自宅で野菜を育ててみたいけれど、「何にしようかな?」と迷っているみなさんへ。では、きゅうりの栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょう? きゅうりは生育旺盛な野菜で、植え付けから収穫までのスピードが速く、またたくさんの実りをもたらしてくれるので、手軽に「達成感」を得られます。この記事では、きゅうりの特性から基本知識、詳しい栽培方法まで、幅広くご紹介していきます。

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きゅうり(胡瓜)の基本情報

キュウリ

きゅうりは、ウリ科キュウリ属の果菜類で、インド北西部・ヒマラヤ山麓地帯が原産地です。つる性の植物で、草丈は2m以上にまで達します。きゅうりの生育適温は18〜25℃。3月頃に種子を播いて育苗し、4月下旬〜5月中旬に苗を定植します。生育スピードが速く、6月下旬頃から収穫スタート、8月下旬頃まで楽しめます。その後は枯死するというライフスタイルをたどる一年草です。

原産地のインドでは3,000年も前から栽培が始まっており、日本へは1,000年ほど前に中国・朝鮮半島を経由して伝わったとされています。当初は薬草として利用されていたようです。きゅうりが野菜として食されるようになったのは、江戸時代末期から明治時代にかけて。今日では大人気のサラダには欠かせない食材で、促成栽培などによって一年中食べられる野菜です。

きゅうりのブルームとは?

ブルームきゅうり

近年、青果店やスーパーで見かけるきゅうりは、表面がつやつやとしていますが、一昔前のきゅうりは、表面にうっすらと白い粉が吹いた状態になっていました。これは、きゅうりが自然に生成する物質で、「ブルーム」と呼ばれ、水をはじくとともに、実の内部に含まれる水分の蒸発を抑えて、表面を保護する役割を持っています。ブルーベリーも同様に、鮮度がよいものはブルームが見られますよね。ところが、きゅうりに生じるブルームは「農薬散布の残留物ではないか」というクレームの要因となっていた時代があったのです。ブルームが中途半端に落ちて汚いなど、見た目も悪かったことから、このブルームが生じない「ブルームレス」の品種が生まれて、普及するようになりました。しかし、このブルームレスの品種は、通常のきゅうりに比べて皮が硬く、日もちはするものの、味が落ちるとする向きもあるようです。一周回って、本来ブルームに守られた歯ざわりのよいきゅうりが再注目され、また新しい品種が生まれる動きが出てきました。きゅうりは人気の野菜ですから、各種苗会社がしのぎを削って美味しい品種を追求し、日進月歩で品種改良が進んでいます。

きゅうりの品種

キュウリ

きゅうりには非常に多くの品種があり、白イボ系と黒いぼ系に大別することができます。日本で栽培されている品種の多くが白イボ系で、表面につくイボが白色、果皮が鮮やかなグリーンで、皮が薄くシャキシャキとした歯ざわりです。一方、黒イボ系は、表面のイボが黒いのが特徴。南西日本で広く栽培され、春〜初夏採りの早生種が普及していました。漬物に適していますが、サラダなど生食するには、味が白いぼ系よりもやや劣るとされ、現在は九州や四国でわずかに見られるくらいとなっています。

他にも加賀の伝統野菜で、太くて大きいものでは1㎏にも達する「加賀太きゅうり」のほか、実の上部が緑で下に向けて白っぽくグラデーションになる「半白節成」などもあります。また、品種改良によって果皮のイボをなくした「いぼなしきゅうり」も人気です。

きゅうりも綺麗な花が咲く!

キュウリの花

きゅうりは、6〜8月が開花期。直径3cmほどの黄色い5弁花を、多数咲かせます。じつは、きゅうりには雄花と雌花があるんです! 花が咲いたら、付け根をよく観察してみましょう。付け根が膨らんでいるのが雌花で、膨らんでいないのが雄花です。「だったら、人工授粉が必要なの?」と思われるかもしれませんが、答えはNO。きゅうりは「単為結果」という性質があり、雌花と雄花の間で受粉できなくても、しっかり実をつけてくれるのです。

ちなみに、きゅうりの花言葉は「洒落」です。「洒落」には、「あか抜けた」とか「気の利いた」という意味がありますが、目を引く黄色い花を咲かせる姿や、人工授粉をしなくてもよく実る性質から、この言葉を当てたのかもしれません。

世界一栄養がない野菜?

