黄色い花芯のまわりに、細長い花びらがたくさんつくマーガレット。そのぱっと開いた花形の愛らしさから、古来多くの人々に愛されてきました。そんなマーガレットの種類や品種について、詳しく説明します。
目次
マーガレットってどんな花?
マーガレットについて、まずは基本的なことを知っておきましょう。
マーガレットの基本データ
学名:Argyranthemum frutescens
科名:キク科
属名:アルギランセマム属
原産地:カナリア諸島
和名:木春菊(モクシュンギク)
英名:Paris daisy、Margurrite
開花期:3~4月
切り花の出回り時期:11~5月
花色:赤、ピンク、オレンジ、黄色、白、複色
花もち:5~10日
花言葉:純粋な愛、感動
マーガレット、といえばまず思い出されるのが、恋占いでしょう。恋占いとは、花の花びらを1枚ずつちぎって「好き、嫌い、好き、嫌い」と繰り返し、最後の1枚が「好き」であれば、自分の思い人も自分のことを思ってくれている、という占いです。ちなみに、ヨーロッパなどでは「愛している、少し愛している、とても愛している、まったく愛していない」という4択にして、占いの言葉を繰り返すそうです。この恋占いに主に使われる花がマーガレットなのです。
もっとも、この占いにはヒミツがあります。マーガレットの花びらは基本的には奇数なんです。ですから、「好き」から始めれば「好き」で終わることがほとんど。本当は「恋を占う」というより、「恋(の告白)を応援してくれる」花なのかもしれませんね。
マーガレット(Marguerite)という名前は「真珠」を意味するギリシア語の「Margarites(マルガリテス)」からきています。花びらが純白で丸く咲く清楚な花姿が、宝石でいうと真珠をイメージさせるからでしょう。
一方、和名の木春菊(モクシュンギク)は、葉の形がキクに似ていること、そして年数が経つと、緑色の茎が変化して茶色くゴツゴツした木のようになることから来ています。ただし、日本には明治初期に渡来し、マーガレットの名前が一般的に広まっているので、この名で表記されることはあまりありません。
マーガレットを購入するとき、扱うときの注意点
マーガレットはもちのいい丈夫な花ではありますが、下記の点には注意が必要です。
鮮度を見るときは花芯をチェック
マーガレットの鮮度は、花びらの反り返り方や葉っぱのしおれ方で判断できます。でも、「一見、どれも美しく咲いているように見える花のなかで、できるだけ鮮度のいいものを選びたい」というときは、花芯をチェックしましょう。マーガレットの花芯は、筒状花(つつじょうか)、または管状花(かんじょうか)と呼ばれるものの集まりで、ひとつひとつが独立した花です。この筒状花がぎっしり詰まっていて、咲いていないもののほうが鮮度がいいのです。写真左のように、花芯がこんもり盛り上がっているのは、もう筒状花が中心まで咲いてしまっている証拠。右のような、花芯が平たい花を選びましょう。
飾る前にいったん湯あげをする
花屋さんから買ってきたマーガレットは、すぐにいけるよりも、ひと手間かけて「湯あげ」をしてあげると、花もちがぐっとよくなります。
湯あげとは、茎の切り口をお湯につける方法です。多くの花は茎を切るとき、水中で茎を切る「水切り」をします。マーガレットはこの水切りのあと、切った茎をいちど、お湯につけるほうが、よく水が上がるのです。温度の高いお湯につけることによって、茎のなかの水の通り道、導管内の空気が膨張し、追い出されます。つまり、導管の水の通りがよくなる、というわけです。お湯につけたあと、すぐまた、その茎を水に入れることで水圧をかけ、通りのよくなった導管を通じて一気に水を花まであげる、という効果もあります。さらにいうと、お湯という高温の液体にさらすことで、切り口の殺菌にもなるのです。
湯あげの方法は、茎先を10cmほど出して、花と茎をペーパーで包みます。これは花にお湯の熱気がかからないようにするため。ペーパーはなるべくきっちりとすき間なく巻いて、セロハンテープで留めてください。このまま茎先1~2cmほどを、80℃以上のお湯に10~20秒ほど浸し、すぐにたっぷりの水につけます。できれば1時間ほど茎を水につけたままにしておくと、さらに水がよく上がります。
マーガレットの原種について知りたい!
