街路樹として見かけることが多いハナミズキは、近年シンボルツリーとして人気が高まっています。街路樹に植えられるということは、強い生命力を持っている証で、放任してもよく育ってくれることを物語っています。この記事では、庭木としておすすめのハナミズキを深掘りして解説していきます。

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ハナミズキとは

ハナミズキはヒット曲のタイトルになったことで、魅力的な花木として非常にポピュラーな存在となりました。ここでは、ハナミズキについて、歴史や特徴、観賞価値、マメ知識など、幅広くご紹介します。

日本のハナミズキの歴史

ハナミズキ
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1912年に東京市長が友好の贈り物として、アメリカのワシントンD.C.に桜の苗木を送った返礼に、アメリカからハナミズキが日本へ贈られたことが普及の始まりです。最初は白花が贈られ、その2年後に赤花が届けられたとされています。その後広く親しまれ、花の美しい「ミズキ」として「ハナミズキ」と呼ばれるようになりました。漢字では「花水木」と書きます。

ハナミズキの特徴

ハナミズキ
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ハナミズキは、ミズキ科サンシュユ属(ヤマボウシ属)の落葉高木です。原産地は北米東部〜メキシコ北東部で、寒さ、暑さともにやや弱い傾向にあります。最終樹形は8mにもなりますが、剪定によって樹高をコントロールすることができるので、一般家庭では4m以内におさめておくとよいでしょう。成長の速度はやや遅く、樹形も自然に整うので、メンテナンスしやすい樹木です。

ハナミズキの開花期は4月中旬〜5月中旬。花色は白、ピンク、赤があります。花弁に見える部分は苞で、じつはその真ん中に丸く集まったものが花の本体です。大変花つきがよく、開花期に満開になる様子は見応えがあるので、庭のシンボルツリーとして活躍します。

ハナミズキの紅葉

ハナミズキの紅葉
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ハナミズキは開花後に新緑が出て夏には緑陰をもたらし、秋が深まるとともに赤く紅葉します。「紅葉は高冷地ほど発色がよくなる」といわれますが、ハナミズキは温暖な地域でも鮮やかに紅葉してくれるのが特徴。開花期の春と紅葉の秋、2回の観賞期がある花木です。

ハナミズキの実

ハナミズキの実
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ハナミズキは、10月頃に艶やかな赤い実をつけます。小さな実が複数集まる姿は愛らしく、こちらも観賞価値があります。おいしそうにも見えますが、渋くて食べられるものではありません。毒はなく、鳥たちが食べにやってくるので、庭にいながらバードウォッチングを楽しめる一面も。鳥たちに実を食べてもらうことで、飛び去った移動先で落としたフンからタネが芽を出して繁殖する、生存戦略を持っています。

ヤマボウシとの違い

ハナミズキとヤマボウシ
左がハナミズキで、右がヤマボウシ。Leene(左), tamu1500(右)/Shutterstock.com

ハナミズキは、ヤマボウシと外見がそっくり。それもそのはず、ハナミズキは和名を「アメリカヤマボウシ」といいます。ヤマボウシは日本原産で、ハナミズキはアメリカ産の外来種と覚えておくとよいでしょう。また、ヤマボウシは苞の先端が少し尖っているので、じっくり花を見比べるとその違いが見えてきます。開花期もヤマボウシは6〜7月で、ハナミズキよりも遅く開花するので、花が咲く時期によって見分けることもできますよ!

ハナミズキの育て方

ここまで、ハナミズキの基本情報や特徴、歴史などについてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、庭や鉢への植え付け方、日頃の管理、剪定、栽培の注意点などを詳しく解説していきます。

土づくり

土づくり
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【庭植え】

植え付けの2〜3週間前に直径、深さともに50cm程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。粘土質や砂質、水はけの悪い土壌であれば、腐葉土や堆肥を多めに入れるとよいでしょう。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

樹木用にブレンドされた、培養土を利用すると手軽です。赤玉土(小粒)7、腐葉土3の割合でよく混ぜ、配合土をつくってもよいでしょう。

苗木の植え方

植え付け
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ハナミズキの植え付け適期は、休眠期の12〜3月です。

