薬用植物として有名な「どくだみ」の育て方・効用・副作用・駆除方法などをご紹介
さまざまな効能が期待できることから、薬用植物として有名などくだみ。どくだみ茶を飲んだことがあるという人も多いと思いますが、どんな効能があるかご存じですか? また、利用価値が高いから植えてはみたものの、どこでも育ちやすい植物でもあるため、繁殖しすぎて困っている人も少なくないのでは? この記事では、どくだみの効用・副作用、育て方や駆除方法、他の薬用植物、薬用植物の活用方法についてご紹介します。
目次
どくだみとは
身の回りのあちこちで見かけるどくだみ(学名Houttuynia cordata)は、日本国内のどこででも栽培できる植物です。日本だけでなく中国や東南アジアなどに広く分布し、アジアの至るところに生えています。
日本では古くから「十薬(ジュウヤク)」と呼ばれ、薬草として利用されてきましたが、東南アジアではよりカジュアルに、野菜やハーブのように食用されています。
薄暗く湿った場所によく生えますが、梅雨に入る頃に咲かせる白い花は可憐で美しいものです。どくだみ茶などに利用するもの以外は、雑草として扱われることが多いようですが、太い地下茎を伸ばして広範囲に広がっていくため、駆除しようとするとなかなか手ごわい植物です。
近年は八重咲きの花や、白、黄色、赤などの葉模様が入った観賞用の品種も作られるようになっており、シェードガーデンを明るく演出するグラウンドカバーとしても利用することができます。掘り上げたときや刈り取ったときに根や茎を傷つけると独特の香りがしますが、乾燥させると匂いは薄くなります。
どくだみの効用
どくだみは「十薬」とも呼ばれるように、多くの効能がある薬用植物です。
葉や茎にはさまざまなミネラルが含まれていますが、もっとも豊富に含まれているもののひとつがカリウムです。
カリウムは利尿作用があるミネラルで、体内の水分を体外に排出させてくれる働きがあります。水分と一緒に体内の有毒物質や老廃物も同時に体外に排出してくれるので、デトックス効果が期待できます。最近ちょっとむくみが気になるというときには、どくだみ茶を飲んでみるといいかもしれません。
塩分の摂りすぎは高血圧の原因となりますが、これは体内の塩分濃度が高くなると浸透圧の関係で体内に水分が多くなって血液の量も増え、同じ太さの血管であってもたくさんの血液が通ることになるからで、血管に負担がかかるのが問題になります。
そこでカリウムを適切に摂取すると、体内のナトリウムや過剰な水分を排出できるのです。また、どくだみには血管の老化を抑えるクエルシトリンという成分が含まれているため、相乗効果でより高い高血圧予防を期待できます。また、クエルシトリンには炎症を抑える作用もあるといわれています。
胃炎や胃潰瘍の症状があるときには、コーヒーなどのカフェインを含む刺激物は飲まないほうがよいといわれますが、どくだみ茶なら体に優しそうですね。
このクエルシトリンや、同様にどくだみに含まれるイソクエルシトリンには緩下作用があり、便秘解消効果も期待できます。そのほか、クエルセチンには脂肪の吸収を抑制する効果があるなど、ダイエットをするときにも強い味方になってくれそうです。
どくだみの副作用
どくだみの利用法で一番ポピュラーなのは、お茶として飲むこと。
お茶といっても、カフェインが含まれていないため、体への負担も少なく、刺激物を摂取することに抵抗がある時や、寝る前にも飲むことができます。
どくだみにはカリウムが豊富に含まれていますが、腎臓の機能が低下していたり、高カリウム血症になっている場合は、カリウムの利尿作用が負担になることがあります。
また、高カリウム血症を起こしやすい薬を飲んでいるときも、同様に注意が必要です。
どくだみには緩下作用があるため便秘を改善する効果があるといわれていますが、飲みすぎると下痢を起こすこともあるので気をつけましょう。また、体質によっては少ない量でも下痢になりやすい場合もあります。そのほか、大量に飲むと光線過敏症になる可能性があります。
