カレンデュラの育て方を徹底解説! 基本情報から主な品種までご紹介
オレンジや黄色のカラフルな花を咲かせるカレンデュラをご存じでしょうか。可憐な花姿とは裏腹に、こぼれ種で増えるほど強健な性質で、ガーデニングのビギナーでも枯らしてしまう心配のない、おすすめの草花です。この記事では、春に花壇を豊かに彩ってくれるカレンデュラの魅力や性質、品種、詳しい育て方まで、幅広く取り上げていきます。
目次
カレンデュラの基本情報
カレンデュラは、キク科キンセンカ属(カレンデュラ属)の一年草、多年草。日本では一年草として流通しています。原産地は地中海沿岸で、寒さには強い一方で、夏の暑さには弱い性質です。ライフサイクルは短く、一般地では秋に種を播いて冬を越し、春になると開花。高温多湿で厳しい暑さの日本の夏には耐えられず、夏前には枯死してしまいます。
花色はカラフルで、黄色、オレンジ色、クリーム色、複色などがあります。花茎を立ち上げた頂部に花径3〜10cmほどの花を咲かせます。花姿には清楚な一重咲きや、花弁を多数重ねて華やかになる八重咲きがあります。
カレンデュラの草丈は、30〜90cmほど。ずいぶん幅がありますが、これは草丈が高く主に切り花に向く高性種と、草丈が低くコンパクトにまとまる矮性種があるからです。高性種は花壇の中段〜後段に、または樹木や低木と草花をつなぐ役割として利用できます。矮性種は花壇の前面や縁取り、またはコンテナの寄せ植えに使うとよいでしょう。
名前の由来と花言葉
カレンデュラという名前は、学名のCalendula officinalisから。日本では、昔から呼ばれていたキンセンカ(金盞花)のほうが馴染みがあるかもしれませんね。花が黄金色でさかずき(盞)のような形をしていることから、この名前が付けられたとされています。また、ポットマリーゴールドという別名も持っています。
カレンデュラの花言葉は、「別れの悲しみ」「悲嘆」「寂しさ」「失望」など。これは、ギリシャ神話「水の精のクリティは太陽神のアポロンに恋い焦がれていたものの、彼はレウコトエ王女と恋仲にありました。クリティは嫉妬にかられて王女の父にその事実を密告。すると王は怒ってレウコトエ王女を生き埋めにしてしまったのです。9日間も座ったまま虚しい時を過ごすアポロンを見たクリティは、嫉妬によって招いた悲劇に身を恥じ、カレンデュラに姿を変えてしまいました」という悲しい話に由来します。
カレンデュラの主な品種
「まどか」シリーズ
一重咲き、八重咲きのほか、黄色、オリンジ、覆輪の入る複色など、花色や花姿が多様に揃うシリーズ。大変花つきがよく、長期にわたって開花し続けます。草丈は40〜50cmで、株姿も自然にドーム状にこんもりと茂って、よくまとまります。
‘コーヒークリーム’
アプリコット〜クリーム色の花弁で、裏は茶色味を帯びる花色が特徴的。これまでの黄色やオレンジのカラフルな色調のイメージを覆す、シックでアンティークな雰囲気を持っているため、大変人気の高い品種です。草丈は20cmほど。
「エミフル」シリーズ
草丈15〜25cmほどの矮性種で、鉢栽培に利用しやすい草姿です。従来種に比べて節間が短く分岐性に優れ、こんもりとドーム状に茂ります。鮮やかな黄色やオレンジの花色が揃い、花つきがよくたっぷりと咲きます。
カレンデュラの育て方
ここまで、カレンデュラの基本情報や主な品種などについてご紹介してきました。カレンデュラを育ててみたいという意欲が高まってきたのではないでしょうか? では、ここからは実践編として、カレンデュラの育て方について詳しく解説。適した環境や植え付け方、水やりや肥料などの日頃の管理、気をつけたい病害虫など、育て方のポイントを網羅していきます。
栽培環境
日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。日当たりが悪い場所では、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりするので注意。水はけ、水もちのよい土壌を好むので、地植えする場合は植え付け前に有機質資材を投入してよく耕し、ふかふかの土作りをしておくとよいでしょう。
寒さには比較的強いほうで、暖地なら地植えして越冬できます。ただし、霜が降りる環境ではマルチングなどの防寒をしておくとよいでしょう。暑さには弱いので夏越しできず、夏前にライフサイクルを終えて枯死してしまいます。
植え付け
種まきから育てた場合、植え付けの適期は10月〜11月中旬頃です。
ガーデニングビギナーの方なら、フラワーショップで苗を購入して手軽にスタートするのがおすすめです。秋から春先まで苗が出回っているので、入手次第植え付けます。苗を購入する場合は、幼い苗でも節間が短くがっしりとまとまっており、ヒョロヒョロと間のびしていないものを選ぶとよいでしょう。
【地植え】
丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕してふかふかの土を作っておくとよいでしょう。
土作りをしておいた場所に、苗を植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、約20cmの間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。霜が降りる場所や乾燥しやすい場所では、表土にバークチップなどをまいてマルチングをしておくと万全です。
【鉢植え】
草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。鉢の大きさは、入手した苗よりも2回りほど大きいものを準備します。
用意した鉢の底穴にネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。カレンデュラの苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出してみて根が白く回っているようなら、軽く根鉢をくずしてから植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。
水やり
株が蒸れるのを防ぐために、株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えるようにしましょう。
