か細い花穂がそよ風に揺れる姿が優美なガウラは、ナチュラルガーデンの雰囲気づくりにうってつけとして、大変人気があります。そんな繊細な印象とは裏腹に、こぼれ種で増えるほど強健で、手がかからないのでビギナーにおすすめの草花です。この記事では、そんなガウラの魅力や育て方について深く掘り下げていきます。

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ガウラってどんな花?

ガウラの花
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ガウラの開花期は、5〜11月です。花色は白、ピンク、赤、複色があります。花のサイズは1.5cmほど。一つひとつは小さい花ですが、花穂を立ち上げて多数の花をつけて縦の空間を埋めるように咲くので、群植するとダイナミックな景色を作ることができます。また花穂はか細く、少しの風にもゆらゆらと揺れ、楚々とした繊細な雰囲気をもたらしてくれるのが特徴です。また花弁も薄く、長いしべを持っており、蝶が舞っているような姿をしています。花は3日ほどで散ってしまいますが、次々とつぼみを上げるので、長い期間にわたって開花を楽しむことができます。

基本データ

ピンクのガウラ
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ガウラは、アカバナ科ヤマモモソウ属(ガウラ属)の半常緑性多年草です。一度植え付ければ、春から生育し始め、初夏から晩秋にかけて長い間開花し続けます。環境に合えば常緑のまま越冬しますが、寒さで葉を落とすこともあるようです。冬は生育が止まり、越年して春になると目を覚まして生育を始めることを毎年繰り返します。環境に合えば毎年開花してくれる、コストパフォーマンスの高い植物といえるでしょう。

ガウラの原産地は北アメリカ。生育適温は15〜25℃で、暑さにも寒さにも強く、マイナス10℃でも耐えるとされています(一部品種を除く)。こぼれ種でも増えるほど強健な性質で、手をかけずともよく育つのでビギナーにおすすめの植物です。

ガウラの草丈は30〜150cmくらい。以前は100〜150cmの高性種がメインでしたが、品種改良が進んで30〜50cmほどの矮性種も出回るようになっています。ガウラは草丈が高くなるので、花壇の中〜後段に向いています。また少しの風にもゆらゆらと揺られる、たおやかな雰囲気が魅力で、ナチュラルガーデンの演出に向いています。前述のようにこぼれダネでも増える強健な性質であることから、環境に合うと繁殖しすぎるきらいもあるので、その時は抜き取って全体の調和を図るとよいでしょう。

品種

ガウラの品種
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高性種で100〜120cmになる‘ソー ホワイト’はピュアホワイトの花色が魅力で、一般的には赤みを帯びるガクやつぼみも白く、大変清楚な印象を与えてくれます。直立して倒れにくいのも美点。草丈100cmの‘小紅’は濃いめのピンクの花が目を引きます。草丈100cmほどになる白花の‘マイ メロディ’は、葉にクリーム色の斑が入るので、カラーリーフとしても活躍。

矮性種では、草丈25〜40cmで赤みの出ない緑葉に純白の花が咲く‘イノセントフェアリー’、草丈40cmほどで白花にピンクの縁取りが入る‘サマー エモーション’、草丈40cmでブロンズ色の葉が美しい‘フェアリーズソング’などがおすすめです。

花言葉・名前の由来

ガウラ
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ガウラの花言葉には、「清楚」「負けず嫌い」「我慢できない」「行きずりの恋」などがあります。「清楚」はそのまま花のイメージからつけられたのでしょう。「負けず嫌い」「我慢できない」は、たくさんの花を鈴なりにつけ、他の草花と競って負けない美しさを発揮させることから。「行きずりの恋」は、4枚の薄い花弁と長いしべを持つ蝶に似た花姿からイメージしたものです。花から花へとわたる、移り気な恋を連想したものと考えられます。

ガウラの花名の由来は、ギリシア語の「ガウロス」から。「華麗な」「堂々とした」という意味を持ち、これも多数に花を咲かせる花姿から名付けられたものです。一方、和名では「ハクチョウソウ(白蝶草)」と呼ばれており、これは白い蝶の優美な姿を連想したものとされています。

育て方

ここまで、ガウラの基本データや品種、花言葉などについて、幅広くご紹介してきました。ガーデンで楚々とした魅力を放つ、ガウラを育ててみたくなってきたのではないでしょうか。ここからは、ガーデニングの実践編として、適した栽培環境や植え付け方、水やりや肥料などの日頃の管理、摘心や花がら摘み、切り戻しなど美しい草姿に仕上げるテクニック、増やし方や病害虫対策など、詳しく解説していきます。

栽培環境

ガウラ
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ガウラは日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。明るい半日陰でも生育しますが、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりします。また、土壌は水はけ、水もちのよい環境を好みます。

寒さや暑さには比較的強いほうで(一部半耐寒性品種を除く)、暖地なら一年を通して戸外で管理できます。

用土

土
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【庭植え】

植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきましょう。土に土壌改良資材や肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