どくだみ茶を飲む場合は、いきなりたくさん服用せず、体調の様子を見ながら飲むようにしましょう。
どくだみの育て方
どくだみはとても丈夫で増えやすく、育てやすい植物です。
苗を手に入れたら、厳寒期以外はいつでも植え付けてもかまいませんが、一年のうちで本格的に暖かくなる4月や、残暑が落ち着いて植物が育ちやすい10月頃が、根付きやすくなります。
あまり植え場所は選びませんが、日当たりがよく、ほどよく土に湿り気がある場所だとよく育ち、花も咲きやすくなります。
日当たりが悪い場所や、乾燥しすぎたり湿りすぎているような場所でも育ちますが、草姿が悪くなったり、花が咲きにくくなることがあります。斑入りや葉に模様が入った品種は、よく日が当たる場所のほうが葉色がきれいになります。
庭植えの場合は、いったん根付いてしまえば水やりはほとんど必要ありません。鉢植えの場合は、鉢土が乾いたら適宜水やりをしましょう。
鉢植え、庭植えのいずれも、凍結には注意が必要です。
どくだみの駆除方法
どくだみはとても生育が旺盛で、よく増えます。
増えすぎるとほかの植物の生育が妨げられたりすることもあるので、適宜数を減らす必要が出てくることもあります。また、ほかの植物が植えてあるところに雑草として生えてくる場合もあるので、そうした際の駆除の方法をご紹介します。
根から抜き取る
一株一株手で抜いていく方法です。
どくだみは地下茎を伸ばして株を増やします。根が残っていると、そこから新しい株が出てきますので、土を掘り起こして根をたぐって取り除いていくのが確実です。
出てきたばかりの葉は赤みを帯びているので、春先に赤い葉が出てきたら、大きくなる前に抜いていきましょう。
また、どくだみが生えている場所の土を大きく掘り上げて、古い根を選り分けて取り除くのも効果的です。
熱湯
家にあるケトル(やかん)と水があればできる方法でお手軽です。
除草剤などを買ったり、使ったりしたくない場合にも使える手段です。
なお、ほかの植物に熱湯がかかると傷むので、ドクダミにだけかけるようにしましょう。
ほかに植物がない場所であれば、お湯を沸かしてかけるだけなので楽ですが、地下茎は生きているので、また生えてきます。
要するに、地上部だけを刈り取ったのと同じ状態なので、お湯を沸かす手間を考えると、手で抜くほうが確実で手軽です。
重曹
除草剤を極力使いたくない人におすすめの方法です。
重曹は人体にあまり害がなく、除草剤より危険度が低く駆除することができます。
100円ショップなどで手に入るので、お手軽に試しやすい方法でもあります。
しかしながら、どくだみを刈り取り、残った切り口に重曹をかけて駆除する方法で、やや手がかかるうえ、効果も確実とはいえません。
かなり時間と気持ちに余裕がある人向けの方法です。
塩
植物は塩がたくさんある場所では生きていけません。 地面に塩をまくことで、根が水を吸う力が低下し、結果的に植物が枯れます。
この特性を使って除草をすることも可能なのですが、一度でも塩をまいた土地は植物を育てるのには適さなくなり、またコンクリートや鉄筋など建物の基礎が傷むことがあるため、絶対にまかないようにしましょう。
さらに、土の中にある根まで届くようにするためには、かなりの塩の量が必要になり、広い範囲に大量の塩をまいたところに雨が降って、雨水が隣に流れていった場合は、隣家の植物が枯れてしまうこともあります。
除草剤
除草剤を使うと、効果的にどくだみを駆除することができます。
おすすめの除草剤は「グリホサート系」と呼ばれるもので、これは葉から入った成分が根に届き、根から枯らすことができます。
薬剤は日光や微生物の働きで分解され、ほかの動植物に影響を与えることがありません。
どくだみにだけ塗ることで、ほかの植物を枯らしたりすることなく使うこともできます。
広い範囲だとスプレーなどで噴霧したほうが効率的に作業できますが、ほかの植物にもかかってしまうため注意しましょう。
除草剤を効かせるためには、葉に薬を塗ればよいので、例えば手に薬をつけて葉を触っていくという方法があります。
