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じゃがいも入門! 自分でじゃがいもを育ててみよう!

じゃがいも入門! 自分でじゃがいもを育ててみよう!

mjaud/Shutterstock.com

じゃがいもは「買うもの」と決めつけている方も多いのではないでしょうか。じつは、じゃがいもは栽培期間が短く、管理が楽な野菜の一つで、家庭菜園ビギナー向けといえます。プランターで栽培することもできますよ! この記事では、じゃがいもの基礎知識から育て方まで、幅広くご紹介します。

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じゃがいもとは

じゃがいものレシピは多岐にわたっており、おかずにおつまみ、おやつにと、食卓に頻繁に登場する人気の野菜です。でも、その出身地や性質については、意外と知られていないもの。ここでは、じゃがいものプロフィールや栄養価、食べ方・保存法など、多岐にわたって取り上げます。

根菜類に分類されるじゃがいも

ジャガイモ
OlegDoroshin/Shutterstock.com

じゃがいもは、ナス科ナス属の植物。普段食べているじゃがいもは丸い形に肥大した地下茎の先端部分で、根菜類として分類されています。じゃがいもは種イモの植え付けからスタートしますが、これには必ず花苗店やホームセンターで入手できる、検査に合格したウイルスフリーの種イモを使うことが大切です。菜園で自家採取したものや、青果店で購入したじゃがいもは、ウイルス病を広げる原因にもなるので、使用できません。

じゃがいもの原産地

ジャガイモ
Vadim Zignaigo/Shutterstock.com

じゃがいもの原産地は、南米アンデス山脈地方。スペイン人によって16世紀にヨーロッパへ渡り、日本には1600年頃に、インドネシアのジャワ島を経て長崎に持ち込まれたとされています。じゃがいもは南米の高冷地が原産のため、冷涼な気候を好みます。北海道での栽培が盛んで、最大の生産地になっているのもうなずけますね。生育適温は15〜20℃で、温暖な地域では、春と秋の2回作ることができます。痩せ地でも栽培しやすい野菜の一つで、収穫量は、なんと種イモの10倍以上! 栽培効率のよい野菜です。

じゃがいもは栄養たっぷり!

ジャガイモの栄養価
Anna Kucherova/Shutterstock.com

じゃがいもは、穀物に迫るほどデンプンの含有量が多く、栄養価の高い野菜です。また、ビタミンCを多く含むため、フランスでは「大地のリンゴ」と呼ばれています。加熱によるビタミンCの損失が少ないのも特徴です。体内の塩分を排出するカリウムも豊富に含み、利尿作用があるとされています。

一方で、意外にカロリーは低く、100gで約70キロカロリー。これはお茶碗1杯のご飯の半分のカロリーに値します。

じゃがいもの調理と保存法

ジャガイモ
Matthew J Thomas/Shutterstock.com

じゃがいもは、調理の幅が広いのも魅力ですね。シンプルにじゃがバターにして素材そのものの味を楽しむほか、煮物やスープの具材にも重宝。炒め物やポテトサラダ、コロッケなどにも利用できます。素揚げしたフライドポテトは、おやつやおつまみに大人気ですね。

また、じゃがいもは長期保存ができるのもメリットの一つ。ただし、保存中に光線が当たると皮が緑化してえぐみが発生するので、できるだけ光を通さない冷暗所で保存しましょう。新聞紙などでしっかり包んで冷蔵庫などに入れてもかまいません。また、イモの芽には有毒物質のソラニンが含まれ、食べると食中毒を起こすことがあるので、芽が出ている場合は深くまでえぐり取ってから調理に使うようにします。

じゃがいもの品種

ジャガイモの品種
Mink Supawatee/Shutterstock.com

じゃがいもは品種が多く、それぞれに形や色、食感などが異なるので、いろいろな品種を栽培して食べ比べをしてみるのも楽しいもの。ここでは、家庭菜園に向く品種を取り上げてご紹介します。

男爵薯

男爵

ふっくらと丸く、表面はややゴツゴツとした形をしています。早生種で収穫量が多いのも特徴で、果肉は白く、ほくほくとした食感。デンプンを多く含み、粉質で、じゃがバターや粉ふきいもに向いています。煮込むとくずれやすいタイプです。

メークイン

メークイン

長めの楕円形で、ゴツゴツ感は少なく、すべすべとした手触り。果肉はやや黄みがかった白色で、肉質はねっとりとして緻密です。やや甘みがあり、低温貯蔵すると甘みが増します。粘質で、コトコト弱火だと煮くずれしにくく、煮込み料理に向いています。

