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観葉植物として人気の高いサンセベリア! 育てるメリットと育て方

BearFotos/Shutterstock.com
観葉植物といえば、選択肢の一つとして必ず名前の挙がるサンセベリア。園芸店で見かけないことがないくらい人気の植物です。ではなぜ、それほどまでに人気なのでしょうか。本記事では、その理由と魅力、育て方のポイント、栽培初心者でも上手に育てる方法や品種なども解説します。
目次
サンセベリアとは

サンセベリアは、サンスベリアとも、また一般的な種はトラノオやチトセランなどと呼ばれて流通することもあります。そのほとんどの種が棒状、あるいは扁平状の細長い形をした葉を、ロゼット状に展開させます。種類によって、草丈10cm程度のコンパクトなものから1mを超すような大きなものまでさまざまです。また、広く流通している一般的な品種から稀少品種までたくさんの品種があり、園芸初心者からマニアックなコレクターまでを魅了している植物です。
サンセベリアの基本情報

多年草でリュウゼツラン(キジカクシ)科チトセラン属(サンセベリア属)に分類され、英名はSnakeplantといいます。原産地は熱帯アフリカ、南アフリカ、マダガスカル、南アジア、アラビアの乾燥地で、広く自生しています。開花期は8~10月。栽培環境が合うと、毎年白色の香りのよい花を咲かせ、成熟するとランナーを出して増殖します。最も一般的に流通しているサンセベリアはサンセベリア・トリファスキアタ(Sansevieria trifasciata)で、とても栽培しやすい入門種です。
サンセベリアの特徴

サンセベリア・トリファスキアタは斑入り種(ローレンティー)があり、葉に縞状の模様が入ることから虎模様を連想させます。そのため「虎の尾(トラノオ)」とも呼ばれます。種類によって葉の形や大きさが異なりますが、肉厚な葉を持ち、多肉植物として扱われることも。自生地の環境から、乾燥に強く、寒さに弱い性質です。また葉の寿命が長いことから長寿の験を担ぎ、千歳蘭(チトセラン)と呼ばれることもあります。
サンセベリアの人気品種

サンセベリアは原種だけでも60~70種ほどあり、品種を含めるととても多様なグループです。その中でも栽培管理がしやすく、人気のある品種について解説します。
ローレンティー(Sansevieria trifasciata ‘Laurentii’)

‘ローレンティー’はサンセベリアの代表選手と呼んでよいくらい、とてもポピュラーな品種です。一般的にサンセベリアと聞いてイメージするのは、この品種ではないでしょうか。‘ローレンティー’は前述の通り、サンセベリア・トリファスキアタの斑入り品種。幅広で肉厚の斑入り葉がとても美しく、耐陰性もあることから観葉植物として人気です。水切れに強く、頻繁な水やりが必要ないので育てやすい品種です。草丈は40cmほどになりますが、葉が縦方向に伸びるため、あまり場所を取りません。草丈が高くならないサンセベリア’ローレンティーコンパクタ’(Sansevieria trifasciata ‘Laurentii Compacta’)という品種もあり、こちらはよりコンパクトに育てることができます。
スタッキー

先端にいくに従って細くなる棒状の葉を付けます。よく園芸店でスタッキーとして売られているサンセベリアを見かけますが、それは商品名としてのスタッキーであり、実際は別種のサンセベリア・シリンドリカ(Sansevieria cylindrica)の葉挿しである場合が多いようです。丈夫で乾燥にも強く、とても育てやすいです。葉挿しのため新しい葉はなかなか出てきませんが、長期間栽培すると棒状の葉を扇形に広げた見事な株になります。ちなみに、サンセベリア・スタッキー(Sansevieria stuckyi)は市場にはなかなか出回りません。本物のスタッキーを育てたい場合は、よく確認してから購入するようにしましょう。
ゼラニカ

サンセベリア・ゼラニカ(Sansevieria zeylanica)は、サンセベリア・トリファスキアタとほぼ同種といわれています。幅広で肉厚の葉を多数出し、葉色が濃く、白い縞模様が入るのが特徴です。性質もトリファスキアタ同様に強健です。
可愛いだけじゃない!サンセベリアを育てるメリット

育てやすく、可愛いサンセベリア。観葉植物として置いてあるだけで、その部屋の雰囲気を変えてくれます。しかし、サンセベリアの魅力はそれだけではありません。この植物には空気の浄化作用があるのです。過去に行われた実験で、植物を密閉空間に入れ、ホルムアルデヒドなど有害な気体である揮発性有機化合物(VOC)に晒したところ、サンセベリアはほかの植物よりも多くの有害物質を吸収、分解するという結果が出たことがあります。そのため、サンセベリアは空気の浄化作用が高いといわれています。また、一般に観葉植物は二酸化炭素を吸収し、酸素を放出してくれることからも室内環境の改善が期待できるというメリットも。寝室などに置いておくと、気持ちもすっきりしてよく眠れるかもしれません。もっとも、実際のところ、空気清浄機並みの効果を出すためには、部屋の床いっぱいにサンセベリアの鉢植えを並べる必要があるようです。
サンセベリアの基本的な育て方

