トップへ戻る

「難を転じる」縁起木を枯らさない! 初心者でも育つ「南天(ナンテン)」の栽培ポイントと剪定時期

「難を転じる」縁起木を枯らさない! 初心者でも育つ「南天(ナンテン)」の栽培ポイントと剪定時期

tamu1500/Shutterstock.com

「難を転じる」縁起木として、古くから魔除けや厄除けに重宝されてきた「南天(ナンテン)」。 日本の気候に合い初心者でも育てやすい樹木ですが、実は「剪定時期」を間違えると、せっかくの赤い実がつかなくなってしまうこともあります。 この記事では、南天を枯らさず長く楽しむための栽培ポイントと、実付きをよくする正しいお手入れ方法をご紹介します。

ナンテンの基本情報

somsak nitimongkolchai/Shutterstock.com

植物名:ナンテン
学名:Nandina domestica
英名:nandina、sacred bamboo、heavenly bamboo
和名:南天
その他の名前:ナルテン(成天)、南天竹
科名:メギ科
属名:ナンテン属
原産地:日本、東南アジア、中国
形態:低木

ナンテン(Nandina domestica)はメギ科の常緑低木で、中国や日本が原産です。自然界では樹高3mほどにまで成長します。ナンテンという名前は漢名の「南天燭」または「南天竹」に由来し、日本では「南天」と呼ばれるようになりました。ナンテンが訛ってナビテンやナルテンなどと呼ばれることもあります。

ナンテンは、梅雨時から夏にかけて、黄色い花粉が目立つ小さな白い花を咲かせます。この花粉は昆虫により運ばれます。秋が深まるにつれて次第に紅葉する葉も美しく、冬になると、ナンテンの一番の特徴でもある真っ赤な実を付けます。

赤い実をつけた庭を彩るナンテン。santorihan/Shutterstock.com

ナンテンの花・葉・実の特徴

ナンテンの花

園芸分類:花木、庭木
開花時期:6〜7月
樹高:2〜3m
耐寒性:普通
耐暑性:普通
花色:白色

南天の開花時期は梅雨から夏。つぼみは円錐状、花弁は6枚の小ぶりな白い花です。花が終わると実をつけ始め、晩秋から冬に熟して赤くなります。

真っ赤な丸い南天の実は、ツグミやヒヨドリなど野鳥の好物であり、漢方の原材料としても知られています。

また、枝の両側に鳥の羽のような葉をつける、羽状複葉(うじょうふくよう)と呼ばれる葉も特徴的です。

ナンテンの開花時期と見頃

ナンテン
鮮やかに紅葉する葉も美しい。FMilano_Photography/Shutterstock.com

ナンテンの開花時期は、6〜7月。しかし、一般的にナンテンは、開花した花を楽しむというよりも、赤い実や紅葉期の葉色の変化を楽しむため、見頃は、紅葉が美しい10月頃や、実を付ける11〜2月とされています。ナンテンの実は、生け花や切り花としてお正月飾りにもよく用いられているので、冬になると店頭でもよく見かけますね。

ナンテンの名前の由来や花言葉

ナンテン
Wako Megumi/shutterstock.com

ナンテンの名前は、中国名の「南天竹」「南天燭」が由来だとされています。

「難を転ずる」に音が通じるため、日本では縁起木や魔除けとして庭に植えられたり、葉を料理に添えたりとさまざまなシーンで活用されています。

ナンテンは、白い花を咲かせた後に赤い実を付けるため、時の移りにつれて愛情が高まっているように見えるということから、「私の愛は増すばかり」というロマンチックな花言葉を持っています。じつはナンテンには、赤い実だけでなく、白い実の種類もあり、それぞれの花言葉は次のとおり。

  • 【赤い実】幸せ・私の愛は増すばかり・よき家庭
  • 【白い実】深すぎる愛・機知に富む・募る愛

どちらも素敵な意味の花言葉を持っていますね。

ちなみにナンテンは、英語では「sacred bamboo」や「heavenly bamboo」などと呼ばれます。西洋ではナンテンに、どこか神聖なイメージがあったのでしょうか?