【庭植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。しっかりと根付くまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、8〜10号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

水やり

水やり
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【庭植え】

植え付け後にしっかり根付いて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に晴天が続いて乾燥が続く場合は水やりをして補いましょう。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕の涼しい時間帯に与えることが大切です。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。冬は休眠し、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。

肥料

肥料
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庭植え、鉢植えともに開花が終わった5月中旬〜下旬頃に緩効性化成肥料を与え、土によくなじませます。たっぷりと花を咲かせることで、木がエネルギーを消耗するので、体力を回復させる目的で与える肥料で、「お礼肥(おれいごえ)」といいます。「たくさんの花を咲かせてくれてありがとう」という気持ちを込めて、肥料をあげてくださいね。

剪定

ガーデンツール
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ハナミズキの剪定の適期は、休眠期の12〜2月と、開花後の5月です。

休眠期に行う剪定は、樹形を整えるための剪定です。地際から立ち上がっている「ひこばえ」は元から切り取ります。木の内側に向かって伸びている「逆さ枝」、垂直に立ち上がっている「立ち枝」、勢いよく伸びすぎている「徒長枝」も元から切り取ります。枝が込み合いすぎて日当たりや風通しが悪くなっている部分は、間引いて枝の数を少なくしましょう。「少し切りすぎたかも?」と思うくらいがちょうどよく、ハナミズキは春からどっと枝葉を伸ばして旺盛に茂ります。

開花後の5月に行う剪定は、充実した花芽をつくるために行います。込んでいる部分の枝を透かして、木の内側までまんべんなく光が差し込むように軽く剪定する程度にとどめましょう。枯れ枝や細い枝、樹形のバランスを崩している長い枝などを、元から切り取らずに、途中まで「切り戻す」程度に剪定します。太い枝の剪定は休眠期まで待ってから行いましょう。

ハナミズキを育てるときの注意点

花木は、一度植え付けて根付いてしまえば、剪定以外のメンテナンスはほとんどない植物です。しかし、環境などによって木が弱ってしまうポイントもいくつかあります。その弱点を把握しておけば、早期に対処することができるので、以下にまとめました。

日当たり

ハナミズキの育て方
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ハナミズキは基本的には日当たりのよい場所を好み、日当たりの悪い場所では花つきが悪くなってしまいます。しかし、近年のように温暖化が進んだ日本の酷暑を乗り切るためには、注意が必要。なぜなら、真夏に終日直射日光がジリジリと照りつけ、土壌が乾燥しやすい環境が苦手だからです。枯れるわけではありませんが、すっかり葉を落としてしまうこともあります。

そのため、庭植えにする場合はできれば午前中のみ光が差し込む東側に植え付けるのがベター。西日が強く当たる場所は避けた方が無難です。また、株元にバークチップなどのマルチング資材を敷き詰めて、乾燥対策をしておくとよいでしょう。鉢栽培の場合は、真夏は涼しい場所に移動を。乾燥を嫌うので、水切れしないように管理します。

病害虫

カミキリムシ
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●病気

ハナミズキがかかりやすい病気は、うどんこ病、白紋羽病です。

うどんこ病は、発生すると葉の表面に白い粉が吹いたようなカビが見られます。光合成を阻害されたり、葉から養分を吸収されたりして、生育が悪くなります。放任してひどくなると枯れてしまうこともあるので注意。木の勢いがなくなり、見た目としても不愉快になってしまうので、兆候が見られたら早期に殺菌剤などを散布して対処しましょう。乾燥する時期に発生しやすい傾向にあるので、水もち、水はけのよう土壌作りと、適切な水やりの管理が回避のカギです。窒素成分の多い肥料を与えすぎるのも、発症のきっかけになります。

