春になるとブルーの花を咲かせるワスレナグサ(勿忘草)。青色の花は種類が少ないので、ガーデナーに人気の高い草花です。色とりどりの花を取り入れてカラーコーディネートを楽しみたいなら、ぜひアクセントにワスレナグサを取り入れてはいかがでしょう。この記事では、ワスレナグサの基本情報から種類、育て方、楽しみ方まで、詳しく解説していきます。

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ワスレナグサってどんな花?

ワスレナグサは、春を代表する花で、昔からガーデナーに愛されてきた植物です。ここでは、ワスレナグサの性質や基本情報、品種、名前にまつわる悲しいストーリーなど、幅広くご紹介していきます。

ワスレナグサの特徴

ワスレナグサ
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ワスレナグサは、ムラサキ科ワスレナグサ属の植物です。原産地は世界中の温帯地域で、本来は多年草ですが、日本の高温多湿の気候に弱く夏越しできずに枯死してしまうので、日本では一年草として分類されています。やや湿り気のある環境を好み、極端に乾燥すると葉が黄色く枯れ込んだり、しおれたりすることがあるようです。

ワスレナグサのライフサイクルは以下の通りです。秋にタネを播いて育苗し、越冬して翌春の3月下旬頃から開花。夏前には枯死してしまうので抜き取って処分します。このように種まきから枯死するまでが半年ほどで、ライフサイクルの短い植物です。

ワスレナグサの草丈は10〜50cmほど。一般的に出回っている種類は10〜20cmほどですが、中には40〜50cmにまで成長する高性種もあります。開花期は3月下旬〜5月頃で、小さな5弁花がまとまって咲く可憐な姿が人気。たくさんの花茎を立ち上げてたっぷりと花を咲かせ、花は小さいながらも色の塊となるので、庭で存在感を放ちます。花色はパステルブルーが最もポピュラーですが、ピンク、白、紫なども揃います。

ワスレナグサの品種

ワスレナグサの種類
Lijuan Guo/Shutterstock.com

ワスレナグサの学名はMyosotis (ミオソティス)で、約50種が確認されています。ガーデニングで流通しているのは、以下の2種とその園芸品種です。

  • ミオソティス・シルヴァチカ(Myosotis sylvatica)
    ヨーロッパ〜アジアが原産地。和名はエゾムラサキといい、日本でも自生する姿が見られるようです。勿忘草の中でも草丈は高い方で、50cmほどになります。
  • ミオソティス・アルペストリス(Myosotis alpestris)
    ヨーロッパのアルプス山脈やピレネー山脈、バルカン半島などが原産地。山地や高冷地の草原や林の中で自生しているのが見られます。草丈は10〜20cmくらい。日本ではノハラワスレナグサと呼ばれています。

園芸品種では、草丈20cmほどで従来種に比べて大きな花が咲く‘ミオマルク’が人気。‘ドワーフブルー’は草丈15cmほどの小ぶりなサイズで、花つきがよくたっぷり咲くのが特徴です。‘ブルームッツ’は、花も葉も大きく、草丈が40cmにもなる高性種。「ビクトリア」シリーズは、インディゴブルー、ピンク、ホワイト、ライトブルーの4色が揃う品種群です。

ワスレナグサの悲しい伝説

ワスレナグサの伝説
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ワスレナグサの花名の由来となっている、悲恋物語をご存じでしょうか。

中世時代のドイツでのお話です。騎士のドルフは、恋人のベルタとドナウ川を散策していました。その岸辺に咲いていた、美しい青い花をベルタのために摘み取ろうと岸へ降りたところ、あろうことか足をすべらせ、彼はそのまま川に落ちてしまったのです。川の流れにさからい、岸辺にたどり着こうともがくも虚しく、最期を悟ったドルフ。最後の力を振り絞って摘み取ったその花を岸辺へ投げて「私を忘れないで!」とベルタに呼びかけたのち、その姿は見えなくなりました。残された恋人のベルタは、彼が残した最期の言葉をこの花に名付け、ドルフの墓前に捧げたといいます。この悲恋物語から英名も「forget me not(フォーゲット・ミー・ノット」と名付けられ、日本にも「勿忘草(わすれなぐさ)」と伝わりました。

このようなストーリーが伝わっていることから、ワスレナグサの花言葉には、「私を忘れないで」「真実の愛」「思い出」などがあります。

ワスレナグサの育て方は?

ここまで、ワスレナグサの性質や基本情報、品種、名前の由来などについて触れてきました。さて、ここからはガーデニングの実践編として、ワスレナグサの育て方について詳しく解説していきます。

ワスレナグサの育て方1. 種まき

ワスレナグサの種まき
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ワスレナグサの種まきの適期は、10月頃です。タネを播くと、たくさんの苗をつくることができ、花壇へたっぷりと群植させることができます。楚々とした風情の花なので、群植させると迫力を出すことができますよ! 苗を入手するよりも安価になるのもメリットです。また、ワスレナグサは前年に植えていた花がタネをつけ、周囲にこぼれたタネから発芽して増えるほど、丈夫な植物。成功体験を得やすいので、ビギナーにもおすすめです。

【直まき】

ポットなどで育苗せずに、花壇に直接タネを播くことを「直まき」といいます。日当たり、風通しのよい場所を選び、種まきの1〜2週間前に腐葉土や堆肥などを混ぜ込んで、ふかふかの土壌づくりをしておきましょう。タネを播く前日に、一晩水に浸けて吸水させておきます。花壇にタネをばらまきし、軽く土をかぶせて手で押さえます。発芽したら、苗が重なっているところや、込み合っている部分を間引いて調整します。間引く際は、ヒョロヒョロと伸びたか弱い苗や、傷がついている苗など、生育が悪いものを選ぶとよいでしょう。最終的に株の間隔は20〜30cmほど取っておきます。