植え付け・植え替え

ガーデニング
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植え付けの適期は温暖地で4〜6月頃です。フラワーショップで苗を購入してスタートする場合は、入手次第植え付けます。

【庭植え】

土づくりをしておいた場所に、ポットから苗を出して植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、30〜40cmの間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。

【鉢植え】

鉢の大きさは、入手した苗の2回りほど大きい鉢を準備します。鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。ガウラの苗を鉢に仮置きして高さを決めてから、根を傷めないように苗をポットから出して植え付けます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

水やり

水やり
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株が蒸れるのを防ぐために、茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏に水やりする場合は、気温が上がっている昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになってしまいます。すると株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬に水やりする際は、夕方に水やりをするとその後どんどん気温が下がって凍結する場合があり、植物にダメージを与えることがあります。十分気温が上がってきた昼間に水やりすることがポイントです。

【地植え】

根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
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ビギナーの場合、緩効性化成肥料と速効性のある液肥を常備しておくのがおすすめです。植物への汎用性が高く、においがしないため扱いやすいのがメリット。開花期に与える液肥は、開花促進を目的とした成分配合の製品を選ぶのがおすすめです。

【庭植え】

やせ地でも育つほど強健な性質なので、庭植えの場合は植え付け時に十分な土づくりをしておけば、肥料は不要です。

【鉢栽培】

4〜6月と9〜10月に緩効性化成肥料を株の周囲にまいて、株の勢いを保ちましょう。花茎が上がってきた頃から開花が終わるまで、2週間に1度を目安に液肥を与えると、次から次へつぼみが上がってきます。

摘心

園芸バサミ
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「摘心」とは、「芯摘み」「ピンチ」ともいい、苗が幼いうちに、最先端の芽を摘み取る作業のことをいいます。すると摘み取った芽の下の葉からわき芽が出て、枝数を増えるのです。この「摘心」を何度か繰り返すことで、枝数が増えてこんもりと茂り、草丈も抑えられて充実した株になりますよ!

花がら摘み

開花期間が長いので、終わった花は早めに取り除きましょう。花穂の頂部まで咲き終えた花茎は、元から切り取ります。

花がらを処分して株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして長く咲き続けてくれます。

病害虫

アブラムシ
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【病気】

灰色かび病が発生することがあります。灰色かび病は、花や葉に発生しやすい病気で、褐色の斑点ができ灰色のカビが広がっていきます。多湿で風通しが悪く込み合いすぎていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなります。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合いすぎている場合は間引いて風通しよく管理しましょう。

【害虫】

アブラムシの発生に注意。アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついてしまうほどに。植物の茎葉について吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目にも不愉快なので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒剤を利用するのがおすすめです。

植え替え

植え替え
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【庭植え】

基本的に植え替えは不要です。しかし数年経って大株に育ち、窮屈そうになっていたら掘り上げて株分けし、植え直すとよいでしょう。

【鉢植え】

生育が旺盛で根詰まりしやすいので、1年に1度は植え替えましょう。植え替えの適期は4〜6月です。鉢から出して根鉢を崩し、古い根は整理して1/3くらいまで小さくして植え直します。

増やし方

種まき
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ガウラは、挿し芽、株分け、種まきで増やすことができます。

【挿し芽】

挿し芽の適期は5月頃です。まず、勢いのある枝葉を約5cmの長さで切り取り、水を張った容器に1時間ほどさして吸水させておきましょう。市販の草花用培養土を育苗用トレイなどに入れて、採取した枝葉(挿し穂)を挿します。摘芯したり、切り戻して切り取った茎葉を使ってもOKです。水切れしないように管理すると、しばらくして発根するので、黒ポットなどに植え替えて育苗しましょう。株が大きくなったら、植えたい場所に定植します。さし木のメリットは、採取した株のクローンになることです。

【株分け】

株分けの適期は、3月頃です。大株に育っていたら株を掘り上げ、2〜3芽つけて根を切り分ける株分けをすると株が若返ってその後の生育がよくなります。株数が増える分、数カ所に場所を分けて植え込んでもいいですね。新しい植え場所に根鉢よりひと周り大きな穴を掘り、腐葉土をすき込んで水はけをよくしておきます。元肥として緩効性化成肥料を散布して、スコップなどで用土によく混ぜ込んでから植え直すとよいでしょう。

【種まき】

種まきの適期は5月頃です。こぼれ種で増えるほど丈夫なので育苗の必要はなく、花壇や鉢に直接まいて、薄く土をかぶせればOK。込み合っている部分があれば適宜間引き、バランスのよい株間を取って育成します。

綺麗なガウラを育てよう!

ガウラ
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蝶に似た花を多数咲かせるガウラは、楚々とした風情が魅力の草花です。ここまで、ガウラのプロフィールや特性、品種、花言葉、詳しい育て方まで、多面的にご紹介してきました。放任してもよく育ち、初夏から晩秋まで長く咲き続けるのがいいですね。ぜひガーデンに取り入れて、ナチュラルな花姿を楽しんではいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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