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洋ランなのに寒さに強い? 初心者でも「2カ月咲かせ続ける」シンビジウムの育て方

洋ランなのに寒さに強い? 初心者でも「2カ月咲かせ続ける」シンビジウムの育て方

travelershigh/Shutterstock.com

シンビジウムという花をご存じでしょうか? ランの仲間で冬期、園芸店で見かけることも多いと思います。花が豪華で開花期が長いことから、胡蝶蘭(コチョウラン)と同様に贈答用としても人気があります。そんなシンビジウムは綺麗なだけでなく、育てやすい植物でもあります。本記事では、シンビジウムの特徴から育て方までご紹介したいと思います。

シンビジウムの基本情報

シンビジウム
nnattalli/Shutterstock.com

植物名:シンビジウム(シンビジューム)
学名:Cymbidium
英名:Cymbidium、Orchid、boat orchid
和名:霓裳蘭(ゲイショウラン)
その他の名前:シンビデューム、ラン
科名:ラン科
属名:シンビジウム属(シュンラン属)
原産地:アジア、オセアニア
形態:多年草

シンビジウム(Cymbidium)は、おもに東アジアから東南アジアに自生するラン科の植物で、日本に出回っているものは、それらの原種を交配し、品種改良したものです。大きく豪華な花を持つシンビジウムですが、近年はコンパクトで場所を取らない「テーブルシンビ」や、中国や日本に自生しているシュンランなどの清楚なタイプのシンビジウムと交配した「和蘭」の人気も高まっています。これらシンビジウムの自生地は冷涼な地域が多いため、ラン科の中では耐寒性が高いという特徴があります。

シンビジウムの歴史

花壇
motive56/Shutterstock.com

海外のシンビジウムが日本に入ってきた歴史は古く、1859年にトーマス・グラバーによって上海経由で持ち込まれたとされています。そのとき入ってきたのがシンビジウム・トラキアナム(Cymbidium tracyanum)で、日本で最初に持ち込まれた洋ランだといわれています。当時の株はその後も株分けなどで増えて今も残り、「グラバーさん」という愛称で栽培されています。シンビジウムは胡蝶蘭とともに、細胞培養による増殖方法であるメリクロン技術が確立されて同一の性質を持つ株が大量に生産できるようになると、鉢花として一気に人気が出て親しまれるようになりました。

シンビジウムの花や葉の特徴

シンビジウム
Nerssesyan/Shutterstock.com

園芸分類:ラン
開花時期:12〜4月
草丈:30〜80cm
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
花色:イエロー、白、赤、ピンク、オレンジ、緑、茶

シンビジウムの葉の根元には、バルブと呼ばれる膨らんだ部分があります。そのバルブには、株の生育や開花に必要な栄養を蓄えることができ、状況が整うとバルブの横から花茎を伸ばして開花します。花は花弁・唇弁・ずい柱で構成されています。花弁は上側に3枚と下側に2枚、それらが重なる真ん中は唇弁とずい柱があります。唇弁は花弁が変化したもので、ずい柱は雄しべと雌しべが一緒になったものです。

開花期は年に1度、12月~翌年4月の間に、1つの花茎に多いときは10個以上の花を付けます。栽培に適した環境であれば2カ月程度咲き続けるという花もちのよさも特徴です。

シンビジウムの葉は厚みがあって艶があり、細長い形状が特徴です。品種によって、直立するものや、垂れるものなどがあります。

ピンク色の花びらがふっくらと咲くシンビジウムの接写。nnattalli/Shutterstock.com

シンビジウムの名前の由来や花言葉

シンビジウム
smspsy/Shutterstock.com

シンビジウム(Cymbidium)の花名は、ギリシア語で「船の形」を意味する「cymbe(舟)」、「eidos(形)」が由来とされています。唇上の花びらが船の形に似ていることからこの名が付いたようです。

