寒い季節に鮮やかな実をつけるセンリョウは、古くから縁起植物として知られ、お正月飾りに用いられてきました。センリョウは小ぶりで育てやすく、半日陰を好むので、シェードガーデンにおすすめの庭木です。この記事では特徴や育て方、なぜ縁起がよいとされているかなどについて、幅広くご紹介していきます。

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センリョウとはどんな植物か

日本では昔から冬を彩る庭木として親しまれてきたセンリョウは、どんな植物なのでしょうか。ここではその特徴についてご案内します。

センリョウの原産地

センリョウ
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センリョウの原産地は、日本、朝鮮半島、中国、マレーシアなど、東アジアの温暖な地域です。したがって、暑さには強いものの、寒さには弱い性質を持っています。地植えにするなら関東以西がよく、寒さが厳しい地域では鉢植えにして、冬は暖かい場所に移動して管理するとよいでしょう。低木で、落葉樹や常緑樹の足元などの林床地に自生してきた植物のため、直射日光が差す日向は苦手。チラチラと木漏れ日が差すような半日陰の環境を好みます。

センリョウの特徴

センリョウ
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センリョウは、センリョウ科センリョウ属の低木で、樹高は70〜100cm。「株立ち」の樹形で、地際から細い枝をたくさん立ち上げて生育します。常緑樹で、葉を落とさずにみずみずしいグリーンを保つので、冬でも寂しくなりません。また、冬に赤い実をたくさんつけて、明るい雰囲気をもたらしてくれます。

センリョウの開花・観賞時期

センリョウの花
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センリョウの開花期は6月頃で、頂部に小さな白い花がつきます。そうはいっても花はほぼ目立つことはなく、観賞価値はむしろ実のほうにあります。実の観賞期は10〜2月で、直径5mmほどの小さくて丸い実が葉の頂部にまとまってつきます。艶やかな葉のグリーンとのコントラストも美しく、大変可愛らしい実姿です。実色には赤のほか、黄色、オレンジ、白などがあります。

センリョウが縁起物とされる理由

センリョウは、お正月に床の間などに飾られる縁起植物として親しまれてきました。昔からの風習として、当たり前のように受け継がれていますが、どうしてセンリョウが縁起植物になったのかをご紹介します。

センリョウの名前の由来

センリョウ
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センリョウは、元々「仙蓼」という漢字でしたが、江戸時代になって「千両」へと変化しました。語呂合わせもあるのでしょうが、「両」は昔のお金の単位で、大金や富をイメージさせることから、名前に縁起をかついでめでたいものとし、重宝されるようになったのです。同じように赤い実をつける「マンリョウ」に比べ、実つきがやや少なめなので、「千両」という位置づけになったようです。

センリョウの花言葉

センリョウ
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センリョウの花言葉は、「利益」「祝福」「富」「財産」「恵まれた才能」「可憐」などがあります。冬も葉を落とさず常緑であり、また寒い時期にもかかわらず豊かに実りををもたらすことから、子孫繁栄や富、才覚をイメージさせる言葉が与えられたのでしょう。

センリョウの種類

センリョウ
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センリョウは縁起植物として昔から愛されてきただけに、意外にバラエティーに富んでいます。ここでは、センリョウの種類についてご紹介します。

キミノセンリョウ

キミノセンリョウは漢字で書くと「黄実千両」。文字通り黄色い実をつけ、赤い実よりも明るい雰囲気をもたらします。また黄色は金をイメージさせるため、金運につながる縁起のよい実色として好まれているようです。

ムラサキセンリョウ

漢字では「紫千両」と書き、別名「黒葉千両(クロバセンリョウ)」「烏葉千両(カラスバセンリョウ)」があるように、葉がブロンズカラーになる種類で、シックな雰囲気をもっています。実は赤色です。品種では‘ダークショコラ’が出回っています。

斑入りセンリョウ

葉に白やクリーム色の斑が入る種類で、実は赤。斑が入ることで、庭をより明るく彩ってくれます。

センリョウに名前が似ている植物

お金の名前を持つ植物は、千両(センリョウ)以外に、万両(マンリョウ)、百両(カラタチバナ)、十両(ヤブコウジ)、一両(アリドオシ)があります。江戸時代、寛政年間の園芸ブームにより、斑入り葉や変わり葉は高い値段で売買され、お金を生む木として「金生樹」と呼ばれました。諸説ありますが、「百両」「十両」は取引値段が由来といわれています。お正月の飾り物として「千両、万両、有り通し」の語呂合わせで寄せ植えなどを作り、お金に恵まれる一年を願ったそうですよ!