ナンテンの実や葉の毒性と効能

ナンテンの赤い実
お正月飾りにも欠かせないナンテンの赤い実。Kristi Blokhin/Shutterstock.com

さて、私たちの暮らしにも馴染み深いナンテンですが、その実や葉の意外な効用をご存じでしょうか? ここでは、ナンテンの実は食べられるのか、葉や実にはどのような特徴があるのかなどについてご紹介します。

ナンテンの実は毒性があるため安易に口にすると危険

ナンテンの実と鳥
Danita Delmont/Shutterstock.com

ナンテンの実は野鳥の好物で、鳥が食べている姿を見かけることもありますが、じつは微量ですが有毒成分が含まれており、人間が安易に実や葉を口にすると危険です。ナンテンの実の有毒成分は、アルカロイド系のドメスチンやナンテニンなど。大量に摂取すると知覚や運動神経の麻痺などを起こす可能性がありますので、口にしないよう注意しましょう。一方、ナンテンの葉の部分は、アルカロイドのナンジニンが含まれ、大脳や呼吸中枢の興奮、後に麻痺などを起こす可能性があります。

ナンテンの実は咳止めなどの薬としても

ナンテン

ナンテンの実には咳止めの効果があります。ナンテニン(o-メチルドメスチシン)を多く含むナンテンの実は、「南天実」という名で、古来より鎮咳の生薬として知られていました。のどの調子が悪いときに、「南天のど飴」を口にしたことがある方も多いのではないでしょうか。ナンテンの実に含まれるナンテニンには以下のような効果が期待できます。

【ナンテンの実に含まれるナンテニンの効果】

  • 気管平滑筋を拡張し、咳を鎮める
  • 咳中枢の興奮を抑え、咳を鎮める
  • 殺菌作用により、菌による気道の炎症を抑える
  • 鎮痛作用により、のどの痛みを和らげる

ナンテンの葉には殺菌や防腐効果がある

ナンテン
honobono/Shutterstock.com

先述のとおり、ナンテンの葉には、じつは殺菌や防腐効果があります。葉に含まれるアルカロイドのナンジニンは、有毒成分でもありますが、葉に含まれる量はごく微量のため、殺菌や腐食防止に効果があるのです。ナンテンの葉をお弁当などに入れると、彩りを添えるだけではなく、その殺菌や防腐効果を活用することができます。赤飯などの上にナンテンの葉をのせることも多いのは、こんな理由もあったんですね。ただし、口にはしないように注意しましょう。

ナンテンにまつわる言い伝え

ナンテン

ナンテンは古来より魔除けや厄除け、縁起のよい木だと信じられている木です。

中国では昔、ナンテンが病害虫である南京虫を寄せ付けないことから、厄除けの木として重宝されていました。邪気を払う力を持つ赤色の実をつけることや、葉が枯れない常緑樹であることから、ナンテンはアジア諸国でも魔除けや繁栄の象徴だと考えられています。

一方、平安時代の日本では、ナンテンは観賞用・薬用として用いられていました。厄除けや縁起木と見なされるようになったのは、江戸時代です。

江戸時代に入ると、玄関や門、鬼門に植えることで災難や厄が家に入らないようにする、魔除けの木として重宝されるようになります。反対に、ナンテンの木を切ると災いが起こると恐れられるようにもなりました。

現代の日本でもナンテンの言い伝えは守られています。新年や節分などの行事の飾りや、魔除けのお守りとしてナンテンを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

ナンテンの品種は?

ナンテンといえば、赤い実を付けるものがイメージされますが、じつはいくつもの品種があります。主に縁起物として、園芸用の品種が長年にわたって改良されてきました。その結果、多くの種類が作られ、現在では30種類以上の南天が楽しまれています。ちなみに日本や中国を原産地とするナンテンは、1712年にケンペルによってヨーロッパにも紹介されています。欧米でもガーデン素材として利用されることもあり、野生化してしまった株が赤い実をたわわに実らせているのを目にすることもあります。

代表的なナンテンの品種

数多くあるナンテンの品種の中から、代表的なものについていくつかご紹介しましょう。

キンシナンテン(錦糸南天)

白実のナンテンの花と果実。右/haris M/shutterstock.com

一般的なナンテンに比べ、葉が糸のように細いのが特徴。成長が遅く樹高も低い。

シロナンテン(白南天)

シロナンテン

シロミ(白実)ナンテンとも。果実は熟しても赤くならず、また葉も紅葉しない。やや黄色を帯びた白色の品種。

オタフクナンテン(お多福南天)

ナンテンの矮性種
ナンテンの矮性種。simona pavan/Shutterstock.com

樹高が低くグラウンドカバーに利用されることが多い。矮性のナンテンはほとんど花や実は付かないが、四季によって紅葉する葉が特徴。とても丈夫で枯れにくい。

イカダナンテン(筏南天)

