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美しいキンギョソウを育てよう! その魅力から知っておきたいコツまで大公開

美しいキンギョソウを育てよう! その魅力から知っておきたいコツまで大公開

Victoria Kurylo/Shutterstock.com

ひらひらと舞うように泳ぐ金魚のような姿の花、キンギョソウのことをご存じでしょうか? 花茎を立ち上げて多数の花を鈴なりに咲かせる姿はとても豪華で、開花期には庭の主役として存在感をアピールしてくれます。丈夫で育てやすいので、ビギナーにもおすすめ。この記事では、キンギョソウのプロフィールや特性、品種、育て方について掘り下げていきます。

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キンギョソウについて知ろう

キンギョソウという名前を聞いても、どんな花を咲かせるのかイメージがわかないビギナーさんに向けて、基本情報を幅広くご紹介していきます。きっと育ててみたくなりますよ!

キンギョソウってどんな花?

キンギョソウ
PixHound/Shutterstock.com

キンギョソウは、品種によって開花期が異なりますが、春の4〜6月頃が一番の見頃となります。花色は赤、ピンク、オレンジ、黄色、白、ワインレッド、複色咲きなどで、その色の濃淡にも幅があります。優しい香りも美点の一つ。人気の高い花だけに品種は多様で、咲き姿もさまざま。基本的には花穂を立ち上げて、下から金魚を連想させるふっくらとした花が咲き上がっていきます。花穂を覆うように鈴なりに花がつき、ダイナミックな花姿が魅力です。1つの株から多くの花茎が立ち上がるので、1株植えるだけでも見応えがありますが、群植させるとより豪華な雰囲気を作り出すことができます。庭植えにも鉢植えにもよく、切り花にしてもインテリアを豊かに彩ってくれます。

キンギョソウの基本データ

キンギョソウ
Phollapat.cheechang/Shutterstock.com

キンギョソウは、オオバコ科キンギョソウ属(アンティリナム属)の草花です。原産地は地中海沿岸で、現地では一度植え付ければ、越年して毎年開花する多年草に分類されていますが、日本では高温多湿の夏を乗り切ることは難しいため、一年草として流通しています。一方で、寒さには強いのが特徴です。マイナス5℃まで耐えるので、温暖地なら地植えのままで冬越しできます。環境に合えば、あまり手をかけなくてもよく育ち、ビギナーにもおすすめの草花です。

キンギョソウは草丈が20〜120cmと幅広いのが特徴。品種が多様で、草丈20〜30cmでコンパクトにまとまるミニサイズから、1m以上に達する高性種、その中間種があります。花壇の大きさや組み合わせる植物によって、草丈をチェックして購入するとよいでしょう。

花言葉・花名の由来

キンギョソウ
peerayut phuttha/Shutterstock.com

キンギョソウの花言葉は「おしゃべり」「でしゃばり」「おせっかい」など。金魚が口をパクパクさせて泳いでいる姿から連想されたのかもしれませんね。英語の花言葉には「上品さ」「優雅さ」「ごまかし」などがあります。

キンギョソウは「金魚草」と書き、文字通り金魚がひらひらと尾ひれを優雅に揺らして泳ぐ姿を花姿に重ねて名付けられたものです。英名のスナップドラゴン(Snapdragon)は「かみつきドラゴン」という意味で、竜がかみついたような花姿をしているからとされています。

キンギョソウの品種

キンギョソウ
Dina da/Shutterstock.com

茎が硬くて曲がりにくく、ほぼ垂直に立ち上がる「F1レジェ系」は、70〜100cmになる高性種で、切り花としても楽しめます。花色が豊富に揃う「F1カリヨン系」は、高性でベル咲きになるのが特徴。草丈40〜50cmの中矮性の「F1ソルティス系」は育てやすいシリーズです。草丈が20〜30cmの矮性種では「F1パレット系」が育てやすく、同じく矮性種の「F1ツィーニー系」は個性的なセミダブル咲きで、目を引きます。

栽培スケジュール

キンギョソウ
pilialoha/Shutterstock.com

暖地では、10月頃にタネを播いて育苗し、11月頃に定植。晩秋から春にかけて花苗店に出回る苗を購入して植えてもよいでしょう。越冬した翌春の4〜6月に開花します。日本の高温多湿の夏を乗り切るのは難しく、夏頃には枯死してしまいます。

寒い地域では、3月頃にタネを播いて育苗して定植し、7〜10月頃に開花させます。寒冷地では夏を乗り切り、一度植え付ければ毎年開花するケースもあるようです。

キンギョソウが好む環境

キンギョソウの育て方
ArliftAtoz2205/Shutterstock.com

キンギョソウは、どのような環境の下で健康的に成長するのでしょうか。ここでは、キンギョソウに適した日照条件や、寒さ・暑さに対する耐性、土壌条件などについて、詳しく解説していきます。

栽培環境

キンギョソウは日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。日当たりが悪い場所では、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりします。

寒さには比較的強いほうで、暖地なら地植えして越冬でき、マイナス5℃くらいまで耐えます。それ以下になる環境では、越冬させずに春まで待ってからタネを播くか、苗を植え付けるほうが無難です。

用土

水はけ、水もちのよい、肥沃な土壌を好みます。また、酸性に傾いた土壌を嫌う性質を持っています。

キンギョソウを育てよう

ここまで、キンギョソウのプロフィールや特性、その魅力、花言葉や品種など、幅広くご紹介してきました。ここからは、ガーデニングの実践編として、キンギョソウの育て方について解説していきます。これを読めば、種まきや植え付け、日頃の管理など、注意したいポイントがつかめるはずですよ!

