トップへ戻る

これからガーデニングをスタートしようと思っている人や、オリジナリティのある庭づくりでガーデニングライフをもっと充実させたい! と思っている人は必見の、宿根草人気ランキング2019年版。4千種を超す植物を扱う「おぎはら植物園」店長の荻原範雄さんに、2019年に特に人気が高かった宿根草を5種教えていただきます。

Print Friendly, PDF & Email

庭づくりをグレードアップしたい人必見! 人気の宿根草

宿根草

長野県上田市で宿根草と山野草を扱っている「おぎはら植物園」では、越年して毎年花を咲かせる「長生きする植物」の宿根草を中心に、幅広くガーデン植物を取り扱っています。全国のガーデニングを趣味にする人たちをはじめ、観光ガーデンや公共の庭などからも珍しい植物や目当ての植物を求めて注文が入るという「おぎはら植物園」で、2019年に人気が急上昇した宿根草を5種ピックアップ。人気の理由と育て方、特徴を解説していただきます。

2018年度版はこちら
2017年度版はこちら

セレクト1
葉も花もシックで庭のアクセントに素敵!
ダイアンサス‘モンク・シルバーブラック’

ダイアンサス‘モンク・シルバーブラック’

ブロンズ色の葉、ダークブラウンの花が、ひときわ目を引く宿根のナデシコです。このような色合いのナデシコは、過去に数種知られていますが、本種‘シルバーブラック’が今のところ最も葉色が濃く、黒に近い品種です。特に秋冬になると色が濃くなり、光沢を帯びる様子は、まさに「シルバーブラック」の名にふさわしいと思います。

ダイアンサス‘モンク・シルバーブラック’
寒くなると葉の色が一段と濃くなります。

庭に植えたり、寄せ植えにしたり、使い方もいろいろ

一年中カラーリーフとして葉の彩りが楽しめて、花も咲く、観賞期間の長さが魅力です。寄せ植えにすると黒っぽい葉色が引き締め役としてコントラストを出してくれます。庭植えにしても、深い色がアクセントとして効果的です。

花が咲いていないときも葉の黒さが目立ち、店頭でも注目を集めて人気が高かった品種です。

ダイアンサス‘モンク・シルバーブラック’
花色も葉に似合うシックなトーンでおしゃれ。

ダイアンサス‘モンク・シルバーブラック’の育て方

寒さに強い花で、強い霜が降りない地域では、戸外でも常緑のまま越冬します。冬の花壇や寄せ植えにも向きます。寒冷地ではやや落葉しますが、春になると再び葉が吹き始めます。

花は春の後半から夏にかけて、30cmほどの高さで開花します。高くなりすぎない、ちょうどよい大きさで咲くので、庭植えにも寄せ植えにも使いやすいのも魅力。

性質は丈夫ですが、多湿を嫌うので、日当たり、風通しがよい場所に。株が古くなると葉が減るので、植え替えたり、株分けをしてリフレッシュすると勢いが戻ります。

セレクト2
だんだん良さが知れ渡ってきたナチュラルなフォルム
スティパ‘エンジェルヘアー’

スティパ‘エンジェルヘアー’

一見すると、ただの草? のように見えてしまう宿根草ですが、ヨーロッパやアメリカでは、その良さが古くから知られてきたガーデン・グラスです。糸のような葉は触り心地も柔らかく、とてもきめ細やかで、天使の髪の毛に例えられるほど。

単体でその自然な姿を楽しむのもよいものですが、草花と一緒に植えることで、まるで霞がかったような、幻想的な雰囲気を出せる宿根草です。上手に組み合わせて、ワンランク上のハイレベルな植栽に挑戦してみてはいかがでしょうか?

スティパ‘エンジェルヘアー’
ふわっとした草姿が他の花を引き立てて、おしゃれな雰囲気に。

全国のガーデンで使用され、じわじわと人気に

正式な学名はスティパ・テヌイッシマ(Stipa tenuissima)。「エンジェルヘアー」や「ポニーテール」の名前で古くから存在する種類で、ガーデニング上級者には馴染みのある植物です。近年人気の自然な雰囲気の庭、ナチュラルガーデンにぴったりで、日本各地の有名なガーデンでも今年はたくさん使われていて、人気が再燃した印象です。

スティパ‘エンジェルヘアー’
柔らかい葉が風に揺れて、庭を爽やかに演出してくれます。

スティパ‘エンジェルヘアー’の育て方

丈夫な性質ですが多湿を嫌うので、長雨や多湿、日照不足に注意してください。逆に乾燥には強く、砂地でも生育します。日当たり、風通しのよい場所に植えましょう。寒さにも暑さにも耐えるので、適地であれば、ほぼ放任でかまいません。

夏から秋に50cmほどの高さで穂をつけ、タネも飛んで毎年少しずつ増えます。お手入れはほとんど必要ありませんが、冬に葉が枯れた後はバッサリと短く切っておくことで枯れ葉が残らず、春の新しい葉のみきれいに茂ります。

セレクト3
暑さに強く、夏によく咲く新しい種類
アリウム‘ミレニアム’

アリウム‘ミレニアム’

アリウムといえば一般的に春や初夏に咲くものですが、この‘ミレニアム’は、最近流通が始まった、夏に咲くタイプです。暑さに強く、真夏でも花が咲き、秋近くまで繰り返し花を咲かせる優秀な品種です。しかも花つきがよく、たくさんの花を咲かせてくれます。一般種よりも花が丸みを帯び、球状のポンポン咲きになるので、とても可愛らしいです。

アリウム‘ミレニアム’
丸くて可愛らしい花を7月頃から咲かせます。

暑い日本の夏でも大丈夫!

