チェッカーベリーとは? これを読んでチェッカーベリーの栽培を理解しよう

Natalia Greeske/Shutterstock.com
冬に真っ赤な実をつけるチェッカーベリーをご存じでしょうか。樹木ながら大きくならずコンパクトにまとまるので、コンテナの寄せ植えにも利用できます。手がかからず育てやすいので、ガーデニングの初心者にもおすすめ。この記事では、チェッカーベリーの基本情報や特徴、種類、詳しい育て方など、幅広く取り上げていきます。
目次
チェッカーベリーって何?
冬もエバーグリーンのみずみずしい葉姿を保ち、丸くて愛らしい実をつけるチェッカーベリー。ここでは、基本情報や特徴、花言葉、種類、育て方についてご紹介します。
基本情報

チェッカーベリーは、ツツジ科シラタマノキ属(ゴーテリア属)の常緑低木です。和名はヒメコウジ(姫柑子)で、学名のGaultheria procumbensから、ゴーテリアとも呼ばれています。低木に分類されていますが、樹高は10〜20cmで大変小ぶりなため鉢栽培にも向いており、寄せ植えの花材として利用することも可能です。樹木なので、一度植え付ければ毎年花と実を観賞でき、コストパフォーマンスに優れています。
チェッカーベリーのライフサイクルは次の通りです。春から生育期に入り、新芽を出します。初夏に開花し、秋から冬にかけて赤い実をつけます。常緑のまま越冬しますが、強い寒さにあたると紅葉することがあり、赤い葉も魅力的です。越冬後に春を迎えるとまた新芽を出す……という繰り返しです。
チェッカーベリーの原産地は北アメリカ東北部で、寒さには強いものの夏の高温多湿や強い日差しがやや苦手。乾燥も嫌うので、水切れには注意が必要です。
特徴

チェッカーベリーは、やや厚みのある艶やかな葉を持っており、エバーグリーンとして冬でもみずみずしい葉姿を楽しめます。6〜7月にはベル形の小さな花を咲かせますが、観賞の目的は主に実で、11〜3月に真っ赤に色づく姿は大変魅力的です。実の大きさは、品種にもよりますが1cm前後で、たくさんの鮮やかな赤い実が寂しい冬の季節によく目を引きます。和にも洋にも合う樹姿なので、クリスマスやお正月の彩りとしておすすめです。
チェッカーベリーの赤い実はおいしそうに見えますが、残念ながら食用にはなりません。でも、鳥たちはこの実が大好物。赤い可愛らしい実は、鳥に食べられるとそのシーズンはもう楽しめないので、人がいなくなる時は鳥に取られないよう網をかけるか、鳥が入ってきにくい場所に置くなど、鳥対策をするとよいでしょう。
花言葉

チェッカーベリーの花言葉には、「不老長寿」「明日の幸福」などがあります。
チェッカーベリーの主な品種

チェッカーベリーは、赤い実をつける基本種が一般的ですが、中にはピンクの実をつける‘ピーチベリー’、白い実をつける‘ホワイトベリー’も出回っています。寄せ植えにしてメリハリをつけてもいいですね。
チェッカーベリーの栽培のポイント
ここまで、チェッカーベリーの基本情報や特徴、品種など多岐にわたってご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、庭植えや鉢栽培のポイントをご紹介していきましょう。苗の植え付けからスタートし、水やりや施肥などの日常的なケア、剪定や増やし方など、ガーデニングのテクニックを具体的に解説します。
栽培環境

日当たり、風通しのよい場所を好みます。
高温多湿や真夏の強い日差しにはやや弱い傾向です。庭に地植えする場合は、午前中のみ日が差す東側か、真夏は半日陰の環境になる落葉樹の足元などを選ぶとよいでしょう。また、寒さには強いのですが、常に寒風が吹きつけるような場所は避けてください。
チェッカーベリーは水はけ、水もちがよく、やや酸性の土壌が適しています。また、乾燥には弱く、湿り気のある状態を好みます。
用土

【地植え】
植え付けの2〜3週間前に、直径、深さともに50cm程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、ピートモス、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
市販の培養土を利用すると手軽です。ツツジ科の植物で弱酸性の土壌を好むため、ブルーベリー用にブレンドされた培養土を選ぶとよいでしょう。自身で配合土をつくるなら、硬質鹿沼土小粒4、赤玉土小粒4、ピートモス2の割合でブレンドするのがおすすめです。
植え付け・植え替え

チェッカーベリーの植え付けの適期は、3〜5月または、10〜11月です。これ以外の時期でも、例えば花苗店で観賞期を迎えた株を購入した場合、ポット苗の場合は早めに根鉢を崩さずに植木鉢に植え替えましょう。ギフト用の花鉢の場合は一通り観賞を楽しんだ後、適期に植え替えるとよいでしょう。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。しっかりと根づくまでは支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。
地植えの場合は、植え替えの必要はありません。
【鉢植え】
鉢で栽培する場合は、5〜6号鉢を準備します。
用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れます。元肥としてあらかじめ緩効性肥料を混ぜておいた培養土を半分くらいまで入れましょう。チェッカーベリーの苗木をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引しておきましょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。寄せ植えの素材として大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。
鉢植えで楽しむ場合は、根の生育が旺盛で成長とともに根詰まりしてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替えの適期は3〜5月または10〜11月です。1〜2回り大きな鉢を用意して鉢増ししてもいいですし、同じ鉢を用いたい場合は根鉢を崩して古い根を整理し、株分けして小さくしてから植え直します。
水やり

