奈良時代から多くの人に愛されてきた女郎花(オミナエシ)。花が粟粒に似ていることから、「アワバナ」の別名ももっています。秋の七草にも数えられ、女郎花を花壇などに取り入れると、開花とともに秋の季節の到来を感じさせてくれることでしょう。この記事では、女郎花の基本情報や育て方などを詳しく解説していきます。

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女郎花とは

女郎花

女郎花(オミナエシ)は、スイカズラ科オミナエシ属の落葉性多年草です。原産地はシベリア〜東アジア。日本の山野にも自生しており、古くから愛されてきた花です。したがって、高冷地をふるさとにする一部種類を除いては、日本の気候によく馴染むので、放任してもよく育つ、丈夫な性質をもっています。

女郎花の草丈は100〜150cmくらい。開花期は初夏から秋にかけてで、黄色い花を咲かせます。一つひとつの花は3〜5mmと小さいのですが、花茎を伸ばした頂部に集まって咲き、大きな花序をたくさん作ります。そのため、色の塊となって目に飛び込んできて、大変華やかな景色となります。ただし、女郎花は独特の香りを放つため、人によっては好き嫌いもあるようです。

女郎花の由来・花言葉

オミナエシ

花名の由来は、「おみな」は女性のことを指しており、えしは「圧し」という意味で、女性を圧倒するほどの美しさ、という一説があります。また、「えし」は「へし」であり、「飯」を意味するとし、一つひとつの花が小さく粟粒のように見えることから、女性が食べていた「女郎飯」から転じたという説もあるようです。

学名はPatrinia scabiosifoliaで、英名には「Golden lace」「Yellow patrinia」があります。また、女郎花の花言葉は、「美人」「はかない恋」「親切」です。

女郎花の栽培環境・スケジュール

オミナエシ

【栽培環境】

日当たり、風通しのよい場所を好みます。日当たりの悪い場所では茎葉が間延びし、花つきが悪くなるので注意。土壌は、水はけ、水もちのバランスのよい環境を好みます。乾燥しやすい場所や、いつもジメジメとして湿気の多い場所では、土壌改良が必要です。腐葉土や堆肥などを多めにすき込み、ふかふかとした土作りをします。

女郎花は古くから日本の原野に自生してきた植物のため、暑さ寒さに強く、特に夏越し・冬越しの対策を講じる必要はありません。

【スケジュール】

女郎花は落葉性多年草に分類されています。4月頃から新芽を出して旺盛に茎葉を伸ばして生育期に入り、6〜10月に開花。寒さが厳しくなると、地上部を枯らして休眠します。越年して再び春になると新芽を出します。この繰り返しで、一度植え付ければ毎年開花を楽しませてくれる、息の長い植物です。

女郎花の育て方

ここまで、女郎花の基本情報について、深く掘り下げてきました。では、ここからはガーデニンクの実践編として、栽培方法について詳しく解説していきます。

土作り

土

【地植え】

植え付けの1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土を作っておきます。土作りは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成します。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

植え付け

ガーデニング

女郎花の植え付け・植え替えの適期は3〜4月です。この時期以外でも花苗店やホームセンターなどで苗を入手できます。購入する際は、節間が短く茎葉ががっしりと締まって勢いのあるものを選んでください。苗を入手したらすぐに、植えたい場所に植え付けましょう。

【地植え】

土作りをしておいた場所に苗よりも一回り大きな穴を掘り、根鉢を崩さずに植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、30cmほどの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。

【鉢植え】

鉢の大きさは、6〜7号鉢を準備しましょう。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。女郎花の苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出し、やや根鉢を崩して植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

植え替え

ガーデニング

【地植え】

女郎花を庭に植え付けた場合は、基本的には植え替えの必要はありません。植え付けから2〜3年経って大株に育っていたら、掘り上げて植え直します。古い根を整理して、数芽つけて根を切り分ける「株分け」をして植え直しましょう。

【鉢植え】

女郎花は生育旺盛で根詰まりしやすいので、鉢植えで楽しんでいる場合は1年に1度は植え替えます。根鉢をくずして古い根を整理し、数芽つけて根を切り分ける「株分け」をして植え直します。

水やり

水やり

株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。冬は休眠するので、控えめに与えます。

【地植え】

しっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥するようなら、水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げるようになると、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。

追肥

肥料

【地植え】

花が咲き終わった時期に、緩効性化成肥料を株の周りに施して土になじませます。

【鉢植え】

4〜8月の期間、2週間に1度を目安に液肥を与えます。

摘心・花がら摘み

剪定

【摘心】

生育期には旺盛に生育し、花茎が長く伸びてきます。6月頃に、花茎の半分から1/3までを目安に切り詰めましょう。すると脇芽が伸びて、草丈を抑えられるとともに、細めの花茎がたくさん出て花数も多くなります。摘心することで枝数が増え、華奢な姿を楽しむことができます。ただし、背丈を高くして太い花茎の先にダイナミックに咲く姿を楽しみたい場合は、摘心の必要はありません。