マンリョウ

マンリョウ
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別名はハナタチバナ。常緑低木で樹高は30〜80cm。実の観賞期間は11〜2月。実は葉の下につくのでセンリョウと見分けがつきます。実の色は赤のほかにピンク、黄色、白があります。赤と白の実を用いて紅白で飾っても縁起がいいですね。葉の斑入り種も多く出回っています。

ジュウリョウ

ヤブコウジ
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別名はヤブコウジ。常緑低木で樹高は10〜20cm。実の観賞期間は10〜2月。実の色は赤、白があります。斑入り葉が多種多様に揃い、60種ほどがあることからも江戸時代の園芸熱がいかほどだったかがうかがえますね。

イチリョウ

アリドオシ

別名はアリドオシ。枝に1〜2cmほどの鋭いトゲを持ち、「蟻を刺し通すようだ」として「蟻通し」という名前がつきました。常緑低木で樹高は30〜60cm。実の観賞期間は11〜2月。実の色は赤で、斑入り葉が少々あります。

センリョウを上手に育てるコツ

センリョウは、主に東アジアを中心に自生してきた植物で、環境に馴染みやすく育てやすい植物です。ここでは、センリョウの栽培のポイントについて解説していきます。

センリョウが好む環境

センリョウ
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センリョウの栽培は、明るい日陰が最適です。なぜなら、もともと落葉樹や常緑樹の足元などに自生してきた植物で、チラチラと木漏れ日が差す程度の林床地を好むからです。強い直射日光が当たる場所や、夏に西日が差し込んで暑い場所などは苦手で、葉焼けしたり、枝が枯れ込んだりと生育が悪くなりがち。あまり日当たりのよくないシェードガーデンで重宝する植物です。かといって極端に暗い日陰では、実つきが悪くなってしまいます。

また、センリョウは温暖な地域が原産地なので、暑さには強い一方で、寒さに弱い性質をもっています。栽培適地は関東地方以西で、植え付ける際は、冬に寒風が吹きつけないような場所を選びましょう。寒さが厳しい地域では、最初から鉢栽培にするか、冬前に地植えから鉢上げして移動し、凍結の心配がない暖かい場所で管理してください。

センリョウは適度に水はけ、水もちのよい、ふかふかとして腐植質に富んだ土壌を好みます。乾燥するのが苦手なので、乾きやすい砂質土などでは、植え付け前に有機質資材を投入して土壌改良しておくとよいでしょう。

植え付けの時期と方法

ガーデニング
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センリョウの植え付け適期は4〜5月です。これ以外の時期にも、花苗店などでは苗木が流通しているので、入手したら早めに植えたい場所に定植してください。お正月用に鉢物として入手した場合には、ひと通り観賞を楽しんでから適期の4〜5月に植え替えるとよいでしょう。

【地植え】

植え付けの2〜3週間前に直径、深さともに50cm程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。粘土質などの水はけの悪い土壌であれば、腐葉土や堆肥を多めにすき込んで土壌改良し、土を盛って周囲よりも高くしておくとよいでしょう。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

あらかじめ土作りをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。

【鉢植え】

用土は、樹木用にブレンドされた市販の培養土を利用すると手軽です。

鉢で栽培する場合は、8〜10号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢の中に入れて仮置きして高さを決めます。少しずつ土を入れて、植え付けていきましょう。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2~3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。センリョウがしっかりと根づくまでは支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぎきましょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。

鉢植えで楽しんでいる場合、センリョウは成長とともに根詰まりしてくるので、2年に1度は植え替えることが大切です。植え替えの適期は、4〜5月。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から木を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくして、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢を崩す程度にして植え替えてください。