ローメンテナンスなサンセベリアですが、ポイントを押さえておくと、よりうまく育てることができます。ここでは、基本的な育て方について解説します。
日当たりのよい場所に置く

「耐陰性」という、日陰でも育つことができる性質が強いサンセベリアですが、自生地は強い日差しに晒された場所。本当は日差しが大好きです。ずっと暗い室内に置いておくと肉厚の葉がペラペラと薄くなり、自立できなくなってしまうこともあります。水やりの頻度を少なくし、乾燥気味に育てつつ、可能なときは明るい場所に移してあげましょう。春から秋にかけてなら外に出すのも一つの方法。ただ暗いところから外の直射日光にいきなり晒してしまうと、環境の変化に耐えられず葉やけを起こしてしまうので注意しましょう。
またサンセベリアは寒さに弱いので、最低気温が10℃を下回る時期は室内などに取り込むようにしましょう。
水やりは土が乾いてから行う

サンセベリアは、もともと乾燥した地域の植物。そのため、用土が常に湿っている環境は苦手です。根が長時間湿ったままだと傷むこともあるので、水やりは用土がしっかり乾いてからたっぷりとあげましょう。気温が高く盛んに生育している時期はあまり神経質になる必要はありませんが、生育が鈍る晩秋から早春は、用土がなかなか乾きません。水やりの頻度が高いと、根を傷める原因となります。寒い時期にはm極力、用土がしっかり乾いてから水やりするように心がけましょう。取り込んだ部屋の室温が15℃を下回る場合は水やりを控え、断水してしまってもかまいません。水やりをしないでいるとサンセベリアは休眠状態となり、耐寒性が増します。葉にしわがよってきて元気のない姿になりますが、暖かくなってから水やりを再開すると、また元気になりますよ。
生育期に肥料を与える

肥料は気温が18℃を超える春から秋に与えます。もともと荒れ地に育つ植物なので、多くの肥料は必要としません。春先に緩効性肥料を規定量より少なめに与えておく程度で十分です。早く大きくしたい場合などは、必要に応じて規定量より薄めの液体肥料を月に2回ほど与えると元気に育ちます。
2年に1度は植え替えをする

サンセベリアは葉が頻繁に生え変わるわけではないので、生育の遅い植物と感じることもありますが、土の中では盛んに地下茎を伸ばして子株を増やそうとしています。そのため、気付くと鉢土の中に地下茎が伸び放題になり、鉢がいっぱいになっていることも。こうした状態になると、生育が鈍くなったり、水切れしやすくなってくるので、1~2年おきに植え替えるのがおすすめです。植え替えの適期は5〜9月。そのまま育てるのであれば、鉢から根鉢を抜いたら、用土を1/4ほど落とし、1~2回り大きな鉢に植え替えましょう。このとき地下茎で切り分けて、小株は別株として育てることもできます。用土はサボテン・多肉植物用の土を使います。
初心者でも育てられる? サンセベリアにまつわる疑問を解消

育てやすいサンセベリアは園芸初心者にうってつけ。入門種としてぜひおすすめしたい植物です。とはいえ、初めての場合、育てられるか不安になることも多いと思います。ここでは、サンセベリアに関するよくある疑問について解説します。
サンセベリアは虫が発生しやすい?

サンセベリアの葉の表面は硬く、他の植物に比べるとあまり虫は発生しません。風通しの悪い場所に置いておくと、まれにカイガラムシが付くことがあり、また有機質の用土を使っているとコバエが発生することがあります。その場合は、スプレー式の専用薬剤を使えば簡単に駆除できます。
観葉植物を枯らしてしまうことが多くても育てられる?

観葉植物を枯らす原因の一つに、冬期の水の与えすぎがあげられます。生育期と同じように与えてしまうと、成長が緩慢になった根の部分が水をうまく吸い上げられず、溺れたようになってしまって枯死し、根腐れを起こします。そのため10℃以下になったら室内管理をし、水やりは用土が完全に乾いたあと、日中の暖かいときに与えましょう。心配であれば断水するのも一つの手です。また、エアコンの風が当たるところに置いて枯らしてしまうという失敗もよく見受けられます。エアコンの風は、葉を乾かしすぎて弱らせてしまったり、病害虫被害にあいやすくなったりするので、風が当たらない場所で管理しましょう。サンセベリアは乾燥に強い植物なので、ほかの多くの観葉植物に比べ、水切れで枯らしてしまうことはあまりありません。
留守中の暑さや寒さは大丈夫?

乾燥に強い植物なので、留守中の水やりの心配はほとんどありません。留守にする場合、一番の心配は、夏場の蒸れによる枯死です。閉め切った室内の窓際などはかなり高温になるため、直射日光の当たらない場所に移すなどして対応しましょう。
空気清浄効果のあるサンセベリアで快適に暮らそう

初心者でも育てやすい観葉植物で室内のインテリアとしての彩りもよく、空気清浄効果も期待できるサンセベリア。ローレンティーなど入門種を育てるもよし、他にもさまざまな種、品種があるので、コレクションしても楽しめます。お気に入りの植物に囲まれていると、それだけで快適な暮らしができます。ぜひ取り入れてみてくださいね。
Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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