【ポットまき】

ビニール製の黒ポットにタネを播いて育苗することを「ポットまき」といいます。培養土は、赤玉土7、腐葉土3の割合で混ぜ合わせた配合土を準備しましょう。市販の種まき用にブレンドされた培養土を用いてもかまいません。タネを播く前日に、一晩水に浸けて吸水させておきましょう。黒ポットに用土を入れ、2〜3粒ずつタネを播き、軽く土をかぶせて手で押さえます。発芽後、弱々しい苗は間引いて最終的に1本残します。日当たりがよく暖かい場所で、適切に水やりをして管理しましょう。

ワスレナグサの育て方2. 苗の植え付け

ガーデニング
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植え付けの適期は、10月中旬〜11月上旬か、翌年の3月頃です。ポットに種まきして育てた苗、または花苗店で入手した苗を植え付けます。ワスレナグサは春の定番の花として人気があるので、安価で手に入れやすい草花の一つです。

【地植え】

丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておくとよいでしょう。

土づくりをしておいた場所に、苗を植え付けます。こんもりと茂るので、複数の苗を植え付ける場合は、20〜30cmの間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。鉢の大きさは、5〜6号鉢に1〜3株を目安にします。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。ワスレナグサの苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

ワスレナグサの育て方3. 日常管理

水やり
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  • 水やり

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。その際は、株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、ジョウロのハス口を外して、株元の地面を狙って与えてください。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、ジョウロのハス口を外して、株元の地面を狙って与えてください。

  • 花がら摘み

ワスレナグサは次から次へと花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、タネをつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

ワスレナグサの育て方4. 肥料

肥料
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  • 元肥

苗を植え付ける際に施す肥料が、元肥です。元肥を施すことで苗の初期生育を助け、茎葉をしっかり茂らせることにつながります。

【地植え】

植え付ける前に腐葉土や堆肥などの有機質肥料を施しておきましょう。

【鉢植え】

鉢植えの場合、市販の培養土には肥料が含まれていることが多いので、元肥を施す必要があるかどうか確認し、必要な場合は緩効性化成肥料を施しておきます。

  • 追肥

植え付けた苗が順調に生育し、元肥の効き目が切れた頃に与えるのが追肥です。

【地植え】

秋に植え付けた場合は、生育が盛んになる少し前の3月上旬頃に、緩効性化成肥料施すとよいでしょう。春に植え付けた場合は、元肥を施してあれば十分。あまり与えすぎると、茎葉ばかりが旺盛に茂ってかえって花つきが悪くなることもあるので注意します。ただし、生育が悪いようなら速効性のある液肥を与えて様子を見ましょう。

【鉢植え】

鉢栽培の場合は、水やりとともに肥料成分が流亡しやすいので、追肥をして株の勢いを保つようにします。春から生育が盛んになるので、月に1度を目安に緩効性化成肥料を表土にばらまき、軽く土になじませます。もしくは10日に1度を目安に、速効性のある液肥を与えてもよいでしょう。開花期は開花促進の効果がある、リン酸やカリ分などを多く含んだ液肥を選ぶと花つきがよくなります。

ワスレナグサの病害虫対策は?

アブラムシ
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害虫

ワスレナグサにつきやすい害虫はアブラムシで、3月頃から発生しやすくなります。2~4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついてしまうほどに。植物の茎葉について吸汁し、株を弱らせると共にウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目にも不愉快なので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒剤を利用するのがおすすめです。

病気

ワスレナグサに発病しやすい病気は、灰色カビ病です。やや気温が低くて湿気が多い時期に発症しやすく、花やつぼみ、葉などに灰色のカビが発生します。茎葉がまだら模様になり、ひどくなると枯死してしまうので注意。病気の発生を防ぐためにも、終わった花がらや枯れ葉はまめに摘み取り、株周りを清潔に保っておきましょう。発生したら病気に冒されている部分を切り取り、適用する殺菌剤を散布します。

ワスレナグサは寄せ植えに向いている?

ワスレナグサの寄せ植え
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一般的に流通しているワスレナグサは草丈が20cm前後でやや草丈が低いので、鉢植えにして扱いやすい植物です。ただし、草丈が40〜50cmにまで成長する高性種は花壇向きなので、寄せ植えを目的にタネや苗を購入する際は、草丈のチェックを忘れずに。

勿忘草は一つひとつの花は小さいですが、開花期にはたっぷりと咲くので主役としても脇役としても活躍してくれます。また、春の花の中でもワスレナグサのようなブルーの花色は少ないため、存在感を強く放ってくれる存在。調和しやすいパステルカラーのためバランスが取りやすく、反対色にあたるオレンジ色のナスタチウムなどメリハリの効いたカラーコーディネートにも利用できます。

ワスレナグサは丈夫な性質で鉢栽培しやすい植物なので、寄せ植えにして組み合わせる植物を特に選びません。ビオラやパンジー、デージー、プリムラ、ネモフィラ、スイートアリッサムなど、開花期の合う植物と相性よくまとまります。

主役でも脇役でも活躍! ワスレナグサを育てよう

ワスレナグサ
Oksana Shufrych/Shutterstock.com

ワスレナグサは春先に咲くパステルブルーの花で、つい足を止めて見とれてしまうほど美しい花色が魅力です。花をたくさん咲かせる性質を生かして花の絨毯を演出してもいいですし、他の春の草花と寄せ植えして脇役としても活躍します。比較的丈夫で育てやすいワスレナグサを、ぜひ育ててみてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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