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今年は、おうち時間によってガーデニングをスタートした人も多く、花苗をネットで購入する人も激増した一年でした。さらに来年のガーデンをレベルアップさせたい人や、オリジナリティのある庭づくりでガーデニングライフをもっと充実させたい! と思っている人は必見の宿根草人気ランキング2020年度版。4千種を超す植物を扱う「おぎはら植物園」店長の荻原範雄さんに、この一年、特に人気が高かった宿根草を5種教えていただきます。

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庭づくりをグレードアップしたい人必見!
人気の宿根草

宿根草

長野県上田市で宿根草と山野草を扱っている「おぎはら植物園」では、越年して毎年花を咲かせる「長生きする植物」の宿根草を中心に、幅広くガーデン植物を取り扱っています。全国のガーデニングを趣味にする人たちをはじめ、観光ガーデンや公共の庭などからも珍しい植物や目当ての植物を求めて注文が入るという「おぎはら植物園」で、2020年に人気が急上昇した宿根草を5種ピックアップ。人気の理由と育て方、特徴を解説していただきます。

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セレクト1
とってもユニーク!枝垂れ咲きのサルビア!
サルビア・ヌタンス

サルビア・ヌタンス

ヨーロッパに自生する野生のサルビアで、他のサルビアでは見られない、うなだれるように咲く花が面白い品種です。まるでお辞儀をしているような可愛らしい花姿。花つきがとてもよいので、大株になると見栄えがします。あちこち植えたい! とリピートも多くあり、人気でした。

サルビア・ヌタンス
うなだれるように下向きに咲く様子がユニーク!

寒さだけでなく、暑さにも耐える丈夫な性質

このサルビア・ヌタンスは、中央~東ヨーロッパからシベリアにかけて自生する原種のサルビアです。冷涼な地域の原種ですから寒さには抜群に強いのですが、導入当初は耐暑性の有無を心配していました。ところが、暖地・猛暑地でも元気に夏越しをして大きく育っています。ユニークなフォルムだけではなく、丈夫さも兼ね備えている品種です。

サルビア・ヌタンス
花色の美しさも魅力です。

サルビア・ヌタンスの育て方

寒さに強く、寒冷地でも戸外で越冬でき、強い霜の降りない地域では常緑のまま越冬します。普段は低く葉が茂っており、初夏頃になると花茎が直立して、たくさんの花を咲かせます。サルビアの仲間には木立ちになり巨大化するものがありますが、この品種はいつも姿がよく、乱れにくい点も優秀です。

花は、初夏頃に60~100cmほどの高さで開花します。開花後に花茎を切り戻しておけば、秋遅くまで繰り返し咲いてくれます。

セレクト2
花も葉も美しい! 珍しさが目を引く
ペンステモン・スーパーバス

ペンステモン・スーパーバス

小さなネオンカラーの花が綺麗に並ぶ、可愛らしいペンステモン。葉色もシルバー系で輝きがあり、花も葉も観賞価値の高い種類です。数多くのペンステモンの中でも一際目立つ、珍しいカラーリングが特徴で、とても人気がありました。

ペンステモン・スーパーバス
とても小さな花ですが、よく見ると丸くて愛らしいです。

近年流通が始まった世界的にも珍しい原種

北アメリカ・アリゾナ~ニューメキシコ州南西部にかけて自生する原種のペンステモンで、2010年頃にヨーロッパで種子の販売がスタートしたばかりです。

現地では乾いた道沿いや岩場に多く生えているそうです。そのため、葉は肉厚で青白く、コンパクトにまとまって育ちます。冬も含め、一年中常緑で、花期以外はこんもりとした姿を保ち、美しい葉だけでもカラーリーフとして観賞価値が高いです。

ペンステモン・スーパーバスの葉
時期によっては青みも出る美しい葉も魅力。

ペンステモン・スーパーバスの育て方

丈夫な性質ですが多湿を嫌うので、長雨や日照不足に注意が必要です。逆に乾燥には強く、砂地でも生育します。日当たり、風通しのよい場所に植えましょう。寒さにも暑さにも耐えるので、適地であれば、ほぼ放任でかまいません。

晩春~初夏にかけて60~80cmほどの高さで花を咲かせます。花後は花茎を切り戻し、株を休ませます。

セレクト3
シックな葉に鮮やかな花が映える新品種
ヘリオプシス‘ブリーディング ハーツ’

ヘリオプシス‘ブリーディング ハーツ’

ヘリオプシスは「宿根ヒマワリ」とも呼ばれる丈夫な宿根草。通常は緑色の葉ですが、本種はブロンズ色。ダークトーンの葉色に映える明るい花色が美しい品種です。

銅葉のヘリオプシスは数々の歴代品種があり、改良が重ねられてきました。中でも本種‘ブリーディング ハーツ’は新しい品種で、葉色の濃さ、花色の濃さが際立ちます。シックな美しさ、お洒落な雰囲気もあって人気でした。