種まき

キンギョソウのタネ
aniana/Shutterstock.com

キンギョソウは、ビギナーでも種まきから育てられます。種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。

フラワーショップなどで花が咲き始めた頃の苗を入手して、手軽に植え付けからスタートしたい場合は、次項へ進んでください。

キンギョソウの発芽適温は15〜20℃くらいです。種まきの適期は、温暖な地域では10月頃。寒い地域では、3月頃にタネを播いて、7〜10月頃に開花させるとよいでしょう。

キンギョウソウはタネが小さく、好光性種子(発芽に光を必要とする性質)なので、種まき用のトレイを準備。トレイに市販の草花用の培養土を入れ、タネを播きます。土をかぶせず、涼しい半日陰などに置きましょう。上から水やりするとタネが流れ出すので、水を張った受け皿の上にトレイを置き、下から吸水させます。発芽まではフレームか室内の窓辺などに置き、乾燥させないようにしましょう。発芽したら受け皿に張っていた水を捨て、日当たりのよい場所に移動して乾燥気味に管理します。数本が込み合っている部分などがあれば抜き取って、間引きながら育成しましょう。もったいないからといって密になっている部分をそのままにしておくと、ヒョロヒョロと間のびした徒長苗になってしまうので、ご注意を。

本葉が2〜4枚ついたら、トレイから抜いて鉢上げします。黒ポットに草花用培養土を入れて、苗を周りの土ごと抜き取って植え付けましょう。キンギョソウは根が傷みやすいので、丁寧に取り扱うことがポイントです。日当たりのよい場所に置き、表土が乾いたら水やりして育成します。多湿になると根の張りが悪くなり、徒長苗になったり、病気が発生したりするので注意。適切な水分管理をすることがポイントです。7〜10日に1度を目安に、液肥を与えて生育を促しましょう。本葉が7〜8枚出揃うのを目安に育苗します。

植え付け

植え付け
OlegDoroshin/Shutterstock.com

秋に種まきして育苗した場合、植え付けの適期は、温暖地で11月頃です。フラワーショップで苗を購入してスタートする場合は、春先まで苗が出回っているので、手に入り次第植え付けます。寒冷地で春に種まきした場合は、5月頃に定植するとよいでしょう。

【地植え】

植え付ける1〜2週間前に、酸性土壌を改善するために苦土石灰をまき、さらに腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕してふかふかの土を作っておくとよいでしょう。土に土壌改良資材や肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

土作りをしておいた場所に、苗を植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、15〜20cmの間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。

【鉢植え】

草花用に配合された培養土を利用すると便利です。鉢の大きさは、入手した苗の2回りほど大きい鉢を準備します。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。キンギョソウの苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出して植え付け、水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

水やり

水やり
cam3957/Shutterstock.com

株が蒸れるのを防ぐために、茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えましょう。

【地植え】

根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理しますが、多湿を嫌う性質なので、水の与えすぎに注意します。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチすることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
Singkham/Shutterstock.com

【地植え】

あまり多肥を好まないため、植え付け時に十分な土づくりをしていれば、肥料は不要です。逆に与えすぎると徒長して軟弱になり、倒れやすく病害虫も発生しやすくなります。

【鉢植え】

晩秋〜冬に植え付けた場合は、生育が盛んになる少し前の3月上旬頃に、緩効性化成肥料を施すとよいでしょう。春に植え付けた場合は、元肥を施してあれば十分です。ただし、生育が悪いようなら速効性のある液肥を与えて様子を見ましょう。

花がら摘み

園芸バサミ
mihalec/Shutterstock.com

開花期間が長いので、終わった花は早めに摘み取りましょう。株周りを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、タネをつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなるので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして長く咲き続けてくれます。

病害虫対策

アブラ虫
nechaevkon/Shutterstock.com

【病気】

キンギョソウは、灰色かび病や立ち枯れ病が発生することがあります。

灰色かび病は花や葉に発生しやすい病気で、はじめは褐色の斑点ができ、次第に灰色のカビが広がっていきます。多湿で風通しが悪かったり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなります。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合わないよう、間引いて風通しよく管理しましょう。

立ち枯れ病は、種まきして育苗している期間に発生することがあるので注意。種まきする場合は、古い土を使い回さずに、新しい培養土を使うと回避できます。

【害虫】

キンギョソウにつきやすい害虫はアブラムシで、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目も悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじき落としたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒剤を利用するのがおすすめです。

増やし方

種まき
Montana Isabella/Shutterstock.com

キンギョソウは、種まきと挿し芽で増やすことができます。種まきは、前述の項目を参照してください。

キンギョソウは、たくさん出てくるわき芽を挿し芽に利用して増やせます。まず、勢いのある茎葉を切り取り、水を張った容器に1時間ほど挿して吸水させておきましょう。市販の草花用培養土を育苗用トレイなどに入れて、採取した枝葉(挿し穂)を挿します。水切れしないように管理すると、しばらくして発根するので、黒ポットなどに植え替えて育苗しましょう。株が大きくなったら、植えたい場所に定植します。挿し芽のメリットは、採取した株のクローンになることです。

キンギョソウを育てて楽しいガーデニングを!

キンギョソウ
Nualanong/Shutterstock.com

花茎を長く立ち上げて次々と咲き進み、ゴージャスな雰囲気をもつキンギョソウ。この記事では、その魅力から特性、品種、詳しい育て方まで、幅広くご紹介してきました。種まきからでも育てやすいので、育苗後にガーデンへたくさん植え付けて、春にはより一層の華やぎをもたらしてはいかがでしょうか?

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