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初夏から晩秋まで開花が長い! ガウラの育て方・剪定方法や花言葉は?

初夏から晩秋まで開花が長い! ガウラの育て方・剪定方法や花言葉は?

fotografiko eugen/shutterstock.com

蝶のような花がそよ風に揺れるガウラは、ナチュラルガーデンの雰囲気づくりにもピッタリの宿根草です。開花期間も初夏から晩秋までと長く、優美な姿からも人気を集めていますが、繊細な印象とは裏腹に、こぼれ種で増えるほど強健で手がかからない、ビギナーにおすすめの草花です。そんなガウラの魅力や育て方について深く掘り下げてご紹介します。

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ガウラの基本情報

ガウラの花
zzz555zzz/Shutterstock.com

植物名:ガウラ
学名:Gaura lindheimeri
英名:White guara、Bee blossom
和名:ヤマモモソウ(山桃草)
その他の名前:ハクチョウソウ(白蝶草)
科名:アカバナ科
属名:ヤマモモソウ(ガウラ)属
原産地:北アメリカ
分類:宿根草(多年草)

ガウラは、アカバナ科ヤマモモソウ(ガウラ)属の半常緑性多年草。初夏から晩秋にかけて長い間咲き継ぎ、環境に合えば常緑のまま越冬しますが、寒さで葉を落とすこともあるようです。冬は生育が止まり、越年して春になると目を覚まして、また生育を始めます。一度植え付ければこれを毎年繰り返す、コストパフォーマンスの高い植物です。

ガウラの原産地は北アメリカ。生育適温は15〜25℃で、暑さにも寒さにも強く、マイナス10℃でも耐えるとされています(一部品種を除く)。こぼれ種でも増えるほど強健な性質で、手をかけなくてもよく育つので、ビギナーにおすすめの植物です。

ガウラ
InfoFlowersPlants/shutterstock.com

草丈は30〜150cmくらい。以前は100〜150cmの高性種がメインでしたが、品種改良が進んで30〜50cmほどの矮性種(コンパクトガウラとも)も出回るようになっています。少しの風にもゆらゆらと揺れる、たおやかな雰囲気が魅力で、花壇なら前面に枝垂れて咲く姿を生かしたり、ナチュラルガーデンに混植しても馴染みやすく、使いやすい宿根草といえます。前述のように、こぼれダネでも増える強健な性質であることから、環境に合うと繁殖しすぎることも。その時は抜き取って全体の調和を図るとよいでしょう。

ガウラの花や葉の特徴

ピンクのガウラ
Olivier Tabary/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:5〜11月
草丈:30〜150cm
耐寒性:強い(半耐寒性の品種もあり)
耐暑性:強い
花色:白、ピンク、赤、複色

ガウラの開花期は、5〜11月。花色は白、ピンク、赤、複色があります。花径は1.5cmほど。一つひとつは小さい花ですが、花穂を立ち上げて多数の花が縦の空間を埋めるように咲くので、群植するとダイナミックな景色を作ることができます。花穂はか細く、少しの風にもゆらゆらと揺れ、楚々とした繊細な雰囲気。薄い花弁から長いしべを伸ばした姿は、蝶が舞っているようにも見えます。花は3日ほどで散ってしまいますが、次々とつぼみを上げるので、長い期間にわたって開花を楽しむことができます。

ガウラの名前の由来や花言葉

ガウラ
Landrausch/Shutterstock.com

ガウラの花名の由来は、ギリシア語の「ガウロス」から。「華麗な」「堂々とした」という意味を持ち、これも多数の花を咲かせる花姿から名付けられたものです。一方、和名では「ハクチョウソウ(白蝶草)」と呼ばれており、これは白い蝶の優美な姿を連想したものとされています。

ガウラの花言葉は、「清楚」「負けず嫌い」「我慢できない」「行きずりの恋」など。「清楚」は、そのまま花のイメージからつけられたのでしょう。「負けず嫌い」「我慢できない」は、たくさんの花を鈴なりにつけ、他の草花と競っても負けない美しさを発揮することから。「行きずりの恋」は、蝶に似た花姿から、花から花へとわたる、移り気な恋を連想したものと考えられます。

ガウラの代表的な品種

ガウラの品種
footageclips/Shutterstock.com

‘ソーホワイト’(高性種)

草丈100〜120cmになる‘ソーホワイト’はピュアホワイトの花色が魅力で、一般的には赤みを帯びるガクやつぼみも白く、清楚な印象を与えてくれます。直立して倒れにくいのも美点。

‘小紅’(高性種)

草丈100cmほどの‘小紅’は濃いめのピンクの花が目を引きます。

‘マイメロディ’(高性種)

草丈100cmほどになる白花の‘マイメロディ’は、葉にクリーム色の斑が入るので、カラーリーフとしても活躍します。

‘あけぼの’(高性種)

