花穂を垂直に立ち上げて、鈴なりに花を咲かせるルピナスをご存じでしょうか。数株まとめて植えると見事な景色を作り出すので、ガーデナーに人気の草花の一つです。この記事では、そんなルピナスの基本情報や魅力、花言葉などから、詳しい育て方まで、幅広くご紹介していきます。

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ルピナスについて知ろう

初夏に花穂をすらりと伸ばしてカラフルな花を密に咲かせるルピナス。その生命力あふれる姿に「元気をもらえる」と感じる方も多いことでしょう。ここでは、そんなルピナスの基本情報についてご紹介していきます。

ルピナスってどんな花?

ルピナスの花
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ルピナスの開花期は、4月下旬〜6月頃。花色は紫、赤、ピンク、オレンジ、黄色、白、複色があります。品種が多様で、色の濃淡の幅が広いのも特徴です。花茎を立ち上げてマメ科の植物らしい花をびっしりと咲かせ、その花穂は60〜70cmにもなります。「昇り藤(のぼりふじ)」の別名の通り、藤の花を逆さにしたような花姿が印象的。縦のラインを強調してガーデンに豪華な華やぎをもたらし、主役を張るインパクトがあります。カラフルでゴージャスな雰囲気から、切り花としても大変人気です。

ルピナスの栽培は、南北アメリカでは約6000年前から、ヨーロッパでは約3000年前から利用されてきた、歴史の古い植物です。日本へは明治頃に食用や緑肥用として伝わったとされ、その後観賞用として流通するようになりました。

基本データ

ルピナスの花
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ルピナスは、マメ科ハウチワマメ属(ルピナス属)で200種以上が確認されており、一年草、二年草、多年草、一部低木があります。「分類が曖昧なのでは?」と混乱してしまうかもしれませんが、これは種類によって性質が多様でライフサイクルが異なっているため。買い求めたルピナスが、どんなライフサイクルを過ごすのか、チェックしておくとよいでしょう。ちなみに、多年草でも暖地では夏越しが難しいため、一年草として扱われることが多いようです。

ルピナスの原産地は北アメリカ、南アフリカ、地中海沿岸で、前述のように寒さに強く、マイナス5℃くらいまでなら地植えして越冬できます。一方で夏の暑さには弱く、25℃になると生育が止まってしまいます。多年草を暖地で夏越しさせたい場合は、鉢上げして涼しい環境で管理するのが得策です。

ルピナスの草丈は20〜150cm。これも種類によって矮性種〜高性種まで揃い、草丈の幅が広いのが特徴です。草丈が低く抑えられた矮性種ならコンテナの寄せ植えに利用できますし、花穂をダイナミックに伸ばす高性種なら花壇の後方に植えて群植させるなど、用途によって選ぶ楽しみがあります。

花言葉と名前の由来

ルピナスの花
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ルピナスの花言葉には、「想像力」「いつも幸せ」「あなたは私の安らぎ」などがあります。古い時代のヨーロッパでは、ルピナスを食べると「心が開放的になる」とか「安らぎを得られる」「想像力が高まる」といった言い伝えがあることから、これらの言葉が与えられたと考えられます。また、「貪欲」という花言葉もあり、原産地では吸肥力が強いことからこの表現が生まれたようです。

名前の由来は諸説あり、ラテン語でオオカミを意味する「ルプス」にちなんでおり、食欲旺盛なオオカミにたとえて吸肥力が強いことを表しているとされています。

日本名には、藤を逆さにしたような咲き姿から「昇り藤」、マメ科の植物でウチワのような葉をもっていることから「葉団扇豆(はうちわまめ)」があります。

主な品種

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ラッセルルピナスは最もポピュラーに出回っており、草丈が100cmほどになる高性種で、花色が多様に揃います。キバナルピナスは、文字通り鮮やかな黄色い花を咲かせ、草丈50〜60cmで花穂も小型。矮性種では、草丈30cm前後ながら華やかさはそのまま発揮する「ミニギャラリー」シリーズ、草丈30〜40cmで楚々とした雰囲気の「ピクシーデライト」シリーズがおすすめです。

美しいルピナスのための環境

ルピナスの花
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ルピナスは日当たりがよく、風通しのよい環境を好みます。半日陰の環境でも育つようですが、日当たりがよいに越したことはありません。

ルピナスは連作を嫌う性質があるので、前年にマメ科の植物を植えていた場所は避けましょう。また酸性に傾いた土壌では育ちにくいため、あらかじめ苦土石灰を散布して土壌改良をしておきます。水はけ、水もちがよい土壌を好むので、同時に腐葉土や堆肥などをすき込んで、有機質に富むフカフカとした土づくりをしておきましょう。

ルピナスは寒さに強く、マイナス5℃までは耐えますが、凍結させないように管理します。株元をバークチップなどで覆い、根を傷めないようにしましょう。また暑さには弱く、25℃以上になると生育が止まるので、暖地では半日陰で風通しがよく涼しい場所で管理するなどの対策が必要です。

ルピナスの育て方

ここまでは、ルピナスのプロフィールや基本的な性質、品種、花言葉など、幅広くご紹介してきました。だんだんルピナスのことが分かってきて「育ててみたいな」と興味をもっていただけたのではないでしょうか。ここからは、ガーデニングの実践編として、ルピナスの育て方について詳しく解説していきます。

土づくり

土づくり
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【庭植え】

植え付ける1〜2週間前に、酸性土壌を改善するために苦土石灰をまき、さらに腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきましょう。土に土壌改良資材や肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