葉柄が組み合わさって、筏(いかだ)のように見える。

オリヅルナンテン(折鶴南天)

通常の南天よりも真っ赤に紅葉する。柄が曲がったり、葉がよれたりする珍しい品種。葉が密集し、まるで折り鶴のように見えるため、折鶴南天と名付けられた。

フジナンテン(藤南天)

黄色の実を付ける品種で、実が熟れると薄紫色になる。

ナンテンの栽培12カ月カレンダー

開花期:6~7月
観賞期:11~2月
植え付け:2〜3月
植え替え:2~4月
肥料:3~4月(鉢植え)、2~3月・12月(地植え)
剪定:3月~4月上旬
種まき:4月頃

ナンテンの栽培環境

ナンテン
aykfree/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

ナンテンは一日のうち数時間だけ日光が当たる、半日陰を好む植物です。強い西日が当たる場所は避け、午前中の穏やかな陽光が差すような場所に植えましょう。

また、耐陰性があり日陰でも育つナンテンですが、日当たりが悪すぎる場所に置くと、実付きが悪くなります。実をつける時期になっても実があまり多く付かないと感じたら、置き場所を考え直しましょう。

耐寒性・耐暑性

ナンテンは、耐寒性・耐暑性がある植物で、関東地方以西の地域では、屋外で冬越しができます。なかでも、矮性品種のオタフクナンテンは耐寒性に強く、鮮やかに赤く色づく紅葉も楽しめます。

ナンテンの育て方              

用土

ナンテンは通気性・水はけがよく、適度な湿度を保つ土が適しています。通水性と保湿性を兼ね備えた、やや粘土質の土がおすすめです。土を用意する際には赤土や腐葉土を用いて、肥沃な用土をつくりましょう。

水やり

ナンテンを地植えにした場合、基本的に水やりは必要ありません。夏場に何日も乾燥が続くようであれば水をやりましょう。鉢植えの場合は、表面の土が乾いたらたっぷりと水をやります。夏場は水切れに注意しましょう。

肥料

肥料はさほど必要としませんが、花付きや実付きをよくするためには、冬に鶏ふんなどの有機質肥料と、緩効性の化成肥料を混合したものを施すとよいでしょう。鉢植えの場合は、植え替え時にカリやリン酸を多めに含む肥料を用土に混ぜておきます。

注意する病害虫

ナンテンは丈夫で育てやすい樹木で、病害虫の被害を心配する必要はほとんどありません。発症しやすい病気には、モザイク病、葉枯病、すす病などがあります。モザイク病は、葉が縮れてモザイク状になるもの、すす病は、カイガラムシにともなって発生します。

ナンテンにつく害虫としては、カイガラムシやハマキムシなどが一般的です。初夏から秋にかけてはカイガラムシが発生することがあります。ハマキムシは、成葉に発生するが被害は少ないので、あまり気にしなくてもよいでしょう。

ナンテンの詳しい育て方             

苗の選び方

ナンテンの苗を選ぶ際には、枝ぶりや葉のつき方に注目しましょう。ボリュームがあり、樹形が整っている苗がおすすめです。

またナンテンにはさまざまな種類があり、花や葉の色・形が異なります。好みや生育環境が適しているかどうかも、選ぶポイントです。

植え付け・植え替え

ナンテンの植え付け適期は3~4月。通気性や水はけがよく、適度な湿度を保つ土に植え付けます。地植えにする際には、事前に腐葉土などの有機物を土によく混ぜておくとよいでしょう。鉢植えの場合は、苗よりも一回り大きい鉢に、鉢底石、土、苗の順番に植え付けます。植え付けが完了したら、水をたっぷり与えましょう。鉢植えは、2~3年に1回の頻度で植え替えをするとよいでしょう。

剪定

ナンテンの剪定適期は2~4月、赤く熟した実が落ちた後が適しています。開花時期も剪定は可能ですが、実がなるはずの枝を切ってしまうこともあるので、心配な場合は初春~春に行いましょう。

剪定する際は、以下の道具を用意します。

  • 軍手
  • 剪定バサミ
  • 剪定ノコギリ

細い枝には剪定バサミ、太い枝には剪定ノコギリを使います。ケガを防ぐため、軍手を着用して選定しましょう。また、太い枝に無理に剪定バサミを使うこともケガにつながるので、避けてください。