キュウリ

きゅうりは全体の96%が水分で、ギネスブックで「Least calorific fruit」と認定ました。これが「世界一栄養の少ない野菜」と誤訳され、不名誉な評判が広まってしまいました。実際には100g当たり14キロカロリーであることを評して「最も熱量の低い果実」と認定されたものです。しかし、低カロリーだからといって、栄養が少ないわけではありません。また、「fruit」とある通り、「果実」(分類上、果菜類も含む)と比較したもので、野菜と比較してのギネス記録ではないのです。

きゅうりの効能

キュウリ

きゅうりのほとんどは水分ですが、栄養素としてβカロテン、ビタミンC、カリウムが含まれています。特に多く含まれるカリウムは、ナトリウム(塩分)を排出する役割があって、体内の水分量を調節するので、むくみの解消にも効果的です。また、きゅうりには体を冷やす効果があり、熱中症対策の水分補給にもいいとされています。歯ざわりがよくさっぱりとした味なので、夏バテ気味で食欲がない時にも、美味しく食べられるのがいいですね。

きゅうりの旬の季節

キュウリの旬

サラダや漬物など、日本人に愛されているきゅうり。需要が高いため、ハウス栽培も盛んで、一年中野菜売り場に並んでいます。「きゅうりの旬はいつですか?」と問われても、答えに窮してしまう方もいるのではないでしょうか。きゅうりは夏野菜の一つで、収穫のハイシーズンは7〜9月。この旬の時期には、畑で栽培されているものが出回るため、価格も手頃感がありますね。旬に出回るきゅうりは、冬にハウス栽培されたものと比べて2倍ほどのビタミンCが含まれているといわれています。畑で太陽の恵みを受けた旬のきゅうりを、ぜひ味わいましょう!

きゅうりの育て方

きゅうりは生育が旺盛でたくさん実をつけ、収穫の喜びを実感できる野菜の一つ。1株から15〜30本収穫できるので、一家族なら1〜2株栽培すれば十分ではないでしょうか。したがって家庭できゅうりを栽培する場合は、苗を買い求めて植え付けるところからスタートするのが一般的です。

また、きゅうりを育てるには、支柱につるを絡ませる「支柱栽培」と、地面につるを伸ばす「地這栽培」の2つの方法があります。ビギナーさんには、場所を取らずに管理がしやすい「支柱栽培」がおすすめ。ここでは、きゅうりの支柱栽培について、詳しくご紹介していきます。

土づくり

土作り

同じ科の野菜を続けて同じ場所で育てると、連作障害が出て生育が悪くなるので、前作にウリ科の植物を栽培していない場所を選びましょう。

苗の植え付けの2〜3週間以上前に、苦土石灰を1㎡当たり100〜150g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおきます。さらに植え付けの1〜2週間前に、1㎡当たり堆肥2kg、化成肥料(N-P-K=8-8-8)100gを全面に散布し、よく耕して平らにならしておきましょう。土づくりは植え付け直前ではなく、数週間前に行うことで、分解が進んで土が熟成します。

苗の選び方

キュウリの苗

本葉が3〜4枚ついた頃が、植え付けの適期です。双葉がついているものがよく、茎葉が締まり、がっしりとして勢いのあるものを選びましょう。ヒョロヒョロと間延びしているものはNGです。

定植

キュウリの植え付け

植え付けの適期は、4月下旬〜5月中旬。幅70cm、高さ5〜10cmの畝をつくります。きゅうりは水切れしやすいので、あまり高い畝にしないことがポイントです。

畝ができたら、保水性をよくするために畝の表面に黒マルチ(ポリフィルム製の被覆資材)を張り、風で飛ばされないように四方に土を盛って固定します。黒マルチはできるだけピンと張っておきましょう。黒マルチを張ることで、乾燥や雑草を防ぎ、泥はねも防止して病気の蔓延を防ぐ効果もあります。この一手間が成功のポイントです。

畝の中央に、株間を約45cm取って穴あけ器で黒マルチごと植え穴をあけます。植え穴に水を注ぎ、水が引いたら苗を植え付けましょう。苗のそばに仮支柱を立てて、茎を誘引しておきます。

支柱の設置

キュウリの支柱

本葉が5〜6枚ついた頃が、仮支柱から本支柱に差し替えるタイミングです。2.4mほどの園芸用支柱を3本用意し、株元から20cm以上離した3カ所に支柱を差し込みます。しっかりと支えるために、地中には深さ40cmほど支柱を埋め込みましょう。頂部をまとめて三角錐状にし、ひもで固定します。きゅうりのつるを下から誘引しておき、以降は、つるが伸びてきたら適宜支柱に誘引していきましょう。

