かつては西洋料理の飾りとしか見られず、残されがちで残念な位置づけだったパセリ。しかし、ハーブ料理の人気の高まりとともに香味野菜としての認知度が上がり、今やハーブの代表格となりました。どんな料理とも相性がいいパセリを、自宅で育てられたら嬉しいものです。じつは一度植え付ければほとんど手がかからないビギナー向きの野菜で、長く収穫し続けられるので、ぜひ育ててみてはいかがでしょうか?

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パセリについて

パセリ

パセリは、セリ科の野菜で、地中海沿岸地方が原産地。生育適温は15〜20℃で、冷涼な気候を好みます。草丈は15〜25cm程度。二年草に分類されるため、一度植えれば2年は収穫し続けることができます。

ハーブの一種としても愛用され、ヨーロッパ全土で栽培されるようになったのは17世紀頃から。日本にはオランダ船によって18世紀頃にもたらされました。葉のタイプによって種類が分類されており、西洋では「平葉種(イタリアンパセリ)」の方が一般的で、日本ではおなじみの「ちりめん種(カーリーパセリまたはモスカールドパセリ)」の方が主流です。日本では西洋料理に添えられる飾りとして捉えられることが多く、残されることも多いのですが、香りがよいので細かく刻んでサラダに散りばめたり、肉・魚料理の臭み消しとして利用するのがおすすめ。栄養価も高く、ビタミンA、ビタミンB1・B2、ビタミンCやカルシウム、マグネシウ、鉄分を多く含んでいます。香味野菜としての一面を生かし、レシピの幅を広げてはいかがでしょうか。

パセリの栽培環境

パセリの栽培環境

パセリは、日当たり、風通しのよい場所を好みます。暑さ寒さには強い性質ですが、プランターで栽培している場合は、夏は半日陰の場所で管理し、冬は凍結しない場所へ移動するとよいでしょう。パセリに適した土壌酸度はpH5.5〜6.0で、酸性土壌にやや強い性質。植え付け前に苦土石灰を散布して、酸度調整をしておきます。水はけのよい土壌を好みますが、乾燥には弱いので地植えの場合は敷きワラなどでマルチングをしておくとよいでしょう。

パセリの育て方

パセリは、一度根づいてしまえば、ほとんど手間がかからない野菜です。特にビギナーさんは、市販されている苗を手に入れてからスタートすれば、失敗の心配がありません。プランターでも容易に育てることができますよ! ここでは、パセリの育て方について、詳しく解説します。

種まき

パセリの種まき

パセリは、種まきから定植に適した苗にまで育成するのに約70日かかるので、ビギナーさんやせっかちさんには、花苗店やホームセンターで苗を購入して植え付けることからスタートするのがおすすめです。でも、種まきから始めて、あの「発芽した時のときめき!」を醍醐味とするガーデナーや、「パセリが好きすぎるから、大量に育てたい!」というパセリマニアもいることでしょう。ここでは、種まきからスタートする方法をご紹介します。

パセリの種まき適期は4〜10月。植物が旺盛に生育しやすい時期ならいつでもよく、思い立った時に始められるのもいいですね。種子は、播く前によく水洗いをしておきましょう。育苗箱に市販の培養土を入れて、1cm間隔でばらまきにします。パセリは「光好性種子」といって、発芽に光を必要とする性質の植物のため、覆土は薄く土をかける程度にしましょう。種子が流れ出ないように霧吹きで水をかけるか、育苗箱の底から水を吸わせます。日当たりのよい場所で水切れしないように管理し、本葉が2枚ついたら黒ポットに根を傷めないように移植を。本葉が5〜6枚つくまで育苗します。

育苗せずに直まきすることもできます。ただし、前述のように種まきから1本立ちできるまでに約70日かかるので、菜園を効率的に使いたい方には向いていません。次項の土づくりをしたのちに、菜園では株間・条間ともに約30cmの間隔、プランターでは15〜20cmの間隔を取り、1カ所に8〜10粒ずつ種子を播きましょう。発芽後、間引きながら育成し、本葉5〜6枚までに勢いのよい苗を1本のみ残します。間引き菜は、ベビーリーフとしてサラダに散らすと、香りづけに十分楽しめますよ!

