防犯対策に樹木を活用してみませんか。枝や葉に鋭いトゲのある植物は、ガーデンでは使いにくいものの、人気のない家の裏側でこそ大活躍してくれます。侵入者の意欲をすっかり萎えさせるトゲトゲ樹木をご紹介。家人も楽しめるように、香りがあるものや実がつくものをセレクトしました。

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クリスマスの飾りでおなじみの「西洋ヒイラギ」/常緑 樹高6~8m

ヒイラギは日本では節分の際に飾る習慣がありますが、その理由は「鬼の目に刺さって侵入を防ぐ」。日本語に「ひいらぐ」という動詞がありますが、これはヒリヒリ痛むという意味で、ヒイラギの名前はこの動詞に由来していると言われており、トゲのある葉は肌に触れただけで痛みます。日本でよく知られているこのヒイラギはモクセイ科の常緑樹ですが、ここでご紹介するのは、モチノキ科の西洋ヒイラギ。トゲトゲの葉がよく似ているので「西洋ヒイラギ」の名前がつけられましたが、本来は全く別の種類の樹木です。

トゲのある葉と赤い実はキリストの受難を示しており、西欧ではクリスマスホーリーとして神聖視されています。

西洋ヒイラギも常緑で生け垣などに利用できます。5〜6月頃に白い小花を咲かせたあと、11月頃に赤い実がなります。西欧ではクリスマスホーリーとも呼ばれ、この実はリースなどクリスマスの飾りにもよく用いられます。

非常に丈夫であまり植え場所を選ばず、成長もゆっくり。剪定も頻繁には必要ありません。剪定する際は、花芽を落としすぎないように気をつけましょう。花芽は枝先にできるので、剪定時は内側の枝を透かすようにすると実が少なくならずに済みます。

葉にクリーム色の斑が入る斑入りヒイラギ。明るくおしゃれな雰囲気になります。

凶器のようなトゲで侵入者を撃退する「カラタチ」/常緑 樹高約3m

カラタチはミカン科の常緑樹で、樹高3mと生け垣にちょうどよい高さです。鋭く太く長いトゲは、もはや凶器。この生け垣を越えて侵入しようものなら大怪我を負うことでしょう。4〜5月にはその荒々しいトゲの中に可愛らしい白い花を咲かせ、爽やかな甘い香りを漂わせます。花後、秋には小さな柚子のような果実を実らせます。果実は苦味が強く食用には向きませんが、いくつか摘んで車の中や窓辺に置いたり、お風呂に入れれば柑橘の天然アロマが楽しめます。ただし、収穫の際は革の手袋をはめ、十分トゲに気をつけてください。
剪定は数年に一度で構いませんが、剪定した枝をまとめるのも、捨てるのにも苦労するので、プロの植木屋さんにお任せしたほうが何かと安心です。

甘い香りを漂わせて咲くカラタチ。ミカン科の樹木の葉はアゲハチョウが食草としており、カラタチにも多くのアゲハが集まります。

食べて美味しい山菜生け垣「ウコギ」/落葉 樹高約3m

ウコギは幹や枝に大小のトゲがあり、古くから防犯目的として生け垣に利用されてきました。山形県では米沢市を中心に、ウコギの新芽を食べる習慣があります。ウコギの新芽には、ほんのりとした苦味と香りがあり、ビタミンやミネラル、カルシウム、食物繊維なども豊富に含まれ、春の山菜の一つとして親しまれています。防犯に役立つ上に、食べて美味しい一石二鳥の樹木です。

強健で場所を選ばず、日陰でも日向でも育ちます。繁殖力が旺盛で成長も早いため、一株買って挿し芽で増やし、生け垣に仕立ててもよいでしょう。

ウコギの生垣。米沢では街の景観としても一役かっています。
他の山菜と同様、天ぷらやおひたしなどにして食べられています。

低く茂って野良猫の侵入を防ぐ「メギ」/落葉 樹高1~1.5m

メギは細やかな葉と可愛らしい小花、紅葉、秋の実と一年を通じで楽しみの多い樹木です。園芸品種が豊富にあり、葉色のバリエーションも豊富なので、ガーデンの彩りとして取り入れやすいのも嬉しい点です。細かいトゲがあるので、あまり人が通らない場所に植えておくと、猫よけとしても効果を発揮してくれるでしょう。芽吹きも生育も旺盛なので、トピアリーのように剪定で形を自由に遊ぶことができます。樹形を保ちたい場合は、剪定は一年に2回は行ったほうがよいでしょう。場所に余裕がある場合には、自然樹形でもキレイです。日当たりを好みますが、半日陰でも問題なく育ちます。

明るく輝くような黄金葉が美しい園芸品種の‘オーレア’。小型で寄せ植えの材料などにも使われます。
赤紫色の葉が美しい‘ツンベルギア・コロニータ’。
銅葉の美しいメギ。春に黄色い花が鈴なりに可愛らしく咲きます。

Credit

取材&文/3and garden

ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

Photo/ 1)EvgeniiAnd/ 2)Madlen, Purino/ 3)freya-photographer/ 4)jurgal/ 5)simona pavan(L)/ 10)tommk/ 11)speakingtomato/ 12)Oleg1824/ 13) Boris Pralovszky/ Shutterstock.com

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