【人気】ネモフィラの青い花を咲かせよう! 育て方一挙公開
明るいブルーの花色が美しいネモフィラ。這うように広がって、たっぷりと花を咲かせるので、群植するとカーペットのように面を彩ります。「国営ひたち海浜公園」がネモフィラの名所として知られていますが、各地でも花の名所にネモフィラの群植が取り入れられるようになりました。そんな大人気のネモフィラの特徴と、自宅の庭で育てる際のポイントをご紹介します。
目次
ネモフィラってどんな花?
株いっぱいに花を咲かせて、春の花壇や寄せ植えに活躍するネモフィラ。まずはどんな植物なのか、基本情報とその性質について分かりやすく解説します。
ネモフィラの特徴
ネモフィラはムラサキ科の一年草で、原産地は北アメリカ西部です。学名はNemophilaで、別名には瑠璃唐草(ルリカラクサ)、ベビーブルーアイズなどがあります。
秋播き一年草に分類され、基本的には10月頃にタネを播いて育苗し、冬を越して4〜5月頃に開花。開花後は、タネをつけて6月頃には枯死するライフサイクルです。
花の色は澄んだスカイブルーがよく知られていますが、白の覆輪が入る黒や、花弁に紫のドットが入る白もあります。花つきが大変よく、一株でたくさんの花を次々に咲かせます。
草丈は10〜20cmくらいとやや低いほうで、這うように広がる性質のため、花壇の手前やコンテナの縁取り、グラウンドカバーなどに向いています。
育てやすさ
日当たりがよく、風通しのよい場所を好む性質で、生育に適した気温は5〜25℃くらいです。寒さには比較的強く、暖地なら地植えして越冬できます。ただし、マイナス5℃を下回る環境では、マルチングなどの防寒をしておくとよいでしょう。暑さには弱いので夏越しできず、夏前にライフサイクルを終えて枯死してしまいます。春からはアブラムシがつきやすく、大量に発生すると株が弱るので注意しましょう。
ネモフィラの育て方1:種まきと植え付け
ここからは、自宅の庭やベランダで育てる方法を具体的にご紹介します。まずは種まきと植え付けの方法からスタートしましょう。
土づくり
水はけ、水もちのよいフカフカとした土壌を好みます。地植えにする場合は、植える場所を軽く耕し、腐葉土などの有機質資材を投入して庭土によく混ぜ込み、表土をならしておきましょう。鉢植えにする場合は、赤玉土(小粒)と腐葉土を6:4の割合でよく混ぜ合わせ、水はけのよい配合土を準備します。市販の草花用にブレンドされた培養土を利用すると便利です。
種まき
発芽に適した温度は20℃くらいで、種まきの適期は10月頃です。寒冷地の場合は、春に播いても構いません。
庭に直播きする場合は、すじ播きにします。土づくりしておいた場所の表土を平らにして、深さ1cmほどの播き溝を作ります。その溝に1cmくらいの間隔を取って播きましょう。溝の両側から土を寄せて覆土し、手のひらで軽く押さえて鎮圧します。列を複数作る場合は、播き溝の間隔は10〜20cmあけましょう。最後に、たっぷりと水やりをしておきます。タネが水圧で流されないように、ジョウロにハス口をつけて、高い位置から水やりするのがおすすめです。
10日ほど経つと、発芽が始まります。芽がある程度出揃ったら、間引きながら育成します。ヒョロヒョロと徒長して軟弱なものや成長が遅いものを選んで抜き取り、葉の色が濃くて勢いのあるものを残すのがポイントです。最終的に株間を10〜20cmあけたら、間引きを終えます。
育苗する場合は、培養土を入れた黒ポットに4〜5粒ずつ播きましょう。発芽が揃ったら間引いて状態のよい苗を2〜3本残して育成し、本葉が3〜4枚ついたら1本のみ残して育苗します。日当たりのよい場所で適宜水やりして管理し、がっしりと締まって勢いのある苗を育てましょう。
苗の植え付け
タネをポットに播いて育苗した場合は、最終的に植える場所に定植します。本葉が何枚も出てがっしりと締まり、根がびっしり張った苗を選んで植え付けます。
それほど株数を必要としないのであれば、ポット苗が2〜3月頃に園芸店などに流通するので、苗を購入すると手軽です。店頭で苗を選ぶ際は、ヒョロヒョロと徒長して弱々しいものは避け、枯れ葉や虫食いのない健康な苗を選びましょう。
