多肉植物の黒法師(クロホウシ)がカッコいい季節到来!
人気の多肉植物の中でも黒い葉を持つ「黒法師」は、冬から早春にかけて成長する冬成長型の多肉植物。寄せ植えをはじめ、乾燥する地域では花壇に使うなど、ここぞという時に重宝する個性派植物です。神奈川の自宅の庭で25年以上ガーデニングを楽しむベテランガーデナーの遠藤昭さんに、黒法師の魅力と寄せ植えアイデア、育て方などを教えていただきます。
目次
海外で見つけたカッコいい黒法師
日本における近年の多肉植物ブームの中でも、人気で異彩を放っているのが黒い葉の黒法師だ。僕が初めて本格的な黒法師に出合ったのはニュージーランドだった。クライストチャーチの庭巡りに行ったときに、訪問した家の庭に巨大な黒法師があった。当時、日本にもあったが、こんなデカイ黒法師は初めてで、その存在感とカッコよさに圧倒された。それ以来、黒法師に魅せられて我が家でも育てている。
メルボルンでは乾燥に耐える黒法師に感動
その後、やはり日本ではなく、オーストラリアのメルボルンで行われていた「インターナショナル・フラワーショー」の展示で、豪快な姿の黒法師に出会い、その同じ旅行で訪れた、メルボルンのフィッツロイ公園内でも、花壇に植えられた黒法師に圧倒された。
今でも、この写真を撮った時の興奮は憶えている。さらにその3年後に、再びメルボルンを訪れた時には、厳しい水不足で、彼方此方の花壇に水不足でも育つ黒法師が植えられていたのが印象的だった。あたかも黒い花のように花壇に活用されていたのだ。
自宅の庭で育てる黒法師
ところで、我が家の黒法師だが、一度、枯らしたこともあるが、挿し木苗で生きながらえている。一鉢の黒法師を置くだけで、カッコいい雰囲気が出るのだ。黒花と同じように雰囲気を引き締め、スタイリッシュなコーナーができ上がる。
また、多肉植物の寄せ植えにも一株混ぜるだけで、ぐっと雰囲気が変わる。花のようにも見えるところが、「黒花効果」を生み出すのかもしれない。
また、黒法師を和風に飾るのも、意外性があっておしゃれだ。
赤い花がよく似合う。カランコエとカンガルーポーとのツーショット。
いろいろな使い勝手があって楽しい黒法師だ。
黒法師の性質とは?
ところで、黒法師はアエオニウム属でカナリア諸島の原産だ。
これまでも度々書いてきたが、植物を育てるときには、その原産地の気候や環境を知ることが大切だ。
現地の気候は、夏は乾燥し冬は湿潤な地中海性気候だ。したがって、本来は夏には休眠し、冬に成長する冬成長型の多肉植物だ。しかし、日本の冬は寒いので、実際に成長するのは秋と春で、冬は寒さに耐えるように水分も少なく身を引き締める。冬に温室で栽培すると冬もグングン成長する。
春に暖かくなると成長期に入る。しかし夏に休眠に入ると葉を落とし小さくなるが、心配して水をやると根腐れを起こして枯れてしまうので注意。夏は風通しのよい所で水やりは月に2回程度で十分。
秋は成長期なので、表面が乾いたらたっぷり水を与えると、グングン成長する。自生地だと冬も成長するが、日本の寒さでは休眠に入る。
多くの人が冬に寒さが心配で、家の中に入れてしまうが、家の中は太陽の光が弱かったり当たらない場合が多く、黒い葉が緑色になってしまうことがある。マイナス1~2℃までは耐えるので、東京あたりなら屋内に置くより、南側の軒下で十分に太陽に当てたほうが丈夫に育つようだ。そして、冬は乾燥させた状態で育てる。これも大切。
黒法師の増やし方
増やし方について少し触れておこう。
他の多肉植物のような、一枚の葉を挿し葉(置き葉)にして増やすことは難しく、挿し木にしたほうがよい。
作業の適期は、4~5月、または9~10月。この場合、挿し穂は10cm程度に切り、風通しのよい日陰で1週間程度、清潔な空の素焼きの鉢に挿し穂のみ入れ、切り口を乾かす。そして、鹿沼土などの挿し木用土に植え付ける(上写真がその状態)。
挿し穂のみを空の素焼き鉢に入れたまま3週間程度かけて発根させる方法もあるが、僕の場合は、1週間後に植える方法を推奨する。
この時、幹の部分は上下を間違えないように! その後、2~3週間は水を与えずに日陰で管理する。十分に発根が確認されて、初めて多肉用の培養土に植え付けること。
黒法師栽培歴15年の今も黒法師好き
今回、黒法師をレポートするにあたり、十分な写真があるかな? と心配だったのだが、PC内を検索したら、出るわ出るわ、たくさんの黒法師の栽培思い出写真がヒットして、選ぶのに苦労するほどだった。
自分でも、このレポートを書きながら黒法師の魅力を再認識した次第です。
楽しくてカッコいい黒法師を、皆さんも育ててみましょう!
ガーデニングがもっと素敵に楽しくなりますよ!
Credit
写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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