ヘリオプシス‘ブリーディング ハーツ’
咲き始めに赤い花は、咲き進むとオレンジ色に変化します。

暑さも寒さも平気! とても丈夫な性質

ヘリオプシスは、なかなか枯れることのない極めて丈夫な宿根草です。普通種は「何だかありがちな花」というイメージでしたが、2018年に登場した本種は、葉色、花色の観賞価値がグッと上がって、お洒落な印象になりました。もちろん丈夫な性質は変わりません。

宿根草は夏に咲く種類が少ない中、本種は日本の厳しい夏の暑さにも耐えて、花をたくさん咲かせてくれます。

ヘリオプシス‘ブリーディング ハーツ’
明るい黄色系の葉と合わせると、葉色の美しさが引き立ちます。

ヘリオプシス‘ブリーディング ハーツ’の育て方

暑さにも寒さにも耐えるので、庭植えや鉢植えにした後は、ほとんど放任でかまいません。やせ地、荒れ地にも強い丈夫な花ですが、肥沃な土地に植えたり肥料を与えすぎると株が伸びすぎて倒れるので、注意が必要です。夏に咲くヒマワリの近縁種なので日陰は避け、十分に日の当たる場所で育てましょう。

開花期は長く、夏から秋まで咲き継ぎます。冬になると地上部がすべて枯れて越冬し、春になると再び芽吹きます。寒さに強いので、防寒対策は必要ありません。

セレクト4
可愛らしいスイーツカラーの宿根草
コレオプシス‘スイート マーマレード’

コレオプシス‘スイート マーマレード’

コレオプシスといえば、黄色い花のハルシャギクが一般的ですが、本種‘スイートマーマレード’は、その名のとおりアプリコット・オレンジの花。可愛らしく人気がありました。花色が珍しいだけでなく、寒さにも暑さにも耐える丈夫な性質も魅力です。

コレオプシス‘スイート マーマレード’
群生させて、たくさん咲かせると素敵な一角に。

花色の変化が楽しめる!

この‘スイート マーマレード’は、咲き始めはレモンイエローですが、咲き進むと色が変わってきます。また、開花期の温度や環境によっても花色が変化。パステルカラーの色の移り変わりが美しく、一株でいろいろな表情を見せてくれます。

コレオプシス‘スイート マーマレード’
咲き始めのレモンイエローの花。

コレオプシス‘スイート マーマレード’の育て方

コレオプシスの中には一年草タイプもありますが、本種は宿根性で、寒さ、暑さに強く、植えっぱなしで毎年咲かせることができます。日当たりを好みますので、十分に日照がある場所で育てましょう。土質は選びませんが、肥沃な場所に植えたり肥料を与えすぎると徒長して姿が乱れるので注意します。花は夏に咲きますが、咲き終わった後に切り戻すと秋も開花し、長期間にわたり楽しむことができます。

セレクト5
メドウガーデンの背景に! いい雰囲気を醸し出す名脇役
ネペタ・ヌーダ

ネペタ・ヌーダ

背高のっぽで、少し控えめな色合いのネペタ。強い主張はしませんが、庭の後方で風に揺れ、他の草花を引き立てる名脇役。その色の合わせやすさから人気が出ています。

自然味のある庭に、美しくマッチする!

ネペタ・ヌーダ
草花と混植すると雰囲気が出ます。

近年人気の出ているメドウガーデンに最適な花です。「メドウ」とは牧草地を意味し、野生的な草花を使って野山や牧草地を再現するメドウガーデンは、ヨーロッパ、特にイギリスで人気があります。このネペタ・ヌーダは、そんな自然な雰囲気にぴったり。周囲にこぼれダネで広がる草花を植えて、ナチュラルな組み合わせを楽しんでみてはいかがでしょうか。

ネペタ・ヌーダ
淡いライラック色の優しい雰囲気が魅力。

ネペタ・ヌーダの育て方

寒さ、暑さに耐え、放任でも毎年咲く丈夫な宿根草です。成長はあまり早くありませんが、年を追うごとに花茎が増え、着実に見事な大株に育っていきます。もともと痩せ地を好む花で、肥沃な場所に植えたり過度な肥料を与えると、伸びすぎて倒れることがあるので注意しましょう。日陰を嫌うので、しっかりと日が当たる場所で育てます。主な花期は初夏から真夏の間で、花後には切り戻して株を低く保ちます。

宿根草

2020年に人気だった宿根草セレクト5はいかがでしたか? まずは多くの人が育てている植物を植えることからガーデニングをスタートすることも一つの方法です。植物は、本当に種類が多くて、何を選んでいいか困ってしまうと聞きますが、何年もガーデニングを続けている人にとって、「まだ知らない植物に出会える」ことは喜びです。ぜひ、これから育ててみよう!と思えるお気に入りの植物との出会いがたくさんありますように。2021年もガーデニングを楽しみましょう!

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