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植えっぱなしで何年も育ち、庭に彩りを与える植物、宿根草(しゅっこんそう)。多種ある中でも、花が咲いたら乾かして自家製ドライフラワーにしやすい5種をご紹介します。セレクトは、宿根草を数多く扱い、ガーデニング愛好家に支持されるショップ「おぎはら植物園」店長の荻原範雄さん。クラフトなど暮らしの楽しみが広がるドライフラワー向き宿根草5種と、それぞれの魅力や性質、育て方まで解説していただきます。

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庭の花でドライフラワーを手作りしてみよう!

ドライフラワー向き宿根草

庭にいろんな種類の宿根草が植えてあると、季節ごとに花が咲き継ぎ、楽しみが多いもの。見ているだけでも癒やされますが、たっぷり咲いたら切り花にして部屋に飾ったり、ドライフラワーにしたりして、暮らしの中でも身近に活用してはいかがでしょうか。自宅の庭から収穫した花を自由に使うことは、育てているからこそできる贅沢な楽しみで、オリジナル感があり、しかもお得な気分になりますよ!

ドライフラワーの作り方はというと……そう、乾きやすい部屋に干しておくだけ! とっても簡単です。

もちろん、ドライフラワーの色を維持するには、きちんとした工程もありますが、一般のご家庭では、「干しておくだけ」で十分にきれいなドライフラワーになります。ただし、日当たりが強い窓辺や、湿度の高いお部屋では上手くいかないこともありますから、室温が安定していて、乾燥気味の場所を探してみましょう。冬はちょうど空気が乾燥する時期ですから、チャレンジしてみませんか?

自家製ドライフラワー

乾燥させる際は、吊るすように干しておけば、茎も真っ直ぐなドライフラワーができます。

誰でも簡単に作れる! ドライフラワーに向く宿根草5選

じつは、ほとんどの種類の草花はプロが作れば何でもドライフラワーになるのですが、一般のご家庭で作るには、まずドライフラワーになりやすい種類から挑戦してみましょう。

庭に植えて楽しめて、初心者でも簡単にドライフラワーが作れる、おすすめの5種をご紹介します。

ドライフラワー向き宿根草1
オレガノ‘ケントビューティー’

オレガノ‘ケントビューティー’
色づいた萼(がく)とピンクの小花の組み合わせが可愛らしい。

一般的に料理に使うオレガノとはちょっと違う、花オレガノと呼ばれる観賞用タイプです。グリーンの萼(がく)は咲き進むにつれ段々とピンクに色がつき、とてもきれいです。隙間からのぞく小さな花も可愛らしく、人気のオレガノです。

オレガノ‘ケントビューティー’の性質と育て方

耐寒性が強く、冬は落葉して越冬し、春になると再び芽吹く宿根草です。広がりのある草姿で、あまり立ち上がらないため鉢植えや寄せ植えにも向きます。少し乾きぎみに管理し、日向から明るい半日陰で育てましょう。庭植えの場合も水分が多い場所は避け、水はけのよい日向に植栽しましょう。

オレガノ‘ケントビューティー’
枝垂れるように咲くので、寄せ植えの前面に最適。

花オレガノには多くの種類があり、どの種類もドライフラワーに向いています。オレガノに限らず、萼を観賞する植物はドライフラワーが作りやすいので、他にも挑戦してみてはいかがでしょうか。

オレガノ‘ケントビューティー’のドライフラワー

オレガノ‘ケントビューテのドライィー’

色が濃くなったタイミングで収穫し、上手に乾燥させると色もきれいに残ります。

オレガノ‘ケントビューティー’のドライ

完成したらブリキの花器や花瓶に入れて、おしゃれに飾ってみましょう!

ドライフラワー向き宿根草2
クラスペディア・グロボーサ

クラスペディア・グロボーサ
クラスペディア・グロボーサは植栽にリズムを生む、ピンポン玉のような可愛い花。

別名は「ドラムスティック」。もともと切り花やドライフラワーとしても有名なクラスペディア・グロボーサは、やはりドライフラワーに加工するのが簡単です。花もちがとてもよいので、切り花として飾ったあとに、ドライフラワーにすることもできます。

クラスペディア・グロボーサの性質と育て方

クラスペディア・グロボーサ
次々に咲いてくる花を、切って干すだけ。誰でも簡単にドライフラワーが作れます。

一般的に、一年草扱いともいわれていますが、工夫をすれば夏も冬も越して毎年楽しめ、四季咲きなので長期間、収穫ができます。寒さに強く、マイナス12℃程度まで耐えることができ、冬も常緑で越冬します。暑さにも強いのですが、夏の高温時に多湿にすると弱るので、乾きやすい場所に植えましょう。乾燥には相当強い性質です。

庭で活躍して、インテリアとしても飾れる──。お得感があって、楽しみどころの多い花です。

クラスペディア・グロボーサのドライフラワー

クラスペディア・グロボーサのドライ
ドライフラワーにして1年後。ほとんど退色しません。
クラスペディア・グロボーサのドライ

鮮やかな黄色はドライフラワーの中では貴重です。ドライフラワーのアレンジメントなどに挿し色としても大活躍します。

ドライフラワー向き宿根草3
チーゼル・フロナム

チーゼル・フロナム

ガーデン関連の洋書などでも度々登場する大型の植物です。草丈は約2mになり、ユニークな花をたくさん咲かせるので、ガーデンの後方などに植えると、渋い雰囲気を発揮する花です。

