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- シンビジウムってどんな花? 特徴と育て方を解説
シンビジウムという花をご存じでしょうか? ランの仲間で冬期、園芸店で見かけることも多いと思います。花が豪華で開花期が長いことから、胡蝶蘭(コチョウラン)と同様に贈答用としても人気があります。そんなシンビジウムは綺麗なだけでなく、育てやすい植物でもあります。本記事では、シンビジウムの特徴から育て方までご紹介したいと思います。
目次
シンビジウムとは
シンビジウム(Cymbidium)は、おもに東アジアから東南アジアに自生するラン科の植物で、日本に出回っているものは、それらの原種を交配し、品種改良したものです。大きく豪華な花を持つシンビジウムですが、近年はコンパクトで場所を取らない「テーブルシンビ」や、中国や日本に自生しているシュンランなどの清楚なタイプのシンビジウムと交配した「和蘭」の人気も高まっています。これらシンビジウムの自生地は冷涼な地域が多いため、ラン科の中では耐寒性が高いという特徴があります。
シンビジウムの歴史
海外のシンビジウムが日本に入ってきた歴史は古く、1859年にトーマス・グラバーによって上海経由で持ち込まれたとされています。そのとき入ってきたのがシンビジウム・トラキアナム(Cymbidium tracyanum )で、日本で最初に持ち込まれた洋ランだといわれています。当時の株はその後も株分けなどで増えて今も残り、「グラバーさん」という愛称で栽培されています。シンビジウムは胡蝶蘭とともに、細胞培養による増殖方法であるメリクロン技術が確立されて同一の性質を持つ株が大量に生産できるようになると、鉢花として一気に人気が出て親しまれるようになりました。
シンビジウムの花
シンビジウムの葉の根元には、バルブと呼ばれる膨らんだ部分があります。そのバルブには、株の生育や開花に必要な栄養を蓄えることができ、状況が整うとバルブの横から花茎を伸ばして開花します。花は花弁・唇弁・ずい柱で構成されています。花弁は上側に3枚と下側に2枚、それらが重なる真ん中は唇弁とずい柱があります。唇弁は花弁が変化したもので、ずい柱は雄しべと雌しべが一緒になったものです。
開花期は年に1度、12月から4月の間に、1つの花茎に多いときは10個以上の花を付けます。栽培に適した環境であれば2カ月程度咲き続けるという花もちのよさも特徴です。
シンビジウムの花言葉
シンビジウム全般の花言葉は「飾らない心」「素朴」「高貴な美人」「華やかな恋」など。ラン科の中でも柔らかな色合いの多いシンビジウムならではのものばかりですね。
シンビジウムの種類
シンビジウムはヒマラヤからインドネシアやボルネオ、さらにオーストラリア大陸までの広い地域に約60~70種類が分布しています。花の大きさから、大きく3種類に分けられます。
●大型種
花の大きさが10cm以上で、葉の長さが100cm以上の種類をいいます。インド原産のシンビジウムから作られたもので、華やかなシンビジウムの特徴がよく出ていますが、その大きさゆえ、支柱を立てないと花茎が折れてしまう心配があります。
●中型種
大型種に小型種を掛け合わせたもので、ちょうど中間のサイズの種類をいいます。ほどよく豪華で大きくなりすぎないことから人気があり、品種数も多く流通しています。「キャスケードタイプ」という枝垂れるタイプもあります。
●小型種
花の大きさが5~6cmで、葉も短い種類をいいます。大型種にシュンランなどの小さな種類を掛け合わせて作られています。テーブルシンビの名で流通しています。大型種のような華やかさを持ちながら、手入れのしやすいサイズ感が人気となっています。
シンビジウムの育て方
シンビジウムはラン科の中でも暑さ寒さに強く、比較的育てやすい種類です。ここでは栽培環境を整え、上手に花を咲かせるコツについて解説したいと思います。
栽培場所
真冬以外は屋外管理ができます。年間を通して日当たり、風通しともによい場所に置きましょう。日差しが強くなる時期は、30%程度の遮光をすると、葉焼けの心配なく管理できます。冬は室内に取り込みますが、日中はできるだけ日の当たる場所で管理しましょう。関東地方よりも西の平野部など温暖な地域では、乾いた寒風を避ければ戸外でも越冬できます。
土づくり
鹿沼土や赤玉土などはシンビジウムにとって保水性が高すぎ、根腐れしやすいので控えましょう。バーク単体や、軽石とバークを混合したもの、あるいは日向土とパーライトを混合したものが適しています。また、洋ラン専用に配合された培養土も販売されているので、配合の割合が分からない場合は、手軽な市販品もおすすめです。
植え付け
用意する鉢は、株の大きさにもよりますが、5号鉢から8号鉢程度にしましょう。また縦に根が張るので、深さのある蘭鉢が適しています。鉢底石を2cmほど敷き、その上に用土を入れてシンビジウムを植え付けていきます。その際、枯れた根や黒くなっている根は殺菌したハサミなどで取り除きます。シンビジウムの根は太いので、植え付けの際は鉢を叩いたり、割り箸などを使ったりして、根と根の隙間にもしっかりと用土が詰まるようにしましょう。
水やり・肥料
屋外で管理している場合は鉢内の乾きも早いため、1~2日に1回はしっかりと水やりをしましょう。屋内や冬季は土の乾きを見て、鉢が軽くなったと感じたら水やりを。また肥料は成長期の5~10月くらいまでは置き肥に加え、2週間に1回を目安に液肥を与えましょう。
病気・害虫
屋外管理の際は、夏の蒸れと長雨などの影響で「軟腐病」になることがあります。予防のためにも、軒下など直接雨が当たらない場所で管理しましょう。またカビやウイルスなどの影響で、葉が斑点状に黒くなったり、枯れ落ちたりする場合があります。殺菌剤などをこまめに利用し、予防しましょう。屋外や風通しの悪い場所では、ハダニやアブラムシ、ナメクジなどが発生することがあります。予防として、置き型の忌避剤を利用したり、こまめに葉水を行いましょう。もし発生してしまったら早めの対応が一番です。必要に応じて殺虫剤などを活用しましょう。
芽かき
シンビジウムはバルブが充実すると、いくつもの脇芽(新芽)を形成します。放っておくと養分が分散して花芽がつかない場合がありますので、生育のよい新芽を1~2本残し、他はすべて取り除きます。
育てやすい洋ラン! シンビジウムを楽しもう
シンビジウムは、胡蝶蘭などほかの洋ランと比べて維持管理がしやすく、上手に育てれば、翌年以降も見事な花を咲かせてくれます。また株分けをすることで鉢数を増やすこともでき、年を追うごとに花数が増すという楽しみがあります。ぜひお気に入りのシンビジウムを見つけ、育ててみてください。
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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