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注目の秋植え球根 10選 〜2020秋「ACID NATURE 乙庭」セレクト〜

注目の秋植え球根 10選 〜2020秋「ACID NATURE 乙庭」セレクト〜

Gardens by Design/Shutterstock.com

次第に秋の色が深まってきた今日この頃、秋植え球根の植え付けも適期を迎えます。来春の開花を心待ちにしながら球根を植え付けるのは、秋のガーデニングの大きな楽しみ。ここでは、分類の垣根を取り去った植物セレクトで話題のボタニカルショップ「ACID NATURE 乙庭」のオーナーで園芸家の太田敦雄さんが、今年注目したい、ちょっと「尖った」秋植え球根を10種セレクトしてご紹介します。一味違う春の庭景色を作る参考にしてみませんか?

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乙庭が注目する2020秋植え球根

少し肌寒く感じられる日も増え、秋植え球根の植え付け適期になってきましたね。今回は2020年秋、「ACID NATURE 乙庭」でも注目している品種を10種セレクトしてご紹介します。

新品種だけでなく、古くからある品種や原種も含め、あえて今年の気分や旬だなと思うものを厳選しました。2020年度注目とはいっても、流行り廃りを鵜呑みしてしまうのは「ちょいダサ」ですよね。ぜひ記事を参考にしつつ、ご自身の審美眼やスタイルに合うものを取り入れていただければと思います。

オンラインサロン

じつは、2020年9月に開催された「ガーデンストーリークラブ」の私のオンラインサロンで、私が今年注目している秋植え球根を、売り切れ前にいち早く5種ご紹介しました。

本来ですと秋植え球根の購入時期は、9月末までの早期予約がもっとも買い逃しが少なくおすすめです。本記事でご紹介する品種も、すでに売り切れで今季はもう手に入らないものがあるかもしれませんが、今後じわじわと人気が上がっていくアイテムですので、来年以降の戦略としてもご参考になれば幸いです。

オンラインサロン

ガーデンストーリークラブの私のオンラインサロンでは、このほかにも乙庭が注目している植物のご紹介や見どころ解説、庭や生活にまつわる関心事など、乙庭の最新情報をいち早く発信しています。

オンラインサロン
上/ガーデンストーリー倉重編集長のオンラインサロンの様子。下/ルーシー恩田さんとお母さまのケイティ―恩田さんによるアレンジの解説の様子。

その他、私以外のガーデンストーリー豪華執筆陣の先生方によるオンラインレッスンや、「ガーデンストーリー」倉重編集長のオンラインサロンなど、充実有意義な企画が多数開催されています。ご入会いただくと過去のサロンもすべてご視聴いただけます。ご興味がありましたら、ぜひ入会をご検討ください。
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では、オンラインサロンでご紹介した品種にさらに加えて10種! 2020年秋、乙庭が注目している秋植え球根植物を増補版にてご紹介いたします。

セレクト1
チューリップ ‘ブルーダイアモンド’

まずは秋植え球根の王道、チューリップから、ニュアンスたっぷりの青みを含んだ紫色で花弁が多い魅惑的な八重咲き品種です。

チューリップ ‘ブルーダイアモンド’
Annie Shropshire/Shutterstock.com

「ブルーダイアモンド」といいつつ、青色というよりは「青みの紫色」という微妙さが、不確かで変化の多い現代社会の諸相ともリンクしますね。

本種は、紫みの咲き始めから、バラでいう「ブルーイング」のように、咲き進むにしたがってグレイッシュな青紫みを帯びて褪色していく花色の移ろいに、大人っぽい魅力があります。

チューリップ ‘ブルーダイアモンド’
Rufiyana Nikitushkina/Shutterstock.com

優雅で溌剌とした美しさのイメージが強いチューリップの中にあって、頽廃的に色褪せ、八重の整形花がはらはらと崩れていく儚さや無常感を味わい深く楽しめる品種です。

【DATA】
■ ユリ科
■ 学 名:Tulipa ‘Blue Diamond’
■ 主な花期:春
■ 草 丈:40cm程度
■ 耐寒性:強
■ 日 照:日向

セレクト2
チューリップ ‘アプリコットパロット’