花弁は白とピンクの絞り模様が入る2色咲きで、草丈は60〜100cmほどまで成長します。

‘イノセントフェアリー’(矮性種)

草丈25〜40cmほどで、赤みの出ない緑葉に純白の花が咲く品種。

‘サマーエモーション’(矮性種)

草丈40cmほどで、白花にピンクの縁取りが入る品種。

‘フェアリーズソング’(矮性種)

草丈40cmほどで、ブロンズ色の葉が美しい品種。

‘ガウディ’(矮性種)

草丈35cmほどで、はっきりとした濃いピンクの花が特徴的な品種。

‘リリポップピンク’(矮性種)

草丈20~30cmほどでピンクの花を咲かせる、植物の国際ブランド「PW」の品種。

ガウラの栽培12カ月カレンダー

開花時期:5〜11月
植え付け時期:4〜6月頃
肥料(鉢植え):4〜6月、9〜10月
植え替え時期(鉢植え):4〜6月

ガウラの栽培環境

ガウラ
Ancha Chiangmai/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】ガウラは日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。明るい半日陰でも生育しますが、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりします。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。

【置き場所】土壌は水はけのよい環境を好みます。乾燥気味の痩せた土地のほうが草姿がまとまるので、特に水やりの必要はありません。根が張ればかなりの乾燥にも耐え、大きく茂りやすいので、かえって乾燥しやすいやせ地のほうがバランスよく育ちます。

耐暑性・耐寒性

暑さに強く、夏越しは特別な作業はありません。品種によって、夏の直射日光に晒されると花色が薄くなることがあるため、気になる場合は真夏は半日陰で育てるとよいでしょう。

比較的寒さに強いほうで(一部半耐寒性品種を除く)、暖地なら一年を通して屋外で管理できます。鉢植えの場合、寒冷地では冬場は室内や軒下に移して管理するとよいでしょう。

ガウラの育て方のポイント

ガウラ
Landrausch/Shutterstock.com

ここまで、ガウラの基本データや品種、花言葉などについて、幅広くご紹介しました。ガーデンで楚々とした魅力を発揮させてみたくなってきたのではないでしょうか。ここからは、ガーデニングの実践編として、適した栽培環境や植え付け方、水やりや肥料などの日頃の管理、摘心や花がら摘み、切り戻しなど、美しい草姿に仕上げるテクニック、病害虫対策や増やし方など、詳しく解説します。

用土

土
funnyangel/Shutterstock.com

【地植え】

植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕してふかふかの土を作っておきましょう。土壌改良資材や肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

草花用に配合された培養土を利用すると便利です。

水やり

水やり
wavebreakmedia/Shutterstock.com

株が蒸れるのを防ぐために、茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えます。

真夏は、気温の高い昼間に行うと、すぐにぬるま湯になり、株が弱ってしまいます。朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬は、夕方に水やりをすると、その後どんどん気温が下がって凍結する場合があります。植物にダメージを与えないよう、十分気温が上がってきた昼間に水やりすることがポイントです。

【地植え】

根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチすることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
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ビギナーの場合、緩効性化成肥料と速効性のある液肥を常備しておくとよいでしょう。植物への汎用性が高く、においがしないため扱いやすいのがメリット。開花期に与える液肥は、開花促進を目的とした成分配合の製品を選ぶのがおすすめです。

【地植え】

やせ地でも育つほど強健な性質なので、地植えの場合は植え付け時に十分な土作りをしておけば、肥料は不要です。

【鉢植え】

4〜6月と9〜10月に緩効性化成肥料を株の周囲にまいて、株の勢いを保ちましょう。花茎が上がってきた頃から開花が終わるまで、2週間に1度を目安に液肥を与えると、次から次につぼみが上がってきます。

注意する病害虫

アブラムシ
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【病気】

灰色かび病が発生することがあります。花や葉に発生しやすい病気で、褐色の斑点ができ、灰色のカビが広がっていきます。多湿で込み合いすぎていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなります。花がらはこまめに摘み取り、茎葉は適宜間引いて風通しよく管理しましょう。

【害虫】

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目も悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじき落としたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒剤を利用するのがおすすめです。

ガウラの詳しい育て方

ここからは、実際にガウラを育て始める際に知っておきたい苗の選び方や植え付け方法、花がら摘みや剪定といった日々のお手入れ、長く楽しむためのガウラの増やし方などを解説します。

苗の選び方

茎がしっかりと力強く、葉に傷みがなく葉色が青々ときれいなものを選びましょう。

植え付け

ガーデニング
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植え付けの適期は温暖地で4〜6月頃です。園芸店で苗を購入してスタートする場合は、手に入り次第植え付けます。高性種は横にも広がるので、植え付ける際はある程度スペースを確保するようにしましょう。

