昔から親しまれてきたホウセンカは、こぼれ種で増えるほど強健な性質で、初心者でも安心して育てられる草花の一つです。サマーガーデンをカラフルに彩るホウセンカを、ぜひ育ててみませんか? この記事では、ホウセンカの特性や利用の仕方、育て方などについて、詳しく取り上げます。

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ホウセンカってどんな花?

ホウセンカ
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ホウセンカは、ツリフネソウ科ツリフネソウ属(インパチェンス属)の一年草で、原産地はインド〜東南アジアです。暑さに強く、夏の庭を明るく盛り上げてくれる草花です。

ホウセンカは種類によって草丈の低い矮性種と、高くなる高性種があります。そのため草丈は30〜80cmと幅があり、花壇の前段〜中段あたりで活躍。ホウセンカの花色は赤、紫、白のほか、ピンクの濃淡、サーモンピンクなどがあります。また紫や赤に白の絞りが入るものもあって個性的です。花姿は一重咲きや豪華な八重咲きもあります。

種がはじける理由 花言葉の由来にも

ホウセンカのタネ
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ホウセンカの実は、小さなラグビーボールのような形をしており、熟すとはじけて種を周囲にばらまく性質があります。これは、できるだけ広範囲に子孫を残そうとするホウセンカの生存戦略です。ホウセンカの花言葉は「わたしに触れないで」ですが、ちょっと触れただけで種がはじけ飛んでしまう性質を表現したものとされています。

ホウセンカの爪染めってどうやるの?

ホウセンカの爪染め
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ホウセンカは、中国経由で日本に伝えられたとされています。平安時代にはホウセンカを用いた爪染めが行われていたそうです。

用意するものは、ホウセンカの花弁(指1本あたり半分の花)、ミョウバンです。ホウセンカの花弁とミョウバン少々をビニール袋に入れて、重しなどで潰していきます。潰したものを爪に塗り、ラップで包んで一晩ほどおいたらできあがり。指も染まりますが1週間ほどで色が抜け、爪は長く染まったままになります。

ホウセンカの時期

ホウセンカ
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ホウセンカは夏に花を咲かせる一年草です。5月頃に種をまくと、発芽して本葉を多数つけて生育します。7月頃から開花し、9月頃まで咲き続けます。寒さには弱く、越年できずに枯死してしまう、ライフサイクルの短い植物です。

ホウセンカのつくり

ホウセンカ
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ホウセンカの花は節ごとについて、葉の下あたりに小さなつぼみをつけ、下から順に花が咲き上がっていきます。花のサイズは2〜3cmほどで、横向き、またはうつむくようにして開花。花びらの後ろに細長い「距(きょ)」がついており、これは花びらまたはガクが変形したものとされています。果実は1〜2cmの紡錘形で、うぶ毛を持っているのが特徴。中には小さな黒い球状の種が入っています。

ホウセンカを育てるポイント

ここまで、ホウセンカの基本情報や特徴、花言葉や爪染めの方法などについて、ご紹介してきました。ここからはガーデニングの実践編として、ホウセンカの育て方について詳しく解説していきます。種まきや苗の植え付けからスタートし、水やりや肥料など日頃の管理、摘心や花がら摘みなどより美しく見せるためのテクニックをご案内しましょう。

適した環境

ホウセンカ
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日当たり、風通しのよい場所を選びます。半日陰の場所でも生育しますが、あまりに暗い場所では、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりするので注意。水はけ、水もちのよい土壌を好むので、地植えする場合は植え付け前に有機質資材を投入してよく耕し、ふかふかの土作りをしておくとよいでしょう。乾燥を苦手とする傾向があるので、砂質土壌など乾きやすい場所などは避けたほうが無難です。

土作り

土
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【地植え】

丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておくとよいでしょう。特に乾きやすい砂質土壌では、水もちをよくするための土壌改良が必要です。有機質資材を多めに混ぜ込んでおきましょう。土づくりは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成します。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

種まき

種まき
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ホウセンカはこぼれ種でも増えるほど強健な性質で、ビギナーでも種まきから育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。

ただし、ホウセンカの苗は初夏から花苗店に出回り始めます。手軽にスタートしたいなら、苗の植え付けからのスタートがおすすめです。「1〜2株あれば十分だから、苗の植え付けから始めたい」という方は、次項に進んでください。

ホウセンカの発芽適温は20℃前後。種まきの適期は、十分に気温が上がった5月頃です。ホウセンカは直根性のため移植を嫌う性質があるので、育てたい場所に直まきするのがおすすめです。しかし、植える場所を決めていない場合は、黒ポットにタネをまいて育苗し、幼苗のうちに定植してもかまいません。

【直まき】

土づくりをしておいた場所に15〜20cmの間隔を取り、穴を開けて2〜3粒ずつまきます。1cmほど土をかぶせ、手のひらで抑えて最後にたっぷりと水を与えます。発芽して本葉が2〜3枚ついたら、勢いがあって元気のよい苗を1本のみ残し、ほかは間引きましょう。ヒョロヒョロと伸びて弱々しい苗や葉が虫に食われている苗、葉が黄色くなっている苗などを選んで間引きます。