土づくり

土作り

【地植え】

連作を避けるため、前作にセリ科の植物を栽培していない場所を選びましょう。

種まき・または苗の植え付けの2〜3週間以上前に、苦土石灰を1㎡当たり約100g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおきます。さらに、種まき・苗の植え付けの約1週間前に畝幅を約60cm取って目印をつけ、中央に深さ20〜30cmの溝を掘ります。1㎡当たり堆肥2kg、化成肥料(N-P-K=8-8-8)50gを均一にまき、埋め戻して平らにならしておきましょう。土づくりは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成します。

【プランター】

葉菜類の野菜用または、ハーブ用にブレンドされた市販の培養土を使うと便利です。

植え付け

パセリの植え付け

市販の苗が出回る、植え付け適期は4月中旬〜7月です。種まきから育成している場合は、本葉が4〜5枚ついた頃が適期です。パセリの根は「直根性」といい、1本の太い根が長く伸びる性質を持っています。この太い根を傷めると、成長が悪くなってしまうので注意。そのため、苗の移植は若いうちに済ませて、根鉢を崩さずにポットから苗を出したらそのまま植え付けることがポイントです。

【地植え】

土づくりをして目印をつけておいた場所に、幅約60cm、高さ約10cmの畝をつくり、表土を平らにならします。株間、条間(2列植えの場合) ともに約30cmの間隔を取って、根鉢より一回り大きな植え穴を開けます。穴にジョウロでたっぷりと水を注ぎ、苗を植え付けましょう。

【プランター】

6号以上の鉢、または標準サイズのプランターを用います。

市販の培養土に、用土10ℓ当たり、苦土石灰と化成肥料(N-P-K=8-8-8)をそれぞれ大さじ1を目安に混ぜ込んでおきましょう。

プランターの底穴に鉢底網を敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れ、その上に野菜用にブレンドされた培養土を入れます。水やりの際に水があふれ出ずに済むように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3cm残しておきましょう。株間を15〜20cm取り、苗の根鉢より一回り大きな植え穴を開けて植え付けます。最後にジョウロにはす口をつけて、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと水やりしましょう。

収穫

パセリの収穫

葉が15枚以くらいついたら、収穫し始めます。外葉から順に、2〜3枚ずつ地際で切り取りましょう。一度植え付ければ2年ほど収穫し続けることができるので、ほかの野菜のように根ごと抜き取って収穫するのはNG。葉が茂ってきたら、必要な分だけかき取る収穫を繰り返します。

パセリの育て方のポイント

パセリは放任してもよく育つ丈夫な野菜ですが、収穫期間が長いので水やりと追肥をきちんと続けることが、すくすくと育てるコツです。病害虫の対策も含めて、たくさんの収穫を得るための日々のケアポイントをご紹介します。

水やり

水やり

【地植え】

地植えの場合は、下から水が上がってくるので、天候にまかせてもよく育ちます。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、適切に水やりをして補いましょう。乾燥に弱い一面もあるので、表土に敷きわらをして対策をしておくと万全です。

【プランター栽培】

土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えます。特に梅雨明け後の高温期は乾燥しやすいので、朝夕2回の水やりを忘れずに行いましょう。高温の真昼に水やりすると、すぐにお湯状になって地温が上がり、かえって株が弱ってしまうので、必ず涼しい時間帯に与えることが大切です。

肥料の与え方

パセリの肥料

生育期間が長いので、定期的に追肥すると次々と茎葉が立ち上がります。肥料を切らさずに管理すると、冬の寒さも乗り越えてトウ立ち(花芽のついた茎が伸びること。硬くなって食味が落ちます)するまで、収穫し続けることができますよ!

【地植え】

1カ月に1度、1㎡当たり約30gを目安に化成肥料を株の周囲にばらまきます。軽く耕して土に混ぜ込み、株元に軽く土寄せしておきましょう。

【プランター】

3週間に1度、化成肥料を小さじ約5g目安に株の周囲にばらまいて、土になじませます。

病気

パセリの病気

パセリがかかりやすい病気は、主に苗立枯病、軟腐病、斑点病、うどんこ病などです。

苗立枯病は、カビの一種で起こる病気。外葉から黄色くなり始め、地際の部分が褐色に変化し、病気が進むとやがて枯死します。土壌に生息する菌が原因なので、種まきする際やプランター栽培では、市販の培養土を使うことで回避できます。

軟腐病は、土壌に生息する菌で、葉、茎、根に症状が現れます。雨が多くて気温が高い時期に発生しやすい病気です。株元から腐敗が始まり、地際部の茎が侵されるため、葉はしおれて外側へ倒れていきます。菌は茎葉の根の傷口などから侵入しやすく、土壌害虫が発症の一因に。土壌の水分管理に注意し、極端に乾燥させたり、常にジメジメさせたりといった、振り幅を大きくした環境にしないようにしましょう。発生してしまったら、病株を抜き取り、周りに蔓延しないように、適応する薬剤を散布します。

斑点病は、カビの一種が原因の病気で、主に葉に症状が現れます。初期は葉の一部が黄色く変色。少しずつ広がって葉全体が黄色くなり、やがて褐色になって株全体に広がると枯死します。連作によって発生しやすい病気のため、ニンジン、セロリ、ミツバなどセリ科の野菜を植えていた場所に、引き続いて同じ科に属する野菜であるパセリを植えないようにしましょう。

