針のように細い葉が密集するコニファーは、冬も葉を落とさずにみずみずしいグリーンを保つので、観賞用の庭木として人気の高い植物です。欧米では庭木として植栽することがポピュラーなので、日本でも洋風デザインを採用した邸宅に合わせ、おしゃれな庭を目指してコニファーを育ててみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。ここでは、コニファーの特徴や人気品種、育て方のコツなどをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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さまざまな魅力を持つ「コニファー」とは?

コニファーガーデン
Artush/Shutterstock.com

コニファーとは、細い葉を密に茂らせる「針葉植物」の総称です。秋に落葉することなく、一年中みずみずしい葉を保つ常緑樹でもあります。エバーグリーンのため観賞用として人気が高いうえ、外からの目隠しや境界線となる生け垣を目的に利用することも可能です。クリスマスツリーとしても利用できるので、庭木として1本持っておくと、毎年冬の飾りつけが楽しみになります。

コニファーは、樹種によって樹高が高くなるものもあれば、這うように広がるものもあり、グリーンの葉色もシルバー系、ブルー系、イエロー系などバラエティー豊かです。樹形も自然に円錐形にまとまるものもあれば、球形・半球形、ほうき状になるものもあります。また、樹種によっては剪定を工夫してトピアリー仕立てにできるものも。品種による性質の幅が広いので、好みのものを組み合わせてオリジナリティーあふれるおしゃれな庭づくりに一役買ってくれます。ただし、樹種によって暑さや寒さへの耐性がそれぞれ異なるため、購入前に樹種の性質を把握しておきましょう。

種類も豊富! コニファーの人気品種

一年中鮮やかなグリーンを楽しめるコニファーは、特定の植物の名称ではなく、「常緑針葉樹」を指す総称です。常緑針葉樹に属す樹種は数多く、さまざまな品種が出回っていますが、ここでは特に人気の高い6種のコニファーをご紹介します。

‘ゴールドクレスト’

コニファー
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コニファーの中でも最もポピュラーで、明るい黄緑〜淡い黄緑色の葉を持つので、洋風の庭を明るく見せてくれます。‘ゴールドクレスト’は園芸品種で、樹種名はモントレーサイプレス、またはモントレーイトスギ。自然樹形で円錐形にまとまるので、冬は飾りつけをしてクリスマスツリーに利用してもいいでしょう。葉に触れると、山椒のようなさわやかな香りが立ちます。生育適温は15〜25℃、最低気温0℃以上で、コニファーの中ではあまり寒さに強くないほうです。高温多湿が苦手なため、梅雨から夏にかけては蒸れに注意し、風通しよく管理しましょう。成長が早く、原産地では樹高が20mにも達する高木で、日本で庭木として植栽しても5mにも達することもあります。あまり大きくしたくなければ、剪定をしてコントロールする必要があります。

エメラルドグリーン

コニファー
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エメラルドグリーンはニオイヒバの園芸品種で、別名エメラルド、スマラグとも呼ばれています。名前の通りにエメラルドグリーンの発色が美しく、葉に光沢があるのが特徴。冬になると、やや褐色を帯びてきます。ヒノキ科らしいさわやかな香りも持っています。自然樹齢で円錐形にまとまり、冬はクリスマスツリーとして庭の主役にするのがおすすめ。日本の気候に合い、寒さや暑さに強く、生命力が強いので育てやすいコニファーの一つです。葉が密集して茂るので、目隠し用の生け垣としても利用できます。成長のスピードは早すぎず、遅すぎず、刈り込みにも耐えます。樹高は1.5〜3mに達するので、樹高を抑えたい時には定期的な剪定によって、スマートな樹形を維持しましょう。

‘エレガンテシマ’

‘エレガンテシマ’はコノテガシワの園芸品種として流通しているコニファーです。葉は全体に明るいグリーンで、新芽の時期になると葉先は黄色みがかかったグリーンに。気温が低くなると、やや褐色を帯びてきます。自然樹形は広円錐形で、葉は密に茂り、刈り込みにも耐えるので、生け垣にも利用可能です。成長スピードは早いほうで、枝が伸びすぎると樹形が乱れたり、芯が複数立ったりするので、定期的な剪定によって美しい樹形を保ちましょう。寒さが苦手で、庭に地植えできるのは東北南部以南の地域まで。また、高温多湿が苦手なため、梅雨から夏にかけては蒸れに注意し、風通しよく管理しましょう。最終樹高は8mにも達するので、大きくしたくない場合は剪定でコントロールします。

‘ヨーロッパゴールド’