白紋羽(しろもんぱ)病は、発症すると、木全体の葉が縮れて枯れ込み、根や地際に近い樹皮に白灰色の菌糸束や菌糸膜が見つかります。手遅れになると枯死し、周囲に病気が蔓延するのを防ぐために早めに抜き取って土ごと処分することも考えなければなりません。樹勢が弱ると発症する傾向にあるので、勢いのある健康な状態を保つことが大切です。

●害虫

ハナミズキにつきやすい害虫は、アメリカシロヒトリ、コウモリガ、テッポウムシなどです。

アメリカシロヒトリは蛾の一種で、葉に卵を産みつけて孵化した毛虫が葉を食い荒らします。大発生することがあるので要注意。見つけ次第、適用する薬剤を散布して駆除します。

コウモリガは蛾の一種です。秋頃、地上に産卵されて越冬し、孵化した幼虫は雑草などを食べて生育しますが、成長すると樹木などへ移動し、幹や枝の中に侵入して食害します。食害が進むと、樹勢が弱って枯死することもあるほど。春以降、周辺に雑草がはびこらないように草取りをまめにしておくと予防になります。見つけたらエアゾールタイプの薬剤を穴から注入して駆除しましょう。

テッポウムシは、ゴマダラカミキリの幼虫です。成虫が幹などに産卵し、木の内部に入って食害します。幼虫は1〜2年にわたって木の内部を食害し、木は徐々に樹勢が弱り、枯死することも。木の周囲にオガクズが落ちていたら、内部にテッポウムシがいることが疑われます。発見次第、侵入したと見られる穴に薬剤を注入して駆除しましょう。

ハナミズキの増やし方

種まきトレイ
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ここでは、ハナミズキの増やし方をご紹介します。いずれも植物の生命力に対して感動を覚える体験ができますよ! ただし、花を咲かせるまでには数年はかかることを覚えておきましょう。

接ぎ木

接ぎ木の適期は3月頃です。

接ぎ木は、台木と接ぎ穂の2本を用意し、それらを合体させて人為的に育成する方法です。台木は種まきから育てて2〜3年経った若木を、接ぎ穂は増やしたい品種の新芽が出て1〜2年の若い枝を切り取って使います。台木の地上部を地際近くまで深く切り取り、切り口の端を縦に切り込みを入れ、接ぎ穂を差し込んでビニールテープなどで固定します。湿度を保つために、小さな穴を複数つけたビニールを巻いて固定し、直射日光や雨が当たらない涼しい場所で管理しましょう。接ぎ穂から新芽が出て生育し始めたら、接ぎ木の成功です。

種まき

熟した実から果肉を取り除いてタネを採取します。そのまますぐタネを播いてもOK。よく水洗いをしたのち、園芸用培養土にタネを播きます。発芽まで乾燥しないように管理し、成長とともに鉢増ししながら育成します。

タネを保存する場合は、乾燥させないようにすることがポイント。キッチンペーパーを湿らせてタネを包み、冷蔵庫で保管しましょう。越年させた場合は3月頃にタネを播きます。

ハナミズキの品種

ハナミズキの品種
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ハナミズキは人気の花木のため、品種改良が進んでさまざまな品種が出回っています。

清楚な白花で花つきがよく、最もポピュラーな品種は‘クラウドナイン’、苞が反りかえって、まるで王冠のような咲き姿になる白花の‘フェアリーマクラウン’、濃い赤花で若木のうちからよく花を咲かせる‘レッドジャイアント’、赤花の大輪品種で大変華やかな‘チェロキーチーフ’、小型の矮性品種で樹形がコンパクトにまとまる‘レッドドワーフ’、赤花でやや遅咲きの‘レッドビューティー’などがあります。

ハナミズキは庭木におすすめ

ハナミズキ
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ハナミズキは生育スピードがやや遅めで、樹形が整いやすいため、メンテナンスのしやすい庭木の一つです。開花、新緑、結実、紅葉、落葉と、表情を変えて四季の移ろいを告げてくれるのも魅力。シンボルツリーとして大人気のハナミズキを、ぜひ庭に植えてみてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

参考文献/
上条祐一郎『切るナビ! 庭木の剪定がわかる本』NHK出版 (2017年第17刷)

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