かわいいノースポールの花を育ててみよう! 育成のポイントをご紹介

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ノースポールは春にたっぷりと開花し、主役にも脇役にもなる一年草です。育てやすい草花の一つで、「ビギナーはこの花からスタートするのがおすすめ」と太鼓判を押せるほど。見た目も可愛らしく、次々とつぼみを上げて咲いてくれるので、ガーデニングの成功体験が得られます。この記事では、そんなノースポールのプロフィールや育て方まで、幅広くご紹介していきます。
目次
ノースポールとは
ノースポールは、「初心者向きの草花」の代名詞的な存在です。ここでは、育てやすいノースポールの基本情報について、解説していきます。
ノースポールってどんな花?

ノースポールは、マーガレットを小ぶりにしたような花姿で、花径は2〜3cmほど。白い花弁と中央の黄色い花心のコントラストが美しい花です。一つひとつの花は小さいのですが、花つきがよく、こんもりと茂った株にたっぷりと咲き、見応えがあります。開花期は12〜5月で、長く咲き続けてくれるのも美点です。
ノースポールの基本情報

ノースポールは、キク科フランスギク属(レウカンセマム属)の一年草です。秋または春に種を播き、冬〜初夏まで休むことなく咲き続け、暑くなると夏越しできずに枯死してしまいます。ライフサイクルは半年ほどで、短い期間のうちに生命を終える植物です。
原産地は北アフリカ。寒さには強い性質で、暖地では地植えして越冬できます。一方で、暑さには弱い性質です。草丈は15〜30cmで、花壇の前面または中段向き。他の植物とも組み合わせやすいサイズで、コンテナの寄せ植えにも重宝します。
種類

ノースポールの名前で親しまれていますが、じつはこの名前は種苗会社によって作出された園芸品種名です。本来は「レウカンセマム(クリサンセマム)・パルドサム」といい、学名でLeucanthemum(Chrysanthemum) paludosumと表記します。初心者でも育てやすく、愛らしい‘ノースポール’の品種が大変な人気を博したために、この花の代名詞になったというわけです。ノースポール以外にも、レウカンセマム(クリサンセマム)・パルドサムには、‘スノーランド’という品種もあります。
ノースポールの花言葉

ノースポールの花言葉は、「誠実」「高潔」「冬の足音」など。「誠実」や「高潔」は花のイメージに由来するものと考えられますが、「冬の足音」は冬の初めから開花することにちなんでいます。
ノースポールの育て方
ここまで、ノースポールのプロフィールや種類、花言葉など基本情報についてご紹介してきました。ここからはガーデニングの実践編として、ノースポールの育て方について詳しく解説していきます。種まきや苗の植え付け、水やりや肥料などの日頃の管理、こんもりと茂らせるコツなど、有用な情報満載ですよ!
栽培環境

日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。日当たりが悪い場所では、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりするので注意。水はけ、水もちのよい土壌を好むので、地植えする場合は植え付け前に有機質資材を投入してよく耕し、ふかふかの土作りをしておくとよいでしょう。
寒さには比較的強いほうで、暖地なら地植えして越冬できます。ただし、霜が降りる環境ではマルチングなどの防寒をしておくとよいでしょう。暑さには弱いので夏越しできず、夏前にライフサイクルを終えて枯死してしまいます。
種まき

ノースポールはこぼれ種でも増えるほど強健な性質で、ビギナーでも種まきから育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。
ノースポールの苗は冬から花苗店に出回り始めます。手軽にスタートしたいなら、苗の植え付けからのスタートがおすすめです。「1〜2株あれば十分だから、苗の植え付けから始めたい」という方は、次項に進んでください。
ノースポールの発芽適温は20℃前後。種まきの適期は、一般地では2〜4月か10〜11月頃です。前年の秋に播いておけば、冬の寒さにあうことで丈夫で充実した苗になり、早春から長い期間にわたって花を咲かせるメリットがあります。春になるのを待ってから種まきしてもよく、長い間場所を占領することがないので、小スペースで楽しみたい時には春に種を播いてもOK。寒い地域では、3〜5月頃に種を播いて、6〜7月頃に開花させるとよいでしょう。
種まきの際は、種まき用のトレイに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れ、タネ同士が重ならないようにばらまきします。タネが隠れる程度に土を薄くかけましょう。タネが流れ出すことがないように、トレイより一回り大きな容器に浅く水を張り、トレイをつけて底面から吸水させます。涼しい場所で乾燥しないように管理すると、5〜10日ほどで発芽します。
発芽したら、日当たりがよく、風通しのよい場所で管理しましょう。本葉が2〜3枚出始めたら、黒ポットに植え替えて育苗します。10日に1度を目安に液肥を与えると生育がよくなります。本葉が5〜6枚つくまで管理し、ポットに根が回ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。
土作り

【地植え】
丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土を作っておくとよいでしょう。
【鉢植え】
草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。
苗の植え付け