シンビジウム全般の花言葉は「飾らない心」「素朴」「高貴な美人」「華やかな恋」など。ラン科の中でも柔らかな色合いの多いシンビジウムならではのものばかりですね。

シンビジウムはお祝い花におすすめ

シンビジウム
Shan 16899/Shutterstock.com

シンビジウムは豪華さと優雅さを兼ね備えた、見栄えのするランです。開花時期が長く、花持ちも良いうえに、他の洋ランに比べて耐寒性も強いため、鉢植えは冬のお祝いや贈り物に最適です。また、ランの中では比較的手入れが簡単なので、園芸初心者にも育てやすい室内栽培可能な植物です。

さらに、ランは風水で邪気除けの効果があるとされています。シンビジウムもランの一種なので、同様の効果が期待できるでしょう。風水では、色や置き場所の方角によって、期待できる効果が異なります。例えば、白いシンビジウムは北東に置くと不動産運アップ、ピンクは南東に置くと結婚運や恋愛運アップ、黄色は西に置くと金運アップが期待できます。

シンビジウムの種類

シンビジウム
SKY Stock/Shutterstock.com

シンビジウムはヒマラヤからインドネシアやボルネオ、さらにオーストラリア大陸までの広い地域に約60~70種類が分布しています。花の大きさから、大きく3種類に分けられます。

●大型種

花の大きさが10cm以上で、葉の長さが100cm以上の種類をいいます。インド原産のシンビジウムから作られたもので、華やかなシンビジウムの特徴がよく出ていますが、その大きさゆえ、支柱を立てないと花茎が折れてしまう心配があります。

●中型種

大型種に小型種を掛け合わせたもので、ちょうど中間のサイズの種類をいいます。ほどよく豪華で大きくなりすぎないことから人気があり、品種数も多く流通しています。「キャスケードタイプ」という枝垂れるタイプもあります。

●小型種

花の大きさが5~6cmで、葉も短い種類をいいます。大型種にシュンランなどの小さな種類を掛け合わせて作られています。テーブルシンビの名で流通しています。大型種のような華やかさを持ちながら、手入れのしやすいサイズ感が人気となっています。

代表的な品種

サラジーン’アイスキャスケード’
サラジーン’アイスキャスケード’ PAUL ATKINSON/Shutterstock.com

シンビジウムは品種改良により、3,000種以上の品種があるうえに、毎年新たな品種が生まれています。代表的な品種とその特徴などを簡単にご紹介します。

「プリンセスマサコ」は、皇后雅子さまにちなんで作出された、白が基調の花びらに仄かに色づくピンク色が上品な印象の品種です。

「サラジーン’アイスキャスケード’」は、花が垂れ下がる下垂性の品種です。可憐な白花を枝元から鈴なりに咲かせ、華やかな雰囲気があります。

和蘭‘丹頂’
ニュータイプのシンビジウム和蘭‘丹頂’。

「森の精」は、小型で可憐な花が可愛らしいテーブルシンビです。「花あかり」「のぞみ」「うらら」など、さまざまな品種があります。花立ちがよく、育てやすいのが特徴です。

「和蘭」は、シンビジウムと東洋蘭を交配して誕生した、ニュータイプのシンビジウムです。東洋蘭の清楚さと、西洋蘭の華やかさを併せ持ち、独特の雰囲気があります。「夕霧」「おぼろ月」「丹頂」などの品種があり、いずれも個性的な佇まいです。

代表的な洋ランの仲間

シンビジウムとともに、代表的な洋蘭の種類として、カトレア、オンシジウム、デンドロビウム、コチョウラン(胡蝶蘭)があります。それぞれの特徴を簡単に紹介します。

カトレア

カトレア
kwanchai.c/Shutterstock.com

 
中南米原産。花の色が鮮やかで、香りもよい種が多いことから、「洋蘭の女王」といわれています。

オンシジウム

オンシジウム
Emmy Liana Dewi/Shutterstock.com

中南米原産。黄色い小さな花を多数咲かせるのが特徴で、ピンクや赤色の花を付ける種類もあります。

デンドロビウム

デンドロビウム・ノビル系
デンドロビウム・ノビル系 Flower Studio/Shutterstock.com

東南アジア原産。太い茎にたくさんの可憐な花を付けます。比較的丈夫で育てやすいので初心者向けです。デンドロビウムには、胡蝶蘭に似たデンファレ系、寒さに強いノビル系、強肩なキンギアナム系、フォーモサム系、下垂タイプ、カリスタ系、クールタイプなどさまざまな種類に分かれます。