【地植え】
植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。まだ寒い時期はそれほど頻繁に水やりしなくてもよいのですが、暖かい春を迎えてぐんぐん成長し始め、茎葉を広げて多数のつぼみが上がってくるようになると、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチすることが、枯らさないポイントです。
肥料
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元肥
苗を植え付ける際に施す肥料が、元肥です。元肥は苗の初期生育を助け、茎葉をしっかり茂らせることにつながります。
【地植え】
植え付ける前に、腐葉土や堆肥などの有機質肥料を施しておきましょう。
【鉢植え】
鉢植えの場合、市販の培養土の多くは元肥としての成分が含まれていることが多いので、重複を防ぐためにも元肥を施す必要があるかどうか確認しましょう。肥料が配合されていない培養土や、赤玉土や腐葉土などを自身でブレンドした土を使う場合は、緩効性化成肥料を施しておきます。
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追肥
植え付けた苗が順調に生育し、元肥の効き目が切れた頃に与えるのが追肥です。
【地植え】
晩秋〜冬に植え付けた場合は、生育が盛んになる少し前の3月上旬頃に、緩効性化成肥料を施すとよいでしょう。春に植え付けた場合は、元肥を施してあれば十分。あまり与えすぎると、茎葉ばかりが旺盛に茂ってかえって花つきが悪くなることもあるので注意します。ただし、生育が悪いようなら速効性のある液肥を与えて様子を見ましょう。
【鉢植え】
鉢栽培の場合は、水やりとともに肥料成分が流亡しやすいので、追肥をして株の勢いを保つようにします。春から生育が盛んになってきたら、月に1度を目安に緩効性化成肥料を表土にばらまき、軽く土になじませます。もしくは10日に1度を目安に、速効性のある液肥を与えてもよいでしょう。開花期は開花促進の効果がある、リン酸やカリ分などを多く含んだ液肥を選ぶと花つきがよくなります。
花がら摘み
咲き終わった花は、早めに摘み取りましょう。株周りを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも咲き終わった花を残しておくと、タネをつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして長く咲き続けてくれます。
注意したい病害虫
【病気】
カレンデュラに発生しやすい病気は、うどんこ病、炭そ病です。
うどんこ病は、葉の表面に白い粉が吹いたようなカビが発生し、光合成を阻害されたり、葉から養分を吸収されたりして、生育が悪くなります。放任してひどくなると枯れてしまうこともあるので注意。株の勢いがなくなり、見た目も悪いので、兆候が見えたら早期に殺菌剤などを散布して対処しましょう。
炭そ病は、カビが原因で発生する病気で、葉に褐色をした円形の病斑が現れるのが特徴です。比較的気温が高く、雨の多い時期に発生しやすくなります。密植を避け、風通しよく管理するようにしましょう。病気が広がると元に戻るのは難しいので、早期に発見して適応する殺菌剤を散布して防除します。
【害虫】
カレンデュラに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ヨトウムシなどです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目も悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒剤を利用するのがおすすめです。
ヨトウムシはヨトウガの幼虫で、極めて食欲旺盛で、一晩のうちに花や葉を食い荒らすことがあります。「夜盗虫」と漢字で書く通り、夜に活動する性質を持っています。葉や花に穴があいているのを見つけたら、夜にパトロールして捕殺するか、早いうちに適応する薬剤を散布して防除しましょう。
種まきと増やし方
カレンデュラは、ビギナーでも種まきから育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。
カレンデュラの発芽適温は15〜20℃くらい。種まきの適期は、温暖な地域では9月中旬〜10月上旬頃です。寒い地域では、3月上旬〜4月頃に種を播いて、6月下旬〜8月頃に開花させるとよいでしょう。
カレンデュラの種のサイズは1cmほどとやや大きめで、三日月のような形をしています。黒ポットに培養土を入れ、種を1〜2粒ずつ播いて、厚み1cmほど土をかぶせましょう。日除けをした涼しい場所で乾燥しないように管理すると、4〜5日ほどで発芽します。
発芽したら、日の当たる場所で管理しましょう。本葉が1〜2枚出始めたら、勢いがあるほうの苗を残して間引き、1本にします。10日に1度を目安に液肥を与えると、生育がよくなります。本葉が4〜6枚つくまで育苗し、ポットに根が回ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。
こぼれ種で増えるほど強健な性質で、種を採取することも可能です。一通り開花を楽しんだら種をつけさせて、枯れ込んだ頃に三日月状に曲がっている種を採取します。乾燥させたのちに密閉袋に入れて涼しい場所で保存しておき、また秋に種まきのシーズンがやって来たら、播いて育てましょう。
植え替え不要で育てやすいカレンデュラを楽しく育てよう
ライフサイクルの短いカレンデュラは、一年草で越年しないため、植え替えや株分けなどのメンテナンスがかからず、大変育てやすいおすすめの草花です。春にたくさんの花を咲かせて成功体験を味わわせてくれるので、ガーデニング初心者のスタートにはぴったり。ぜひ、育てやすいカレンデュラを庭に取り入れてみてください!
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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