複数の苗を列植する場合は、1株の苗ごとに両側から内側へ向けて支柱を2本立てて、上部を交差させ、ひもでまとめます。交差させたところに横に支柱を渡して列全体を一体化させる合掌式にするとよいでしょう。

水やり

水やり

プランター栽培とは違い、地植えの場合は下から水が上がってくるので不要です。しかし、実がつき始めたら水を欲しがるので、雨が降らずに日照りと乾燥が続くような時は、水やりをして補うとよいでしょう。茎葉がだらんと下がって、しなびそうになっている時は、水を欲しがっているサインです。

追肥

肥料

植え付けから2週間後に黒マルチをはがし、株の両側に、化成肥料を1㎡当たり約30g均一にばらまきます。クワで耕して土に混ぜ込み、株元に土を寄せましょう。追肥が終わったら黒マルチを元に戻しておきます。

以降、収穫が終わるまで2週間に1度を目安に、同様にして追肥と土寄せを繰り返します。きゅうりの実は急速に肥大するので、実がなり始めると肥料や水を多く必要とします。肥料切れになったり、株が疲れたりすると、実が曲がったり、尻細や尻太など変形が出てくるので、ご注意を。

摘花

親づるの地際から3〜5節目までに雌花が咲いたら、早めに摘み取りましょう。成長の早期から株が消耗するのを防ぐためです。

子づるの整枝

親づるの3〜5節目から出る子づるは、すべて摘み取ります。

また、4〜6節目以降から出る子づるは、雌花を2つと葉1枚を残して、その先のつるは切り取りましょう。整枝をすることで、養分が分散せずに実を充実させることができます。

摘芯

親づるが支柱の高さ以上に伸びてきたら、先端を切る「摘芯」をして管理しやすくします。

病害虫対策

うどん粉病

きゅうりはビギナーさんでも育てやすい野菜ですが、病虫害が発生しやすい一面もあります。特に「べと病」と「うどん粉病」は発生しやすい二大病です。

梅雨時などの高温多湿期に肥料切れすると発生しやすいのが「べと病」で、葉脈に囲まれた部分が褐色に変色するのが特徴です。菌は土壌の中にいて、雨などの跳ね上がりが下葉に付くと発生しやすくなるので、やはり先述の「土づくり」の項目で触れたように、植え付け時に黒マルチを張っておくことが対策となります。

「うどん粉病」は、葉の表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がります。乾燥が続いて、涼しかったり日照不足だったりすると発生しやすくなります。いずれの病気も、発症した葉を摘み取って処分し、適応の薬剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎます。

きゅうりにつきやすい害虫は、アブラムシやウリハムシなど。見つけ次第捕殺しましょう。

病虫害は、葉が込んで風通しが悪くなると発生しやすくなります。枯れ葉や傷んだ葉があればまめに摘み取り、つるも適宜誘引して風通しよく管理しましょう。

収穫

キュウリの収穫

最初の2〜3本は、株を疲れさせないために、長さ15cmくらいの若採りにするとよいでしょう。実の成長は早く、開花から約1週間で標準サイズの長さ18〜20cmになります。タイミングを逃すと、あっというまにヘチマサイズまで大きくなるので、なるべく若いうちの収穫を心がけましょう。

一通り収穫が終わったあとは枯死してしまうので、株を引き抜いて処分し、支柱は撤去しておきます。枯れ葉や根も整理して、次のシーズンに向けて整地しておきましょう。

自分で美味しいきゅうりを育てよう!

この記事では、きゅうりの特徴から育て方まで、詳しく解説してきました。きゅうりは黄色い花をたくさん咲かせるので観賞の楽しみもあり、またたくさんの実りをもたらしてくれる、まさに一石二鳥の野菜です。毎年夏の味覚として、「我が家産のきゅうり」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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参考文献:
『やさしい家庭菜園』 監修者/藤田智、加藤義松 発行/家の光協会 2006年3月1日第1刷
『別冊やさい畑 野菜づくり名人 虎の巻』発行/家の光協会 2009年2月1日発行
『甘やかさない栽培法で野菜の力を引き出す 加藤流絶品野菜づくり』著者/加藤正明 発行/万来舎 発売/エイブル 2015年5月25日発行第2刷

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