水やり

水やり
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水やりの際は、木の幹や枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって木が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は地中から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いてひどく乾燥する場合は水やりをして補いましょう。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。センリョウは乾燥を嫌うので、水切れには注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。また、茎葉がややだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は生育が止まり、表土も乾きにくくなるので株の状態を見ながら控えめに与えるとよいでしょう。

肥料の与え方

肥料
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センリョウに肥料を与えるのに適したタイミングは、2月頃です。

【地植え・鉢植えともに】

センリョウはあまり多肥を好まない性質です。与えすぎると樹勢のバランスが崩れて枝葉ばかりが勢いよく伸びて、花や実がつかなくなることもあります。あまり生育に勢いがないようであれば、適期に緩効性化成肥料を与え、様子をみてください。

剪定のタイミングと注意点

剪定
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センリョウの剪定適期は12〜3月です。

センリョウは、根本から多くの枝が立ち上がる、株立ち状の樹形をしています。込み合っている部分や、枯れ枝を地際から切り取る「すかし剪定」が基本。2年以上経った古い枝や細い枝には実がつかなくなるので、それらを優先して切り取ります。実がついている枝葉は、翌年には実がつかないので、切り取ってお正月などの飾りに利用するとよいでしょう。寒い時期に株の半分以上も切り取ると、株が弱ってしまうので、込み合っている部分をすかすのみの弱剪定を心がけてください。

発生しやすい病害虫

カイガラムシ
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【病気】

センリョウは特に病気の心配はない植物ですが、まれに立枯病が発生することがあります。

立枯病は、地際からカビの一種の病原菌が入り、まず根から被害が進む病気です。根から水を吸い上げる力が弱くなり、地上部へ水や養分が送られなくなって下葉から枯れ始めます。やがて株全体が枯れ込んでしまうので注意が必要です。立枯病が発生したら株を抜き取り、周囲に病気が蔓延しないように土ごと処分するとよいでしょう。

【害虫】

センリョウは特に害虫の心配はない植物ですが、まれにカイガラムシが発生することがあります。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫です。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせて行きます。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

センリョウの増やし方

センリョウを種から育てる方法

ガーデニング
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センリョウの実がついたら種を採取し、その種をまいて増やすことができます。熟した果実から種を取り出し、乾燥したら発芽しなくなるのですぐに植え付けます。黒ポットに新しい培養土を入れて十分に水で湿らせます。センリョウの種をまき、薄く土をかけて明るい日陰で管理。発芽後、本葉が3〜4枚ついたら勢いのある苗を1本のみ残し、ほかは間引いて育苗します。根が回るくらいに成長したら、植えたい場所に定植しましょう。

センリョウを挿し木や株分けで増やす方法

植え付け
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【挿し木】

挿し木とは、枝を切り取って地面に挿しておくと発根し、生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し木できないものもありますが、センリョウは挿し木で増やすことができます。

センリョウの挿し木の適期は、5〜6月です。その年にのびた新しい枝を2〜3節つけた長さで切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために先端の葉を3〜4枚残して下葉を取ります。残した葉も縁から3分の1ほど切り取って蒸散する面積を小さくしておきましょう。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に3カ所の穴を開け、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。明るい半日陰に置いて管理し、大きく育ったら植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

【株分け】

センリョウの株分け適期は4〜5月頃。株を掘り上げると、地下茎を増やしてそこから出る芽も増えていることがわかります。ハサミで地下茎を数芽つけて切り分け、再び植え直しましょう。大株に育って窮屈そうになっていたら、掘り上げて株分けすることで、株の若返りにつながります。

縁起木のセンリョウは育てやすく初心者にもおすすめ

センリョウ
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センリョウは、お正月飾りに欠かせない植物として、日本では昔から馴染み深い植物です。みずみずしいエバーグリーンを保ち、10~2月にかけて実がついて彩りをもたらすので、冬の庭を彩る植物としても人気があります。日本に自生してきた植物で、放任しても育てやすいので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

参考文献/
上条祐一郎『切るナビ! 庭木の剪定がわかる本』NHK出版 (2017年第17刷)
『趣味の園芸』2006年12月号NHK出版

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