うどんこ病は、カビの一種が原因で発症。葉と茎に発生し、全体に白い粉を吹いたような状態になるので、発見しやすい病気です。発症後に枯死するまでには至りませんが、生育がとまってしまいます。7〜9月に発生しやすく、気温が低下すると収束するのが特徴。畑では、乾燥気味の状態で発生しやすいので、水の管理に注意しましょう。また、多肥によって軟弱になった株や、繁茂しすぎて風通しが悪くなった株に発生しやすくなります。

害虫

パセリの害虫

パセリに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニ、ヨトウムシ、キアゲハです。

アブラムシは、新芽が出る頃から多発しやすく、放任するとすぐに増えて、びっしりと茎葉を覆うまでになります。ウイルス病を媒介する厄介者なので、プランター栽培などでは発生初期に水で洗い流すなどの対処を。キラキラと光るものを嫌う性質があるので、地植え栽培では植え付け時に、被覆資材のシルバーマルチを畝に張っておくのもよいでしょう。

ハダニは、葉について吸汁する害虫。葉に白い斑点が残り、多発すると退色してやがて枯死します。気温の高い時期に、発生しやすくなります。地植えでは雑草が発生源となるので、雑草対策をしておきましょう。多発する際には、適応する薬剤を適切に散布します。

ヨトウムシには、ヨトウガ、ハスモンヨトウ、シロシタヨトウ、オオタバコガの幼虫なども含まれます。「夜盗虫」と漢字で書き、文字通りに夜に現れて、旺盛に食害。幼虫が大きくなると被害が大きくなるので、被害を発見したら、夜にパトロールして捕殺しましょう。苗を植え付けた後すぐに、支柱をアーチ状に立てて防虫ネットを張ると、物理的に侵入を防ぐことができます。

キアゲハは、比較的セリ科の野菜につきやすい幼虫。旺盛に食害し、茎葉が丸坊主になってしまうこともあります。体長4〜5cmのぷくぷくとしたイモムシで、縞模様の目立つ配色をしていて見つけやすいので、すぐに捕殺しましょう。

パセリの保存方法

花瓶やコップに水を入れて収穫したパセリを挿しておき、キッチンの直射日光の当たらない場所においておけば、数日は使いたい時に取り出して使うことができます。たくさん収穫できたおかげで、それ以上長く保存しておきたい時の保存方法を、以下にまとめました。

冷蔵保存

パセリの保存

収穫したパセリはよく水で洗い、ペーパータオルなどで水気を拭き取ります。水を入れた容器に、収穫したパセリの茎部分を活けこみましょう。ビニール袋を上からかぶせて容器まで覆い、冷蔵庫に入れます。毎日容器の水を入れ替えて茎の先端を切ると、1〜2週間は保存できます。

冷凍保存

パセリの保存

よく洗ったパセリの水分をよく拭き取り、ジッパーつきの保存袋か密閉容器に入れて、冷凍庫に入れます。保存期間は1カ月ほどです。みじん切りにして、毎回使う分量くらいをラップに小分してから冷凍してもOK。

パセリを栽培し毎日料理に加えてみよう

パセリの栽培

パセリはプランターでも簡単に栽培できるので、ビギナーでも手軽に始められる野菜の一つ。一度植えつければ長く収穫し続けられるのも魅力です。サラダに散らしたり、肉・魚料理の風味づけに加えたりすれば、毎日のメニューがランクアップしますよ! ぜひパセリを家庭栽培して、食卓を豊かに彩りましょう。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

Photo/ 1) MRcreator 2) BARKEH SAID 3) platon4eg 4) Tatyana Dragunova 5) Yulia YasPe 6) NataVilman 7) Svigacheva Elena 8) Bruno D Andrea 9) Vadim Maevskyi 10) Floki 11) StephenVanHove 12) Zoeytoja 13) Robertek 14) Aksana Yasiuchenia /Shutterstock.com

参考文献:
『やさしい家庭菜園』 監修者/藤田智、加藤義松 発行/家の光協会 2006年3月1日第1刷
『はじめての野菜づくり コンテナ菜園を楽しもう』著者/藤田智 発行/日本放送出版協会 2007年5月25日発行
『わが家の片隅でおいしい野菜をつくる』監修/藤田智 発行/日本放送出版協会 2008年2月10日第5刷発行
『別冊やさい畑 野菜づくり名人 虎の巻』発行/家の光協会 2009年2月1日発行
『もっとうまくなる家庭菜園教室 畑と野菜のしくみ』 発行/家の光協会 2008年10月13日第1刷発行
『はなとやさい』2014年7月号 発行/タキイ種苗

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