コチョウラン

胡蝶蘭
Sornram Yamtanom/Shutterstock.com

東南アジア原産。1本の花茎に大輪の花が連なるように咲き、豪華で気品のある姿と花もちのよさから、贈り物や開店祝いとして人気があります。

シンビジウムの12カ月栽培カレンダー

シンビジウム
Nadya So/Shutterstock.com

開花時期:12~4月
植え付け・植え替え:3〜4月
肥料:4〜9月

シンビジウムの栽培環境

シンビジウム
photoPOU/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】

日当たりのよい場所を好みますが、5~9月は日差しが強すぎるため、葉焼けを起こす可能性があります。日陰の風通しのよい場所に移すか、遮光ネットなどをかけて直射日光が当たらないように管理しましょう。

【日当たり/屋内】

日当たりのよい窓際がおすすめですが、日差しが強いときはカーテンを引き、直射日光が当たらないようにしましょう。

【置き場所】

真冬以外は屋外での栽培がおすすめです。長く日光が当たる場所に置き、日差しが強くなってきたら遮光ネットを使うなどの対処が必要です。

耐寒性・耐暑性      

シンビジウムは耐暑性は強いものの、耐寒性はやや弱い植物です。屋外で栽培している場合、気温が7度を下回る時期は室内に移しましょう。また、日当たりを好むものの、強い日差しは葉焼けの原因になるので、夏の直射日光は避けましょう。

シンビジウムの育て方

用土

バークチップ
OLHA TOLSTA/Shutterstock.com

鹿沼土や赤玉土などはシンビジウムにとって保水性が高すぎ、根腐れしやすいので控えましょう。バーク単体や、軽石とバークを混合したもの、あるいは日向土とパーライトを混合したものが適しています。また、洋ラン専用に配合された培養土も販売されているので、配合の割合が分からない場合は、手軽な市販品もおすすめです。

水やり

水やり
VidEst/Shutterstock.com

屋外で管理している場合は鉢内の乾きも早いため、1~2日に1回はしっかりと水やりをしましょう。屋内や冬季は土の乾きを見て、鉢が軽くなったと感じたら水やりを。

肥料

肥料は成長期の4~9月くらいまでは置き肥に加え、2週間に1回を目安に液肥を与えましょう。

注意する病害虫

肥料
Tonhom1009/Shutterstock.com

屋外管理の際は、夏の蒸れと長雨などの影響で「軟腐病」になることがあります。予防のためにも、軒下など直接雨が当たらない場所で管理しましょう。またカビやウイルスなどの影響で、葉が斑点状に黒くなったり、枯れ落ちたりする場合があります。殺菌剤などをこまめに利用し、予防しましょう。屋外や風通しの悪い場所では、ハダニやアブラムシ、ナメクジなどが発生することがあります。予防として、置き型の忌避剤を利用するか、こまめに葉水を行いましょう。もし発生してしまったら早めの対応が一番です。必要に応じて殺虫剤などを活用しましょう。

