フェイジョアという果樹をご存じですか? 日本では30年ほど前にブームが起き、人気の果樹としてガーデンに取り入れられることが多かったのですが、現代では花木として愛される側面が大きくなっています。でも、青果店やスーパーで出回ることがほとんどない、おいしい果実をつけるので、ぜひ再注目してほしい植物です。トロピカルフルーツのような芳醇な香りをもつ甘酸っぱい果実を、ぜひ収穫してみませんか? この記事では、フェイジョアの魅力と育て方について詳しく解説します。

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フェイジョアとは?

フェイジョアは、花姿の愛らしさもさることながら、やがては香り高い果実をつけてくれるので、ガーデニングにとっては「二度おいしい」樹木です。常緑性で冬でも葉を落とさず、一年を通してみずみずしい姿を見せてくれるのも長所の一つ。ここでは、フェイジョアのプロフィールについて詳しくご紹介します。

どんな植物か

フェイジョア
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フトモモ科アッカ属に分類されるフェイジョア。「パイナップルグァバ」の別名も持つ果樹で、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジル南部が原産地です。亜熱帯性果樹に分類されますが、意外に寒さに強く、温暖地であれば庭植えにして越冬できます。常緑性で、一年を通してシルバーがかった明るい葉をつけているので、冬のみずみずしい木姿も魅力です。自然樹形では5m以上になりますが、毎年の剪定によって2m前後の樹高をキープすることができます。開花期は5月中旬〜6月。淡いピンクの花弁を広げた中央に、真っ赤な多数のおしべが放射状に広がる愛らしい花姿で、花木としても人気があります。果実の収穫期は10月中旬〜12月上旬。ただし、一部の品種を除いたほとんどが自家不結実性で、1本を植えただけでは実がつきません。果実を楽しみたい場合は、異なる2品種以上を植える必要があります。果実は卵くらいのサイズで、自然落下を待って収穫し、追熟してからいただきます。青果店やスーパーで出回ることがほとんどないフルーツの一つで、パイナップルやバナナ、イチゴを合わせたような芳醇な香りをもつ、甘酸っぱい完熟果を楽しめるのも魅力です。フェイジョアの果実には食物繊維が豊富で、ポリフェノールやビタミンCも多く含まれています。

どんな品種があるか

フェイジョア
EM Arts/Shutterstock.com

 

 

花木としても、果樹としても愛されるフェイジョアには、多様な品種があります。ここでは、主な品種をご紹介しましょう。

‘ジェミニ’
果実の大きさは100gほどで果肉はやわらかく、濃厚な味わい。収穫時期は10月中旬〜11月中旬。やや自家結実性がありますが、授粉樹はあった方がよく、‘アポロ’と相性がよいようです。

‘マンモス’
実が大きいのが特徴で、果汁がたっぷりと口に広がります。収穫時期は10〜11月。自家結実性が低いので、授粉樹が必要です。

‘アポロ’
フェイジョア アポロ
果実の大きさは50〜90gで、甘くて風味がよいのが特長。収穫時期は10〜11月。自家結実性があるとされていますが、異品種の授粉樹があったほうが実つきがよくなるようです。

‘トライアンフ’
果実はミディアムサイズ。香りが高く、日もちがするのが長所です。収穫時期は11月下旬〜12月上旬の晩生品種。授粉樹は‘アポロ’と相性がいいようです。

フェイジョアの育て方

これまで、フェイジョアのプロフィールについてご紹介してきました。ここからは、フェイジョアの育て方について、詳しく解説していきます。以下を読めば、管理のポイントがつかめてくるはずです。

植え付け

フェイジョアの植え付け

フェイジョアの植え付け適期は3月頃。植え付けから収穫までの目安は、3〜5年です。

果実の収穫を楽しみたい場合は、近くに2品種以上を植えることがポイント。フェイジョアは品種によっては自家受粉するタイプもありますが、前述の通り基本的には自家不結実性(1本植えるだけでは実らない)のため、確実に実をつけるには、別品種の授粉樹が必要だということを知っておきましょう。開花期が同じ時期の品種を選ぶことも大切です。

鉢植えにして栽培する場合は、8〜10号鉢を準備しましょう。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから果樹用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら用土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