マーガレットの原種は、スペイン領カナリア諸島(アフリカ大陸の北西沿岸に近い大西洋上の7つの群島)原産の半耐寒性低木です。学名はArgyranthemum frutescens(アルギランセマム・フルテッセンス)。この植物の園芸品種のほか、近縁種を交配させた園芸品種もひっくるめてマーガレットと呼ばれています。カナリア諸島は1年を通じて乾燥した温暖な気候ですが、マーガレットも関東地方より西であれば戸外でも冬越しが可能であり、冬から春まで長い間花を楽しむことができます。ただし霜にあてないように注意が必要です。また、高温多湿には弱いので、日本では夏に生育が止まります。
日本のマーガレットでは、明治時代に渡来した「在来白」という白い花が咲く園芸品種がよく知られています。「在来白」は種がなかなかできませんでしたが、鉢物として改良された最近の園芸品種は種が簡単にできるようになってきました。黄色い花が咲く園芸品種のなかには、近縁のシュンギク(キク科キク属)との交配によって誕生したものもあります。最近ではハナワギク(キク科キク属)と交配させた園芸品種も増えているようです。
画像一覧つき! マーガレットの種類ごとの特徴や違い、見分け方
マーガレットは、それほど種類が多くはありません。花の形の特徴によって、次のようなタイプに分けることができます。それぞれの違いや見分け方を画像つきでご紹介します。
ひと重咲き
花芯の周りをぐるりと一周、花びら(じつは舌状花<ぜつじょうか>と呼ばれる、1枚ずつが独立した花)が囲む、代表的な花形です。マーガレットといえばほとんどの人がこのタイプを思い浮かべますし、絵画などにもよく描かれます。
八重咲き
筒状花があるはずの花芯部分が、外側にある舌状花と同じような花びら状に変化しているタイプ。花びらがたっぷりと何層にも重なっているので、愛らしい印象になります。
丁字咲き
キク科の花によく見られる咲き方です。キク科の花は中央に黄色い部分がありますが、これは細いストローのような花が縦に集まって咲いているのです。キク科ではこの中央部分の花を筒状花(つつじょうか)、または管状花(かんじょうか)と呼びます。外側の花びらは舌状花(ぜつじょうか)と言います。これらはすべて、ひとつひとつが独立した花で、多数の花が集まってひとつの花(頭状花序)を形成するのです。丁子咲きは、外側の舌状花はそのままで、本来は見えないくらい小さな筒状花が大きくなって、こんもりした花びらに見えるようになったものです。
画像一覧つき!マーガレットの人気品種
世界中で100種類ほどの品種があるマーガレット。同じピンクでも違うトーンのものが揃うので、どれを選んでいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。そこで、マーガレットの人気の品種を画像付きでご紹介します。
イエローサブマリン
丁字咲きの人気品種のひとつです。白と緑色の中間のような、爽やかな淡い黄色が好まれています。同じ色でひと重咲きの「サブリナ」という品種もあります。
ドリーム ティアラ
直径2cmほどの小輪で、澄んだピンクの色合いもあいまって愛らしさのある品種です。名前の通り、頭に白い「ティアラ」を載せたような花形で、はっきりした丁字咲きではないので半丁字咲きと呼ばれます。季節によってはひと重のものも出回ることがあります。
ドリーム ゴールド
従来の黄色いマーガレットよりもくっきりとした、まぶしいくらいに濃い黄色が印象的です。花びらが大きめで、花形もしっかりとして美しく、可憐なヒマワリのようなたたずまいがあります。
ドリーム アプリコット
マーガレットには珍しい、アプリコット系のオレンジ色です。中心部はチョコレート色なので、大人っぽい表情に。育つと直径4cmほどに大きくなります。
ドリーム テトラ
マーガレットの常識を覆した、と言われた、伝説的な完全八重咲きの品種です。育種家の苦労の末に誕生しました。まっ白な花色が清楚です。
ドリーム ピンク
今やスタンダードなマーガレットのひとつとなった有名品種です。花びらの先端だけがほんのりピンクになるところがかわいい。ピンク系のなかでもっとも開花が早いので、早く店頭に並びます。花の数も多く、暑さにも強い優等生です。
ドリーム レディー
テトラと同じ、珍しい完全八重咲きの品種です。こちらは全体が鮮やかなピンクなので、存在感が抜群。たっぷり使うと華やかな印象になります。堅くてまっすぐなのに、しなやかさもある茎も特徴的です。
ドリーム メロディー
桜貝を思わせる淡い淡いピンクが可憐な、小輪の丁字咲きです。茎は細いけれどしっかりとしているので、扱いやすい花です。
ドリーム フィル
スタンダードな白い花びら×黄色い花芯のタイプですが、ひと重咲きでも花が下を向かないのが魅力。花を支える花びらが強く、花もたっぷりとつきます。切り花にしたときの花もちも抜群にいい。
ドリーム レッドアイ
白い花びらで花芯が赤茶色の品種。花芯が黄色いものよりもややシックなたたずまいになります。花がたっぷりつきます。
ドリーム ピンクレッドアイ
上の「レッドアイ」に似ていますが、花びらの縁がほんの少しだけピンクに染まっているのがわかりますか? 春先の花らしい初々しい雰囲気です。
風恋香
マーガレットとハナワギクを交配した、世界初の香りのあるマーガレットです。ラベンダーに似た香りがあります。花色も咲き始めは薄いピンクで、徐々に白に変わっていきます。
Credit
構成と文・高梨奈々
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