可憐な姿が人気! オルレアの魅力から育て方までご紹介

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オルレアという花をご存じでしょうか。たくさん咲く白い花は、レースのような繊細な美しさで、大変人気の高い草花です。その花姿とは裏腹に大変強健な性質のため、ガーデニングのビギナーにもおすすめ。この記事では、オルレアの特性やライフサイクル、品種などの基本情報のほか、庭での生かし方、詳しい育て方などについて、幅広く解説していきます。
オルレアとは

オルレアは、セリ科オルレア属の草花です。本来は多年草ですが、日本の暑い夏を越すことができずに枯れてしまうので、一年草として流通しています。原産地はヨーロッパで、暑さには弱い一方で寒さには強く、戸外で越冬できます。
草丈は60cm前後で、花壇の中段あたりが好適。セリ科の植物らしい、ニンジンに似た繊細な切れ込みのある葉で、細い茎を立ち上げてレースのような白い花を咲かせます。わずかな風にも揺らぐ、楚々とした草姿でナチュラルな雰囲気を持っています。
花名の由来

オルレアの名前は、学名のOrlaya grandiflora(オルレア・グランディフローラ)に由来します。オルラヤと呼ばれることもあるようです。日本ではオルレアとして主に流通している園芸品種の‘ホワイトレース’のほうが学名より先に有名になったため、ホワイトレースと呼ばれることもあります。しかし、別の草花であるホワイトレースフラワーと名前も草姿も似ているため混同されることが多く、近年ではオルレアと呼ばれるようになっています。
オルレアの花言葉

オルレアの花言葉は、「可憐な心」「静寂」「細やかな愛情」など。ピュアホワイトの花色や、レースのように繊細な花姿からイメージされたものといわれています。
オルレアの開花時期、見頃

オルレアの開花時期は、5〜6月頃です。ライフサイクルは以下の通り。9月下旬〜10月中旬にタネを播くと、1週間ほどで発芽します。そのまま育苗すると、ロゼット化してタンポポのように葉を地面に這わせたまま越冬。翌春の生育期になると茎葉が立ち上がって旺盛に生育し、初夏に開花します。日本の夏の暑さには耐えきれず、夏には枯死してしまいます。ただし、本来は多年草なので、夏も涼しい寒冷地では越年するようです。
オルレアはナチュラルガーデンにおすすめ
少しの風でもふわふわと揺れる繊細な草姿のオルレアは、ナチュラルガーデンには欠かせない存在です。野趣感あふれるナチュラルガーデンを目指すなら、ぜひオルレアに注目してください。
ナチュラルガーデンとは

ナチュラルガーデンとは、自然な様相で草花が咲き揃って互いに調和するガーデンスタイルのこと。カラフルな一年草で幾何学模様や縞模様などを作る整形式花壇とは対照的に、自然な咲き姿を生かして草花同士を組み合わせます。プラスチック製品などの石油由来のアイテムを用いず、レンガや石材、ウッドなどの天然素材を用いると、より自然な表情にまとまりやすくなります。
ナチュラルガーデンで活躍するオルレア

ナチュラルガーデンといっても、むやみやたらに植えればいいというわけでもなく、開花期を揃えたり、花色をコーディネートしたり、草丈による高低差をつけたりと、さまざまな草花を組み合わせて庭にハーモニーをもたらす工夫が必要です。そこで重宝するのが、われらがオルレア。なぜなら白い花は、どんな草花とも調和しやすいからです。しかもオルレアのレースのような繊細な雰囲気の花は、主張しすぎず個性のある花々のつなぎ役として重宝します。草丈は60cm前後なので、丈の高い植物と低い植物の間を埋める役割にもなってくれるでしょう。ナチュラルガーデンを構成する主要アイテムとして、ぜひオルレアを取り入れてみてください。
オルレアの育て方
ここまで、オルレアの特性や品種、ライフサイクル、庭での生かし方などについてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、オルレアの育て方について解説していきましょう。苗の植え付けからスタートし、水やりや肥料、花がら摘みなどの日頃の管理、病害虫対策、増やし方まで、分かりやすくご案内します。
栽培環境

日当たりがよく、風通しのよい場所を好みますが、明るい半日陰でも育ちます。土質を選ぶことなく、乾燥しやすい場所でもよく耐える丈夫な性質です。
寒さには比較的強いほうで、暖地なら地植えして越冬できます。本来は多年草ですが、日本の夏の高温多湿には弱く、夏越しできずにライフサイクルを終えて枯死してしまいます。寒冷地では越年して毎年咲くこともあるようです。
土作り

【地植え】
植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきましょう。有機質資材などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。
植え付け

オルレアの苗を購入する際は、節間が間のびしておらず、がっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。苗の植え付けの適期は、3月頃です。この時期以外に花苗店で苗を購入した際は、早めに定植しましょう。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、オルレアの苗をポットから出して根鉢を崩さずに植え付けます。複数の苗を植える場合は、40〜50cmの間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。
【鉢植え】
鉢のサイズは、7〜8号鉢を準備します。
用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットのまま鉢に仮置きし、高さを決めます。ポットからオルレアの苗を出し、根鉢を崩さずに植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。
水やり

