赤やオレンジ、黄色、黒、シルバー、ブロンズ、斑入りなど、品種によってさまざまな葉色が揃うヒューケラ。表情豊かなカラーリーフプランツとして、人気の高い植物です。ここでは、ガーデンのバイプレイヤーとして存在感を発揮する、ヒューケラの魅力や育て方のポイントなどについてご紹介していきます。

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ヒューケラとは?

ガーデンに取り入れたい植物として人気の高い、ヒューケラ。いったいどのような植物なのか、ここではその特性について、深く掘り下げます。なぜガーデナーに愛されているのか、きっと分かってくるはずですよ!

多様な色の葉と特徴

ヒューケラ
gibleho/Shutterstock.com

ヒューケラは、学名のHeucheraからそのように呼ばれていますが、日本では「ツボサンゴ」(Heuchera sanguinea)の名前で古くから愛されてきた植物です。ユキノシタ科ツボサンゴ属に属し、原産地は北アメリカで、50種以上が分布しています。草丈は20〜50cmくらい。常緑の多年草で、冬が来ても地上部を枯らすことなく、一年を通してみずみずしい葉姿を保ちます。

ヒューケラの魅力は、なんといっても葉色のバラエティーが豊富に揃うことでしょう。カラーリーフプランツとして愛されており、グリーンの葉、グリーンの葉に白の斑が入る葉(斑の入り方も品種によってさまざま)、赤葉、黄色葉、オレンジ葉、ワインレッド葉など、多様な品種が出回っています。そのため、新品種が発売されるのを楽しみにしているコレクターも多いんですよ! 多様な葉色を組み合わせて、シックなカラーリーフガーデンを楽しむ人も増えています。

ヒューケラは花も咲く

ヒューケラの花
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カラーリーフプランツとしてガーデンに取り入れられることが多いヒューケラですが、じつは素朴で美しい花を咲かせることでも知られています。開花期は5〜6月。細い花茎を20〜50cmほど、すらりと伸ばした先に、穂状になって小さな花が次々と咲いていきます。花色には、赤、ピンク、白、グリーンなどがあり、花茎をたくさん立ち上げて咲くので、開花期には花壇を豊かに彩ってくれますよ!

では、ヒューケラの花について、クローズアップしてみましょう。花弁に見えるのは、じつは萼片で、実際の花弁はその中にある小さな白い部分です。和名の「ツボサンゴ(壺珊瑚)は、サンゴのように細い花茎を伸ばして、壺型の花を密に咲かせる花姿に由来するとされています。

ヒューケラを育てる環境

ヒューケラ
Alina Kuptsova/Shutterstock.com

ヒューケラが機嫌よく育つ環境は、日向〜半日陰の場所です。夏場に強い直射日光にさらされると、葉焼けして美観が損なわれる原因になるので注意しましょう。特に、斑入り種や淡色系の品種は葉焼けを起こしやすい傾向にあるようです。そのため、プランターで栽培する場合は、夏場は涼しい半日陰に移動するのが無難。庭植えの場合は、午前中のみ光がさす東側か、落葉樹の足元など、緑陰のもとチラチラと光がさす程度の場所が向いています。ただし、耐陰性があるとはいうものの、暗すぎる場所では生育が悪くなり、花も咲かなくなるのでご注意を。

また、水はけのよい土壌を好みます。常にじめじめした環境では生育が悪くなるので、庭植えにする場合は土壌改良資材を投入し、盛り土をして水はけのよい環境に改善するように努めましょう。

ヒューケラの品種

毎年の新品種発表を楽しみにしている収集家もいるほど、ヒューケラの品種は多様です。エキゾチックな雰囲気も漂わせる美しい葉色は、ガーデナーの所有欲を満たしてくれることでしょう。ここでは、主な品種をご紹介していきます。

‘グリーンスパイス’

ヒューケラ グリーンスパイス
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シルバー色の葉を縁取るようにグリーンが入り、なおかつ赤い葉脈がはっきりと出る、人気品種です。秋冬になると赤く紅葉するため、季節の変化も楽しめます。‘アメリカーナ’の選抜品種です。

‘サンライズフォール’

ヒューケラ サンライズフォール
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明るいゴールドリーフに、赤いスポットが入る品種です。半日陰にも耐え、暗い場所を明るく彩るのに一役買ってくれます。カエデ型に整う、美しい葉のフォルムにも注目を。花色は白。

