夏の暑さにも負けずにたっぷりと花を咲かせるキョウチクトウ(夾竹桃)をご存じでしょうか。暑さに強く生命力旺盛、あまり手のかからない花木で、ビギナーにおすすめです。この記事では、夾竹桃の基本情報や注意しておきたい性質、花言葉や種類、詳しい育て方などについて、幅広く解説していきます。

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キョウチクトウ(夾竹桃)の特徴・基本データ

キョウチクトウ

キョウチクトウは、キョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑樹です。原産地はインド、中近東で、暑さに強い性質を持っています。樹高は3〜6mに達しますが、剪定によってコントロールでき、一般家庭では3mまでの大きさでキープしておきたいところです。生命力旺盛で成長は早いので、樹形が乱れないよう、剪定は毎年行う必要があります。

キョウチクトウのライフサイクルは、以下の通りです。4月頃から旺盛に新芽を出して生育期に入り、7〜8月に開花。冬でもみずみずしい枝葉を保ちますが、生育は止まります。越年してまた春になると生育し始める……という繰り返しです。

花径は4〜5cm。一つひとつの花は小さいのですが、開花期には株を覆うほどにたわわに咲くので、大変見応えがあります。花色はピンク、白、赤、オレンジ、クリームなど。多くは一重咲きですが、八重咲きも出回っています。

キョウチクトウには毒がある?

キョウチクトウ

キョウチクトウの栽培で注意したいのは、毒を持っている特性についてです。葉、茎、根、花、種子のすべてに、命に関わるほどの有毒成分を含んでいます。生木を燃やしても有毒成分が発生するとされているので注意が必要です。幼児やペットのいる家庭では、誤って口に入れることのないようにしてください。剪定などの手入れをする場合も、ガーデニング用の手袋をはめておくなどの対策が必要です。しかし、毒があることを把握した上で十分注意して取り扱えば、それほど恐れる必要はありません。

キョウチクトウの花言葉とその由来

キョウチクトウ

キョウチクトウの花言葉は、「注意」「危険」「用心」など。やはり木全体に毒を持っている性質から、このような言葉があてられたようです。

キョウチクトウの品種

キョウチクトウ

キョウチクトウは、中国経由で18世紀頃に日本にもたらされました。他に地中海沿岸に分布する西洋キョウチクトウや、パキスタン、イラン、アフガニスタンに分布するイスラムキョウチクトウ、葉に黄色の斑が入る斑入りキョウチクトウなどがあります。園芸品種では、赤色の花が咲く‘カーディナル’、サーモンピンクで八重咲きの‘ミセス・ローディング’、クリーム色で八重咲きの‘ダブルイエロー’などが作出されています。

【超入門】キョウチクトウを育てよう

ここからは、ガーデニングの実践編として、キョウチクトウの育て方を解説していきます。まずはスタートとなる、栽培に適した環境、苗木の植え付け、日頃の管理についてご紹介しましょう。

栽培環境

キョウチクトウ

日当たり、風通しのよい場所を選びます。日照が足りないと葉色が冴えず、生育も花つきも悪くなります。丈夫で潮風や大気汚染にも耐えるので、海に近いエリアや道路沿いにもよく植えられています。

暑さには強いのですが、寒さには弱い傾向にあります。大きく育つとある程度耐寒性が強まりますが、それでも生育適地は東北南部以南の温暖地です。木が幼いうちは、バークチップや腐葉土などでマルチングをし、寒さ対策をしておきましょう。

土質は特に選びませんが、水はけの悪い場所が苦手です。植え場所が粘土質の場合は腐葉土や堆肥を多めにすき込んで土壌改良をしておきます。また、周囲より土を盛って高くし、水はけを改善しておくとよいでしょう。

キョウチクトウは、他の植物の枝と交差すると枝が枯れてしまう性質があるので、できるだけ広いスペースを取って植えるようにします。

土作り

土

【地植え】

植え付けの2〜3週間前に、直径、深さともに50cm程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。粘土質や砂質、水はけの悪い土壌であれば、腐葉土や堆肥を多めに入れるとよいでしょう。肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

樹木用にブレンドされた培養土を利用すると手軽です。

植え付け

植え付け

真夏を除いた生育期に植え付けると、根付きやすくなります。4〜6月か9月が植え付けの適期です。

【地植え】

土作りをしておいた場所に、苗木の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。しっかり根づくまでは支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、10号以上の大鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引しておくとよいでしょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。

一年を通して日当たり、風通しのよい場所に置いて管理しましょう。冬は凍結しない場所に移動して寒さ対策をしておきます。

生命力旺盛で成長とともに根詰まりしてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。

水やり

水やり

木の幹や枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、土中の水がすぐにぬるま湯になって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地中深くから水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いて乾燥している場合は水やりをして補いましょう。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は生育が止まり、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。

肥料

肥料

地植え、鉢植えともに2月頃に緩効性肥料を与え、土によくなじませましょう。生育期を迎える前に肥料を与えると、新芽を出すエネルギーとなり、旺盛に枝葉を広げることにつながります。

