レタスは、サラダなどに欠かせない人気の野菜の一つで、スーパーマーケットや青果店では一年を通して手に入ります。じつは、レタスは家庭でも手軽に育てることができ、プランターでの栽培も容易です。種まきや苗の植え付けは、9月頃からなら失敗が少なく栽培ができます。この記事では、レタスの基本情報や種類、栽培方法など、幅広くご紹介していきます。

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レタスの基本情報

レタス

レタスはキク科アキノゲシ属の葉物野菜で、地上部の葉を収穫する野菜です。原産地は地中海沿岸から中近東地帯で、冷涼な気候を好みます。発芽適温は18〜25℃、生育適温は18〜23℃。耐寒性があって0℃以下にも耐えるとされていますが、結球するタイプの玉レタスは、傷むことがあります。一方で夏の暑さには大変弱く、 高温多湿の環境では病害が発生しやすくなります。

レタスは、一日の日照時間が長くなると、花芽ができてとう立ちする性質をもつ「長日植物」です。とう立ちして花が咲くと、茎葉がかたくなってしまって食用に向かなくなります。意外にも光に大変敏感で、門灯や外灯の光が差し込む所、室内の光が漏れてくる所などでも、とう立ちすることも。夜は真っ暗になる場所で栽培することが大切です。

レタスの歴史

レタス

レタスの栽培の歴史は古く、紀元前4500年頃のエジプト墳墓の壁画に描かれていることが分かっています。その後、地中海沿岸地方に伝わり、ローマ帝国では主要な野菜として食されていました。さらにヨーロッパに渡って結球するタイプの玉レタスなど多くの種類が生まれました。

東洋には、ペルシャを経由して5世紀までに中国に伝わり、さらに日本にも持ち込まれました。現在はレタスの名前が普及していますが、戦前までは「チシャ」と呼ばれ、8世紀の東大寺正倉院文書にその名前が記されています。ほとんどが茎レタス、リーフレタスだったようです。幕末に玉レタスが伝わり、明治時代には料理の飾りとして使われていました。戦後に一気に需要が伸び、現在はサラダなどに欠かせない野菜として利用されています。

レタスの種類

レタス

レタスには、葉が重なりあって巻いていき、結球するタイプの玉レタス、結球しないタイプのリーフレタスがあります。リーフレタスは葉に縮れが入り、葉色も緑系と赤系とがあります。他に茎を食べるタイプのステムレタス、ハクサイのように縦長に結球するロメインレタスもあります。

レタスの栄養

レタス

レタスは約96%が水分で、100g当たり12キロカロリー。カリウムやナトリウム、βカロテン、ビタミンC、ビタミンE、食物繊維などをまんべんなく含んでいますが、野菜のなかでは傑出して栄養素が多いというわけではありません。

レタスの栽培方法

ここまで、レタスの基本情報や歴史、種類などについて解説してきました。では、ここからは家庭菜園の実践編として、育て方について詳しく解説していきます。併せて、手軽に楽しめるプランターでのリーフレタスの栽培方法についても付記しているので、ぜひ参考にしてください。

栽培時期

レタス栽培

家庭菜園でレタスを育てる際には、春に種をまく「春まき」と、夏に種をまく「夏まき」とができ、年に2回の栽培が可能です。一般地を基準にすると、「春まき」は3月頃に種をまき、6月頃に収穫。「夏まき」は9月頃に種をまき、11月頃に収穫します。「春まき」は、生育期に病害虫が発生しやすいうえに、とう立ちしやすく玉レタスでは結球しない(葉が巻かない)ことがあるので管理が難しく、上級者向きです。一方、「夏まき」のほうがとう立ちしにくいので栽培しやすく、家庭菜園のビギナー向きです。定植後の涼しい気候がレタスの生育に適しており、味もよくなります。したがって、ビギナーの場合は「夏まき」からスタートするのがおすすめです。また、9月以降、園芸店に苗も並びはじめます。

年に2回の栽培が可能なレタスですが、連作(同じ場所で同じ種類〔科〕の植物を育て続けること。土壌バランスが崩れて生育障害が起きやすくなる)を嫌う性質を持っています。そのため、1〜2年はキク科の植物を育てていない場所を選びましょう。