‘グレープソーダ’

ヒューケラ グレープソーダ
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春に出る新芽は、ハッと目をひくほど発色の美しい赤。季節が進むとピンクを帯びて、やがては落ち着いた紫色へと変化していきます。花色はピンクで花上がりがよく、花茎は短めです。

‘キャラメル’

ヒューケラ キャラメル
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春に芽吹いた頃は明るいオレンジ色で、その葉色から庭にインパクトを出せます。季節が進むとやや黄色味が強くなり、秋にはキャラメル色へと変化。大株に育てやすく、立派な草姿を楽しめます。

‘パプリカ’

ヒューケラ パプリカ
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春に芽吹いた頃はオレンジ色で、季節が移ろうとともに黄色、赤へと変色していき、表情の変化を楽しむことができます。花色は淡いピンク。どの季節もカラフルなので、インパクトを出したい時に重宝。

‘ミッドナイトローズ’

ヒューケラ ミッドナイトローズ
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濃いブロンズ色の葉に、ピンクの斑がスプラッシュ状に入る姿が個性的。葉がたくさんついて大きく育つと、斑がよりはっきりと目立ってきます。花色は黄褐色で、葉とのコントラストも美しい、コレクターズアイテム。

ヒューケラの育て方

ヒューケラは多年草に分類される、ライフサイクルの長い植物です。そのため、何年も長くつきあっていくつもりで庭に取り入れましょう。ここでは、基本的な栽培方法についてご紹介します。

植え付け

ヒューケラの植え付け
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ヒューケラの植え付け適期は、3〜4月です。

コンテナで栽培する場合は、赤玉土(小粒4)、鹿沼土3、腐葉土3の割合でブレンドし、水はけと水もちのよい土を利用するとよいでしょう。あらかじめ草花の栽培用に配合された培養土を利用してもOK。初心者なら市販の培養土を使う方が手軽です。鉢の大きさは、5〜7号鉢に1株を目安にするとよいでしょう。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。ヒューケラの苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら用土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOK。美しいカラーリーフの品種を選ぶと、開花期以外も脇役として活躍します。

庭に地植えする場合は、落葉樹の足元など半日陰の環境を選びましょう。水はけをよくするため、植え場所に腐葉土をすき込んでから植え付けます。植え付け後はたっぷりと水やりをしておきましょう。

肥料

肥料
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ビギナーの場合、緩効性化成肥料を常備しておくのがおすすめです。植物への汎用性が高く、においがしないため扱いやすいのがメリット。開花期に与える液肥は、開花促進を目的とした配合の製品を選ぶのがおすすめです。

鉢栽培、コンテナ栽培ともに、3〜4月と10〜11月に、緩効性化成肥料を株の周囲にまいて株の勢いを保ちます。コンテナ栽培の場合は、花茎が上がってきた頃から開花が終わるまで、10日に1度を目安に液肥を与えるとよいでしょう。夏の高温期に肥料成分が残ると株が弱ることがあるので、夏は肥料を切らして管理するのがポイントです。

水やり

水やり
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プランター栽培の場合、日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって株が弱ってしまうので、涼しい時間帯に行うことが大切です。

庭植えの場合は、植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。成長して大きな株になると比較的乾燥に耐え、かえって湿気の多い環境が苦手とします。根付いた後は、乾燥が続いて株が水を欲しがっているサインを出していたら、たっぷりと水やりをしましょう。コンテナ栽培と同様、真夏は朝か夕の涼しい時間帯に与えることが大切です。

ヒューケラの種を播いて育苗にチャレンジする場合は、水切れに注意して適湿を保って管理しましょう。

植え替え

ヒューケラの植え替え
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ヒューケラの植え替えの適期は、3〜4月です。ヒューケラはライフサイクルの長い植物で、株が年々大きくなっていきます。その成長に合わせて、適した植え替えのメンテナンスが必要です。

鉢栽培にしている場合は、順調に生育していれば株が大きくなって鉢が窮屈になってしまうので、1〜2年に1度を目安に植え替えましょう。植え替えの際は、土が乾いた状態で行うと作業がしやすくなります。以前植えていた鉢よりも一回り大きな鉢を用意するか、根鉢をくずして一回り小さくして同じ鉢に植え直します。用土は新しいものを使うとよいでしょう。株が大株に成長していたら、植え替えと同時に株分けしてもかまいません。