優美で誰もが好むアプリコット色のチューリップにあって、「これって本当に美しいの?」と、美の概念を揺さぶられるようなアーティスティックな問いを発してくれる品種です。

チューリップ ‘アプリコットパロット’
Joseph Skompski/Shutterstock.com

本種‘アプリコットパロット’は、クリーム色・アプリコット色・ピンク、そして外弁の白緑色が、パロット咲き特有の乱れた花容によって絵の具のように入り交じり、単純に「美しい」とはいい難い、美醜の間を彷徨うような複雑な魅力を発しています。

チューリップ
Sergey V Kalyakin/Shutterstock.com

前出の‘ブルーダイアモンド’同様、複雑で不確かな現代を生きる私たちに求められる微妙な判断力や直観力の大切さに気づかせてくれる、コンテンポラリーなメッセージ性のある素材ですね。

チューリップ球根
チューリップの球根。

【DATA】
■ ユリ科
■ 学 名:Tulipa ‘Apricot Parrot’
■ 主な花期:春
■ 草 丈:40cm程度
■ 耐寒性:強
■ 日 照:日向

セレクト3
ナルキッスス ‘ピピット’

続いては、チューリップと並んで秋植え球根の代表格ともいえるスイセンの仲間。日本ではほぼ一年草扱いになってしまうチューリップとは対照的に、スイセンは宿根草のように植えっぱなしで分球しながら増えていくので、ローメンテやナチュラルガーデン志向の園芸家にもおすすめです。

ナルキッスス ‘ピピット’
S.O.E/Shutterstock.com

本種‘ピピット’は、草丈25cm程度の比較的小型の芳香種です。カップ状の部分(副花冠)が白、それ以外の花弁がレモンイエローという、多くの黄×白2色咲きスイセンとは逆となる珍しい花色のコンビネーションが、とても目を引きます。

ナルキッスス‘ピピット’の球根。

ナチュラルさと装飾的な美しさも兼ね備え、甘い香りも相まって、春の庭を多角的に演出してくれるでしょう。

【DATA】
■ ヒガンバナ科
■ 学 名:Narcissus ‘Pipit’
■ 主な花期:春
■ 草 丈:25cm程度
■ 耐寒性:強
■ 日 照:日向~半日陰

セレクト4
ナルキッスス ‘リプリート’

白色の花弁と、黄み〜アプリコットピンクへと移ろうヒラヒラしたカップ状の部分(副花冠)が交互に重なる、とても装飾的でエレガントな花。魅惑的な八重咲き芳香種のスイセンです。

ナルキッスス ‘リプリート’
Ole Schoener/Shutterstock.com

ナチュラルな雰囲気のある一重咲きのスイセンとは対照的に、八重咲き品種は、やや人工的とも思える装飾性が見どころとなります。

リプリート球根
ナルキッスス‘リプリート’の球根。

本種‘リプリート’は、やや大型の草姿で、白〜黄色の配色が多いスイセンの中でも珍しいアプリコットピンクの色合いを含んだ美麗種です。白い花弁とピンクがかった副花冠との色合いを楽しめます。

【DATA】
■ ヒガンバナ科
■ 学 名:Narcissus ‘Replete’
■ 主な花期:春
■ 草 丈:45cm程度
■ 耐寒性:強
■ 耐暑性:普通
■ 日 照:日向~半日陰

セレクト5
ムスカリ ‘オーシャンマジック’

グレープヒヤシンスとも呼ばれ、ブドウの房を逆さにしたような可愛い花を咲かせる小球根植物 ムスカリも、植えっ放しで宿根草のように楽しめる、春庭の定番プランツですよね。