株が蒸れるのを防ぐために、茎葉全体にかけるのではなく株元の地面を狙って与えてください。
真夏に水やりする場合は、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がり、株が弱ってしまいます。
また、真冬に水やりする場合は、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまいます。
【地植え】
根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。チェッカーベリーは乾燥を嫌うので、水切れしないようにすることが大切です。ただし、いつもジメジメしていると、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾き始めたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
肥料

【地植え・鉢植えともに】
4〜5月と10〜11月中旬に、緩効性化成肥料を施します。または株の状態を見て、元気がないようなら速効性のある液体肥料を与えてもよいでしょう。
実の整理

【地植え・鉢植えともに】
チェッカーベリーの実が観賞期を過ぎ、傷んで見栄えが悪くなってきたら、摘み取って株まわりをきれいに保ちます。
剪定

【地植え・鉢植えともに】
チェッカーベリーは樹高が低く生育スピードが遅いので、強く切り戻したり、定期的に剪定したりする必要はありません。ただし、枝が込み合って鬱蒼としている部分があれば、古い枝や内側に向かって伸びている枝などを選んで切り取りましょう。木の内側にまで日が当たるようにするとともに、風通しをよくすることが大切です。
夏越し・冬越し

-
夏越し
【地植え】
チェッカーベリーは高温多湿や夏の強い日差しを嫌うので、植え付け時に午前中のみ日が差す東側か、落葉樹の足元など真夏は半日陰の環境になる場所を選ぶと安心です。株が弱るようであれば、鉢に植え替えて涼しい半日陰の環境で夏越しさせるのも一案です。
【鉢植え】
真夏の高温多湿の環境下では蒸れやすくなるので、風通しがよく涼しい半日陰などに移動して管理するとよいでしょう。
-
冬越し
【地植え・鉢植えともに】
チェッカーベリーの耐寒温度はマイナス5℃くらいまで。凍結に耐えるので、そのまま庭で越冬させても問題ありません。
増やし方
チェッカーベリーは、株分け、挿し木で増やすことができます。
【株分け】
株分けとは、大きく育った株を掘り上げて根を切り分け、1株から数株に増やす方法です。チェッカーベリーの株分け適期は、3〜5月または10〜11月です。4〜5芽つけて根を切り分け、植え直しましょう。株分けは、大株に育った植物の老化を防いで若返らせる目的もあります。チェッカーベリーは根の生育が旺盛で根詰まりしやすいので、鉢植えで育てている場合は1〜2年ごとに株分けしてリフレッシュを図りましょう。
【挿し木】
挿し木とは、枝を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。たくましいですね! 植物の中には挿し木ができないものもありますが、チェッカーベリーは容易に挿し木で増やせます。
挿し木の適期は、6月頃です。その年に伸びた新しい枝を2節以上つけて、切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚取り、残す葉は1/2から1/3ほど切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土、新しい培養土の順に入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に植え穴をあけ、穴に挿し穂を植えて土を押さえてください。約20日で発根するので、それまでは明るい日陰に置きます。その後は親株と同じ場所で管理し、十分に育ったら庭か鉢に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
チェッカーベリーの花や実がつかない原因とは?

観賞期に購入し、秋から冬にかけて真っ赤な実を十分に楽しんだチェッカーベリー。越年したのち「今年もまたたくさん実をつけてくれるかな、と期待していたのに、花が咲かず実もつかなかった。どうして?」という声を聞くことがあります。チェッカーベリーが実をつけるには、まず花が咲かなければいけませんが、時折花がつかないことがあります。それにはいくつかの原因が挙げられるので、以下を参考にしてください。
●水切れさせてしまった
チェッカーベリーは、湿り気のある土壌を好みます。そのため、開花する頃に水切れさせると、株が弱って花が咲かなくなることも。水切れさせてカラカラに乾燥させることは禁物です。一年を通して適切な水の管理を心がけてください。
●日照不足が原因
チェッカーベリーは半日陰の環境にも耐える植物ですが、あまりに日当たりが悪い場所では、花が咲かなくなることがあります。真夏以外はできるだけ、日当たりのよい場所で管理するようにしてください。
●株が大きくなりすぎて衰えてしまった
チェッカーベリーは根の生育が旺盛なので、株が込み合いすぎて衰えてしまい、花芽がつかなくなることがあります。特に鉢植えの場合は根詰まりしやすいので、1〜2年に1度は植え替えするとともに、株分けをして若返らせましょう。
情熱的な赤が魅力のチェッカーベリー! 自身の手で育ててみよう

秋から冬にかけて、真っ赤な愛らしい実をつけるチェッカーベリー。冬枯れで寂しげな景色の庭に、みずみずしい生命力を与えてくれます。チェッカーベリーは低木に分類されていますが、樹高は10〜20cmなので管理がしやすいのも長所の一つです。ぜひ庭やベランダに迎え入れて、クリスマスやお正月を盛り上げてはいかがでしょうか?
Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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