キタアカリ

キタアカリ

北海道生まれで、早生種のため家庭菜園でも栽培しやすい品種です。丸みのある形で表面は少しゴツゴツしています。果肉はやや黄色みが強く、ほくほくとした食感です。粉質で火の通りが早く、粉ふきいもやじゃがバター向き。強火だと煮くずれしやすいので、調理は弱火で。

デジマ

暖地での栽培に向き、名前は長崎の出島にちなんでいます。楕円球形で芽が浅くつき、皮はなめらかな質感。果肉は黄みがかった白色で、やや粉質のほくほく感が楽しめます。強火だと煮くずれしやすいので、弱火にかけてほどよい煮くずれ感を楽しむカレーや肉じゃがに。

ニシユタカ

ニシユタカ

長崎で生まれた品種です。西南の暖地でよく育ち、収穫量も多いことが名前の由来。新ジャガとして春に出回ることが多いようです。楕円球形で、表皮はやや荒いのが特徴。果肉は淡い黄色で、やや粘質の食感です。煮くずれしにくいので、おでんなどの煮込み料理向き。

アンデス赤(アンデスレッド)

アンデス赤(アンデスレッド)

なんといっても表皮が赤いのが、最大の特徴です。休眠期間が短いため、春と秋の二期作ができますが、長期保存には向かず、芽が出やすい特性があります。ふっくらとした球形で、表皮はややなめらか。果肉の明るい黄色は、βカロテンを多く含む証拠です。ほくほくとした食感を楽しめ、煮くずれしやすいので、マッシュポテトやコロッケなどに向いています。

じゃがいもの植え付け時期

ジャガイモの栽培
Photos box/Shutterstock.com

じゃがいもは、暖地なら春植えと秋植えの、年に2回の栽培ができる野菜です。

春植えでは2月下旬〜3月中旬に植え付けて、梅雨明け頃に収穫。秋植えでは9月に植えて11〜12月に収穫するのが一般的です(関東基準)。

春植えと秋植えでは、植え付けに適した品種が異なるので、品種の選定がポイントになります。春植えに向くのは、男爵薯、メークイン、キタアカリなどで、秋植えに向くのは、デジマやニシユタカなどです。アンデス赤は、春・秋両方に向いています。

春植え、秋植えに向く品種のキーポイントは、休眠の深さ(長さ)が関わっています。秋に植える種イモは、春植えして収穫したイモを使うので、休眠から早く目覚める品種を使う必要があるのです。そのため、秋植えでは休眠の浅い(短い)品種を選ぶのがポイントになります。

ただし、縦に長い日本では気候が多少異なるため、二期作に向かない地域もあります。東北・北海道などの寒冷地では、夏に植え付けて秋に収穫するのがよく、九州・沖縄地方では、冬の終わりに植え付けて梅雨入り前に収穫するのがおすすめ。土地の気候に合った栽培をするとよいでしょう。

育てるための事前準備と注意点

プランターで栽培する場合と、菜園で栽培する場合とに分けて、事前に準備しておくことを解説します。菜園の場合は特に、植え付けの2〜3週間前に土づくりをし、分解が進んで土が熟した頃に植え付けるように、あらかじめ準備をしておくことが大切です。

プランター

ジャガイモのプランター栽培
nkula/Shutterstock.com

じゃがいもは根菜類で、太らせた地下茎を収穫します。そのため、プランターで栽培する場合は、深めの大型容器を準備します。深さは30cmほど、容量では25ℓ以上あるとよいでしょう。じゃがいもの栽培に適した土壌酸度はpH5.0〜6.0の弱酸性なので、市販のじゃがいも用の培養土を準備します。

畑の土づくり

土作り
Stivog/Shutterstock.com

まず、植え付け場所の選定について。じゃがいもは連作を嫌うので、前作にナス、トマト、ピーマンなど、ナス科の植物を植えていた場所は避けましょう。日本は雨が多く、土壌が酸性に傾きがちなため、野菜用の土づくりの際に苦土石灰を散布するイメージがありますが、じゃがいもの場合は必要ありません。なぜなら、じゃがいもの栽培に適した土壌酸度はpH5.0〜6.0で、弱酸性の状態を好むからです。

植え付け場所が決まったら、種イモを植える2〜3週間前のタイミングを見はからって、土づくりを行います。そうか病の予防のために、米ぬかを1㎡当たり約30gを目安に、全体に散布。クワでよく耕して土全体に行き渡るように混ぜ込んでおきます。