花苗店で苗を購入する際は、節間が短く茎ががっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。
【地植え】
土作りをしておいた場所に、苗を植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、約20cmの間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。霜が降りる場所や乾燥しやすい場所では、表土にバークチップなどをまいてマルチングをしておくと万全です。
【鉢植え】
鉢の大きさは、入手した苗よりも2回りほど大きいものを準備します。
用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。ノースポールの苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出してみて根が白く回っているようなら、軽く根鉢をくずしてから植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。
水やり

株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。
【地植え】
植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。まだ寒い時期はそれほど頻繁に水やりしなくてもよいのですが、暖かい春を迎えてぐんぐん成長し始め、茎葉を広げて多数のつぼみが上がってくると、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチすることが、枯らさないポイントです。
肥料

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元肥
苗を植え付ける際に施す肥料が、元肥です。元肥は苗の初期生育を助け、茎葉をしっかり茂らせることにつながります。
【地植え】
植え付ける前に、腐葉土や堆肥などの有機質肥料を施しておきましょう。
【鉢植え】
鉢植えの場合、市販の培養土の多くは元肥としての肥料が含まれていることが多いので、重複を防ぐためにも元肥を施す必要があるかどうか確認しましょう。肥料が配合されていない培養土や、赤玉土や腐葉土などを自身でブレンドした土を使う場合は、緩効性化成肥料を施しておきます。
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追肥
植え付けた苗が順調に生育し、元肥の効き目が切れた頃に与えるのが追肥です。
【地植え】
晩秋〜冬に植え付けた場合は、生育が盛んになる少し前の3月上旬頃に、緩効性化成肥料を施すとよいでしょう。春に植え付けた場合は、元肥を施してあれば十分。あまり与えすぎると、茎葉ばかりが旺盛に茂ってかえって花つきが悪くなることもあるので注意します。ただし、生育が悪いようなら速効性のある液肥を与えて様子を見ましょう。
【鉢植え】
鉢栽培の場合は、水やりとともに肥料成分が流亡しやすいので、追肥をして株の勢いを保つようにします。春から生育が盛んになってきたら、月に1度を目安に緩効性化成肥料を表土にばらまき、軽く土になじませます。もしくは10日に1度を目安に、速効性のある液肥を与えてもよいでしょう。開花期は開花促進の効果がある、リン酸やカリ分などを多く含んだ液肥を選ぶと花つきがよくなります。
摘心

植え付け後、幼苗のうちに茎の先端を切り取る「摘心」を繰り返すと、下からわき芽が出てこんもりとした株姿に成長し、花数も多くなります。
花がら摘み
ノースポールは次から次へと花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。株周りを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けくれます。
切り戻し
旺盛に生育し、一通り咲いて草姿が乱れてきたら、草丈の半分くらいまでを目安に全体を刈り込む「切り戻し」をするとよいでしょう。すると株が盛り返して勢いよく生育し、再びたっぷりと咲く花姿を楽しめます。
ただし、遅めに苗を入手して草姿が乱れていない場合には、切り戻さずにそのままにしておいてもかまいません。
病害虫に注意

【病気】
ノースポールに発生しやすい病気は、灰色かび病、立ち枯れ病などです。
灰色かび病は、茎や葉が溶けるように腐っていく病気で、進行すると灰色のカビに覆われてしまいます。株が成長して茎や葉が込み合いすぎているようなら、適宜間引いて風通しをよくし、傷んだ茎葉があれば早めに取り除きます。発生初期にスプレータイプの殺菌剤をかけて防除しましょう。
立ち枯れ病は、根や地際の茎から感染する病気です。だんだん生育が悪くなり、葉が黄色くなって株全体に病気が広がり、やがて腐って枯れてしまいます。発生初期に適応する殺菌剤をかけて防除しましょう。病気が広がるようなら、抜き取って処分します。
【害虫】
ノースポールに発生しやすい害虫は、アブラムシなどです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目にも悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の薬剤を利用するのがおすすめです。
タネの収穫
ノースポールのタネ採りは簡単です。一通り開花を楽しんだ後に株が衰え始めたら、花がら摘みをやめてタネをつけさせます。花が乾いたら花茎を切り取って、花心をほぐしてみると、中からタネが出てきます。ある程度しごいてふるいにかけた後、密閉できる袋に入れて、種まきの適期まで保存しておきましょう。
増やし方
ノースポールは一年草でライフサイクルが短いため、増やし方は種まき一択のみです。方法は「種まき」の項目を参照してください。
ノースポールを育ててガーデニングをもっと楽しく!

この記事では、ノースポールの基本情報や種類、詳しい育て方についてご案内してきました。白×黄色のコントラストが美しい小花が、長い期間にわたってたっぷりと咲いてくれて、ビギナーでも安心して育てられる丈夫な性質が持ち味です。成功体験を得やすいノースポールを、ぜひ庭やベランダに取り入れてはいかがでしょうか?
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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