地植えにしている場合は、3〜5年を目安に株を掘り上げて植え替えましょう。大株に育っていたら、2〜3芽つけて根を切り分け、株分けをすると株が若返ってその後の生育がよくなります。株数が増える分、数カ所に場所を分けて植え込んでもいいですね。新しい植え場所に根鉢より一回り大きな穴を掘り、腐葉土をすき込んで水はけをよくしておきます。元肥として緩効性化成肥料を散布して、スコップなどで用土によく混ぜ込んでから植え直すとよいでしょう。

ヒューケラの増やし方と日常管理

ヒューケラを増やしたい場合、3つの方法があります。ここでは、花がら摘みや枯れ葉の整理、病害虫対策など、日常的に行っておきたいヒューケラの管理のポイントについても、併せてご紹介しましょう。

増やし方

ヒューケラの増やし方
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「植え替え」の項目でご紹介したように、株分けをして増やすことができます。大株に育ったら、株を掘り上げて土を落とし、2〜3芽つけて根を切り分ければ、その分株の数も増えるというわけです。株分けは、植え替え適期の3〜4月のほか、9〜10月にも行えます。特に大株に育つと、存在感が大きくなりすぎて持て余してしまうこともあるのではないでしょうか。株を小分けにすることで、株が若返って再び勢いよく生育するメリットもあります。

ヒューケラは、挿し芽で増やすことも可能です。さし芽の適期は6月か9月。勢いのある茎葉を切り取り、清潔な挿し木用の培養土を育苗用トレイなどに入れて、採取した茎葉(挿し穂)を挿しておきます。水切れしないように管理すると、しばらくすると発根するので、黒ポットなどに植え替えて育苗を。株が大きくなったら、植えたい場所に定植します。挿し芽のメリットは、採取した株のクローンになることです。

もちろん、種まきでも増やせますよ! 古くから日本に流通してきたツボサンゴなどを選ぶとよいでしょう。発芽適温は15〜20℃で、3〜5月上旬か、9〜10月が種まきの適期です。種が細かいので、ピートバンなどに播いて水切れに注意しながら管理を。発芽後は、間引きながら育成し、草丈が5〜10cmほどになったら黒ポットに鉢上げして、さらに育苗を続けましょう。本葉が増えてしっかりと締まった苗に成長したら、植えたい場所に定植します。

日常管理

ヒューケラの育て方
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開花期は5〜6月ですが、終わった花がらは早めに摘み取りましょう。種をつけると種を育成するために養分が使われ、株が消耗して勢いが衰えて花も咲かなくなるので、まめに摘み取るのがポイント。また、ヒューケラは、花を咲かせる時期に地際から花茎を長く伸ばし、その先に小さな花を多数咲かせます。花茎につく花がほぼ咲き終わったら、根元から切り取っておきましょう。

また、枯れた葉があればそのつど摘み取って整理し、常に株周りを清潔に保ちます。風通しが悪くなると株が蒸れたり、病害虫が発生しやすくなるので、茎葉が混み合いすぎている場所があれば、切り取って整理しましょう。

植えつけから数年経過し、株が古くなると茎が立ち上がって草姿が乱れてきます。その場合は露出した茎の部分を埋めるようにバークチップや腐葉土を使って土寄せをしておきましょう。すると、そこから新しい根が伸びて、バランスのよい株になります。

病害虫はつきにくいほうですが、うどんこ病やカイガラムシが発生することがあります。カイガラムシが発生したら、ハブラシなどでこすり落とすとよいでしょう。うどんこ病には、適用する薬剤を散布して防除します。

強い寒さに遭うと地上部が枯れることもありますが、寒さには強いので翌春には再び新葉を展開し、成長していきます。

美しい葉を楽しもう

ガーデンのヒューケラ
claire norman/Shutterstock.com

ヒューケラは半日影の環境でも育ち、明るく彩るカラーリーフプランツとして庭で存在感を発揮する植物です。初夏に咲く花も愛らしく、季節感も味わわせてくれます。ここで詳しくご紹介した栽培法を参照に、ぜひ庭に取り入れてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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