じゃがいもの栽培管理のポイント

では、いよいよじゃがいもの栽培管理のポイントを解説していきます。植え付けから収穫まで、約3カ月という短い期間なので、ビギナーに向く野菜といえるでしょう。

植え付け

ジャガイモの植え付け
rodimov/Shutterstock.com

植え付けの2〜3日前に、種イモの準備をします。芽の数が均等につくように、1片50〜60gに切り分け、風通しのよい場所に置いて、切り口を乾かしておきましょう。

プランターで栽培する場合は、深型プランターに鉢底石を底が隠れる程度に敷き詰め、培養土を半分くらいまで入れます。プランターに入れた土を5cmほど掘って、種イモの芽を上にして植え付け、軽く覆土しましょう。最後に、水を鉢底から流れ出すまでたっぷりと与えます。

菜園に植え付ける場合は、畝幅は60〜70cm取って、よく耕します。畝の中央に、クワで深さ15cmの溝を掘り、株間を約30cm取って、切り口を下にして種イモを配していきます。種イモ同士の間に、堆肥300〜400gと化成肥料(N-P-K=8-8-8、以下同)を約30g置き、土を埋め戻して、周囲より5cmほど高い畝に整えましょう。

芽かき

ジャガイモの芽かき
Nikolay Antonov/Shutterstock.com

発芽して、草丈が20〜30cmになったら、元気のいい芽を2〜3本残し、ほかの芽は取り除く「芽かき」を行います。芽をたくさん残すと、養分が分散されて小さなイモばかりになってしまいますが、芽かきをすると、数は絞られるものの、大きくてどっしりとしたイモを収穫することができるのです。芽かきの際は、勢いがあって丈夫な芽を残し、ほかは付け根からかき取ります。この時、種イモが一緒に上がってこないように、根元をしっかりと押さえておきましょう。最後に、1㎡当たり約30gの化成肥料を株元にまき、軽く耕して土に混ぜ込んで株元に寄せておきます。

追肥と土寄せ

ジャガイモの土寄せ
FotoDuets/Shutterstock.com

開花前後からイモが太り始めます。開花しそうになったら、1㎡当たり約30gの化成肥料を株の周囲にまいて追肥をします。軽くクワで耕して混ぜ込み、株元にしっかり土を寄せておきましょう。収穫するイモは、種イモよりも浅いところにできます。そのため、土寄せが足りないと、イモが地表に出てきてしまうので注意しましょう。じゃがいもが太陽に当たると緑化して有毒なソラニンが発生し、食べると食中毒を起こしてしまいます。以後は1〜2週間おきに株の状態をチェックして、必要であれば土寄せをして、イモが地表に出るのを防ぎましょう。

プランター栽培の場合は、同様に追肥のタイミングで鉢の縁までたっぷりと培養土を足し、増し土をします。

病気・害虫

ジャガイモの病害虫
MU Studio/Shutterstock.com

じゃがいもにつきやすい害虫は、アブラムシやテントウムシダマシなど。見つけ次第捕殺して、発生初期に対処することが大切です。

じゃがいもの土壌酸度はpH5.0〜6.0が適しており、弱酸性の環境を好みます。土壌がアルカリに傾いている場合、そうか病にかかりやすくなるので、土づくりの際に注意しましょう。また、ナス科の植物を連作すると生理障害が発生しやすくなるので、必ず輪作することが大切です。

収穫

ジャガイモの収穫
FotograFFF /Shutterstock.com

春植えでは5月下旬〜梅雨明け前、秋植えでは11月下旬〜12月が収穫のタイミングです。葉や茎が枯れて黄ばんできたのを目安に収穫します。雨の日に収穫すると、掘り上げたじゃがいもが腐りやすくなるので、晴れた日が2〜3日続いた頃に行うとよいでしょう。

収穫の際は、地中のじゃがいもを傷つけないように、株元から20〜30cm離れたところからスコップの刃をさします。周囲の土をゆるめてから、株元を手で持って引き上げます。地中にじゃがいもが残っていないか手で探り、残さずに収穫しましょう。

土を落として表面が乾いたら、遮光ネットをかぶせた冷暗所で保存を。10〜14日ほど追熟させると糖分が増して甘くなります。日光はもちろん、蛍光灯の光でも緑化してしまうので、保存時の管理には注意しましょう。

収穫後の畑は、枯れた葉や根を処分し、クワで表土をならして整地しておきます。

台所に欠かせないじゃがいも

ジャガイモの栽培
Val_R /Shutterstock.com

青果店やスーパーでは、一年中手に入る常備野菜のじゃがいも。調理法がさまざまで毎日の食卓を彩ってくれるうえ、保存もきくという、台所には欠かせない存在です。そんなじゃがいもが、じつは初心者でも簡単に育てられる野菜だということをご紹介しました。ぜひ家庭菜園やプランターで育ててみてはいかがでしょうか。

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