【花がら摘み】

女郎花は開花の期間が長いので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

病害虫

病害虫

【病気】

女郎花がかかりやすい病気は、うどんこ病、炭そ病などです。

うどんこ病は、多湿で風通しが悪い環境で発生しやすくなります。葉の表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。発症したら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。

炭そ病はカビが原因で発生する病気で、葉に褐色で円形の病斑が現れるのが特徴です。比較的気温が高く、雨の多い時期に発生しやすくなります。枝葉が込み合いすぎていたらすかし剪定をし、風通しよく管理するようにしましょう。病気が広がる前に、早期に発見して適用する殺菌剤を散布して防除します。

【害虫】

ほとんど発生の心配はありません。

種まき・株分け・挿し芽

種まき

【種まき】

女郎花は、種まきで増やすことができます。

種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。ただし、「1〜2株あれば十分」という方には、苗の植え付けからのスタートがおすすめです。

女郎花の発芽適温は、20℃前後。種まきの適期は、3月下旬〜5月中旬頃、または9〜10月上旬です。

まず、3号の黒ポットに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れます。中央に穴を開けて種を2〜3粒ずつまき、種が隠れる程度にごく薄く土をかぶせましょう。はす口をつけたジョウロで高い位置からやわらかな水流でたっぷり水やりします。水やりの際に水流によって種が流れ出さないようにしてください。発芽までは明るい半日陰で管理し、乾燥しないように適度に水やりします。

発芽後は日当たりのよい場所で管理します。本葉が2〜3枚ついたら、勢いがあって元気のよい苗を1本のみ残し、ほかは間引きましょう。ヒョロヒョロと伸びて弱々しい苗や葉が虫に食われている苗、葉が黄色くなっている苗などを選んで間引きます。十分に成長したら花壇や鉢などの植えたい場所に植え付けましょう。

花後に種を採取したい場合は、開花期の終わり頃に花がら摘みをやめて、種をつけさせます。実が茶色く熟したら茎ごと切り取り、風通しのよい半日陰にしばらく置いて乾燥させましょう。完全に乾いたら、揉みほぐして種を取り出し、密閉容器に入れておき、種まきの適期まで冷蔵庫などで保存しておきます。

【株分け】

女郎花の株分け適期は、11月頃か、3月頃です。大株に育っていたら株を掘り上げ、2〜3芽つけて根を切り分けます。切り分けた根を植え直すと、株が若返ってその後の生育がよくなります。株数が増える分、数カ所に場所を分けて植え込んでもいいですね。新しい植え場所に堆肥や腐葉土をすき込んで水はけをよくし、根鉢よりひと周り大きな穴を掘って植え直すとよいでしょう。

【挿し芽】

挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。たくましいですね! 植物のなかには挿し芽で増やせるものとそうでないものもありますが、女郎花は挿し芽で増やせます。

女郎花の挿し芽の適期は、5〜6月か9月下旬〜10月です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂といいます)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に3カ所の穴を開け、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。十分に育ったら、植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

女郎花の種類

女郎花

花茎の頂部に小さな黄色い花を多数咲かせる女郎花は、野趣感のある風情が魅力。女郎花は、いくつかの種類に分類されています。ここでは、女郎花の種類をご紹介しましょう。

ハクサンオミナエシ

ハクサンオミナエシは、「白山女郎花」と書きます。北陸地方から東北地方の山地の岩場などに分布。女郎花よりも小ぶりで、草丈は20〜60cmほどです。開花期は7〜8月頃。

オトコエシ

オトコエシは、「男郎花」と書きます。花の色が白で、女郎花に比べてがっしりとしてたくましいことから、この名前がついたようです。草丈は60〜100cmほど。開花期は8〜10月頃です。

キンレイカ

キンレイカは「金鈴花」と書きます。関東以西の太平洋側や九州の山地などに分布。草丈は30〜50cmほどです。草姿が華奢で、楚々とした山野草の風情を持っています。開花期は7〜8月頃。

色鮮やかな女郎花の観賞を楽しもう

女郎花

女郎花は古来より日本人に愛されてきた花の一つで、和歌や文学作品にもたびたび登場しています。華やかな黄色の花がガーデンによく映える女郎花は、丈夫で育てやすいので、ビギナーにもおすすめ。ぜひ秋の庭を彩るアイテムとして、花壇の一角に取り入れてみてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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