庭植えにする場合は、まず一年を通して日当たり、風通しのよい場所を選びましょう。2株以上植え付ける場合は、苗木同士の間隔を最小でも3mは開けるようにします。直径、深さともに50cm程度の穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土や堆肥などを混ぜ込み、苗木の根を広げて定植。最後にたっぷりと水を与えましょう。1年生苗の場合は、地際から60cmのところを目安に主枝をカットしておきます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。

水やり

水やり
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鉢栽培の場合、日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって株が弱ってしまうので、涼しい時間帯に行うことが大切です。

庭植えの場合は、植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根づいた後は、乾燥が続いて株が水を欲しがっているサインを出していたら、たっぷりと水やりをします。鉢栽培と同様、真夏は朝か夕の涼しい時間帯に与えることが大切です。

肥料

肥料
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鉢栽培の場合は、3月、7月、10月に有機質肥料を施します。木に勢いがなく生育が止まっているようなら、即効性のある液体肥料を水やり代わりに与えるとよいでしょう。

庭植えの場合は、3月と10月に有機質肥料を施します。

害虫対策

害虫
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カイガラムシがつくことがあります。幹にカイガラのような白い塊がついていたら、見つけ次第、歯ブラシでこすり落として早期に対処しておきましょう。

また、コウモリガの食害に遭うことがあります。コウモリガは、秋に産卵された卵から孵化した幼虫が、幹や枝の中に入って食害。被害が大きくなると、株に勢いがなくなり、枯死することもあります。大量の木くずを出し、幹には木くずと糞と糸とで作った塊が作られるので、発見したらすぐに適応の薬剤を利用して防除しましょう。

仕立て方と剪定

剪定バサミ
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鉢栽培の場合は、植え付けから3年目くらいまでは、剪定の必要はありません。3年目以降から、込んでいる部分があれば間引き剪定をして、風通しよく保ちます。また、株元から出てくる「ヒコバエ」は、元から切り取りましょう。

庭植えの場合、2年目の冬に高さ50cmよりも下から出ている枝を元から切り取ります。フェイジョアは株元から新芽が出やすく、株立ちの形になりやすいからです。主幹が2m以上になるまでは切らずにそのまま伸ばしましょう。そばに支柱を立てて、主幹以外の側枝を、水平方向に誘引して枝を開いた状態にします。

庭植えして3年目の冬、主幹が2m以上伸びて側枝が充実していれば、2mの高さで摘芯してそれ以上大きくならないようにします。徒長枝があれば切り取り、込み合っている部分は間引き剪定をして、風通しをよくしましょう。

それ以降の剪定は、新芽が伸びる前の春か秋が適期です。強く切り詰めるよりは、込み合っている部分の間引きや切り戻し剪定をメインに行って、前年からの樹形をキープするように管理を。フェイジョアは、冬に前年伸びた枝の先端2〜3芽の花芽がつき、春に花芽が伸びた枝の基部2〜3節付近に花が咲いて実がつきます。春に剪定する場合は、各枝を強く切り戻しすぎると花が咲かなくなるので注意しましょう。

人工授粉

フェイジョアの花
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フェイジョアは、基本的には自家不結実性のため、異なる品種を混植することが大前提。虫が媒介して授粉するのである程度は果実がつきますが、放任しておくよりは人工授粉をすると、より確実です。授粉は晴れた日の開花後まもない午前中に行うとよいでしょう。異なる品種の開いたばかりの花、数輪から毛ばたきなどに花粉をまとわせて採取し、別品種の花の雌しべにこすりつけるようにします。中には自家結実性の品種もありますが、人工授粉をしたほうが実りがよくなります。

収穫

フェイジョアの収穫

フェイジョアの収穫は自然落下を待ち、落ちたものから拾っていきます。植えている場所が硬い地面の場合は、収穫のタイミングが近づいてきたら敷きわらなどを敷いて、果実が傷むのを防ぐとよいでしょう。枝についた実を持ってみて、簡単に取れるようであれば、そのまま収穫してもかまいません。

採れたての果実は、まだ硬くて糖度が低いので、おいしく食べるには、15〜20℃の室温で3〜10日ほどおいて追熟しましょう。外側を軽く押してみて、少しやわらかくなって甘い香りも漂うようになっていたら食べごろです。たくさん収穫できた場合は、食べたい分だけ室温で追熟し、ほかは冷蔵庫に入れておくと長期間の保存ができます。

