カラフルな花を多数つけ、ユニークな姿の花を下向きに咲かせるフクシア。どこかトロピカルな雰囲気をもっているので、庭に個性を演出したい時に一役買ってくれます。この記事では、4〜7月中旬と10月中旬〜11月に花がよく咲くフクシアの特徴や基本情報、種類、詳しい育て方などについて、幅広くガイドしていきます。

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フクシアの特徴

フクシア

フクシアは、常緑性または落葉性の花木です。花木ではありますが、樹高は30〜50cmにとどまるので、鉢花として楽しむことができます。枝はしなやかでよく伸び、仕立てやすいのが特徴です。樹形は種類によって異なり、枝が硬くてしっかりと直立する「ブッシュ」、枝がしなやかで匍匐するように垂れ下がるタイプの「トレイラー」、ブッシュとトレイラーの中間で、枝が斜め上に立ち上がる「ラックス・ブッシュ」、枝が硬めで下垂するタイプの「ステップトレーラー」があります。樹形の特性に合わせて仕立てるとよいでしょう。

花は、花茎を伸ばした頂部に1輪ずつ下向きに咲きます。がく筒をもつがく片が開いた先に筒状の花弁がつき、数本のおしべが突き出るとともに、おしべよりも長いめしべが1本釣り下がるのが特徴。このような美しい花姿から「貴婦人のイヤリング」とも呼ばれ、よく「装飾品のよう」「アクセサリーのよう」と称賛されます。花のサイズは種類によって多様で、1cm以下の「極小輪」、1〜3cmの「小輪」、3〜6cmの「中輪」、6cm以上の「大輪」に分類。花姿も一重咲きや八重咲きがあります。花色は赤、ピンク、紫、白、複色など。

フクシアの基本データを紹介

フクシア

フクシアは、アカバナ科フクシア属の常緑性または落葉性の低木です。原産地は中南米、西インド諸島、ニュージーランド、タヒチ島など。亜熱帯気候の地域に自生するので、暑さに強く寒さに弱いとイメージしがちですが、じつは寒さにも暑さにも弱いのです。なぜなら、高冷地や深い森などに自生するため。亜熱帯地域の出身ながら涼しい気候を好むのです。ですから、日本の過酷ともいえる真夏や真冬の気候下は苦手。庭に地植えするというよりは、鉢で栽培して季節に応じて適した場所に移動しながら管理するのが無難です。したがって、開花期も4〜7月中旬、10月中旬〜11月で、人間にとっても過ごしやすい気候の時期によく花が咲きます。

フクシアの種類を紹介

フクシア

フクシアは、原産地におよそ100種類が分布しています。現在主に流通しているのは、野生種を掛け合わせて作り出された園芸品種です。フクシアの愛好家が多いため、品種改良が進んで現在では3,000品種以上あるとされています。ここでは、主な種類や品種についてご紹介しましょう。

トリフィラタイプ

学名はフクシア・トリフィア(Fuchsia triohlla)。原産地は西インド諸島で、比較的暑さに強いとされ、生命力が強くて大株に育ちます。花色は赤で、細長い筒状のがくが特徴的。このトリフィラ種を元にして作出された園芸品種を総して「トリフィラタイプ」と呼んでいます。

‘エンジェルス・イヤリング’シリーズ

日本で作出された代表的な品種シリーズの‘エンジェルス・イヤリング’。花つきが大変よく、夏に強い性質をもつことで知られています。株の横張りは40〜50㎝ほどで、ボリューム感があります。花色は淡いピンク色のピンクオパール、赤と白の複色で八重咲きのデュアルパール、赤と濃い紫の複色となるアメジストがあります。

フクシア‘マリンカ’

がく、花弁ともに深紅の一重咲き。枝ぶりがやわらかく、横方向に伸びて大きく枝垂れるため、ハンギングバスケットに仕立てると迫力が出ます。枝分かれがよく、生育が旺盛で花つきがよい品種です。暑さに強く、比較的育てやすいといえます。

フクシア・マゲラニカ

チリ南部〜アルゼンチンが原産地。がくは深紅で、花弁は明るい紫色。この品種をもとに、さまざまな園芸品種がつくられています。耐寒性はマイナス2℃までと、フクシアのなかでも寒さに強いのが特徴。枝を立ち上げて生育し、樹高は70〜90㎝になり、比較的大型で野趣感があります。

フクシアの育て方のポイント

ここまで、フクシアの特徴や基本情報、種類など、幅広くご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、フクシアの育て方について詳しく解説していきます。フクシアは日本の真夏や真冬の厳しい気候を苦手とするため、鉢栽培にし、季節に応じた置き場所へ、移動しながら管理しましょう。

栽培に適した環境

フクシア

基本的に、過ごしやすい季節は日当たり、風通しのよい場所を選びます。日当たりの悪い場所では、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりするので注意しましょう。

暑さに弱いので、真夏は明るい半日陰の涼しい場所に移動してください。コンクリートの床などに直置きすると、下から熱が伝わって弱ることがあるので、コンテナスタンドやキャスター付き花台などを利用します。または、エアコンの効いた室内に入れて日当たりのよい場所で管理してもよいでしょう。