剪定する枝は、枯れ枝や細く生育が悪い枝です。枝が過密になっていて風通しが悪い場所も、適宜切りましょう。

また一度花や実をつけた枝は、今後花が咲いたり実をつけることはありません。新しく伸びる枝や、これから花や実をつける枝に栄養を届けるため、花や実が終わった枝も剪定します。

剪定のときには、これから花をつける枝を切ってしまわないように注意しましょう。誤って切ると、花付きや実付きが悪くなり、さみしい見た目になってしまいます。

増やし方

ナンテンを増やしたいときには、次のような方法があります。

【種まき】

植物の増やし方として一般的な種まき。ナンテンの場合は、乾かすと発芽率が下がるため、晩秋に種子をとって皮をむき、すぐに播くとよいでしょう。

【挿し木】

挿し穂と呼ばれる枝を切り取り、それを土に根付かせて新しい株を作る挿し木。挿し木をする場合は、3月の中~下旬、または9月下旬頃に枝を取り、肥料分を含まない清潔な用土に挿して発根を待ちましょう。切り口に発根剤を塗ってもよいでしょう。

珍しい品種の場合は、接ぎ木をして増やしておくのも一つの方法です。

ナンテンの実が付かない時は

ナンテン
Clara Bonitti/Shutterstock.com

ナンテンを育てたら、やはり真っ赤な実を楽しみたいもの。ナンテンの実が付かないなと思ったら、次のような点を確認してみましょう。

日当たり

先述の通り、ナンテンは日当たりが悪いと実付きが悪くなることがあります。栽培している場所に光が十分に当たっているか確認してみましょう。

ナンテンの花が咲く6~7月はちょうど梅雨どきで、雨が多い時期に当たります。雨が直接当たる場所に植えてあると、花粉が流されるために受粉しにくくなり、実付きが悪くなることがあります。軒下など、直接雨の当たらない場所で管理するか、どうしても実付きをよくしたい場合は、雨の日はビニール袋を掛けるなどして雨避けするとよいでしょう。

剪定時期

受粉した花を剪定してしまった場合、当然ながら実は付きません。ナンテンの花が咲く6~7月から実が付く冬にかけては剪定を避け、実を楽しんだ後の2~3月に剪定すると、せっかくの花を落としてしまうことを避けられます。また、一度実を付けたナンテンの枝は、その後3年は実を付けないといわれるので、剪定を兼ねて実のなった枝は収穫してしまうのもいいですね。新梢にも花を付けないので、切り戻しをする際は、すべての枝を切り戻してしまわないようにするとよいでしょう。ただし、強剪定して小さくする場合は、長い枝を残さないようにして、すべての枝を同じように切り詰めます。

受粉木

ナンテンは1株でも実を付けますが、近くに異なる品種のナンテンを植えると、より実付きがよくなります。1本だけ育てているけれど実が付かないという方は、もう1本違う種類のナンテンを近くに植えてみるのもいいですね。また、花粉を媒介する昆虫が十分に生息していないために、受粉が行われず実が付かないこともあります。その場合は、殺虫剤の使用をやめて虫を呼ぶようにするのも一案です。

生育状況

ナンテンの生育がよすぎると、かえって実付きが悪くなることがあります。生育は旺盛で花も咲くけれど実が付かないという人は、肥料を控えてみるとよいかもしれません。

 縁起がよくて育てやすいナンテンは初心者にもおすすめ!

ナンテン
Flavio Gallozzi/Shutterstock.com

ナンテンは昔からある庭木で、食用にこそなりませんが、縁起がよい木といわれたり、魔除けになったりと、とても有益な植物とされてきました。また、咳止めや殺菌効果も持ち、のど飴などに利用されています。日本の気候風土にも合っているため育てやすく、ガーデニング初心者にもおすすめです。鉢植えでも栽培することができるので、一株育てていると、お正月の飾りにも使えて便利なので、ぜひ身近に育ててみてください。

冬のおすすめアイテム

ウッドストレージ(薪台) -GARDEN STORY Series-

ウッドストレージ(薪台) -GARDEN STORY Series-

薪ストーブやキャンプに欠かせない薪を、スタイリッシュに収納できるラック。薪を置くキャンバス布は取り外して取っ手付きキャリーバッグになるので、移動もラクラクです。キャンバス布は外して丸洗い可能。雨や土埃で汚れても気軽に清潔を保てます。

人気の記事

連載・特集

GardenStoryを
フォローする

ビギナーさん向け!基本のHOW TO