【地植え】

土作りをしておいた場所に、ポットから苗を出して植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、30〜40cmの間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。

【鉢植え】

鉢の大きさは、入手した苗の2回りほど大きいものを準備します。鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。ガウラの苗を鉢に仮置きして高さを決めてから、根を傷めないように苗をポットから出して植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

摘心

園芸バサミ
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「摘心(摘芯とも)」とは、「芯摘み」「ピンチ」ともいい、苗の最先端の芽を摘み取る作業のことをいいます。すると摘み取った芽の下の葉からわき芽が出て、枝数を増えるのです。この「摘心」を何度か繰り返すことでこんもりと茂り、草丈も抑えられて充実した株になりますよ。

花がら摘み

開花期間が長いので、終わった花は早めに取り除きましょう。花穂の頂部まで咲き終えた花茎は、元から切り取ります。

花がらを処分して株周りを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなるので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして長く咲き続けてくれます。

種まき

種まきの適期は5月頃です。こぼれ種で増えるほど丈夫なので育苗の必要はなく、花壇や鉢に直接播いて、薄く土をかぶせればOK。込み合っている部分があれば適宜間引き、バランスのよい株間を取って育成します。

支柱立て

高性種は成長すると倒れやすく、姿も乱れがちになるので、支柱を立てるとよいでしょう。

剪定・切り戻し

生育期に株が込み合い、風通しが悪くなると、蒸れて枯れ上がってきたり、病気にかかりやすくなったりするので注意。一通り花が咲いて草姿が乱れてきたら、草丈の半分~1/3くらいまでを目安に、切り戻してスッキリとさせましょう。すると再び枝葉を伸ばして、つぼみを上げてきます。

また、冬前には地際から10cmほどのところで刈り取り、冬越しさせます。

植え替え・鉢替え

植え替え
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【地植え】

基本的に植え替えは不要です。しかし数年経って大株に育ち、窮屈そうになっていたら掘り上げて株分けし、植え直すとよいでしょう。

【鉢植え】

生育が旺盛で根詰まりしやすいので、1年に1度は植え替えましょう。植え替えの適期は4〜6月です。鉢から出して根鉢を崩し、古い根は整理して1/3くらいまで小さくして植え直します。

夏越し

耐暑性に優れ、夏越しは特別な作業はありません。ただし、品種によって夏の直射日光に晒されると花色が薄くなることがあるため、気になる場合は真夏は半日陰で育てるとよいでしょう。

冬越し

比較的耐暑性があり、暖地なら一年を通して屋外で管理できます。冬前には地際から10cmほどのところで刈り取り、冬越しさせます。

北海道などの寒冷地では、地植えであれば冬越しが可能です。鉢植えの場合は屋内や軒下に移して管理するとよいでしょう。

増やし方

種まき
Vladyslav Lehir/Shutterstock.com

ガウラは、挿し芽、株分け、種まきで増やすことができます。

【挿し芽(挿し木)】

挿し芽(挿し木とも)の適期は5月頃です。まず、勢いのある枝葉を約5cmの長さで切り取り、水を張った容器に1時間ほどつけて吸水させておきます。市販の草花用培養土を育苗用トレイなどに入れて、採取した枝葉(挿し穂)を挿します。摘心や切り戻しをした茎葉を使ってもOKです。水切れしないように管理すると、しばらくして発根するので、黒ポットなどに植え替えて育苗しましょう。株が大きくなったら、植えたい場所に定植します。挿し木のメリットは、採取した株のクローンになることです。

【株分け】

株分けの適期は、3月頃です。大株に育っていたら株を掘り上げ、2〜3芽つけて根を切り分けると、株が若返ってその後の生育がよくなります。株数が増える分、数カ所に植え直してもいいですね。新しい植え場所に根鉢より一回り大きな穴を掘り、腐葉土をすき込んで水はけをよくしておきます。元肥として緩効性化成肥料を用土によく混ぜ込んでから植え直すとよいでしょう。

【種まき】

ガウラは発芽率が高く、こぼれ種でも発芽します。ただし品種によっては種子ができにくいこともあるので、その場合は挿し芽や株分けで増やしましょう。

4〜5月、もしくは9〜10月に種まきを行います。晩秋に種まきをすると、次の年の春に花を咲かせます。

楚々とした繊細な雰囲気が魅力のガウラを育てよう!

ガウラ
Tagetes/Shutterstock.com

ガウラは蝶に似た花を多数咲かせ、楚々とした風情が魅力の草花です。高性種は花壇なら中〜後段に向き、ナチュラルな雰囲気づくりに一役買ってくれ、矮性種は低い位置で花を咲かせて花壇の縁取りや寄せ植えにも活躍するなど、ガウラは品種によって鉢植え・庭植えの両方で楽しむことができます。ぜひここでご紹介したガウラの育て方を参考に、あなたも庭に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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