宿根草は夏に咲く種類が少ない中、本種は日本の厳しい夏の暑さにも耐えて、花もたくさん咲かせてくれます。「猛暑地でもよく咲いた」と評判で、その後の秋にもリピートをたくさんいただきました。

暑さだけでなく寒さにも強いので、広い地域で育てることができるという点でも優れています。

アリウム‘ミレニアム’
8月後半。花色が淡くなりますが、まだまだつぼみも上がってきます。

アリウム‘ミレニアム’の育て方

小型の植物なので、庭植えの他、鉢植えでも育てることができます。丈夫な性質で、植えっぱなしの放任で構いません。庭植えの場合は、長雨や多湿、日照不足に注意して、水はけのよい場所で育ててください。夏の初め頃から30cmほどの高さで花を咲かせます。花後のタネをこまめに摘むことで、次の花が咲きやすくなり、より花期が長くなります。冬は地上部がすべて枯れて越冬し、春になると再び芽吹きます。寒さに強いので防寒は必要ありません。

セレクト4
人気急上昇! 育てやすさ、花つきのバランスGoodな品種
エキナセア‘チェリーフラフ’

エキナセア‘チェリーフラフ’

エキナセアは暑い夏にも咲く丈夫な花で、宿根草を使ったガーデンには欠かせません。エキナセアといえば派手めの濃い花色が多いのですが、本種‘チェリーフラフ’はクリームピンクの淡い色で、ボリュームのある八重咲きの花が優しい雰囲気です。パステル調の花色はさまざまなガーデンで調和がとりやすく、庭の印象がパッと明るくなります。

エキナセア‘チェリーフラフ’
1株でも、これだけの花を咲かせます。花茎が直立し、草姿もよい。

丈夫さと美しさを兼ね備えた優秀な品種!

今までも同系色のエキナセアは数種ありましたが、本種はまだ新しい品種。群を抜いて性質が丈夫で花つきがよく、太めの花茎がしっかりと立ち、草姿が乱れません。海外から導入して数年経ちますが、とても好評で、年々人気が上がっています。

花は10cm近くにもなる大輪で、花弁が細かく折り重なる八重咲きの花は見とれるほど。マーガレットやガーベラなど一般的なキク科の花に負けない存在感があります。

エキナセア‘チェリーフラフ’
大きく、形も綺麗な花。切り花にも向きます。

エキナセア‘チェリーフラフ’の育て方

寒さ、暑さに強く、丈夫な性質で知られるエキナセア。育て方は至ってシンプルで、日当たりのよい場所に植えるだけ。とても簡単です。土質もこだわりませんが、あまり痩せすぎていると成長が遅く、草丈が伸びないので、少し肥沃な場所を選びます。ある程度の乾燥、湿気、どちらにも耐えますが、ちょうど中間的な水分量が理想的です。

初夏から真夏にかけて50cmほどの高さで花を咲かせます。冬になると地上部はすべて枯れて、根だけになって地中で越冬します。耐寒性が強く、-25℃近くでも耐えます。

セレクト5
従来のイメージを一新するシックな色!
キンギョソウ‘ブラックプリンス’

キンギョソウ‘ブラック プリンス’

キンギョソウといえば古くから栽培されている花で、赤や黄色などの鮮やかな色が一般的ですが、本種‘ブラックプリンス’は一風変わった見た目。黒みを帯びた葉や茎、深いダークレッドの花がシックでおしゃれな雰囲気です。従来種に比べて四季咲き性が強く、周年花が楽しめるうえ、耐暑性があるため夏も越します(従来の一般種は夏までの一年草扱い)。そのため、宿根キンギョソウとも呼ばれています。

マルチに活躍するので用途もいろいろ!

金魚草とシクラメンの寄せ植え
引き締まったシックな色合いは寄せ植えにも最適。

葉を観賞するもよし、花を楽しむもよしで、観賞期間が非常に長いこと(暖地では冬も常緑)、コンパクトで四季咲きなので鉢植え、寄せ植えにも向くこと、夏も冬も越すので花壇や庭植えに、と活躍できるシーンが広いことなどから、人気がありました。キンギョソウを以前から知るベテランの方から、おしゃれな色合いを気に入ってくださる若い方まで、広い層の方々にご好評をいただきました。

キンギョソウ‘ブラック プリンス’
花つきのよい四季咲き。切り戻すと次々に花が咲きます。

キンギョソウ‘ブラックプリンス’の育て方

一般的なキンギョソウに比べると葉が厚く、茎もがっちりしている栄養系の品種です。そのため、特に気を使わずに育てることができます。しっかりと日が当たる戸外で、強い乾燥や多湿を避ければ、ほとんどの場所で栽培可能です。鉢植えや寄せ植えの場合は、花が咲き終わったら半分ほどの高さで切り、軽く肥料を与えると株の勢いが衰えず、1~2カ月程度で次の花が咲きます。庭植えの場合は放任でかまいません。夏の高温多湿に注意すれば、暑さにも耐え、冬の寒さも-12℃程度まで耐えることができます。

2019年人気の宿根草

2019年に人気だった宿根草セレクト5選はいかがでしたか? まずは多くの人が育てている植物を植えることからガーデニングをスタートすることも一つの方法です。植物は、本当に種類が多くて、何を選んでいいか困ってしまうと聞きますが、何年もガーデニングを続けている人にとって、「まだ知らない植物に出合える」ことは喜びです。ぜひ、これから育ててみよう! と思えるお気に入りの植物との出合いがたくさんありますように。2020年もガーデニングを楽しみましょう!

Print Friendly, PDF & Email

人気の記事

連載・特集

GardenStoryを
フォローする

ビギナーさん向け!基本のHOW TO