毎年の収穫が楽しめる、果樹を育ててみませんか? 庭先で採れた、とびきりジューシーな完熟果を味わえるのは、丹精込めて育てたからこそ得られる贅沢です。特にイチジクは育てやすく、よく実るので初心者にオススメ。植え付け適期は10〜12月上旬ですから、苗を入手して栽培をスタートするのに、ちょうどよいタイミングです。
目次
家庭で育てて完熟を味わいたいイチジク
イチジクは傷みやすいフルーツの一つで、栽培農家では早めに収穫して出荷するため、完熟果はほとんど青果店には出回りません。したがって家庭で育てて完熟させた果実を収穫すれば、本来の甘くてコクのある味わいを存分に楽しめるというわけです。糖度が高いので、冷やして食べればそのままデザートになりますし、白ワインやシャンパンとの相性も抜群。もちろんジャムやケーキ、タルトなどのスイーツにも利用できます。食べきれないほどたくさん実ったら、皮をむいて冷凍保存すれば、約1カ月は好きなときに食べられます。
果樹栽培では、苗木の植えつけから収穫まで3〜4年かかることが多いのですが、イチジクの場合は植えつけから1〜2年で収穫できるのが、初心者にオススメする理由です。加えて、コンテナ栽培でコンパクトに育てることができ、8号以上の鉢に植えつければ、たわわに実ります。
販売されている苗には、まだ幼い素掘り苗やポット苗、充実した鉢苗があります。素掘り苗やポット苗は価格が抑えられるものの、植えつけてから実がつくまでは2年程度育成期間が必要と考えてください。鉢苗は値段が上がりますが、生産農場で管理し良い株に成長させてから出荷され、翌シーズンには収穫が期待できます。大株に仕立てるまでの管理の手間を省けるので、手軽に収穫を楽しみたいビギナー向きです。
イチジクは、写真のように主枝を左右水平方向に伸ばし、その主枝から果実がつく枝を垂直方向に伸ばす仕立て方もできます。壁際に配置すれば、よりコンパクトにまとめられるので、ベランダなどの狭い場所での栽培にオススメ。樹高を低く抑えられ、果実の揃いもよくなります。
見た目で選ぶ! イチジクのカラー別品種エトセトラ
イチジクはカラフルなフルーツで、品種によって様々な色の果実が揃います。葉の形も愛らしいので、ガーデンのシンボルツリーとしても十分目を引く存在になります。近年は品種改良が進んで、いずれも甘くて風味豊かな品種ばかりが出回っているので、見た目で選ぶのも一案です。
庭に個性を放つ果実 ゼブラ・スイート
グリーン×ホワイトのストライプ柄が目を引く、オシャレ度ナンバーワンの品種です。果肉は赤く、甘み、酸味のバランスがとれていて美味。収穫が近づくとゼブラ柄が薄くなってくるので、わかりやすいのもうれしいところです。果実は40〜50g、収穫時期は8月下旬〜10月下旬。
黒みを帯びた果実がインパクトを与える ネグロ・ラルゴ
黒みがかった小ぶりの果実がたわわに実った景色は、ガーデンのスタイリッシュなアクセントになること間違いありません。果肉は赤紫色で品質がよく、裂果しないので扱いやすいといえます。果実は40〜50g、収穫時期は8月下旬〜10月下旬。
みずみずしいグリーンの果実 コナドリア
黄緑色の果皮が目に鮮やかで、明るいトーンでガーデンの草花たちと調和します。果肉は赤紫色で、果皮とのコントラストも素敵。さっぱりとした味わいで、甘みと酸味のバランスがほどよく取れています。果実は50〜100g、収穫は8月中旬〜9月下旬。
シックなワインレッドの果実 セレスト
小さめのワインレッドの果実がたくさんつく、葉のグリーンとの対比が美しい品種です。果肉も淡い紫色で、果皮が薄く、特に甘みが強くて粘りもあります。凍らせてそのまま食べても美味。寒さに強い長所もあります。果実は15〜25g、収穫時期は8月下旬〜10月上旬。
デリシャスな品種 ネグローネ
見た目よりも味を重視するなら、味と香りのバランスが素晴らしい人気品種を。果肉は淡い紫色で、肉質にやや粘り気があり、甘くて酸味も含んでジューシー。つややかな黒みを帯びた小さめの果実は、ガーデンに個性をもたらします。果実は20〜30g、収穫時期は9月上旬〜10月下旬。
多種多様な果樹苗木を販売 LA FRUTA(山陽農園)
揃わないフルーツはないほど多様な果樹苗を生産。特にイチジクの取り扱い品種は豊富です。園主の大森直樹さんは、NHK「趣味の園芸」講師として長年出演するほか、果樹関連の著書を多数著すなど果樹栽培の指導・普及を行っています。果樹苗は、インターネット販売もしています。
http://www.la-fruta.jp
Tel.086-955-3681
岡山県赤磐市五日市215
Credit
取材&文 / 長田節子 - ライター/エディター -
おさだ・せつこ/ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。
- リンク
記事をシェアする
新着記事
-
宿根草・多年草
花束のような華やかさ! 「ラナンキュラス・ラックス」で贅沢な春を楽しもう【苗予約開始】PR
春の訪れを告げる植物の中でも、近年ガーデンに欠かせない花としてファンが急増中の「ラナンキュラス・ラックス」。咲き進むにつれさまざまな表情を見せてくれて、一度育てると誰しもが虜になる魅力的な花ですが、…
-
ガーデン
都立公園を新たな花の魅力で彩る「第3回 東京パークガーデンアワード」都立砧公園で始動
新しい発想を生かした花壇デザインを競うコンテストとして注目されている「東京パークガーデンアワード」。第3回コンテストが、都立砧公園(東京都世田谷区)を舞台に、いよいよスタートしました。2024年12月には、…
-
ガーデン&ショップ
都立公園を花の魅力で彩る画期的コンテスト「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」全国から選ばれた…
2022年に代々木公園から始まった「東京パークガーデンアワード」。第2回の神代植物公園に続き、3回目となる今回は、東京都立砧公園(世田谷区)で開催されます。宿根草を活用して「持続可能なロングライフ・ローメ…