可愛い花姿で人気の高いイベリス! 育て方のコツを基本から解説
皆さまは、イベリスという植物をご存じですか? こんもりとした形の花房が非常に可愛らしいイベリスは株も小ぶりで、寄せ植えや花壇の彩りに活躍してくれます。この記事では、そんなイベリスの特徴や育て方のポイントについて詳しくご紹介します。
目次
イベリスとは?
イベリスは可愛い小花がたくさん集まって丸みのある花房を作ります。花弁は4枚で、外側の2枚が大きくなるという特徴があります。
名前の由来は、スペインの昔の国名であるイベリアから。また花が太陽を向く性質を持つことから、中国では屈曲花と呼ばれています。さらにイベリスの花には甘い香りがあり、キャンディタフトという英語名もあります。
栽培難度は低く、初心者の方にも育てやすい植物です。
イベリスの基本データを紹介
イベリスはアブラナ科イベリス属に分類される植物で、一年草のものと多年草のものがあります。
花色は白や赤、ピンク、紫があり、開花時期は4~6月です。耐寒性・耐暑性ともに高い植物ですが、多湿に弱く、多年生のものでも夏に枯れることがあります。草丈は20~60cmとコンパクトです。
イベリスの種類をご紹介
イベリス属の仲間は約50種類あり、その中のいくつかの品種が園芸用として栽培されています。
ここでは、代表的な品種についてご紹介します。
イベリス・アマラ(Iberis amara)
イベリス・オドラータ(Iberis odorata)
ギリシャや西南アジア原産で、やや小さめの白い花を咲かせる種です。
学名のodorataは「芳香のある」という意味で、アマラよりも強い香りがあり、ニオイナズナという和名があります。
イベリス・ウンベラータ (Iberis umbellata)
ウンベラータは、ピンクや紫、藤色など、さまざまな花色を持つ種です。
カラフルな品種が作られており、草丈が60cmほどになるものもあります。
イタリアやスペインが原産です。
センペルビレンス
センペルビレンスは多年草のイベリスで、国内では主に「宿根イベリス」の名前で流通しています。
白い花が多いですが、中にはピンクや淡い藤色の花をつけるものもあります。
草丈は20~30cmで、こんもりとまとまって咲くのが特徴です。
主に南ヨーロッパに分布しています。
‘スノーボール’や‘スノーフレーク’、‘ホワイトアウト’などの品種がよく流通しています。
イベリスの育て方のポイント
ここからはイベリスの育て方について、押さえるべきポイントを解説していきます。
栽培環境・日当たり
イベリスは日当たりと風通しのよい場所を好みます。夏の高温多湿に弱いため、鉢植えの場合、夏場は強い日差しを避けて涼しい場所に移動させて管理しましょう。
一年草のイベリスを寒冷地で育てる場合は、防寒対策が必要です。多年草は寒さに強く、寒冷地でも越冬できます。ただし秋に種を播いた場合、まだ苗が小さなうちは霜の降りない場所で管理する必要があります。高温多湿に弱いので、レイズドベッドなどを作って高植えにしたり、斜面に植えたりと、水はけがよくなるように工夫しましょう。
水やり
地植えの場合は、自然の降雨のみで育ちます。
鉢植えの場合、春と秋の生長期には土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるようにしましょう。多湿は根腐れする可能性があるので、特に夏場などは水やりのしすぎに注意します。
肥料
多年草のイベリスの場合は、春と秋に緩効性化成肥料を与えます。春の肥料は6月以降には肥料分が残らないようにするのがポイント。肥料の施しすぎに注意してください。
秋まきの一年草の場合は、冬までにしっかりと育てるために、本葉が開く頃から薄めた液体肥料を月に数回与えるとよいでしょう。
土壌
イベリスは水はけのよい土を好みます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土に鹿沼土や軽石を混ぜて水はけをよくします。小粒の赤玉土と腐葉土を6:4で混ぜて作るのもおすすめです。その場合は元肥として緩効性化成肥料も混ぜておきます。
地植えの場合は土に腐葉土をすき込み、1㎡あたり10ℓほどの軽石を混ぜ込むなどして水はけをよくし、緩効性肥料も混ぜておくようにします。
多年草のイベリスを植える際は、山野草培養土など特に水はけのよい土を用意しましょう。
レンガなどで囲って花壇やレイズドベッドにしたり、傾斜地に植えるなど、水はけをよくする工夫をするのもおすすめです。
植え付け・植え替え
植え付けの適期は3~4月、または10~11月です。ポット苗を花壇や鉢に植え付けます。
一年草は花後に枯れるので、枯れたら他の植物と入れ替えましょう。
多年草のイベリスは鉢植えで根詰まりを起こしている場合、一回り大きな鉢に植え替えます。植え替えの適期は、花後か10~11月です。地植えの場合は、基本的に植え替えの必要はありません。
増やし方
一年草は「種まき」、多年草は「種まき」「株分け」「挿し木」で増やすことができます。
種まきは、花後に実が熟したら種をとり、乾燥させてから冷蔵庫などで保管します。秋にポットなどに播き、軽く土で覆います。発芽後には間引いて育てます。大きくなったら花壇や鉢に植え付けましょう。直まきして育てることもできます。
多年草の挿し木では、適期は5月か10月です。葉が2〜3枚ついた茎を5cm程度に切り取って葉を取り除き、水揚げした後、挿し木用の土に植えて育てます。根が出たら定植しましょう。
多年草は株分けもできます。根を傷つけないよう丁寧に株を分けて植え付けます。花後すぐか、9月下旬以降に涼しくなってから行いましょう。
病害虫
イベリスのかかりやすい病気や害虫について、代表的なものは次の通りです。
病気では、特に灰色かび病に注意しましょう。多湿の環境で発生しやすいので、日当たりや風通し、水はけをよくして予防します。
害虫の中では、アブラムシやコナガ、アオムシなどがつきやすいです。いずれも見つけ次第駆除しましょう。株元に浸透移行性の薬剤をまいておくのも有効です。浸透移行性の薬剤は、水に溶けて根から吸い上げられ、食害したときに効果を発揮します。
花がら摘み・切り戻し
花がしぼんできたら花首の下で切り取ります。切らずにそのままにしておくと種を作るのに体力を消耗してしまいます。花がらを摘み取ることで、次の花が咲きやすくなります。
多年草のイベリスの場合は、花が終わった頃にばっさりと切り戻しをします。刈り込まないと蒸れやすくなり、病気などのリスクが高まります。
イベリスの花が咲かない原因
イベリスは肥料が多すぎると茎ばかりがひょろひょろと伸び、花が咲きにくくなってしまうことがあります。肥料は与えすぎず適量を守ることが大切です。
また、日当たりが悪い時も花付きが悪くなります。鉢植えの場合は日当たりのよい場所に移動し、地植えの場合は日当たりのよい場所を選んで植え付けましょう。
多湿も花が咲きづらくなる原因です。風通しをよくし、水をやりすぎないようにします。
イベリスの可愛い姿と甘い香りを楽しもう
イベリスは初心者の方にも育てやすく、香りのよいたくさんの花がとても魅力的な植物です。
寄せ植えや花壇の彩りに取り入れて、ぜひ自宅でその可愛らしい姿を身近に楽しんでみませんか?
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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