冬の最中に咲く、小ぶりで可愛らしい黄花と芳しい香りが印象的なロウバイ(蝋梅)。庭木としてもおすすめで、園芸初心者にも育てやすい丈夫な樹木です。そんなロウバイは適切な管理をすることで、よりきれいな花を咲かせることができます。ここではロウバイの特徴や種類、基本的な管理方法などをご紹介。記事をチェックして、ロウバイの育成や観賞をもっと楽しみましょう!

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ロウバイ(蝋梅)とは?

ロウバイとはどんな樹木かご存じですか? ここでは、まず、ロウバイの特徴や種類についてご紹介します。

ロウバイの特徴

ロウバイ
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ロウバイは、12~2月頃にかけて、他の花々に先駆けて香り高い花を咲かせる花木です。まるでロウ細工のような光沢のある、艶やかに透き通った見た目が特徴的な黄色い小花を、やや俯き加減に咲かせます。寒さが一番厳しい真冬の時期に、どこからか花のよい香りが漂ってきたら、もしかしたら近くに黄色いロウバイの花が咲いているかもしれません。寒さに耐えて芳しい香りを放つ小さな花を咲かせるロウバイは、冬の花として古くから人々に親しまれてきました。「慈愛」「慈しみ」「ゆかしさ」「先見」などといった花言葉は、まだ花の少ない時期に、そっと控えめな花を咲かせるその姿にちなんだもの。中国では、「雪中四友」と呼ばれる初春の頃の画題となる4種の花のうちに、ウメやサザンカ、スイセンと並んで数えられています。

ロウバイ
雪の中に咲くロウバイ。JIANG TIANMU/Shutterstock.com
ロウバイ
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ちなみにロウバイは漢字では蝋梅と書き、ウメと同じように他の花に先駆けて芳香豊かな花を咲かせます。花の形もウメに似ていますが、ロウバイはクスノキ目ロウバイ科の落葉樹で、バラ科のウメとは別種の樹木です。中国を原産とし、江戸時代初期に日本へと伝わって、樹木として観賞される他、盆栽や生け花などに広く愛されてきました。名前の由来には複数の説があり、中国名の「蝋梅(ラーメイ)」を日本語読みしたものであるという説や、花の色や光沢が蜜蝋を連想させるためという説などが一般的です。古くは唐から伝わってきたウメという意味でカラウメ(唐梅)とも呼ばれました。

ロウバイの実
ロウバイの実。milmed/Shutterstock.com

花後には実(偽果)をつけますが、ロウバイの実には有毒成分が含まれており、食用にはできません。間違って口にしないように注意しましょう。葉は秋には黄葉しますが、開花期以外の時期はあまり目立たない樹木です。

ロウバイの種類

一口にロウバイと言っても、ロウバイにはいくつかの品種があります。冬から早春にかけて咲くロウバイは、基本的にどれもよく似た黄色い小花を咲かせるので、品種を見分ける際には、花の中心の色を見るのがポイントです。それでは、代表的なロウバイの種類をいくつかご紹介しましょう。

  • ソシンロウバイ(素心蝋梅)
ソシンロウバイ
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庭木として植えられているものの多くがこの品種で、ロウバイの中でもよく見られます。花の中心部分まで黄色いのが特徴で、花付きがよく、たくさんの花を咲かせます。

  • マンゲツロウバイ(満月蝋梅)
マンゲツロウバイ(満月蝋梅)
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花の中心には紫褐色の斑が入り、赤紫色をしています。花色が濃く、花弁が丸いのも特徴。ソシンロウバイよりも一足早く、一回りほど大きな花を咲かせます。ソシンロウバイからの選別種。

  • ワロウバイ(和蝋梅)
ワロウバイ(和蝋梅)
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ロウバイの基本種です。和という名前がつきますが、原産は中国。他の品種に比べ、花は少し小さく、花弁が細長いのが特徴です。中心は赤紫色。

さて、ここではいくつかのロウバイの品種とその特徴をご紹介しましたが、じつはロウバイは実生(タネから育てること)で育てられることも多く、それぞれの個体ごとに花や葉などの姿に変化が生まれやすい樹木なので、これらの中間的な特徴を持つ株もあります。園芸店で購入する際は、実際についている花を見比べて、気に入ったものを選ぶのもいいですね。

また、ロウバイ科には、ロウバイ属の他にクロバナロウバイ属などもあり、ナツロウバイ、クロバナロウバイといった、初夏に全く異なる花姿で開花する仲間もいます。最近では、ナツロウバイとクロバナロウバイの交雑種の園芸品種も作出され、人気を集めています。