株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、ジョウロのはす口をはずして、株元の地面を狙って与えてください。
【地植え】
植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、毎日決まった分量の水やりをすればいいというものではありません。動物が毎日の食事が必要なのとは違って、植物は適した水分量を保つことが大切なのです。乾きすぎるとしおれてしまいますし、反対に常にジメジメと湿った状態にしておくと、病気が発生したり株が弱ったりします。土が乾くタイミングは、季節や天候によっても異なるので、まずは土や株の状態を観察しましょう。土の表面が白く乾いていたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。「株の状態を見て」と書きましたが、水分が足りていれば茎葉は勢いよく隅々までピンと伸びています。もしも茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
肥料

【地植え】
植え付け時に十分な土作りをしていれば、追肥は不要です。多肥にすると茎葉ばかりが勢いよく茂って、花数が少なくなるので注意します。株の勢いがないようであれば、速効性のある液肥を与えて様子を見てください。
【鉢植え】
開花期には液肥を月に2回ほど与えて、株の勢いを保ちましょう。
花がら摘み

オルレアの終わった花は、早めに花茎の元から摘み取りましょう。株周りを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、タネをつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。
タネの採取

オルレアは容易に種まきから栽培でき、こぼれダネでもよく増えます。タネを採取する場合は、花が終わった後、花がらを摘まずにそのままにしておき、タネをつくらせましょう。タネを採取したら密閉袋に入れて保存しておき、適期に播きます。毎年開花を楽しめるので、大変コストパフォーマンスが高い草花だといえますね。
増やし方

オルレアは、種まきをして増やします。種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。秋にタネを播いて越年させると、春から夏にかけて開花します。冬の寒さを経験させると、生育期にはスイッチが入ったように旺盛に生育し始め、苗の植え付けからスタートするよりも株に勢いが出るメリットがあります。敷地が広く、たくさんの苗を植え付けたい場合は、コストカットにもなりますね。
オルレアの種まきの適期は、9月下旬〜10月中旬です。庭に直まきしても、ポットに播いて育苗してもかまいません。
【直まき】
植えたい場所に2〜3粒ずつ播いて薄く覆土し、水やりをしておきます。タネ同士の間隔は、40〜50cmほどあけておきましょう。10日ほど経つと、細長い双葉が揃います。さらに本葉が出揃った頃に勢いのある苗を1本残し、徒長していたり虫に食われたりしている苗を間引きます。冬の間は地面を這うようにして葉を放射状に伸ばすロゼット状態で越年します。寒さに大変強く、霜が降りても弱ることはありません。春になって暖かくなると、茎葉が立ち上がってきて旺盛に生育し始めます。
【ポットまき】
黒ポットに2〜3粒ずつタネを播き、薄く覆土し、水やりをしておきます。10日ほど経つと、細長い双葉が出揃います。さらに本葉が出揃った頃に勢いのある苗を1本残し、徒長していたり虫に食われたりしている苗を間引きます。本葉が数枚ついたら、植えたい場所に根鉢を崩さずに定植します。複数植える場合は、株の間隔は40〜50cmほどあけておきましょう。
オルレアは、こぼれダネでもどんどん増える強健な性質を持っています。「まさかこんなところから芽を出すなんて!?」と驚くことも。生命力が強すぎて、あちこちから芽を出して庭の他の草花との調和を乱してしまうこともあります。とはいえ、間引くのは簡単なので、邪魔になっているものは抜き取って処分するか、調和を乱さない場所に移植するとよいでしょう。オルレアはそのナチュラルな草姿から、こぼれダネで増える姿も絵になるので、あまり憎まれることはないようです。
病害虫

【病気】
オルレアの栽培で注意したい病気は、うどんこ病です。
うどんこ病は、葉の表面に白い粉が吹いたようなカビが発生し、光合成を阻害されたり、葉から養分を吸収されたりして、生育が悪くなります。放任してひどくなると枯れてしまうこともあるので注意。株の勢いがなくなり、見た目も悪くなってしまうので、兆候が見られたら早期に殺菌剤などを散布して対処しましょう。
【害虫】
オルレアの栽培で注意したい病気は、アブラムシ、ヨトウムシなどです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目にも悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落とすなどして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の薬剤を利用するのがおすすめです。
ヨトウムシはヨトウガの幼虫ですが極めて食欲旺盛で、一晩のうちに花や葉を食い荒らすことがあります。「夜盗虫」と漢字で書く通り、夜に活動する性質を持っています。葉や花に穴があいているのを見つけたら、夜にパトロールして捕殺するか、早いうちに適応する薬剤を散布して防除しましょう。
オルレアを育てて美しい庭をつくろう!

ここまで、オルレアの特性や魅力、ガーデンでの生かし方、育て方など多岐にわたってご紹介してきました。レースのような優しい雰囲気の花姿は、どんな草花とも相性よくまとまります。花つきもよく、インテリアに飾っても素敵です。生命力が強く、メンテナンスの手間もかからないので、ぜひ庭に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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