シンビジウムの詳しい育て方

苗の選び方

苗を選ぶ際は、株元のバルブが太く、葉色が濃い苗がおすすめです。ギフト用には、花がたくさん付いていて、開花が7割ほどの状態のものを選ぶと良いでしょう。

植え付け・植え替え

シンビジウム
Grayson Schmidt/Shutterstock.com

用意する鉢は、株の大きさにもよりますが、5号鉢から8号鉢程度にしましょう。また縦に根が張るので、深さのある蘭鉢が適しています。鉢底石を2cmほど敷き、その上に水はけのよい洋ラン用の用土を入れてシンビジウムを植え付けていきます。その際、枯れた根や黒くなっている根は殺菌したハサミなどで取り除きます。シンビジウムの根は太いので、植え付けの際は鉢を叩いたり、割り箸などを使ったりして、根と根の隙間にもしっかりと用土が詰まるようにしましょう。

シンビジウムは活発に根が生育するため、2~3年に1度は1回り大きな鉢に植え替えるようにしましょう。植え替え適期は3~4月です。植え替え後はたっぷり水を与え、2週間程度は日陰に置くようにしましょう。

日常のお手入れ

シンビジウム
Siberian_photo/Shutterstock.com

シンビジウムはバルブが充実すると、いくつもの脇芽(新芽)を形成します。放っておくと養分が分散して花芽がつかない場合がありますので、生育のよい新芽を1~2本残し、他はすべて取り除きます(芽かき作業)。

花芽が伸びてきたら、柔らかいうちに花茎をまっすぐ伸ばすために支柱を立てます。最初から強引に支柱に沿わせようとすると茎が折れる恐れがあるので、茎の様子を見ながら徐々に支柱に近づけるように誘引しましょう。

増やし方

シンビジウムは株分けで増やすことができます。バルブや新芽が増えてきたら、春の植え替え時期に株分けをします。バルブ3つで1株を目安に、ナイフやはさみで切り分けて植え付けます。このとき、中身がスカスカのバルブは株分けに適さないので、外しましょう。

シンビジウムのよくある栽培Q&A            

シンビジウムをもらったら?       

シンビジウムの花は長もちするので、2カ月ほど楽しむことができます。ただし、翌年以降も花を楽しみたいのであれば、満開後1カ月程度で花茎を根元から切り取りましょう。花に養分を取られすぎて株が弱るのを避けるためです。切り取った花は切り花として楽しめます。あとは、ここまで紹介してきた方法で管理すれば、翌年以降も長く楽しめるでしょう。

伸びてしまったシンビジウムの葉は切ってもいい?

シンビジウムの葉は日照不足によって、薄く細長く伸びてしまいます。そうなった場合でも、葉は切らないようにしましょう。明るい環境に移し、しっかりした葉を出させて、細長い葉が自然に落ちるのを待ちましょう。 11-3 根詰まりしている株は植え替えが必要?

根詰まりしている株は植え替えが必要?

シンビジウム
ChungNguyen16/Shutterstock.com

シンビジウムはやや根詰まり気味のほうが、花がよく咲きます。鉢から溢れそうなほど根詰まりしている場合は植え替えが必要ですが、夏の花芽形成時期は根が詰まっているくらいがベストです。根に余裕があると、葉ばかりが伸びてしまい花が咲きにくくなるので、植え替えの鉢はあまり大きすぎず、1回り大きいくらいの鉢を選びましょう。

シンビジウムは外に出してもよい?       

シンビジウムは日光を好むため、春から秋にかけては屋外の風通しのよい場所で育てましょう。ただし、急に明るい環境に移すと葉焼けを起こすことがあります。徐々に慣らすようにしましょう。夏の直射日光も日焼けの原因になるので、遮光ネットをかけるなどの対策が必要です。冬の置き場は屋内がおすすめですが、暖房が効いた部屋は避け、1日の寒暖差が大きくならないように気を付けましょう。

育てやすい洋ラン! シンビジウムを楽しもう

シンビジウム
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シンビジウムは、胡蝶蘭などほかの洋ランと比べて維持管理がしやすく、上手に育てれば、翌年以降も見事な花を咲かせてくれます。また株分けをすることで鉢数を増やすこともでき、年を追うごとに花数が増すという楽しみがあります。ぜひお気に入りのシンビジウムを見つけ、育ててみてください。

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