人気の多肉植物の中でも黒い葉を持つ「黒法師」は、冬から早春にかけて成長する冬成長型の多肉植物。寄せ植えをはじめ、乾燥する地域では花壇に使うなど、ここぞという時に重宝する個性派植物です。神奈川の自宅の庭で30年以上ガーデニングを楽しむベテランガーデナーの遠藤昭さんに、黒法師の魅力と寄せ植えアイデア、育て方などを教えていただきます。

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海外で見つけたカッコいい黒法師

黒法師
クライストチャーチの家庭の庭で出合った黒法師。

日本における近年の多肉植物ブームの中でも、人気で異彩を放っているのが黒い葉の黒法師だ。僕が初めて本格的な黒法師に出会ったのはニュージーランドだった。クライストチャーチの庭巡りに行ったときに、訪問した家の庭に巨大な黒法師があった。当時、日本にもあったが、こんなデカイ黒法師は初めてで、その存在感とカッコよさに圧倒された。それ以来、黒法師に魅せられて我が家でも育てている。

メルボルンでは乾燥に耐える黒法師に感動

メルボルンの黒法師
メルボルンフラワーショーの出店。

その後、やはり日本ではなく、オーストラリアのメルボルンで行われていた「インターナショナル・フラワーショー」の展示で、豪快な姿の黒法師に出会い、その同じ旅行で訪れた、メルボルンのフィッツロイ公園内でも、花壇に植えられた黒法師に圧倒された。

フィッツロイ公園の黒法師
フィッツロイ公園の花壇に植わる黒法師。

今でも、この写真を撮った時の興奮は憶えている。さらにその3年後に、再びメルボルンを訪れた時には、厳しい水不足で、花壇用に物に水不足でも育つ、黒法師が彼方此方に植えられていたのが印象的だった。あたかも黒い花のように花壇に活用されていたのだ。

フィッツロイ公園の黒法師
上記写真から3年後の同じ場所。水不足で花壇には花は無く、乾燥に強い植物が推奨されていた。
フィッツロイ公園の花壇
乾燥に強い植物で作られたフィッツロイ公園の花壇、カッコいい!

自宅の庭で育てる黒法師

黒法師

ところで、我が家の黒法師だが、一度、枯らしたこともあるが、挿し木苗で生きながらえている。一鉢の黒法師を置くだけで、カッコいい雰囲気が出るのだ。黒花と同じように雰囲気を引き締め、スタイリッシュなコーナーができ上がる。

黒法師の寄せ植え

また、多肉植物の寄せ植えにも一株混ぜるだけで、ぐっと雰囲気が変わる。黒い花のようにも見える所が、「黒花効果」を生み出すのかもしれない。

黒法師

また、黒法師を和風に飾るのも、意外性があっておしゃれだ。

黒法師

赤い花がよく似合う。カランコエとカンガルーポーとのツーショット。

いろいろな使い勝手があって楽しい黒法師だ。

黒法師の性質とは?

温室の黒法師
温室だと冬に成長し、屋外栽培よりも生き生きとしている。

ところで、黒法師はアエオニウム属でカナリア諸島の原産だ。

これまでも度々書いてきたが、植物を育てるときに、その原産地の気候や環境を知ることが大切だ。

現地の気候は、夏は乾燥し冬は湿潤な地中海性気候だ。したがって、本来は夏には休眠し、冬に成長する冬成長型の多肉植物だ。しかし、日本の冬は寒いので、実際に成長するのは秋と春で、冬は寒さに耐えるように水分も少なく身を引き締める。冬に温室で栽培すると冬もグングン成長する。

黒法師

春に温かくなると成長期に入る。しかし夏に休眠に入ると葉を落とし小さくなるが、心配して水をやると根腐れを起こして枯れてしまうので注意。夏は風通しのよい所で水やりは月に2回程度で充分。

秋になると成長期なので、表面が乾いたらたっぷり与えるとグングン成長する。自生地だと冬も成長するが、日本の寒さでは休眠に入る。

黒法師

多くの人が冬に寒さが心配で、家の中に入れてしまうが、家の中は太陽の光が弱かったり当たらない場合が多く、黒い葉が緑色になってしまう事がある。マイナス1~2℃までは耐えるので、東京あたりなら屋内に置くより、南側の軒下で冬は充分に太陽に当てたほうが丈夫に育つようだ。そして冬は乾燥させた状態で育てる。これも大切。

黒法師の増やし方

黒法師の挿し木
挿し穂を1週間後に植え付けた状態。

増やし方について少し触れておこう。

他の多肉植物のような、一枚の葉を挿し葉(置き葉)にして増やすことは難しく、挿し木にしたほうがよい。

作業の適期は、4~5月、または9~10月。この場合、挿し穂は10cm程度に切り、風通しのよい日陰で1週間程度、清潔な空の素焼きの鉢に挿し穂のみ入れ、切り口を乾かす。そして、鹿沼土などの挿し木用土に植え付ける(上写真がその状態)。

挿し穂のみを空の素焼き鉢に入れたまま3週間程度かけて発根させる方法もあるが、僕の場合は、1週間後に植える方法を推奨する。

黒法師の挿し木苗
挿し穂作業後、1年程度経過の鉢。

この時、幹の部分は上下を間違えないように! その後、2~3週間は水を与えずに日陰で管理する。充分に発根が確認されて、初めて多肉用の培養土に植え付けること。

黒法師栽培歴15年の今も黒法師好き

黒法師の寄せ植え

今回、黒法師をレポートするにあたり、十分な写真があるかな? と心配だったのだが、PC内を検索したら、出るわ出るわ、たくさんの黒法師の栽培思い出写真がヒットして、選ぶのに苦労するほどだった。

黒法師

自分でも、このレポートを書きながら黒法師の魅力を再認識した次第です。

楽しくてカッコイイ黒法師を、皆さんも育ててみましょう!

ガーデニングがもっと素敵に楽しくなりますよ!

Credit


写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデニンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/

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