適した環境

レタス栽培

日当たり、風通しのよい場所を好みます。適した土壌酸度はpH5.5〜6.5で、酸性に傾いた土壌では生理障害による病気が発生しやすくなるので、苦土石灰を散布して土壌改良しておきましょう。有機質に富んで水はけ、水もちのよいふかふかとした土壌を好むので、植え付け前に堆肥などの有機質資材を散布して土に混ぜ込んでおきます。

土作り

土

【菜園】

種まきの2〜3週間以上前に、苦土石灰を1㎡当たり100〜150g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおいてください。

さらに植え付けの1〜2週間前に、畝の幅を60〜70cm取り、目印をつけてよく耕します。畝の長さはつくりたい量や広さに応じて自由に決めてかまいません。耕したのち、畝の中央に深さ20〜30㎝の溝を掘ります。1㎡当たり堆肥約2kg、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)約100gを溝に均一にまいて埋め戻しましょう。さらに高さ10cmほどの畝をつくります。

土作りは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成し、植物の生育がよくなります。

【プランター栽培】

野菜の栽培用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。

種まき

種まき

種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。ただし、レタスの苗は花苗店やホームセンターなどで入手できます。手軽にスタートしたいなら、苗の植え付けからのスタートがおすすめです。「2〜3株あれば十分だから、苗の植え付けから始めたい」という方は、次項に進んでください。

種まきの適期は、「春まき」が3月頃、「夏まき」が9月頃です。まず、種まき用のセルトレイに野菜用にブレンドされた市販の培養土を入れます。中央にくぼみをつけて種を2〜3粒ずつまき、ごく薄く土をかぶせましょう。キク科の植物は「好光性種子」といって、発芽に光を必要とする性質をもっているため、ふるいなどで軽く土をかける程度にするのがポイントです。種が流れ出すことのないように、浅く水を張った容器にセルトレイを置き、底から吸水させます。

発芽までは明るい半日陰で管理し、乾燥しないように底面から吸水させましょう。発芽後は日当たりのいい場所に置きます。夏まきの場合は朝のみ日が差す東側など涼しい場所で管理するとよいでしょう。本葉が1〜2枚ついたら比較的弱々しい苗を間引いて1本のみ残し、本葉が4〜5枚つくまで育苗します。

植え付け

レタス栽培

苗の植え付け適期は、「春まき」が3月下旬〜4月頃、「夏まき」が8月下旬〜9月頃です。本葉が4〜5枚ついた苗を植え付けます。花苗店やホームセンターなどで苗を購入する場合は、節間が詰まってがっしりと締まった、勢いのあるものを選びましょう。

【菜園】

畝の中央に、約30cmの間隔を取って植え穴を掘り、水をたっぷりと注ぎます。水が引いたら苗を植え付け、最後にたっぷりと水やりをしましょう。

【プランター栽培】

レタスを鉢栽培する場合は、標準サイズの長方形型プランターを準備してください。底穴に鉢底網を敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れ、その上に野菜用にブレンドされた培養土を入れます。水やりの際に水があふれ出ずに済むように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3cm残しておきましょう。20〜25cmの間隔を取って苗を植え付けます。最後に底から水が流れ出すまで、たっぷりと水やりをしましょう。

水やり

水やり

株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

【菜園】

しっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥しているようなら、水やりをして補います。

【プランター栽培】

日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げるようになると、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料

【菜園】

リーフレタスは、土作りの際にしっかり元肥を施してあれば追肥は不要です。

玉レタスは、結球し始めた頃(葉が巻き込み始めた頃)を目安に、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)を1㎡当たり30gを目安に、周囲に均一にばらまいて土になじませ、軽く株元に寄せます。

【プランター栽培】

苗の植え付けから約2週間後と約4週間後を目安に、2回に分けて追肥します。緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)約10gを株の周囲へ均一になるようにばらまいて、軽く土になじませましょう。

病害虫

栽培

【病気】

レタスに発生しやすい病気は、軟腐病や灰色かび病などです。

軟腐病はジメジメとした環境で発生しやすい、細菌性の病気です。葉や茎などの傷口から侵入して発症します。病気が進行すると腐敗して悪臭が漂い、ほかの株にも蔓延してしまうので、発見次第抜き取って土ごと処分しましょう。水はけのよい環境づくりをし、風通しよく管理することが大切です。

灰色かび病は花や葉に発生しやすい病気です。褐色の斑点ができ、やがて灰色のカビが広がっていきます。多湿で風通しが悪く、込み合いすぎていたり、枯れた葉を放置していたりすると発生しやすくなります。枯れ葉などをこまめに取り、茎葉が込み合いすぎている場合は間引いて風通しよく管理しましょう。