ニオイヒバの園芸品種として流通している‘ヨーロッパゴールド’。葉は黄色味を帯びる明るいグリーンで、触れるとさわやかな香りが漂います。日当たり〜半日陰で生育しますが、日当たりのよい場所で育てたほうが、葉の発色がよくなるようです。新芽が出る頃は黄色味の強いグリーン、夏は濃いグリーン、冬はやや褐色がかって、季節によって表情が変わります。寒さに強く、高冷地でも地植えで育てられます。生育スピードは遅い方で樹形が乱れにくいため、メンテナンスが楽なのも美点で、ビギナーにすすめです。樹高は5mにも達しますが、芯を抑えて剪定すると、樹高を抑えることができます。刈り込みに強く、目隠し用の生け垣として利用することも可能です。

‘ブルーアロー’

コニファーブルーアロー
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‘ブルーアロー’は、ヒノキ科のジュニペルスの園芸品種です。青みが強いグリーンで、クールな表情を見せるコニファーです。自然樹形は、ほうき状の円錐形で、スマートな雰囲気を持っています。寒さには強い一方で、暑さにはやや弱い性質があり、蒸れに注意して風通しよく管理することがポイントです。生育スピードは速い方で年間に20〜30㎝ほど枝が伸び、樹形が乱れたり、芯が複数本立ったりするので、定期的に剪定する必要があります。刈り込みにも耐え、目隠し用の生け垣に利用できるほか、円柱形に仕立てることも可能。原産地での最終樹形は約30mですが、日本で育てると5mくらいに達します。あまり大きくしたくない場合は、剪定によってコントロールしましょう。

‘レッドスター’

‘レッドスター’はヒノキ科のヌマヒノキの園芸品種で、「パープルフェザー」の別名でも流通しているようです。生育期の春から秋にかけて、葉は明るいグリーンですが、霜に当たると赤紫を帯びてくるので、季節によって葉色の変化を楽しめます。葉の先端をよく見ると、星のような形をしているのも特徴的です。生育スピードは遅い方であまり大きくなりすぎないため、剪定のメンテナンスを抑えられるのも長所。葉を密に茂らせ、刈り込みにも耐えるため、目隠し用の生け垣にも向いています。日当たり〜半日陰で育ち、強い寒さにはやや弱く、生育適地は東北南部まで。高温多湿の環境も苦手で、蒸れると内部から枯れ込んでくるので、風通しよく管理しましょう。

コニファーを育てるポイント

コニファー
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コニファーは、常緑針葉樹の総称のため多様な樹種が属し、自生地によって性質に差はありますが、育てるうえで注意すべきポイントはある程度共通しています。ここでは、コニファーを健やかに育てるための、5つの要点をご紹介します。

【ポイント1】生育環境を整える

コニファーの育て方
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コニファーのほとんどの樹種は、日当たりのよい場所を好みます。なかには半日陰の環境に耐えるものもありますが、特に黄色や青色などの葉色が美しい樹種では、発色をよくするには十分な日照が必要です。また、樹種に応じた土壌に整えることも大切。ニオイヒバの仲間やジュニペルスの仲間は、植えつけ後にしっかりと根づいた後は、割と乾燥にも耐えますが、レイランドサイプレスの仲間などは、極度の乾燥を嫌うものもあります。そして、コニファーは自生地の範囲が広いため、樹種によっては暑さに弱いもの、寒さに弱いものもあります。そのため耐寒性や耐暑性に配慮し、地域の気候に合う苗を購入し、適した環境で育てることも大切。コニファーは環境に適さないと枯れやすいため、十分な配慮が必要です。

【ポイント2】苗を選ぶ

コニファー
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コニファーは常緑針葉樹のため、一般家庭では種から育てるには困難な植物です。コニファーを育てる場合は、園芸店やホームセンターなどで苗を購入することからスタートします。同じ樹種の鉢苗がたくさん並んでいる場合は、その中からできるだけよい苗を選びましょう。じつは苗の良し悪しによって、その後の成長に大きく関わるケースもあるからです。葉の一部が変色しているもの、触ってみると葉がポロポロと取れてしまうもの、枝がヒョロヒョロと伸びているもの、葉と葉の間がスカスカになっているものなどは避けましょう。枝が太く、株元がしっかりと充実しており、葉がみずみずしく勢いのあるものを選びましょう。お店のスタッフに選んでもらうのも得策です。

【ポイント3】土作りをする

土作り
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コニファーを鉢植えにして栽培をスタートする場合は、病害虫の発生を防ぐためにも、以前に植物を育てていた古い土を使い回しせずに、新しい培養土を用意しましょう。花苗店やホームセンターで販売されている、コニファー用や庭木用、観葉植物用などにブレンドされた培養土を利用すると、大変便利です。買い置きがあれば、新しい赤玉土や腐葉土などをブレンドして、自身でコニファー用の配合土をつくってもかまいません。地植えにする場合は、まず苗木よりも1〜2回り大きな穴をスコップで掘りあけましょう。掘り出した土に腐葉土や堆肥をよく混ぜ込んで植え穴に戻し、肥沃な土壌にします。水はけの悪い土壌であれば、腐葉土を多めにすき込んでおきましょう。

