中旬に行う剪定で、赤い新芽が成長とともに緑色に変わってきた頃に、乱れた樹形を整えます。長く伸びすぎている枝、込み合っている部分の枝、枯れ込んでいる枝を選んで切り取りましょう。生け垣が膨らみすぎているようであれば、刈り込みバサミで輪郭を刈り取って形を整えます。同様に、8月下旬〜9月中旬にも伸びた枝を剪定すると、10月半ばから新芽が吹き、冬も赤い葉を楽しむことができます。生け垣の形を美しくキープするには、樹形が乱れきった頃に一気に深く切り戻すことをせずに、頻繁に軽く切り戻しを重ねて行うのがポイントです。

【庭木】

カナメモチを生け垣とせずに自然樹形を楽しみたい場合は、透かし剪定を基本とします。剪定の適期は5月中旬〜6月中旬頃です。込んでいる部分があれば、内側に向かって伸びている枝や交差している枝、垂直に立ち上がっている枝、下へ向かって伸びている枝など、樹形を乱す枝を選んで間引いていきましょう。

増やし方

ガーデニング
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カナメモチは、挿し木で増やすことができます。挿し木とは、枝を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し木できないものもありますが、カナメモチは挿し木で増やすことができます。

カナメモチの挿し木の適期は、6月上旬〜7月中旬です。その年に伸びた新しい枝を10㎝ほどの長さで切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に3カ所の穴を開け、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて育苗し、大きく育ったら植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

注意すべき病害虫

カイガラムシ
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【病気】

カナメモチに発生しやすい病気は、褐斑病、うどんこ病などです。

褐斑病は、かびによる伝染性の病気です。主に葉に褐色またはくすんだ茶色の斑点が現れ、下葉から枯れ上がっていきます。雨が多い時期に発生しやすいのが特徴です。発症した葉を見つけたら、早々に切り取って処分し、周囲に蔓延するのを防ぎましょう。適用する薬剤を葉の表と裏に散布して、防除します。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、木が弱ってしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。

【害虫】

カナメモチに発生しやすい害虫は、アブラムシ、アザミウマ、カイガラムシなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目も悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

アザミウマは花や葉につき、吸汁する害虫です。スリップスの別名を持っています。体長は1〜2mmほどで大変小さく、緑や茶色、黒の姿をした昆虫で、群生して植物を弱らせるので注意しましょう。針のような器官を葉などに差し込んで吸汁する際にウイルスを媒介するので、二次被害が発生することもあります。被害が進んだ花や葉は傷がついてかすり状になって、異変が見られるのでよく観察してみてください。花がらや枯れ葉、雑草などに潜みやすいので、株まわりを清潔に保っておきます。土に混ぜるタイプの粒剤を利用して防除してもよいでしょう。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mmほど。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

カナメモチを上手に育てて美しい生け垣を作ろう

カナメモチ
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生命力旺盛で、手をかけずともよく育つカナメモチは、生け垣にもおすすめの庭木です。刈り込みに耐えるので、剪定の際も「どの枝を切るべき?」と悩む必要もありません。春に一斉に芽吹く赤い新芽、初夏の楚々とした白い花、秋につける小さな赤い実と、季節が移ろうとともに表情が変化するのも魅力です。ぜひ庭木として取り入れてはいかがでしょうか?

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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