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バラの咲き方「クラシック」タイプの花形の魅力【バラの専門家が解説】

バラの咲き方「クラシック」タイプの花形の魅力【バラの専門家が解説】

世界各国で長い間改良を重ね、園芸植物としては類稀なる進化を遂げたバラは、実に様々な花形が存在します。一重咲きや半八重咲きなど、さまざまな咲き姿がある花形のなかからロゼット咲きやクォーター・ロゼット咲き、カップ咲きなどの「クラシック」タイプについて、バラの専門家、河合伸志さんに教えていただきます。

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花びらが豪華に重なるクラシック・タイプのバラ

90年代以降広く認知されるようになり、現在の主流となっている花形です。花弁の枚数は20~80枚程度まで差がありますが、概して整形タイプより花弁の枚数が多いのが特徴です。株に力があると同様に花弁の枚数が増える傾向がありますが、品種によっては開ききれなかったり、奇形になってしまうものもあります。一枚の花弁の形や花弁の幅は一重咲きと同様にさまざまで、浅く波を打ったような華やかな印象のものも存在します。これらの花形は整形タイプと異なり、ある程度開いた状態で最も鑑賞価値が高くなります。

花を横から見た時に平たく、外側の花弁ほど大きく、中心に近づくほど小さくなりながら整然と配列している咲き方を、ロゼット咲きといいます。ロゼット咲きの中でも花心が数個に割れているものを、クォーター・ロゼット咲きと呼び、中心に緑色になるものをグリーン・アイ、中心付近を花弁が抱えるようになるものをボタン・アイなどと呼びます。ロゼット咲きの花には、咲き始めはカップ咲きに近く、開くにつれてロゼット咲きに変化するものもあり、気温が低い条件ではよりカップに近い花形になる傾向があります。

代表的なクラシック・タイプのバラ

‘イエロー・ボタン’

イエローボタン

典型的なロゼット咲きの品種。 ‘イエロー・ボタン’は、花径8㎝ほどの四季~返り咲き性。最初の黄色系のイングリッシュ・ローズで、1975年にイギリスで発表されたシュラブ系の品種。

カップ咲き

花を横から見た時にティー・カップのような形をしているものを、カップ咲きといいます。カップの浅いものをシャロー・カップ咲き、深いものをディープ・カップ咲き、花弁の枚数が比較的少なく中心部に花心が覗くものをオープン・カップ咲きなどと、さらに細かく分けることもあります。カップ咲きの花で、外側の花弁が後方に反り返る場合、これらを「カップ&ソーサー」などと表現することもあります。気温が低い時ほどカップが深くなるようになり、ディープ・カップ咲きのものなどはほとんど球状に近い花形になることもあります。

‘セント・オブ・ヨコハマ’

バラ、セント・オブ・ヨコハマ

花心が複数に割れるクォーター・ロゼット咲き。香りが強く、耐病性に優れ、まとまりのよいコンパクトな株に成育する。2017年に日本で発表されたフロリバンダ系の品種。

‘ミセス・ドリーン・パイク’

バラ‘ミセス・ドリーン・パイク’

ロゼット咲きで花心に花弁が抱えるようなボタン・アイが現れ、かつ中心に緑色のグリーン・アイも現れる。四季咲き性で、花には強い香りがある。1993年にイギリスで発表されたハイブリッド・ルゴサ系の品種。この系統の品種としては葉が繊細で美しく、成育も穏やかな品種。

‘アンブリッジ・ローズ’

‘アンブリッジ・ローズ’

カップ咲きで、アニスの強い香りを持つ。花径9㎝ほどで四季咲き性。イングリッシュ・ローズの一品種で、1990年にイギリスで発表された。分類上はシュラブ系だが、生育はほぼブッシュローズ。

‘フランシス・ブレイズ’

‘フランシス・ブレイズ’

典型的なシャロー・カップ咲きの品種。花弁は厚く硬く、強いアニスの香りがある。四季~返り咲きで、1997年にフランスで発表された大型のシュラブ系の品種。

‘チャールズ・レニ・マッキントッシュ’

バラ‘チャールズ・レニ・マッキントッシュ’

抱えるようなディープ・カップ咲き。四季咲き性で、株がコンパクトで、花つきがよい。ミルラ系の中香で好き嫌いが分かれる香り。1988年にイギリスで発表されたシュラブ系の品種。

‘スカイラーク’

‘スカイラーク’

抱えるような花弁の隙間から黄金色のしべが覗くオープン・カップ咲き。花つきがよく、香りもよい。四季~返り咲きのシュラブ系で、2007年に発表されたイギリスの品種。

‘シャーロット・オースチン’

‘シャーロット・オースチン’

外弁が反り返った典型的な「カップ&ソーサー」の花形。ティー系のよい香りがあり、花つきがよい返り咲き性。1933年にイギリスで発表されたシュラブ系の品種。

花形には、「クラシック」のほかに、「一重」や「八重」、「整形」「その他」があります。それぞれの魅力的な花形から、好きなバラを見つけて、ぜひ身近で育ててください。

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Credit

写真&文責/河合伸志
千葉大学大学院園芸学研究科修了後、大手種苗会社の研究員などの経歴を経たのち、フリーとして活躍の場を広げる。現在は横浜イングリッシュガーデンを拠点に、育種や全国各地での講演や講座、バラ園のアドバイスやガーデンデザインを行う。著書に『美しく育てやすい バラ銘花図鑑』(日本文芸社)、『バラ講座 剪定と手入れの12か月(NHK趣味の園芸)』(NHK出版)監修など。

写真/3and garden

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