【ポットまき】

3号の黒ポットに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れます。中央に穴を開けて種を2〜3粒ずつまき、1cmほど土をかぶせましょう。最後にたっぷりと水を与え、日当たりのよい場所で管理します。発芽までは水を切らさないように管理しましょう。本葉が3枚ほどついた頃の幼苗のうちに、植えたい場所へ定植します。その際、勢いがあって元気のよい苗を1本のみ残し、ほかは間引きましょう。ヒョロヒョロと伸びて弱々しい苗や葉が虫に食われている苗、葉が黄色くなっている苗などを選んで間引きます。

苗の植え付け

ガーデンツール
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花苗店で苗を購入する際は、節間が短く茎ががっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に苗よりもひと回り大きなを穴を掘って植えつけます。ホウセンカは移植を嫌う性質があるので、苗をポットから出したら根鉢を崩さずにそのまま植え付けるのがポイントです。複数の苗を植え付ける場合は、15〜20cmの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。

【鉢植え】

鉢の大きさは、5〜7号鉢を準備しましょう。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。ホウセンカの苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。ホウセンカは移植を嫌う性質があるので、苗をポットから出して根鉢を崩さずにそのまま植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

水やり

水やり
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株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温の高い昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

【地植え】

しっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げ、多数のつぼみが上がってくるようになると、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチすることが、枯らさないポイントです。

特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。

肥料

液肥
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【地植え】

やせ地でもよく育つので、十分な土作りをしていれば不要です。開花期に株の勢いがない場合には、液肥を与えて様子を見るとよいでしょう。チッ素成分を多く含んだ肥料を施すと、茎葉ばかりが茂ってあまりよい花が咲かなくなるので、開花を促す成分配合の液肥を選ぶようにします。

【鉢植え】

開花期を迎えた頃に、10日に1度を目安に液肥を与えます。チッ素成分を多く含んだ肥料を施すと、茎葉ばかりが茂ってあまりよい花が咲かなくなるので、開花を促す成分配合の液肥を選ぶようにします。

支柱の設置

支柱
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【地植え・鉢植えともに】

草丈が高くなる高性種のホウセンカを育てる場合は、早めに支柱を設置して茎を誘引しておきましょう。強風による倒伏を防ぐことができます。支柱は深くまで差し込んで、しっかり支えられるようにしておくことが大切です。

摘心・花がら摘み

剪定
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【摘心】

しっかり根付いて株が充実してきたら、茎の頂部を切り取りましょう。するとわき芽が伸び出し、こんもりと茂るとともに、花数も多くなります。

【花がら摘み】

ホウセンカは次から次へと花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

病害虫

アブラムシ
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【病気】

ホウセンカにつきやすい病気は、うどんこ病です。

うどんこ病は、発生すると葉の表面に白い粉が吹いたようなカビが見られます。光合成を阻害されたり、葉から養分を吸収されたりして、生育が悪くなります。放任してひどくなると枯れてしまうこともあるので注意。株の勢いがなくなり、見た目も悪くなってしまうので、兆候が見られたら早期に殺菌剤などを散布して対処しましょう。

【害虫】

ホウセンカの栽培で注意したい害虫は、アブラムシ、ハダニ、センチュウです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉について吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目も悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

ハダニは、乾燥が続くと発生しやすい小さな虫で、葉裏などについて吸汁します。大発生すると株が弱るので、葉の表や裏にシャワーを勢いよくかけましょう。小さな虫なので、水の勢いで押し流すことができます。

センチュウ(線虫)は、土壌に生息する糸状の虫で、ホウセンカはセンチュウが生息する土壌ではうまく育ちません。ホウセンカと同様に夏に咲く花のマリーゴールドは、センチュウの対抗植物で、センチュウの被害を抑制する効果があるとされているので、一緒に植えるというのも一案です。

種を採取するコツ

ホウセンカのタネ採り
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ホウセンカの種採りをしたい場合は、そろそろ株が疲れて開花期が終わる頃に、花がらを切り取らずに、種をつけさせます。サヤが黄色く熟した頃に採取しますが、ホウセンカは触れたとたんにはじけて種を周囲に撒き散らすので、完熟する前に出汁用パックなどでサヤを包み込んでおくとよいでしょう。採取した種は、しばらく乾燥させた後に保存袋に入れて、翌年の種まき適期まで冷暗所で保存します。

育てやすいホウセンカなら初心者でもきれいな庭をつくれる!

ホウセンカ
naipung/Shutterstock.com

この記事では、ホウセンカの特性や用い方、育て方について掘り下げてきました。ホウセンカは丈夫で育てやすく、真夏にたっぷりと花を咲かせてくれます。ぜひ暑さに負けず元気に咲くホウセンカを庭に迎えて、明るく彩ってみてください。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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