【害虫】

レタスに発生しやすい害虫は、ネキリムシ、ハスモンヨトウ、オオタバコガなどです。

ネキリムシは、カブラヤガやヨトウムシの幼虫で、土中に生息しています。レタスの茎が地際で切り取られたり、根を食い荒らされて葉がしおれてしまったりします。株の周囲の土を掘ってみて、幼虫を見つけたら捕殺しましょう。

ハスモンヨトウは蛾の一種で、レタスを食害するのは幼虫です。6月頃から幼虫が葉を食い荒らし、サイズは大きめで4㎝ほどになるため見つけやすい害虫です。見つけ次第捕殺して被害が広がらないようにしましょう。

オオタバコガは蛾の一種で、レタスを食害するのは幼虫です。春から秋にかけて発生しやすく、特に高温や乾燥が続くと大発生することがあります。幼虫は最終的に3〜4cmになり、大きくなると旺盛に食害するので、幼齢のうちに発見して捕殺しましょう。葉に穴が開いているなどの異変が見られる場合は、葉裏などをよく観察して早めに見つけることが大切です。

レタスは、アブラナ科に属する野菜に比べれば、それほど虫がつきやすいわけではありません。でも、葉を食べる野菜ですから、少しでも虫食い跡などを見つけると、食べる気にならなくなってしまうのではないでしょうか。それに家庭で栽培するのだから、できるだけ無農薬で管理したいですよね。そんな時は、園芸用資材を上手に利用する方法があります。用意するのは、防虫ネットと園芸用支柱です。

園芸用支柱を畝の両端と中央あたりにアーチ状にして深く差し込み、防虫ネットを被せます。畝の両端で防虫ネットを結んで固定し、四方の裾に土を盛ってしっかりと固定。これで物理的に虫の侵入を抑えられるというわけです。虫が苦手な方は、園芸用資材を上手に使って防除するのがおすすめです。

収穫

レタス

【菜園】

玉レタスは、結球した玉を軽く押してみて、かたく巻いているようなら収穫適期です。不要な外葉をはずし、包丁を地際の部分に差し込んでカットし、収穫します。外葉や根を残しておくと、病害虫が発生しやすくなるので、きれいに処分しておきましょう。

リーフレタスは、葉が20〜25cmになったら収穫適期。玉レタス同様に、根元に包丁を差し込んで株全体を収穫してもいいですし、外葉から一枚一枚の葉を折り取る「かきとり収穫」をしてもかまいません。「かきとり収穫」をすれば、長く収穫し続けることができます。

【プランター栽培】

葉が20〜25cmになったら収穫適期。外葉から一枚一枚の葉を折り取る「かきとり収穫」をすると、長く収穫し続けることができます。

さまざまな料理に活用しよう

レタス栽培

ここまで、レタスの基本情報に始まり、家庭での栽培方法について詳しくご案内してきました。レタスは簡単に栽培でき、「かきとり収穫」をすれば、長く収穫を楽しめることがわかっていただけたのではないでしょうか。プランターでも栽培でき、ビギナーでも簡単に取りかかれるので、ぜひ栽培にチャレンジしてみてください。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

Photo/ 1) Edinaldo Maciel 2) Purple_Mangoose 3) lunamarina 4) David A Litman 5) vvoe 6) Maykol Nack 7) FotoFeast 8) NSC Photography 9) Sleepyhobbit 10) Altin Osmanaj 11) Zoom Team 12) New Africa 13) T.Kai 14) Marina Litvinova 15) shley-Belle Burns /Shutterstock.com

参考文献/
『やさしい家庭菜園』 監修者/藤田智、加藤義松 発行/家の光協会 2006年3月1日第1刷
『別冊やさい畑 野菜づくり名人 虎の巻』発行/家の光協会 2009年2月1日発行
『はじめての野菜づくり コンテナ菜園を楽しもう』著者/藤田智 発行/日本放送出版協会 2007年5月25日発行
『これで失敗しない家庭菜園Q&A』監修/藤田智 発行/家の光協会 2007年2月1日発行
『甘やかさない栽培法で野菜の力を引き出す 加藤流絶品野菜づくり』著者/加藤正明 発行/万来舎 発売/エイブル 2015年5月25日発行第2刷

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