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秋色に燃える花壇と、花壇を彩るおすすめ植物
紅葉が進み、山々が秋の装いになる季節。秋らしい雰囲気を演出してくれる植物を取り入れて、ガーデンも秋色に染めてみませんか? オーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、神奈川県の自宅の庭で25年以上ガーデニングを楽しむベテランガーデナーの遠藤昭さんに、秋の花壇演出に取り入れたい植物を教えていただきました。
目次
川崎市緑化センターにつくった秋色花壇
秋は紅葉をイメージさせるオレンジ、黄色、茶色などで花壇も染めてみたらどうだろう? さらに、黒系や紫色も似合うかもしれない。そんな思いで、秋色花壇を職場である川崎市緑化センターにつくってみた。芝生の中につくったL字型の花壇だ。やはり生き生きとした緑の芝生は、秋色の花壇を鮮やかに引き立てる。
これはその花壇を真正面から写した様子だが、活躍しているのはほとんどがカラーリーフ。銅葉や、ほぼ黒といっていい葉色のカンナが、オレンジや赤い花を咲かせている。黄や赤に見えるのは、ハゲイトウやコリウス。そして地際付近の黒い株はイポメアや銅葉バジルだ。以前の記事でご紹介した黒いペニセツム‘パープルマジェスティ’も取り入れてみた。パンパスグラスのシルバーの葉も存在感がある。さまざまな植物が秋色に映える。
同じ花壇を斜め前から。アマランサスという、一時健康食品として話題になったヒユ科植物が、象の鼻のような形に赤い実をつけている。
アマランサスは赤花だけでなく白花(グリーン)も使用している。
秋色花壇で活躍する植物たち
それでは、この花壇で活躍している植物を、それぞれのシーンとともにご紹介しよう。
イポメアとハゲイトウの織りなす色彩
赤とオレンジと黒の世界がカッコイイ。黒い葉のイポメアはヒルガオ科サツマイモ属の植物で、秋には芋ができる。この芋を保存して植え付けると、翌年も芽が出てくる。サツマイモ同様につるを挿せばすぐに根が出る丈夫な植物だ。生育旺盛なので花壇の隙間を埋めるのに便利な植物だ。黒はどんな色の花も葉も引き立ててくれる。
オレンジ系の葉はハゲイトウ。ハゲイトウは大きくなるので、大型の花壇に使いやすい。秋色花壇には欠かせない植物だ。手前にはコリウスも見える。
ハゲイトウは、黄やオレンジ、そして赤、あるいはミックスなど、葉色が非常に変化に富んでいるので、使い方次第でさまざまな表現ができる。タネから比較的簡単に育てることができるのも嬉しい植物だ。
さまざまな種類のケイトウ
ハゲイトウをご紹介したついでに、本来のトサカケイトウも紹介しておこう。昔は、鶏頭という名前の通り、このような鶏のトサカに似た姿のものが中心だったと思う。この色合い、なかなか渋いですね。
そして最近は、このロウソク状の小型の羽毛ケイトウが人気のようだ。銅葉カンナによく似合う。
インパクト抜群のカンナ
銅葉のカンナのアップだ。大きな銅葉は存在感がある。
存在感のある銅葉カンナだが、さまざまな花に似合う。これは、赤いハゲイトウと、白いダリア、そしてペニセツム‘パープルマジェスティ’がお互いを引き立てるワンシーン。白い花は色のぶつかり合いを緩衝してくれる。
ダリアは7月頃に一度咲き、切り戻すと10月頃にもう一度咲いてくれる。秋色花壇には、こんな‘黒蝶’の色彩も素敵だと思う。
●ダリアについては、こちらでもご紹介『寄せ植えや花壇に活躍「ダリア」の種類と上手な育て方』
個性的な咲き姿のアマランサス
次に紹介したいのがアマランサスだ。通販カタログを眺めていたところ、面白そうな咲き方だったので、思わず購入して育ててみたものだ。かなり大きくなり、花の重みで株が倒れるので支柱が必要だ。
先述の通り、アマランサスには赤花と白花(淡いグリーン)とがある。
こちらは赤花だ。濃厚な色合いが秋花壇によく似合う。
そして白花。実際は爽やかな淡いグリーンの色合い。
花壇の色彩を引き締める銅葉のバジル
花壇の色調として黒い葉が欲しい時は、この銅葉バジルが便利だ。銅葉とはいうものの、かなり黒く、ほとんど黒葉といっていいほど。バジルなので香りも強く、料理にも利用できる。そして淡い色の花も咲かせてくれる。
赤と黄色のコリウスと緑にピンクが混じるイレシネ(手前)に挟まれて、バジルの葉の黒が際立ちカッコイイ。
黒い葉は花やカラーリーフを引き立てる。上2枚は銅葉バジルではないが、同じく黒い葉を持つイポメアを使った花壇の一角。オレンジ色の黄花コスモスや、センニチコウやハゲイトウなどの色彩が、黒い葉を背景により印象的に映る。
四季折々の花壇
秋色花壇では、さまざまな植物たちが、それぞれに人間が考える以上の演出で個性と創造性に満ちた風景を描いてくれる。僕らガーデナーは、植物の葉や花の色、大きさなど、大雑把な特性を捉えて選ぶだけ。あとは太陽と水と養分を欠かさずに大切に育てさえすれば、期待に応えてくれるのだ。
花壇づくりの醍醐味は、人間が考えた花壇の完成風景を植物たちに託し、その思いと生育への力の入れ具合が、まるで鏡のようにでき上った風景に反映されるところではないだろうか。
さて、そろそろ春色花壇を考える時期。花壇は休むことのない、一個の生き物のようだ。次にはどんな風景を見せてくれるだろうか?
Credit
写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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