種まき

ルピナスのタネ
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ルピナスは、ビギナーでも種まきから育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。

フラワーショップなどで花が咲き始めた頃の苗を入手して、手軽に苗の植え付けからスタートしたい場合は、次項へ進んでください。

ルピナスの発芽適温は15〜20℃で、種まきの適期は温暖地で9月下旬〜10月頃です。

ルピナスはマメ科の植物で根が太く長く伸びる「直根性」と呼ばれるタイプで、この根が折れたり傷んだりすると、その後の生育が悪くなる性質をもっています。そのため、できるだけ移植をせずにすむように、花壇に直接播くか、黒ポットで間引きながら育苗するとよいでしょう。また、ルピナスのタネは皮が硬いので、前日の仕込みが必要です。水を張った容器に一晩入れて吸水させ、やわらかくしておきましょう。

花壇に直接タネを播く場合は、土づくりをしておいた花壇に25〜30cmの間隔を取って、1カ所に2〜3粒ずつまき、タネのサイズの2個分ほどの土をかぶせます。最後に、たっぷりと水を与えます。はす口をつけたジョウロで高い場所から水をふりまいて、タネが流れ出さないように軽い水流で水やりするのがポイントです。また、播いた場所がわからなくなるのを防ぐために、名前を書いたラベルを立てておくと便利。発芽したら生育のよい苗を1本残し、ほかは間引きましょう。

黒ポットにタネを播く場合は、市販の草花用培養土を入れた黒ポットに、2〜3粒播き、タネのサイズの2個分ほどの土をかぶせます。最後にたっぷりと水を与えましょう。日当たりのよい場所で管理し、発芽したら生育のよい苗を1本残してほかは間引きます。本葉が5〜6枚出揃うくらいまでを目安に育苗し、その後は植えたい場所に植え付けます。

ここでは、一般的なルピナスの種まきについてご紹介しました。ルピナスは種類によってタネのサイズに差があり、種まきの適期が異なることや、種まきから開花まで2年かかることもあります。タネ袋には種類に応じた詳しい種まきの方法が明記されているので、その情報を確認するとよいでしょう。

植え付け

植え付け
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秋に種まきして育苗した場合、植え付けの適期は温暖地で10〜11月頃です。フラワーショップで苗を購入してスタートする場合は、春先まで苗が出回っているので、入手次第植え付けます。

【庭植え】

土づくりをしておいた場所に、苗を植え付けます。ルピナスの根は「直根性」で移植を嫌う性質をもっているので、根鉢を崩さずにポットから出したらそのまま植え付けることがポイントです。複数の苗を植え付ける場合は、25〜30cmの間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。

【鉢植え】

鉢の大きさは、入手した苗の2回りほど大きい鉢を準備します。鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。ルピナスの苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。ルピナスの根は「直根性」で移植を嫌う性質をもっているので、根鉢を崩さずにポットから出したらそのまま植え付けることがポイントです。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

水やり

水やり
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株が蒸れるのを防ぐために、茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

【地植え】

根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理しますが、多湿を嫌う性質なので、水の与えすぎに注意します。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
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【庭植え】

あまり多肥を好まないため、植え付け時に十分な土づくりをしていれば、肥料は不要です。

【鉢植え】

晩秋〜冬に植え付けた場合は、生育が盛んになる少し前の3月上旬頃に、緩効性化成肥料施すとよいでしょう。春に植え付けた場合は、元肥を施してあれば十分です。ただし、生育が悪いようなら速効性のある液肥を与えて様子を見ましょう。

花がら摘み

園芸バサミ
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ルピナスは、花茎を立ち上げて次々に開花していきます。花穂が咲き終わったら、花茎の付け根で切り取りましょう。すると、わきから二番花、三番花の花茎が立ち上がってきます。いつまでも終わった花を残しておくと、タネをつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。早めに終わった花穂を摘み取ると、次世代を残そうとして長く咲き続けてくれます。株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制にもつながります。

タネの収穫

ルピナスのタネ
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ルピナスは、花後にタネを収穫することができます。種を収穫する場合は、一通り開花を楽しんで「もう開花期も終わる頃かな」というタイミングで、花穂を切り取らずに残しておきましょう。ルピナスはマメ科の植物なので、数粒の種が入った莢をつけます。茶色くなって莢がはじける前に収穫しましょう。種まきの適期まで、乾燥剤とともに密閉できる袋に入れて保存します。

ただし、ルピナスはタネを自家採種しても、発芽率が低いことを覚えておきましょう。タネを播いて確実に多数の苗を確保したい場合は、市販のタネを購入するほうが効率がいいといえます。

病害虫

ルピナスは、健全に育てていれば、ほとんど病害虫の心配がありません。ただし、多湿を嫌う性質があるので、いつもジメジメとした土壌の環境にしていると、根腐れしたり、病気を招いたりすることがあるので注意。苗が突然枯れてしまう「立ち枯れ病」は多湿によって病気を招いたケースの一つで、水はけのよい土壌づくりをしておけば回避できます。

増やし方

ルピナスの増やし方は、種まき一択です。詳しくは前述の種まきの項目を参照してください。

美しいルピナスを育てて日常生活に彩りを!

ルピナスの花
Sally B/Shutterstock.com

この記事では、ルピナスのプロフィールや魅力、品種、育て方など、多岐にわたってご紹介してきました。縦の空間を見事に彩るゴージャスな咲き姿に、「一度は育ててみたい」と憧れるガーデナーは多いもの。この大人気のルピナスをぜひガーデンで育てて、所有する喜びを味わってみてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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