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宿根草ショップの店長が教える! 今人気のクリスマスローズ5タイプ
植えっぱなしで何年も生育し、コストパフォーマンスが高い宿根草の一つ、クリスマスローズ(ヘレボルス/Helleborus)。年々進化する花の変化に加え、通年葉が観賞できるカラーリーフとしての魅力を備えるなど、バリエーションも豊富なクリスマスローズの最盛期がやってきました。4千種を超す植物を扱う「おぎはら植物園」店長の荻原範雄さんに、今注目のクリスマスローズを5タイプ教えていただきます。
目次
ガーデニングファン必見! 人気の宿根草
長野県上田市で宿根草を扱っている「おぎはら植物園」では、冬になると、たくさんの種類のクリスマスローズが店頭に並びます。通信販売でも全国に発送する中、特に人気を博している5系統をピックアップ。人気の理由を、最近の傾向、そして品種紹介を交えながらクリスマスローズの最新情報を交えながら解説していただきます。
人気のクリスマスローズ①
オリエンタリス ハイブリッド
クリスマスローズといえば、一般的に流通するものはオリエンタリスを基としたハイブリッドが定番。花形、花色が多様で、じつにバラエティ豊かです。耐寒性、耐暑性が強く全国で育てることができる手軽さも人気で、庭植えに、鉢植えに広く親しまれています。その中でも人気のある色や花形をご紹介します。
多弁花
定番の八重咲きの中でも、花弁が特に多い花はエレガントな雰囲気で人気があります。
左/ピンク色の多弁花。右/ホワイトピコティの多弁花。
左/アプリコット色の多弁花。右/イエローピコティの多弁花。
複色花
2色以上の花色が楽しめるタイプ。育種も盛んに行われています。
左/イエローにピコティ、弁先がグリーン。右/ホワイト&ピンク。
左/イエロー&紅色。右/グリーン&ホワイト。
ブロッチ
花の表に斑点が固まって入るもの。印象がはっきりとして広いブロッチが特に人気です。
左/ピンク&赤いブロッチ。右/グレー&ブラックのブロッチ。
スポット
花の表に斑点が入るものも、根強い人気があります。
左/ピンク&赤いスポット。右/グリーン&赤いスポット。
ピコティ
花の表に縁取りが入るもの。ピコティの幅が広いものは帯ピコティ、細いものは糸ピコティと呼ばれています。人気の衰えない覆輪花です。
左/ホワイト&紅帯ピコティ。右/イエロー&紅糸ピコティ。
リバース(リバーシブル)
花の表と裏の色が違い、リバーシブルになっているもの。表情の違いが楽しめる人気のタイプです
左/ホワイト&ピンクのリバーシブル。右/ピンク&レッドのリバーシブル。
ベイン
花に筋が入るものをベイン、網目状に脈が入るものをネットと呼びます。はっきりと入ったものは希少で人気があります。
左/ピンク&レッド・ベイン。右/イエロー&レッド・ベイン。
ユニークな花形
特に変わった花形の個性的なタイプ。従来の花形にないユーモラスな表情が愛らしく目を引きます。
左/超細弁のイエロー&レッド・ブロッチ。右/超剣弁のワインレッド。
人気のクリスマスローズ②
ゴールド系(オーレア系)
花心(蜜腺・ネクタリー)が黄色、金色のものをゴールド・ネクタリーと呼びます。
ゴールド系(オーレア系)のバリエーション
透き通るような明るい黄色、オレンジ色の交配親を使ったもので、黄金色をイメージした花色です。葉も黄色を帯びていて、秋冬は黄色が強く紅葉し、カラーリーフのように楽しめます。当初は一重咲きのみでしたが、八重咲きや、花に模様のあるものなどのバリエーションが増えて、人気が出ています。
左/ゴールドのスポット(斑点)入り。右/ゴールドの八重咲き。
赤みを帯びて縁取りや脈が入るものをネオン(左)やゴールドピコティと呼びます。左は、ネオン(ゴールドピコティ)の八重咲き。
ゴールド系(オーレア系)の交配種
ゴールドの系統も交配が進み、他のオリエンタリスハイブリッドや原種を掛け合わせて、さらにバラエティ豊富になっています。最近はピンクや赤い花なども登場し、葉色が黄色く変わらないタイプもあります。ゴールドの特徴を残しているので色合いが明るく、輝くようです。人気の系統なので、今後、さらにさまざまな花色が登場することでしょう。
左/ゴールドの交配種、ゴールド・ピーチ。右/レッドゴールド(ネオンパープル)。
左/ゴールドの交配、バイカラーの八重咲き。右/ゴールドの交配、ピコティ(縁取り)の八重咲き。
人気のクリスマスローズ③
ニゲル系
