秋の光の下でより魅力的に輝くグラス類。華やかな花とはまた違う美しさを持つグラスは、庭に輝きをプラスしてくれるガーデン素材です。神奈川県の自宅の庭で30年間、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主、遠藤昭さんが、グラスガーデンの魅力をお届け。第2回の今回は、日本でも人気の高いグラス類をご紹介していただきます。

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庭をワンランクアップさせるグラス類

その1でご紹介したペニセツムの仲間に引き続き、本記事でもグラスガーデンの魅力を綴ってみよう。ペニセツムは日本に紹介されて日が浅いが、今回は、もう少し古くから日本で人気のあったグラスを取り上げたい。ここで紹介するグラス類はどれも多年草なので、一度植えると、長年にわたって楽しめるのも魅力だ。

グラスガーデン

この写真は2004年に開催された「浜名湖花博」のガーデニングコンテストでグランプリを頂いた時の応募写真の一枚で、2階から撮影したものだが、ベアグラス、カレックス、フウチソウなどのグラス類が見える。それぞれ、庭の植え込みラインを縁取り、引き締める役割を果たしてくれている。この写真を撮影してから14年も経つが、現在の庭でも健在で、ガーデン風景には欠かせない存在になっている。

細葉が枝垂れるように伸びるベアグラス

ベアグラス

細い葉が鉢から溢れるように枝垂れるベアグラス。元々この株は、ビニールポットの小さい苗を買ったものだが、数年で大きくなった。ベアグラスは明るく軽やかな色調が魅力なので、手前にニュージーランド原産のアステリア、そして後方に銅葉のニューサイランを配し、コントラストを出した。

ベアグラス

手前左は似た葉に見えるがオリヅルラン。レンガと敷石の幾何学的な模様に対し、対照的なベアグラスの葉の曲線が生きている。

ベアグラス
真上から撮った一枚。フサフサ感が羨ましい…?

ベアグラスというと外来種のように聞こえるが、じつは日本を原産とする植物で、和名はオオシマカンスゲという。園芸品種の学名Carex oshimensis ‘Evergold’ がベアグラスの名前で流通しているようだ。丈夫だが、やや過湿に弱いので気を付けよう。

ベアグラス

葉が長く垂れさがるので、やや背の高い鉢に植えると、存在感があり、見映えがする。

美しい葉色のフェスツカ

フェスツカ・グラウカ

このベアグラスと、ほぼ同時に流行ったのがフェスツカ・グラウカだ。シルバーグリーンの色合いが魅力のグラスで、単にフェスツカと呼ばれることも多い。ヨーロッパの寒冷地が原産地で、高温多湿には弱い。

フェスツカ・グラウカ

日当たりがよく、水はけのよい所で育てる。鉢植えは軽石の鉢底石を多めに入れるとよい。上手く育てると大株になり、糸のように細い葉が長く伸びてカッコイイ。

フェスツカ・グラウカ

園芸店で売られている苗は葉の長さがせいぜい20cm程度だが、大株になると50cmくらいになり、オーナメンタルグラスの貫禄がでる。

フェスツカ・グラウカ

また、5月頃に出る花穂も楽しめる。タネを採取すれば実生も可能だ。

なんといっても、明るいシルバーグリーンの葉色が素晴らしく、1~2株があるだけで、庭がおしゃれで明るくなる。

雄大な印象を与える大型のパンパスグラス

パンパスグラス

さて、次に紹介するのはパンパスグラス。南アメリカ原産のグラスだ。

パンパスグラス

僕はグラスの中でも、昔からパンパスグラスに憧れていた。もう25年以上経つが、オーストラリアのメルボルン駐在中に、あちこちの公園や住宅街で見かけた大株のパンパスグラスの雄大な姿が印象に残っている。

パンパスグラス パンパスグラス

この大きな光沢のある穂が風になびく姿が、なんとも美しい。

パンパスグラス
青空をバックに、光を浴びて白銀に輝くパンパスグラス。

帰国後、あんなに大きくなるものを狭い庭に植えてはイケナイとは思いながらも、通販で苗を購入したのは、20年以上も前のことだ。最初の数年は、だんだん育って株が大きくなるのが楽しみだったが、案の定、その後手に負えなくなってしまった。結局、堀り上げてチェーンソーで解体し、一部は職場の植物園に寄付した。その時のパンパスグラスは、今でも鉢植えで元気に育っている。

海外ガーデンで活躍する日本のグラス

ススキ

日本ではおなじみの植物が、海外の庭ではガーデン素材として意外な注目を浴びていることがある。

例えば、秋のお月見の必需品である日本のススキ。

グラスガーデン
グラスガーデン
ガーデン素材としてススキが育つ海外の庭。

日本では、ススキをわざわざ庭に植える人は少ないが、メルボルンでは、日本のススキをかえって珍しがって、庭園に植えてあったりする。確かに、パンパスグラスを見慣れた目には、スマートで繊細に映る。

グラスガーデン

数年前に鳥取で行われた緑化フェアでも、イギリス人のポール・スミザーさん監修の庭にはススキの姿が。

フウチソウ

また、イギリスのコッツウォルズ地方を旅行中に、日本のグラスが思わぬ使われ方をされていて驚いたことがある。フウチソウがこんなに一面にグラウンドカバーに使用されていたのだ。

フウチソウ
日本では、フウチソウの鉢植えがよく見られる。

僕の感覚では、鉢植えにして、その和の風情を楽しむものと思っていたので、とても新鮮だった。

タマリュウ

もう一つ、オマケにタマリュウ。グラスと呼んでいいのか迷うが、日陰で育つので、グラウンドカバーに便利だ。我が家では、オーストラリアンレンガと組み合わせてこんな使い方をしている。

グラスは、ガーデンの主役にはなりにくい。しかし、グラスにしかないその容姿の持つパワーは計り知れない。ガーデンの脇役として、バラや華やかな草花たちを引き立ててくれる。あるいは、ガーデンの雰囲気を大きく変えて大自然の風景を蘇らせてくれたりもする。

今一度、グラスをガーデンに植えて、ガーデンに輝きをプラスしてみませんか?

Credit

写真&文/遠藤 昭
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。現在は、川崎市緑化センター緑化相談員を担当しながら、コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施。園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。

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