【ポイント4】植え付け・植え替えをする

植え付け
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コニファーを鉢植えにする場合は、苗木よりも1〜2回り大きな鉢を用意しましょう。鉢底の穴に鉢底網を敷き、水はけをよくするために軽石を2〜3段分入れ込みます。その上に培養土を入れ、ポットから抜いた苗木を仮置きして高さの調整を。ウォータースペースを2〜3cm残して土を入れ込み、植え付けます。鉢の奥まで土が行き渡るように、割り箸などを使ってしっかりと詰め込んでいくとよいでしょう。植えつけ後、1〜2年して鉢が窮屈になったら植え替えをします。

地植えにする場合は、植え穴を掘って土作りをしたところに、植えつけます。水はけの悪い場所では、土を周囲よりもやや高めに盛って植えるとよいでしょう。複数本植える場合は、成長後の樹高を考慮して、木と木の間は十分な間隔を取っておくことが大切です。

【ポイント5】水・肥料を与える

水やり
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鉢植え、地植えとともに、植えつけた後はたっぷりと水やりします。しっかりと根づいて枝葉を伸ばすようになるまでは、適湿を保って乾燥させないようにしましょう。根づいた後、鉢植えでは、表土が乾いたら鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと水やりします。地植えの場合は、ほとんど不要ですが、夏の乾燥期など極端に雨が少ない時に、葉に元気がないようであれば水やりをして補いましょう。コニファーの中には湿気を嫌うものも少なくないので、水やりのしすぎに注意し、適湿を保つことが大切です。肥料は、鉢植えの場合は3月と6月に追肥します。緩効性化成肥料を用いると手軽です。庭植えの場合は、3月に油かすなどを含んだ有機肥料を与えるとよいでしょう。

コニファーを美しく元気に! 剪定のやり方

コニファーの剪定
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「コニファーは自然に樹形が整い、剪定が不要でローメンテナンス」とイメージされがちです。しかし、じつのところは定期的に剪定をして、樹形をキープすることは欠かせない作業です。ここでは、コニファーの上手な剪定の仕方をご紹介します。

剪定方法

コニファーの剪定
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コニファーは、生育スピードが早くて樹高が高くなりやすい樹種や、複数の芯を出して樹形が乱れやすい樹種があり、樹形に応じた剪定が必要です。ほとんどのコニファーは、深い刈り込みに弱く、葉がない部分まで切る強剪定にすると枯れ込みやすいので、注意しましょう。最もポピュラーな円錐形のコニファーを剪定する場合、まず内側で枯れ込んでいる葉を手でしごいて落とします。次に、勢いよく長く伸びた徒長枝、下に向かって伸びる下り枝、地際から勢いよく伸びるひこばえなどは元から切り取りましょう。元から切ると樹形を崩す原因になりそうな徒長枝は、バランスの良い部分で切ります。最後に現状より1〜2回り小さい円錐形をイメージして、円錐のアウトラインからはみ出している、全体の枝を切って形を整えましょう。枝の切り方や剪定時期などによっては枯らしてしまうこともあるので、専門業者に依頼するのも一つの方法です。

剪定に適した時期

コニファーの剪定
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コニファーは、広葉樹に比べて萌芽性が劣る性質があります。葉がない部分の深い位置まで剪定すると、芽吹かずにそのまま枯れてしまう場合が多いので、強剪定をしないためにも、1年に1度は整枝剪定をして、樹形をキープすることが大切です。コニファーの剪定の適期は、3〜4月と覚えておきましょう。これは、剪定した後に、新芽が芽吹きやすい時期だからです。コニファーは暑さに弱い性質の樹種が多く、真夏に剪定すると弱る恐れがあるため、蒸れそうだからといって軽々に剪定するのは避けましょう。一方で、寒さに弱いコニファーは、冬に剪定すると寒さに耐えられずに傷んでしまうこともあります。コニファーの剪定は、必ず適期に行いましょう。

コニファーをうまく育てて一年中緑を楽しもう!

コニファーガーデン
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円錐形に自然樹形がまとまるコニファーは、常緑針葉樹のため一年中目に鮮やかなグリーンの葉を観賞できます。洋風の邸宅にマッチする木姿も魅力で、庭にあるとおしゃれな雰囲気をもたらしてくれる庭木です。また、樹種を選べば、目隠し用や生け垣として仕立てることもできる優れものでもあります。冬にはオーナメントやリボン、イルミネーションを飾って、クリスマスツリーとして活用できるのも嬉しいところ。ここで紹介した育て方のポイントや剪定法をおさえ、コニファーのある暮らしを楽しみましょう。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

参考文献:上条祐一郎『切るナビ! 庭木の剪定がわかる本』NHK出版 (2017年第17刷)

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