クリスマスローズという名前は、クリスマス頃から咲くこの原種の「ニゲル」を指しています。一般的に流通するオリエンタリスのハイブリッドは、本来は「クリスマスローズ」ではなく「レンテンローズ」と呼ばれていて、クリスマスの頃には咲かず、早春から開花します。現在は全体の総称として、広く「クリスマスローズ」という名前が使われています。
この本来のクリスマスローズであるニゲルは、低い位置でたくさんの花を一斉に咲かせて、大株になるとじつに見事です。早咲きのため、まだ庭が寂しい冬の時期から開花し、しかも横向きに多くの花が咲くので、庭でよく映えます。
ニゲルのバラエティ
花の大きい選抜種、八重咲き、葉に斑が入るものなどのバラエティがあり、どれも人気があります。
左/大輪のニゲル‘ジョナス’。右/半八重咲きの‘ダブル ファンタジー’。
左/八重のポンポン咲き‘ツイン スピリット’。右/斑入りの葉も楽しめる‘バリエガータ’。
ニゲルの交配種
古くから常に人気のあるニゲルですが、ヨーロッパ原産のため、冷涼な気候を好み、暑い夏が苦手という難点があります。それを克服するような他種との交配や、品種改良も行われており、さまざまな品種が登場し、人気を博しています。中でも、特に丈夫なオリエンタリス系との交配が最近のトレンド。色もピンクが登場して話題です。
ニゲルとオリエンタリス系の交配種‘パラデニア’。草丈が高く花が大きいので見応えがある。
ニゲルとフォエチダス(フェチダス)の交配種‘ウインターベル’。まるでニゲルが房咲きになったよう。
丈夫なオリエンタリスの亜種、‘マダム ラモニエ’。アブチャシクスとニゲルの交配種で、「幻のピンクニゲル」と呼ばれる人気種。
ニゲルとオリエンタリス系の交配種、‘シフラ’。最新の品種で、姿はよりニゲルに近く、花色は従来種より濃い。
人気のクリスマスローズ④
有茎種のハイブリッド
有茎種とは茎がある種類のことで、クリスマスローズの原種には木立のように茎が伸びるタイプがあります(リビダス、アーグティフォリウス、フォエチダスなど)。その原種同士を交配することで、新しい品種(原種間交雑種)が生み出されてきました。近年は、そこにオリエンタリス系のような花色の鮮やかな種類をさらに掛け合わせることで、美しく個性的な品種が次々に登場しています。海外では有茎種の交配が一大ブームとなっており、ますます育種が進んでいます。日本国内でも目にする機会が増えて、年々人気が上がっています。
人気の有茎種ハイブリッド
とても多くの種類がありますが、特に人気の高いものをご紹介します。
左/‘アイスブレーカー マキシー’。右/‘ピンクフロスト’。
左/‘アンナズ レッド’。右/‘シューティング スター’。
左/‘ドロシーズ ドーン’。右/氷の薔薇 ホワイト。
人気のクリスマスローズ⑤
カラーリーフ
クリスマスローズといえば、美しい花を中心に楽しむものでしたが、最近は葉の美しいカラーリーフの品種にも注目が集まっています。
クリスマスローズは一季咲きで、冬から早春に花が咲きますが、他のシーズンは葉のみ。そこで花の時期以外もカラフルな葉が楽しめれば一石二鳥です。しかも、冬も常緑なのでウインターガーデンの彩りや寄せ植えにも。楽しみ方が広がっています。
カラーリーフのクリスマスローズ
明るい黄色だったり、スタイリッシュなシルバーだったり、さまざまな表情を持つ葉色の美しいクリスマスローズ。ついコレクションしたくなる魅力があります。年々人気が上がっていますが、多くの種類から特に個性の際立っているものをご紹介します。
カラーリーフ品種のバラエティ
左/アーグティフォリウス‘スノーフィーバー’。右/フォエチダス‘ゴールド ブリオン’。
左/オリエンタリス系 ブロンズリーフ。右/ステルニー‘ロッキーズ’。
左/ステルニー‘ネオ ゴールデンリーフ’。右/ステルニー‘ネオ カレイドスコープ’。
毎年、続々と登場する花形、花色の変化に加え、迫力のある株姿やカラーリーフとしての魅力など、多彩な表情が増えているクリスマスローズ。見所や魅力のポイントを参考に、お気に入りを寄せ植えや庭に迎えて、春待つ庭を賑やかに! ガーデニングを楽しみましょう!
Credit
写真&文 / 荻原範雄 - 「おぎはら植物園」店長 -
おぎはら・のりお/長野県上田市にある宿根草と山野草を扱う植物専門店「おぎはら植物園」の店長。1979年から植物の栽培と販売をスタートさせた「おぎはら植物園」では、現在、取り扱う宿根草と山野草は4千種を超える。全国に苗生産者のネットワークを持ち、海外からの新品種の導入なども積極的に行う。近著に『咲かせたい!四季の宿根草で庭づくり』『決定版 カラーリーフ図鑑』(ともに講談社)。
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