ムスカリは誰もが植える素材だけに、品種選びで差をつけたいところでしょう。

ムスカリ ‘オーシャンマジック’
Peter Turner Photography/Shutterstock.com

本種‘オーシャンマジック’は、花序の上部が白みの淡青紫色、下部に行くにしたがって深い青紫色となる花色のグラデーションがとても美しい品種です。

ムスカリ ‘オーシャンマジック’
VivienneS/Shutterstock.com

青紫色は黄色と補色関係になるので、たとえばスイセンの黄色や、春に特に鮮やかな黄金葉の芽吹きなどととてもよく映えます。ピンク色との相性もよいので、チューリップと組み合わせて異なる花容の対比を楽しんでもよいでしょう。

ムスカリ球根
ムスカリの球根。

【DATA】
■ キジカクシ科
■ 学 名:Muscari aucheri ‘Ocean Magic’
■ 主な花期:春
■ 草 丈:15~20cm程度
■ 耐寒性:強
■ 耐暑性:普通
■ 日 照:日向~半日陰

セレクト6
シラー・リタルディエリ

ムスカリの花序をよりゆるくナチュラルにしたような雰囲気の、淡い青紫色の花。バルカン半島のスロベニア〜クロアチアあたりを原産とする美しいシラーです。

シラー・リタルディエリ
Flower_Garden/Shutterstock.com

栽培が難しいわけではないのですが、日本ではほとんど流通のない珍しい植物です。乙庭でも以前自社で輸入していましたが、長らく欠品していました。2020年は、進取の気性のある生産者が輸入を開始し、少しだけ流通するようになり、今後、人気が出そうだなと注目しています。

シラー・リタルディエリの球根
シラー・リタルディエリの球根。

青紫色のナチュラルな雰囲気の花は、ホスタなど山野草的な植物ともとてもよく似合います。植えっぱなしで宿根草のように育てることができます。

ツルボの花
ツルボの花。F_studio/Shutterstock.com

日本の山野にも自生する秋咲き種ツルボ(Scilla scilloides 上写真)のピンク花を青紫色にしたような雰囲気ともいえますね。ナチュラルガーデンの植栽にもとてもよく似合い、かつ珍しい雰囲気も兼ね備えていて、さりげなく庭の来訪者の目に留まるでしょう。

【DATA】
■ キジカクシ科
■ 学 名:Scilla litardieri
■ 主な花期:晩春~初夏
■ 草 丈:20~30cm程度
■ 耐寒性:強
■ 日 照:日向~半日陰

セレクト7
イキシア・ビリディフローラ

以前の記事でもおすすめしましたが、唯一無二の個性がある上に育てやすいこともあり、改めて推したい南アフリカ原産の小球根植物です。

イキシア・ビリディフローラ

ターコイズ色で中心が紫紺色となる星形の花がとても幻想的で美しく、他の植物にはあまり見られない花色でとても目を引きます。

イキシア・ビリディフローラ
OA2/Shutterstock.com

細い花茎に咲く花が風に揺れる姿も、ナチュラルな宿根草植栽によく似合います。繊細で珍しい雰囲気の見た目に反して性質は丈夫で、関東平野部以南では数年は植えっぱなしで栽培可能です。

イキシア・ビリディフローラの球根
イキシア・ビリディフローラの球根。

上写真のように小さい球根ですが、このサイズで初年度から開花します。水はけのよい土壌で、日向に植えましょう。

【DATA】
■ アヤメ科
■ 学 名:Ixia viridiflora 
■ 主な花期:晩春~初夏(明るい昼間のみ開花)
■ 草 丈:50cm程度
■ 耐寒性:中
■ 日 照:日向

セレクト8
カマッシア・クシキィ

高さの出る美しい空色の野生的な穂花が春の庭を爽やかに彩り、植えっぱなしで宿根草のように栽培できる北アメリカ原産種です。

カマッシア・クシキィ
Elenkina/Shutterstock.com

以前の記事で、より濃色の品種、ライヒトリニー‘カエルレア’をご紹介したことがありますが、全世界的な広がりを見せている「ナチュラリスティックプランテイング」の流れを鑑みると、より爽やかな空色を咲かせる本種クシキィと、晩春〜初夏咲きの宿根草を組み合わせてナチュラルな植栽を演出するのも、2020〜21年の気分にマッチするのではないでしょうか。