もちろん素手で薬に触れてはいけないので、まずゴム手袋をし、その上にさらに軍手をします。手袋を二重にした手をバケツなどに用意した除草剤に浸し、その手でどくだみの葉を触っていきます。
こうすることで、ほかの植物に除草剤をかけず、どくだみだけに確実に薬剤を塗ることができます。
筆や刷毛などでどくだみにだけ塗っていくのでもよいのですが、手のほうが作業が簡単です。
ドクダミ茶の作り方
採取したどくだみを使って、どくだみ茶を作る方法をご紹介します。
どくだみの有効成分がもっとも多くなるのは、白い花が咲く6〜8月です。花が咲いてきたら、地上から5cmほどのところから刈り取りましょう。
刈り取ったどくだみはよく水洗いし、水を切ってから乾燥させます。ドライフラワーのように、束にして吊しておくとよいでしょう。そして、葉をつまんでパリパリに砕けるくらいまで乾燥させたら、保存しやすい大きさにカットします。
焦げないようにフライパンで乾煎りして、よく水分を飛ばしたら、密閉容器に入れて保存します。
使う分だけ適量取り出して、煎じて飲むなどして利用しましょう。
おすすめの育てやすい薬用植物
どくだみのほかにも、育てやすくて利用しやすい薬用植物がいろいろあります。そのほかの薬用植物を紹介します。
カキドオシ
日本では北海道から九州にまで自生するシソ科の多年草です。
野原や道端にも生えるごく一般的な植物で、どくだみと同じようにどこでも育つ植物ですが、やや乾燥を嫌うので、十分な湿り気がある場所に植えたり、鉢植えにする場合には水切れに注意しましょう。
よく広がるのでグラウンドカバーとしても使え、斑入りの品種もあります。
4〜5月、9月下旬〜10月など、穏やかで暖かい時期に植え付けます。
冷え性や低血圧に効果があり、日干しして細かく刻んだものを湯船に入れて入浴するなどして利用することができます。
ウコン
二日酔いに効果があることでよく知られているウコンは、胃炎や吐血、痔や月経不順に効果があります。
ウコンは東南アジア原産のショウガ科の植物で、ショウガと同様に根を利用します。
蒸して乾燥させたものを煎じて飲んだりするほか、痔や切り傷、腫物には、粉末にして水で練ったものを患部に塗って使います。
東南アジア原産なので、育てる場合は寒さに気をつける必要があります。
植え場所に腐葉土や堆肥をたっぷり混ぜ込んで植え付け、晩秋に葉がなくなったら、上に腐葉土を厚くかぶせて防寒するとよいでしょう。
乾燥を嫌いますが、水がたまるような環境も苦手なので、水はけのよい場所と用土で、表土にマルチングをして乾燥を防いで育てます。
薬用植物の活用方法
どくだみをはじめとした、薬用植物を使う方法についてご紹介します。
【薬草茶】
お茶として飲む方法です。
薬用植物を入れたポットやカップにお湯を加えたり、ヤカンで煮出して成分を引き出して利用します。
保存しやすいこともあり、乾燥させたものを利用することが多いですが、未乾燥の生の状態で利用することもあります。
乾燥させる場合は、よく洗ったら干して、細かく砕きます。よい香りが立つまで乾煎りし、お茶として煎じて飲用しましょう。
【塗り薬】
柔らかくして患部に貼ったり塗ったりするやり方です。
アルミホイルで包んで柔らかくなるまで蒸したら、繊維質を取り除いて練ります。患部に塗ったり、ガーゼに広げて貼り薬として利用します。
【薬草風呂】
入浴剤として利用する方法です。
よく洗った薬草を刻んで布の袋に入れ、お風呂に入れて利用します。
どくだみを育ててみよう
どくだみはどこでもよく見かける、育てやすい植物です。
それだけ身近にある植物でありながら、さまざま薬効が期待できる、とってもお役立ちな植物。うまく活用すればヘルシーな生活にも役立つので、ぜひ自分で育てて、お茶にするなど暮らしの中で活用してみましょう。
どくだみがうまく育ったら、ほかの薬用植物の栽培にも挑戦してみてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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