  • ナツロウバイ
ナツロウバイ
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中国を原産とする落葉樹で、初夏に淡いピンク色の大きな花を俯きがちに咲かせます。

  • クロバナロウバイ
クロバナロウバイ
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チョコレート色の花は甘く香り、よく茂ってコンパクトに生育する落葉低木。よく似た変種のアメリカロウバイは、花の香りが弱く、葉裏に毛がないのが特徴。

ロウバイの楽しみ

ロウバイ
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【庭木など】

日本の気候にも適し、丈夫で育てやすいロウバイは、庭木として栽培するのにもおすすめ。庭植えするのはもちろん、鉢植えでも問題なく育てることができるので、庭がない人やコンパクトに栽培を楽しみたい人にも向いています。開花期には、辺りによい香りを漂わせ、黄色い花とともに季節の移り変わりを教えてくれますよ。

【切り花】

ロウバイ
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ロウバイの枝をたっぷり花瓶に活ければ、部屋中にロウバイの香りが漂います。凛とした姿はお正月の花としてもおすすめ。小さく切って水を張った小皿に活けたり、花だけを浮かべても素敵です。ロウバイの枝は花屋さんでも購入できますが、花が取れやすいので持ち運びには注意が必要。自分で栽培していれば、気兼ねなく切って生け花を楽しむこともできます。

【盆栽】

ロウバイは初心者でも育てやすい盆栽向けの植物としてよく知られています。植木市や盆栽展などでもよく販売されているので、盆栽に初めてチャレンジするという人は、ロウバイの盆栽から栽培をスタートしてみるのもいいですね。

【活用法】

香りのよいロウバイは、切り花として飾るだけでも辺りによい香りを漂わせ、アロマテラピー効果もあります。ちなみに、中国ではロウバイのつぼみは生薬としても利用されているのだそう。ただ、先述の通り、ロウバイの実は有毒なので、口にしないよう注意が必要です。

ロウバイの管理は簡単? 管理のポイントは?

ロウバイ
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それでは、ロウバイの基本的な育て方についてチェックしていきましょう。ロウバイは基本的に丈夫で育てやすく、日本の気候に合った樹木なので、ガーデニング初心者の方の栽培にもおすすめです。地植えでも鉢植えでも育てることができますが、大きく成長するのでどちらかといえば地植えに向く樹木です。基本的に管理が簡単なロウバイですが、ある程度ポイントを押さえると、より美しくロウバイを育てることができます。ロウバイの基本的な管理方法と、水やりや施肥、剪定などについてポイントを解説します。

植え付け

ロウバイの植え付けの適期は、真冬を除いた落葉期である11~12月、または2月中旬~3月頃。暖地では冬の間いつでも行うことができますが、寒さが厳しいと枝枯れする場合があるので、厳寒期は避けたほうが無難です。半日陰~日向の場所に植え、特に春~夏までは日によく当てるとよいでしょう。冬に開花するので、寒風が直接当たる場所を選ぶのがおすすめです。過湿に弱いので、水はけのよい土に植え付け、水はけが悪い場合は、株元がやや高くなるように盛り土をするなどして水はけをよくします。植え付けの際には、腐葉土や堆肥を混ぜ込むとよいでしょう。鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)6:腐葉土4などの水はけのよい土に植え付けます。植え付け後はたっぷりと水を与え、乾燥しないように気をつけます。

ロウバイは移植を嫌い、地植えの場合は一度植えると植え替えは難しいので、日当たりや水はけなど、場所の条件をよく考えてから植える場所を決めましょう。ただ、鉢植えの場合は、2年に1度程度、株の成長に合わせて植え替えをするとよいでしょう。

日当たり

ロウバイはある程度耐陰性があり、半日陰でも成長しますが、日当たりが悪いと花付きが悪くなりがちです。たくさんの花を楽しむためには、日当たりがよい場所に植えるとよいでしょう。盆栽や鉢植えなど、移動ができる場合は、時期に応じて日当たりの良い場所に移動するのもおすすめです。また、枝が混み合っていると株の内部まで日が入らないため、枝が混んできたら剪定して枝を整理してやることでも日当たりが改善されます。

水やり

ロウバイは、地植えにした場合は、極端に雨が降らない時を除き、基本的に水やりは必要ありません。水はけが悪い場所だと、過湿により根腐れする場合がありますので注意しましょう。また、乾燥しすぎるのも苦手なので、株元付近に草花などを植えて、水分の蒸散を軽減させたり、バークチップなどで表土をカバーするのも一つの方法です。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水をやります。