カマッシア
Jerry Amal/Shutterstock.com

カマッシアは日本の気候環境にも合い、性質も丈夫ですが、春の生育期に入ってからは、土壌が一瞬でも乾燥すると花茎が萎れて開花しないので注意が必要です。黄金葉の植物と合わせると、空色の花との対比が美しく引き立て合います。

カマッシア球根
カマッシアの球根。

数年植えっぱなしのほうがよく育ちますが、群生して球根が混み合ってくると開花が少なくなります。数年に一度、休眠後に掘り上げ、球根を離して植え直すとよいでしょう。

【DATA】
■ キジカクシ科
■ 学 名:Camassia cusickii
■ 主な花期:春
■ 草 丈:60cm程度
■ 耐寒性:強
■ 耐暑性:普通
■ 日 照:日向

セレクト9
アリウム・アトロプルプレウム

アリウム属の中にあっても、最もダークな花色。オーナメンタルな扁平球状の花序フォルムも相まって、花の多い初夏の植栽の中でもとても目を引く種です。

アリウム・アトロプルプレウム
Wirestock Images/Shutterstock.com
アリウム・アトロプルプレウム
Gardens by Design/Shutterstock.com

上写真は本種アトロプルプレウムとアリウム・ニグルム、カマッシア ・ライヒトリニィ‘アルバ’ (Camassia leichtlinii ‘Alba’)、宿根草のセントランサス‘コッキネウス’ (Centranthus ruber ‘Coccineus’ )などを組み合わせた植栽例です。

アリウム・アトロプルプレウム球根
アリウム・アトロプルプレウムの球根。

日本の気候環境では、アリウムの球根は、一部の強健種を除き、植えっぱなしだと夏に腐りやすいので、開花後、地上部が枯れたら球根を掘り上げたほうが無難です。

【DATA】
■ ネギ科
■ 学 名:Allium atropurpureum
■ 主な花期:春~初夏
■ 草 丈:50cm程度
■ 耐寒性:強い
■ 耐暑性:やや弱い
■ 日 照:日向

セレクト10
アリウム・ニグルム

前出のアリウム・アトロプルプレウムと共に、英国の名園 「ベス・チャトー」のグラベルガーデンにも燦然と植えられている、アリウムの白花原種です。

アリウム・ニグルム
InfoFlowersPlants/Shutterstock.com

日本ではほとんど流通のない珍しい種です。乙庭でも以前は自社輸入で販売していましたが、長らく欠品していました。2020年度は、進取の気性のある生産者が輸入を開始し、わずかではありますが流通するようになりました。ぜひ先取りで植えたいですよね。

アリウム・ニグルム
Gardens by Design/Shutterstock.com

本種は、花の多い晩春〜初夏の季節に、野趣とオーナメンタルさを併せ持つ花を咲かせます。扁平球状の花房はツボミのときからよく目立ち、開花〜種姿まで長くオーナメンタルに楽しめます。

アリウム・ニグルムのタネ姿
footageclips/Shutterstock.com

他の植物とも協調性よく似合い、組み合わせの楽しさがある種ですね。前出のアリウム・アトロプルプレウムとは草丈違いで開花期が揃うので、高さの住み分けをしながら組み合わせてもよいでしょう。

アリウム・アトロプルプレウム球根
アリウム・ニグルムの球根。

【DATA】
■ ネギ科
■ 学 名:Allium nigrum
■ 主な花期:春~初夏
■ 草 丈:80cm程度
■ 耐寒性:強い
■ 耐暑性:やや弱い
■ 日 照:日向

乙庭セレクトの秋植え球根 過去記事のご紹介

2020年 乙庭注目の秋植え球根、いかがでしたか? これまでの「ACID NATURE 乙庭Style」連載記事でも、秋植え球根についてたくさん取り上げています。ぜひご参照ください。

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