庭植えの場合は、根鉢より一回り大きな植え穴を掘って植え付けます。ネモフィラは根が傷むと成長が悪くなるので、根鉢を崩さないよう丁寧に扱うことがポイントです。苗を複数植える場合は、株間を10〜20cm取っておきましょう。見映えがよくないからと、幼苗のうちから密に植え付けると、成長後に窮屈になって蒸れやすく、病害虫も発生しやすくなるので、適切な株間を取っておくことが大切です。植え付けた後は、最後にたっぷりと水を与えておきましょう。
鉢栽培にする場合も、株間にゆとりを持たせて植え付けます。市販の培養土を使う場合は、土が乾燥しているので、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与え、全体を湿らせるようにしましょう。
ネモフィラの育て方2:日々の手入れ
ここからは、ネモフィラを定植した後の、日々のお手入れについてご紹介します。植物は手をかけた分だけ応えてくれるので、たくさんの花が咲いた時の喜びもひとしおです。
水やり
草花に水やりをする場合は、株全体にかけるのではなく、株元の表土を狙って、注ぎ込むように与えるのが基本です。茎葉全体にかけると、蒸れやすくなり病気が発生するリスクを高めてしまうので注意しましょう。
鉢植えの場合は、表土が白く乾いたら鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えます。ネモフィラは多湿を嫌う性質で、いつもジメジメした状態だと株が弱って根腐れしたり、軟弱になって病気にかかりやすくなったりします。水のやりすぎには注意しましょう。
地植えの場合は、ほとんど水を与える必要はありません。雨が降らずに乾燥した日が続くようなら、水を与える程度の管理にします。判断に迷ったら、株の状態を観察してみましょう。しんなりとして茎葉にハリがないようであれば、水を欲しがっているサインです。
肥料
施肥には、元肥と追肥があります。元肥は、植え付けの際に与えて初期生育をよくするための肥料です。苗を植え付ける時に、緩効性化成肥料を土に少量混ぜ込んでおくとよいでしょう。
追肥は、生育期の成長を助けるために与える肥料のことです。ただし、ネモフィラはあまり多く与えすぎると、徒長して軟弱な株になりがちなので、控えめを心がけておきたいもの。葉色の様子を見て、元気がないようであれば追肥として緩効性化成肥料を株元に少量ばらまいて土になじませておくか、液肥を与えて様子を見ます。鉢栽培にしている場合は、肥料成分が水やりとともに流れ出るので、追肥が必要です。株の状態を見て月に1〜2度を目安に液肥を与えるとよいでしょう。
日当たり
ネモフィラは、日当たりと風通しのよい場所を好みます。あまり日が差さない環境では、花つきが悪くなってしまうので注意しましょう。地植えにする場合は、建物や木の陰にならない場所を選ぶことが大切です。特に直播きする場合は、秋と春とでは影ができる位置が変わってくるので、植え場所を吟味しましょう。一日中日当たりのよい場所でなくても、午前中にたっぷりと日が当たる東側などでもよく育ちます。
ネモフィラを育てる時の注意点
ネモフィラは比較的育てやすい一年草ですが、春からは病害虫が発生しやすいので、防除に努めましょう。早期発見、早期防除が発生を広げないポイントです。また、移植を嫌う性質があるので、一度植え付けたら動かさないほうがよいでしょう。
病害虫
害虫については、春に気温が上がってくると、アブラムシが発生しやすくなります。放任すると、すぐに増えて茎葉にびっしりとついてしまい、見た目が悪いばかりか、株が弱ってしまいます。アブラムシはウイルス病を媒介するので、発生初期に対応することが大切です。気温が上昇する前に、オルトラン粒剤を適用に応じて土壌に混ぜ込んでおくと、防除できます。
病気はうどんこ病が発生することがあります。うどんこ病はカビによる病気で、葉や茎が白く粉を吹いたような状態になったら、発生を疑いましょう。病気が進んで葉の表面が覆われると、生育不良になり、花が咲かなくなります。春から秋にかけて発症しやすく、風通しの悪い場所で起こりやすい病気です。発生初期に、スプレータイプの殺菌剤を使って防除するとよいでしょう。
