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秋に輝きを増すグラスガーデンの魅力その1 ペニセツムの仲間

秋になると一層その魅力を増すのがグラスガーデン。陽射しを浴びて輝くグラスには、華やかな花とはまた違う美しさがあり、ガーデンには欠かせない存在です。今回から2回にわたり、オーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、神奈川県の自宅の庭で25年間、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主、遠藤昭さんが、グラスガーデンの魅力をお届け。今回は、数あるグラスの中でも代表的な存在であるペニセツムの仲間を紹介します。
目次
秋らしい美しさのあるグラスガーデン

秋風が吹き始めると、グラスは美しさを増す。そこで、今回と次回の2回に分けて、グラスガーデンについて紹介したいと思う。
グラスガーデンがブームになったのは、確か2003~4年頃だったと思うが、今でも人気は根強い。色とりどりの華やかな草花と比べると地味だが、だからこそ自然の奥深さを感じ、自然の持つエネルギーに心癒やされる。
グラスガーデンに欠かせない存在
ペニセツム(ペニセタム)の思い出

僕がぺニセツム‘パープルマジェスティ’に初めて出合ったのは、2004年に浜名湖で実施された花博の、ガーデニングコンテストの時だった。コンテナガーデン部門の予選を写真審査で通過し、本選会に行くことができた。材料を横浜や東京にある大型の園芸店を数点巡って調達し、前日に横浜から車で材料を積み込んで浜名湖に入り、現地でコンテナに植え込んだ。その中に、ぺニセツム‘パープルマジェスティ’を入れていた。これがその時の、本選会の写真だ。タイトルは「悠久の時」とした。古代植物のシダや、日本古来のイワシャジン、そして最新のぺニセツム‘パープルマジェスティ’を入れ、永い時代の流れに負けない美しさを表現したかったのだ。

結果は、残念ながらコンテナ部門では入賞しなかったが、別の作品がガーデニング部門で最優秀賞を獲得し、副賞でニュージーランド・クライストチャーチのガーデン巡りの旅行をいただいて夫婦で行くことができた。そんな思い出のぺニセツムなのだ。
このぺニセツムは前年の 「All-America Selections」の「Gold Medal Winner for 2003」に選ばれていて、当時は珍しかったのだ。初めて、都内の園芸店で見つけて、確か1株2,800円もしたと思う。賞品のニュージーランド旅行が掛かっていたので奮発した記憶がある。
ぺニセツム‘パープルマジェスティ’の美しい姿

このコンテスト以来、ぺニセツム‘パープルマジェスティ’のタネを毎年採取し、播いて育ててきた。タネは毎年大量に採取でき、発芽率も極めてよかった。


その3年後には、我が家でペニセツムでいっぱいのグラスガーデンを試みた。

鉢植えにしたこともあった。

毎年栽培しているが、その葉や穂の美しさに、飽きるどころかますます惹かれていっている。

さて、ペニセツムを栽培するにあたり、我が家はもちろん、退職後に相談員の仕事を始めた植物園の花壇にも随分と利用している。多くの来園者が、この黒光りする葉に驚きの表情を浮かべてくれる。


魅力的なペニセツムの仲間
さて、ぺニセツムの仲間には、‘パープルマジェスティ’以外にも魅力的な品種がある。ここでは代表的なものをいくつか紹介しよう。
パープルファウンテングラス
まずは、ポピュラーなぺニセツムの仲間、パープルファウンテングラス(ペニセツム・セタケウム‘ルブラム’)だ。名前の通りに、濃い紫(茶)の葉と穂が、噴水のように放物線を描く。国内で大株を見かけることはなかったが、ロサンゼルス出張時に立ち寄ったディズニーランドで見つけたのがこの大株。お見事!

その後、大株を育てたくて、冬に一旦温室に取り込み、春にもう一度地植えして2年生の大株づくりにチャレンジしてみた。ロサンゼルスの株には及ばないかもしれないが、まあまあ立派に育てることができた。


ペニセツム‘ファイヤーワークス’

もう一種、ぺニセツムで忘れてはいけないのが、ペニセツム‘ファイヤーワークス’。印象はまるで花火ですね。葉に浮かぶピンクのラインが魅力的。太陽に当たると、かなり色が濃くなる。

‘ファイヤーワークス’も2年生の大株に挑戦してみたら成功した。大きいとカッコイイ!


ペニセツムの増やし方
‘パープルマジェスティ’はタネの採取で増えるが、パープルファウンテングラスと‘ファイヤーワークス’は、タネからの発芽が難しい。そこで、伸びた茎を10cm程度に切り、挿し芽を試みたら、簡単に成功した。

グラスの挿し芽なんて、あまり聞かないが、試したら成功したのだ。大切なのは何事もチャレンジすることだ。ガーデニングだって、チャレンジすると道は開ける。
チャレンジをすれば、成功の喜びは大きく、たとえ失敗しようと、何かしらの結果が見え、次には必ず喜びや達成感がある。タネを採取し育て、長年繰り返せば、その植物のより深い深淵なる魅力を見出すことができる。ペニセツムは、僕にそんな人生観に繋がる園芸の楽しさを与えてくれた植物だ。
長年に渡って、園芸の魅力を追求する楽しさを、ペニセツムの栽培で体験してみませんか?
Credit
写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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