夏にたくさんの花を咲かせ、花後はカサカサと自然に乾いてくるので、ドライフラワーに最適です。また、秋冬の庭にあえてタネをつけた枯れ姿をそのまま残して、シードヘッドを楽しむのも昨今のガーデンデザインで流行しています。

チーゼル・フロナムの性質と育て方

チーゼル・フロナム
チーゼル・フロナムの冬姿。渋さのあるよい雰囲気を醸します。

とても丈夫で育てやすい植物です。耐寒性のある二年草なので、秋~冬に植えて路地で越冬させ、翌年の夏に咲かせるのがおすすめです(春に植えても花が咲きますが、秋植えのほうが花数が多くなります)。

水はけのよい、少し乾きぎみの場所へ植えてください。こぼれダネでもよくふえます。

チーゼル・フロナムのドライフラワー

チーゼル・フロナムのドライ
タネになる少し前に収穫すると、色合いが少しグリーンになります。

ドライフラワー向き宿根草4
センニチコウ‘ファイヤーワークス’

センニチコウ‘ファイヤーワークス’
野趣に富んだ姿が魅力のセンニチコウ‘ファイヤーワークス’。

一般的なセンニチコウと異なる、宿根タイプで、暖地などでは冬に枯れても春に再び芽吹きます。花期がとても長く、初夏から晩秋まで絶え間なく咲き続けます。咲き進むと姿が乱れてくるのですが、この野趣のある姿も魅力の一つです。

弾けたような花形が「ファイヤーワークス=花火」の名前に由来するそうで、一輪一輪きれいな花形をしています。

センニチコウ‘ファイヤーワークス’の性質と育て方

センニチコウ‘ファイヤーワークス’
「花火」にたとえられる、美しい花です。

性質は強く、栽培にあまり気を使わない花です。寄せ植えや鉢植えでも栽培が可能ですが、どんどん伸びて暴れを伴いながら咲き続けるので、どちらかといえば花壇や庭に植えてワイルドな姿を楽しむのがおすすめ。湿気が多い場所は好まないので、風通しと日当たりのよい場所へ植えましょう。放任しても4~5カ月ほど花が咲き続けます。秋は色が濃くなり最も見頃になるので、秋咲きの宿根草と組み合わせてもマッチします。

センニチコウ‘ファイヤーワークス’
切り花の様子。花色が褪せにくく、とても長持ち。

センニチコウ‘ファイヤーワークス’のドライフラワー

この鮮やかな色は、切り花やドライフラワーにしても長期間残ります。花自体がカサカサと固いので、切り花にしても1カ月以上楽しめますし、その後はそのままドライフラワーにもなります。庭に植えてあると、長期間、次々に花が上がってくるので、たくさん収穫できるのも嬉しい花です。

センニチコウ‘ファイヤーワークス’のドライ

上写真は、一年経過した様子ですが、まだ色が残っています。

センニチコウ‘ファイヤーワークス’のドライ
雑貨と組み合わせて飾ってみてはいかがでしょうか。

ドライフラワー向き宿根草5
ノリウツギ‘ライムライト’

ノリウツギ‘ライムライト’

ノリウツギは木本性(樹木)で、アジサイの仲間です。ピラミッドアジサイとも呼ばれています。

庭木にすると、放射状に花茎が立ち、一斉に開花する姿はボリュームがあり、とても魅力的。夏頃から咲き始め、秋になるとピンクに染まっていく様子も美しいものです。国内、海外でも人気が高く、数多くの品種がありますが、中でも、この‘ライムライト’は花弁に厚みがあるためドライフラワーに最適な品種です。

ノリウツギ‘ライムライト’の性質と育て方

ノリウツギ‘ライムライト’
秋、ピンクに染まり始めたノリウツギ‘ライムライト’。

アジサイの仲間なので日陰でも咲きますが、なるべく明るい日陰に植えると花つきがよくなります。一般的な西洋アジサイの性質は、前年の枝に花が咲く「旧枝咲き」なのに対し、ノリウツギは新しい枝の先に花が咲く「新枝咲き」なので、観賞期が終わる冬になったら全体を低い位置まで切り戻しておきます。そうすることで木の姿が徒長(間延び)せず、花も大きくボリュームが出ます。寒さ、暑さに強く日本全国で庭植えに推奨できます。

ノリウツギ‘ライムライト’のドライフラワー

ノリウツギ‘ライムライト’

花が満開になって、赤く色づく前に収穫してドライフラワーにしましょう。

ノリウツギ‘ライムライト’のドライ
房のまま飾っても、ボリュームが楽しめますし、花びらを一輪ずつ押し花に加工してもかわいい姿を楽しめます。

ドライフラワーをクラフトに活用

ドライフラワーに向く宿根草

これからの季節、庭仕事も限られてきて、部屋で過ごす時間も多くなりますね。自ら育てた花を飾ってみたり、ドライフラワーに加工して、さらにリースやアロマワックスバーに使ったり。また、クリスマスや新年のご挨拶のプレゼントに添えたりなど、年末年始のイベントにも自家製ドライフラワーを活用してみませんか? 各苗の植え付けは、本格的な冬が来る前までならば、ちょうどよい時期です。育てながら、暮らしに活用できる魅力を持つご紹介の宿根草にもぜひ、注目を!

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