肥料はそれほど欲しがるタイプではありませんが、鉢植えの場合は水やりとともに肥料成分が流失しやすいので、株に勢いがないようであれば、緩効性肥料を追肥して様子を見るとよいでしょう。

【基本のお手入れ】キョウチクトウを育てよう

ここからは、キョウチクトウの栽培について知っておきたい基本の手入れ方法をご案内。美しい木姿をキープするためのメンテナンスや増やし方について深掘りします。

剪定(せんてい)

剪定

夾竹桃は枝が込み合っていると奥まで日差しが届かず花数が少なくなるので、毎年の剪定を心がけてください。また、生命力旺盛で枝葉をよく茂らせるので、放任すると樹形が乱れて見栄えが悪くなります。適切な剪定で樹高を抑え、スマートな姿をキープするようにしましょう。太い枝も切り取れる、剪定バサミと、怪我や手荒れを防ぐためのガーデニング用の手袋を準備してください。

剪定の適期は、十分に気温が上がって生育し始める4月頃です。休眠期が剪定適期の落葉樹とは異なり、常緑樹のキョウチクトウは寒い時期に剪定すると木が傷みやすくなるので注意しましょう。また花芽は5〜6月にでき、この後に剪定すると花がつかなくなるので、タイミングを逃さないようにしてください。

キョウチクトウは、「すかし剪定」が基本です。込み合っている部分の枝のうち、木の内側に向かって伸びている「逆さ枝」、垂直に立ち上がっている「立ち枝」、勢いよく伸びすぎている「徒長枝」などを切り取ります。枝を途中で切ると、そこからたくさんの新芽が出て四方に伸び出し、かえってバランスが崩れる原因になるので、必ず枝分かれしている元の部分から切り取りましょう。地際からたくさんの幹を出す性質があるので、3〜5年経った古い幹は地際で切り取り、新しく出た幹に切り替えます。樹高を抑えたい場合は、高く伸びすぎている枝を元の枝分かれしている部分まで切り戻しましょう。

病気・害虫

噴霧器

【病気】

キョウチクトウの栽培で注意したい病気は、うどんこ病、炭そ病です。

うどんこ病は葉の表面に白い粉が吹いたようなカビが発生し、光合成を阻害されたり、葉から養分を吸収されたりして、生育が悪くなります。放任してひどくなると枯れてしまうこともあるので注意。木の勢いがなくなり、見た目も悪いので、兆候が見られたら早期に殺菌剤などを散布して対処しましょう。梅雨の時期に発生しやすい傾向にあるので、水もち、水はけのよい土壌作りと、適切な水やりの管理が回避のカギです。窒素成分の多い肥料を与えすぎるのも、発症のきっかけになります。

炭そ病はカビが原因で発生する病気で、葉に褐色で円形の病斑が現れるのが特徴です。比較的気温が高く、雨の多い時期に発生しやすくなります。枝が茂りすぎるのを避け、風通しよく管理しましょう。早期のうちに発見して、適応する殺菌剤を散布して防除します。

【害虫】

キョウチクトウの栽培で注意したい害虫は、アブラムシ、カイガラムシなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると植物の茎葉について吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目も悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒剤を利用するのがおすすめです。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫です。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせます。硬い殻に覆われて薬剤の効果が限られるので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

増やし方

種まき

キョウチクトウは、挿し木、取り木、株分けで増やすことができます。

【挿し木】

挿し木の適期は6〜7月です。まず、春に伸びた若くて勢いのある枝を10〜20cmほどの長さで切り取り、水を入れた器で十分吸水させておきましょう。清潔な挿し木用の培養土を育苗用トレイなどに入れて、採取した枝葉を挿しておきます。水切れしないように管理し、発根したら黒ポットなどに植えて育成を。大きくなったら、植えたい場所に定植します。挿し木のメリットは、採取した株のクローンになることです。

【取り木】

取り木の適期は6〜7月です。前年に伸びた枝の表皮を剥ぎ取り、そこに水で戻して軽く絞った水苔を巻いてビニタイなどで固定。さらに乾燥しないようにビニールで巻いて、しばらくおきます。表皮から発根したら枝から切り取って、清潔な挿し木用の培養土を入れた鉢に植え付けます。取り木でも、採取した株のクローンになります。

【株分け】

株立ち状に育っているキョウチクトウは、株分けして増やすことができます。適期は5〜6月です。株を掘り上げ、4〜5本の枝をつけて根をノコギリなどで切り分けて、植え直します。

美しいキョウチクトウを育ててみよう!

キョウチクトウ

ここまで、夏に開花期を迎えるキョウチクトウの性質や種類、育て方などについてご紹介しました。近年は温暖化が進み、真夏に開花する植物の種類は少なくなってきましたが、キョウチクトウは元気いっぱいに開花するので、夏の庭に重宝する存在です。ぜひキョウチクトウをガーデンに取り入れて、寂しくなりがちな夏の庭を彩ってみてはいかがでしょうか?

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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参考文献/
上条祐一郎『切るナビ! 庭木の剪定がわかる本』NHK出版 (2017年第17刷)
永井淳一『プロが教える 庭づくりと庭木の育て方』日本文芸社

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