フェイジョアの増やし方

フェイジョアの栽培
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フェイジョアは、挿し木、取り木、種まきの方法で増やすことができます。

挿し木の適期は6月頃です。春に伸びた若くて勢いのある枝を選んで切り取ります。清潔な挿し木用の培養土を育苗用トレイなどに入れて、採取した枝葉を挿しておきます。水切れしないように管理し、発根したら黒ポットなどに植え替えて育成を。大きくなったら、植えたい場所に定植します。挿し木のメリットは、採取した株のクローンになることです。

取り木の適期は4月頃です。前年に伸びた枝の表皮を剥ぎ取り、そこに水で戻した後に絞った水苔を巻いてビニタイなどで固定。さらにビニールで巻いてしばらくおきます。表皮から発根したら枝から切り取って、清潔な挿し木用の培養土を入れた鉢に植え付けます。取り木でも、採取した株のクローンになります。

種まきは、収穫した果実から種を取り出し、よく水洗いをしたのち陰干ししておきます。清潔な培養土に種をまき、発芽まで乾燥しないように管理。成長とともに鉢増ししながら育成します。ただし、花が咲くようになるまで5〜6年かります。

フェイジョアの食べ方

フェイジョアは、一般的な青果店やスーパーではあまり出回っていないため、食べ方にとまどう方もいるかもしれないですね。ここでは、フェイジョアをおいしく食べる方法についてご紹介していきます。

生のまま食べる

フェイジョアの食べ方
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フェイジョアは、もちろん生のままで食べることができますよ! 横に包丁を入れて半分に切り、柔らかい果肉をスプーンですくって食べるとお手軽。全体の皮をむいて、切り分けて食べてもOKです。果汁をたっぷり含み、パイナップル、イチゴ、バナナをミックスしたような風味で、甘くて酸味があります。種はゼリー質のものに包まれていますが、小さいのでそれほど気になりません。そのまま凍らせてシャーベットにしてもおいしく、ミキサーにかけてジュースやゼリーにしても美味。ヨーグルトに入れてもおいしくいただけます。

じつは、フェイジョアは果実だけではなく、花も食べられるんです! 甘酸っぱいテイストで、サラダやカルパッチョに加えると、華やいだテーブル演出ができます。ただし、花を収穫しすぎると実りの数が減ってしまうので、必要な分量は残しておいてくださいね。

ジャムにする

フェイジョアのジャム
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フェイジョアは、ペクチンを豊富に含むフルーツです。フルーツを使ってジャムを作る場合は、一般的にフルーツと砂糖、凝固剤の役割を持つペクチンなどを使いますが、フェイジョアの場合は、果実にペクチンが含まれるため、材料はシンプルに砂糖だけでOK。ここで、フェイジョア・ジャムのつくり方をご紹介しましょう。

フェイジョア10個、砂糖100gを準備します。フェイジョアは横に包丁を入れて半分にカットし、果肉をスプーンでくりぬいておきます。皮をむいてカットしてもいいでしょう。鍋に果肉と砂糖を入れ、弱火で煮ます。時々木ベラで混ぜながら、とろみが出るまで火にかけます。味見をして、砂糖が足りないようであれば、好みで調整してください。とろみがついたら火からおろし、粗熱をとります。保存する密閉容器には、あらかじめ煮沸消毒したのち、乾燥させておきましょう。粗熱が取れたら容器に入れて、冷蔵庫で保管します。フェイジョアの栽培が盛んなニュージーランドでは、ホピュラーに作られているジャムです。トーストやホットケーキに塗ってもおいしく、アイスクリームやヨーグルトに添えるのもおすすめですよ!

フェイジョアを栽培して食べよう

フェイジョア
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フェイジョアは、暖地なら初心者でも比較的栽培が容易な果樹の一つです。花も美しく、果実も美味しい! 観賞と収穫の両方が得られ、ガーデニングの喜びを2倍にしてくれるフェイジョアを、ぜひ育ててみてはいかがでしょう。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

参考文献:
『決定版 はじめてでも簡単 おいしい家庭果樹づくり』 著者/大森直樹 発行/講談社 2010年11月28日第1刷発行

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