冬は、5℃を下回る場所では寒さに耐えられずに枯れてしまうことがあるので、日中は日当たりのよい軒下か、室内の日当たりのよい場所に取り込んで管理します。

用土

土

フクシアは、水はけのよい土壌を好みます。市販の山野草用の培養土に、日向土小粒を20%ほど混ぜて、できるだけ水が抜けやすい土作りをするとよいでしょう。

植え付け・植え替え

植え付け

鉢の大きさは、入手した苗よりも1〜2回りほど大きい鉢を準備しましょう。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。フクシアの苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出し、軽く根鉢を崩して植え付けましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

鉢栽培の場合、植え付けてから時間が経つと成長とともに根が詰まって生育が悪くなってしまうので、2年に1度を目安に植え替えましょう。植え替えの際は、以前に植えていた鉢よりも大きな鉢を用意して株を大きくしてもよいですし、同じ鉢を用いてサイズ感をキープしてもかまいません。鉢から株を出したら、古い根を切り取って整理し、根鉢を徐々に崩してやや小さくしてから植え直します。

水やり

水やり

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、多湿にすると株が弱るので、水の与えすぎには注意。土の表面が乾いてから鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。

成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げるようになると、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

真夏は気温の高い日中に水やりすると、太陽の熱によって土の温度が上がってお湯のように熱くなってしまうこともあり、株が著しく弱ってしまいます。真夏の水やりは、気温の低い朝か夕方に行いましょう。

一方で、真冬は夕方に水やりするとその後どんどん気温が下がっていき、凍結の原因になってしまいます。そのため十分に気温が上がった真昼に水やりをすませておくことがポイントです。

肥料

肥料

●元肥

苗を植え付ける際に施す肥料が、元肥です。元肥を施すことで苗の初期生育を助け、茎葉をしっかり茂らせることにつながります。

植え付けの際に、培養土に緩効性化成肥料を施しておきましょう。

●追肥

植え付けた苗が順調に生育し、元肥の効き目が切れた頃に与えるのが追肥です。鉢栽培の場合は、水やりとともに肥料成分が流亡しやすいので、追肥をして株の勢いを保つようにします。肥料を与える期間は、盛んに生育する4〜6月と9〜10月。月に1度を目安に緩効性化成肥料を表土にばらまき、軽く土になじませます。もしくは10日に1度を目安に、速効性のある液肥を与えてもよいでしょう。開花期は開花促進の効果がある、リン酸やカリ分などを多く含んだ液肥を選ぶと花つきがよくなります。

真夏と冬は、生育が止まって根の活動も落ち着くので、肥料を切らして管理しましょう。

必要な作業

剪定

【摘心】

生育初期に伸びた枝の先端を切り取る「摘心」をすると、下から茎が分かれて発生します。この摘心を新芽が出るたびに繰り返すと、茎の数が増えて充実した株姿に仕立てることができます。するとその分花数も増えて、たっぷりと咲かせることができます。

【花がら摘み】

花が終わったら、早めに摘み取りましょう。株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして長く咲き続けてくれます。

【切り戻し】

一通り開花して、梅雨頃になると株姿が乱れてきます。この時期に草丈の半分くらいを目安に、株全体を切り戻しましょう。雨が多く、空中湿度も高くなる時期の風通しをよくし、葉からの過度の蒸散を防ぐことで、株の消耗を防ぎます。真夏には生育が止まりますが、秋から再び勢いを取り戻して生育し始め、晩秋まで開花を楽しめます。

増やし方

種まき

フクシアは、挿し木で増やすことができます。

【挿し木】

挿し木とは、枝葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。たくましい生命力ですね! 植物のなかには挿し木で増やせるものとそうでないものもありますが、フクシアは容易に挿し木で増やせます。

フクシアの挿し木の適期は、3〜4月頃か9〜10月頃です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂といいます)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚取ります。3号くらいの鉢を用意し、底にゴロ土を入れてから新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に3カ所の穴を開け、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。十分に育ったら、植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

病害虫

アブラムシ

【病気】

フクシアの栽培では、灰色かび病の発生に注意します。

灰色かび病は、花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。多湿で風通しが悪く、込み合いすぎていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなります。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合いすぎている場合は間引いて風通しよく管理しましょう。症状の出た花や葉はすぐに取り除き、適用する薬剤を散布しておきます。

【害虫】

フクシアの栽培では、オンシツコナジラミ、ハダニ、アブラムシの発生に注意します。

オンシツコナジラミは、成虫が2mmほどの白いハエのような虫です。卵、幼虫、サナギ、成虫ともに寄生し、白い成虫が頻繁に飛び交うようになります。主に葉裏などについて吸汁して徐々に弱らせていくので注意。また、ウイルスを媒介して病気を発症させることがあります。白い虫が現れるようになったら葉裏などをチェックし、見つけ次第適用する薬剤を散布して防除しましょう。手軽に使用できるスプレータイプが便利です。

ハダニは、乾燥が続くと発生しやすい小さな虫で、葉裏などについて吸汁します。大発生すると株が弱るので、葉の表や裏にシャワーを勢いよくかけましょう。小さな虫なので、水の勢いで押し流すことができます。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついてしまうほどに。植物の茎葉について吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目にも不愉快なので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

上品なフクシアで庭を飾ろう

フクシア

「貴婦人のイヤリング」とも称される美しい花姿のフクシア。品種も多様なため、コレクションする楽しみもあります。また、品種改良の努力が重ねられて、近年では比較的育てやすい品種も生まれています。目を引くアイキャッチともなるフクシアを、ぜひガーデンやベランダに取り入れてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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