また、灰色カビ病の発生にも注意が必要です。茎や葉が溶けるように腐っていく病気で、進行すると灰色のカビに覆われてしまいます。株が成長して茎や葉が込み合いすぎているようなら、適宜間引いて風通しをよくし、傷んだ茎葉があれば早めに取り除きます。うどんこ病と同様に、発生初期にスプレータイプの殺菌剤をかけて防除しましょう。
植え替え
あまり植え替えには向いていない植物なので、幼苗を定植した後の植え替えは避けたほうが無難です。コンテナやハンギングバスケットの寄せ植えに使い回すなど、移植する予定がある場合は、ポットから根鉢を出さずに、ポットに入ったまま寄せ植えの素材として利用するのも一案です。ただし、苗は大きく成長せず、短命になってしまうことは否めません。
増やしたい時は
ネモフィラは一年草なのでライフサイクルが短く、越年することはありません。そのため、増やしたい場合はタネを採って保存しておき、翌シーズンに種まきすることになります。ただし、花は種をつけると株が消耗して次々と花を咲かせなくなるので、開花期前半は花がら摘みをして長く楽しみ、そろそろ終わりを迎える頃に花がら摘みをやめて、サヤをつけさせるとよいでしょう。タネがはじける頃にサヤごと採取して、よく乾燥させてからタネを取り出します。密封容器に入れて、花名と採取した日を書き入れたラベルをつけ、秋の種まきシーズンまで冷暗所で保存しましょう。ネモフィラは生命力旺盛で、こぼれ種でも増える場合もありますが、市販されている種子に比べて発芽率は劣ります。採取したタネを播く場合は、多めに播いておくとよいでしょう。
ネモフィラの品種
ネモフィラは、パステルブルーの品種が一番よく知られていますが、ほかにも白と黒の品種が出回っています。いずれも庭やベランダに個性を添える花色なので、好きな品種を選んでみてはいかがでしょうか。
‘インシグニスブルー’
ネモフィラの中で最もポピュラーな品種が、‘インシグニスブルー’です。「国営ひたち海浜公園」をはじめ、さまざまな花の名所で群植されているのがこの品種で、一面に咲かせると晴れた日の青い空とのコラボレーションが楽しめます。草花にはこれほど爽やかなパステルブルーの花を咲かせる種類は少ないため、花壇や寄せ植えの素材として高い人気があります。どんな花色とも相性よくまとまり、合わせやすいので、ビギナーにもおすすめ。
‘ペニー・ブラック’
花の中心部が黒色で、花弁の縁に白が乗る複色咲きの品種です。矮性で、コンパクトにまとまりつつ、ふんわりと広がる草姿をしています。花はやや小さめで、花茎が比較的長く伸びて動きのある表情を持っています。一輪で黒と白のコントラストがつき、大変インパクトのある花です。花壇や寄せ植えでは、アクセントとなる差し色として使うのがおすすめ。
ネモフィラ・マクラータ
オフホワイトの花弁の縁に5つの紫色のドットが入る、可愛らしい品種です。「マキュラータ」「ファイブスポット」とも呼ばれています。横に広がりやすく、ふわっとしたナチュラルな草姿で繊細な印象。花つきがよく、株いっぱいに咲くので、花壇の前面や寄せ植えの縁取りに重宝します。白い花は何色とも調和させやすい一方で、花弁にドットが入るので、個性的に演出することもできます。‘ペニー・ブラック’と一緒に植えて、黒×白のコントラストをつけた大人っぽいシーンをつくっても素敵です。
愛らしく栽培しやすいネモフィラを育ててみよう
ネモフィラは、澄んだパステルブルーの花色が人気で、春に愛される草花として代表的な存在です。ライフサイクルが短い一年草で、種まきから育てるのも容易なので、ビギナーにもおすすめの草花です。花色もブルー、白の覆輪が入る黒、紫のドット入りの白と、個性のある品種が揃うので、庭のアクセントとして取り入れてはいかがでしょうか。
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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