肥料

ロウバイはさほど肥料を必要とせず、施肥を行わなくても花は咲きますが、新芽や花芽の増加、根の成長などを促すためには、成長期の4~5月頃と、寒肥として12月頃の年2回、緩効性化成肥料や有機質肥料を与えるとよいでしょう。即効性の高い液体肥料よりも、固体肥料のほうが、肥料分がゆっくりと全体に行き渡り、根を傷めにくいのでおすすめです。樹木は根の先端部分から養分などを吸収するため、肥料を与える際は、幹のすぐ近くよりも幹からやや離れた場所に肥料を埋めます。窒素系の肥料を多く与えた場合、葉ばかりが茂って花が咲きにくくなることがあるので注意しましょう。

病害虫対策

ロウバイは病害虫が少なく、初心者でも育てやすい樹木です。病害虫についてはあまり気にしなくてもよいでしょう。葉が黄色くなったり、黒い斑点が出たりすることもありますが、多くは病気ではなく、水はけが悪くて根腐れしていたり、土が硬くなってしまっていることが原因です。ロウバイの調子が悪いようであれば、水はけや日当たりなどを見直してみましょう。

開花期の頃になると、鳥が花やつぼみを食べてしまうことがありますので、鉢植えの場合は置き場所を変えたり、被害が大きい場合はつぼみの時期はネットをかけるなどの対策を。でも、ある程度は自宅でできるバードウォッチングと思って、おおらかに構えたほうが気楽にガーデニングを楽しめるかもしれません。

剪定

ロウバイはやや樹形が乱れやすい木ですが、木の形が決まっていれば、剪定は枝を少し整える程度でOKで、強い剪定を必要としません。また、若い木のうちは樹形が乱れやすいため積極的に剪定したほうがよいですが、成長するにしたがって樹形が整いやすくなるので、剪定の手間は減っていきます。

長く伸びた枝には花芽がつきにくくなるので、枝の更新のためにも定期的に剪定して枝を切ったほうがよいでしょう。

ロウバイはさほど剪定を必要としません。若い木のうちは樹形が乱れやすいので剪定したほうがよいですが、成長するにしたがって樹形が整いやすくなるので、剪定の手間は減ります。

剪定は花後か落葉後すぐに行い、枯れた枝や不要な枝を整理します。ロウバイは、勢いよく伸びた枝や、間延びした長い枝には花芽が付きにくく、短い枝に花芽を付ける性質があります。このような枝も短く切ると花芽がつくことがあるので、枝元から20cmほど残して切りましょう。内側に向かって伸びる枝は、樹形の乱れや株が混んで日当たりが悪くなる原因になるため、枝本から切り詰めます。花が咲いた枝は、5~6年ほどして古くなったものがあれば、枝の更新を図るために切りましょう。

また木の根元からひこばえが出ている場合は、株に余分な栄養を使わせないよう、多くても2~3本を残して元からかき取りましょう。特に接ぎ木で増やされた園芸品種の場合、台木の芽が出てしまうことも多いので、ひこばえが出たら元から切り取りましょう。

ロウバイの増やし方は?

ロウバイの増やし方には、主に種まきと挿し木の2つの方法があります。一般に流通している園芸品種の多くは接ぎ木苗ですが、一般家庭では種まきで増やすのがおすすめです。挿し木でも増やすことができますが、発根する確率が低いので、難易度が高い方法です。

【種まきの方法】

種まきの適期は9月頃。夏から秋にかけてできる果実からタネを取り、採取後すぐに播く採り播きにします。採取したタネを、種まき用土などにタネの3倍ほどの深さに播きましょう。種まき後は乾かさないように管理し、春に発芽したら、本葉が数枚出たら鉢に植え替えて育てましょう。寒さに当てたほうがよく発芽するとされています。

ロウバイは発芽率が高く、タネを播いて育てることができますが、実生苗は花の性質などに変化が生まれることがあるため、親と同じ花が咲くとは限りません。もしかしたら、自分だけのオリジナルな花が咲くかもしれませんね。また、タネから育てた場合、一般に花が咲くまでに6~7年ほどかかるとされていますので、気長にじっくりチャレンジしてみましょう。

寒い時期の貴重な花! ロウバイを育てよう

ロウバイ
High Mountain/Shutterstock.com

ロウバイは寒い時期に花を咲かせる貴重な樹木。香りがよく、切り花を活けて楽しむこともできます。園芸やガーデニングの初心者でも育てやすい樹木ですが、きれいな花を咲かせるには日当たりと水やりなどに注意することが大切。栽培のポイントを押さえて、よりきれいなロウバイを楽しみましょう!

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

参考:
「みんなの趣味の園芸」 https://www.shuminoengei.jp/
「盆栽.com」 https://bonsai-bonsai.com/
「ヤサシイエンゲイ」 http://www.yasashi.info/
「花言葉-由来」 https://hananokotoba.com/

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