コルチカム(イヌサフラン)の育て方! 透明感のある美しい花を咲かせよう
Mariola Anna S/Shutterstock.com
秋になると、地面からにょっきりと花茎を伸ばし、透明感のある美しい花を咲かせるコルチカム。寄り添うように咲く姿が愛らしく、秋花壇を彩ってくれる球根植物です。今回は、そんなコルチカムの種類や毒性、育て方などをご紹介します。
目次
コルチカムとは

花期を迎えると、葉を展開する前に土から直接花茎を伸ばして咲く、ちょっと不思議な花姿が特徴的なコルチカム。透明感のあるピンクや白、紫などの花を、地際付近に美しく咲かせます。日本ではイヌサフランという別名でもよく知られています。
世界に60種ほどの原種がありますが、そのほとんどが秋に花を咲かせる秋咲き。園芸種も多く、秋花壇を飾るガーデンプランツとして広く利用されています。丈夫で育てやすく、多年生で植えっぱなしでも毎年美しい花が楽しめるので、ガーデナーにとっても頼れる存在です。時が経つにつれ、分球して次第に増えるのも嬉しいですね。また、大きな球根に蓄えた栄養により、土や水がなくても開花する珍しい植物で、机の上にそのまま転がしておいたり、コップやお皿などにポンと載せておくだけでも、手軽に花を楽しむことができます。


早春に咲くクロッカスや秋咲きのサフランとよく似た花を咲かせますが、まったくの別種。コルチカムはユリ科またはイヌサフラン科に分類され、クロッカスやサフランはアヤメ科に属する植物です。

見た目は美しくても、じつは危険な有毒植物

その独特の美しい花姿から“裸の貴婦人”とも呼ばれ、ガーデンでもよく栽培されるコルチカムですが、じつは全草にコルヒチンというアルカロイド系の毒を持つ、危険な有毒植物です。コルチカムを摂取すると、腹痛や下痢、嘔吐などの中毒症状が現れ、最悪の場合は死に至ります。日本でも、誤ってコルチカムを口にしたことによる死亡事例が近年においても発生しています。イヌサフランという別名もありますが、サフランと違い、コルチカムは食用にはならないのでご注意を。また、コルチカムは鎮痛薬として用いられることもありますが、その場合にも嘔吐や下痢などの副作用が出ることがあります。

コルチカムの鱗茎部分はジャガイモやニンニク、タマネギなどと、春に芽吹いたばかりの葉はギョウジャニンニクとよく似ています。いずれの部分にも強い毒性があるので、誤って口にしないよう、栽培の際には家庭菜園のエリアとは別にしたり、山菜を採集する際には確認を怠らないようにするなど、十分に注意が必要です。

コルチカムの花言葉の一つである「危険な美しさ」は、この毒性からつけられたものでしょう。また、「悔いなき青春」など、明るい花言葉も持っています。
コルチカムの品種
コルチカムには多くの原種がありますが、特にコルチカム・オータムナーレやコルチカム・スペシオサムを中心として作出された園芸品種が多く流通しています。ここでは、ガーデンでよく見かける花を中心に、コルチカムの品種をいくつかご紹介します。

最も一般的な品種が、コルチカム・オータムナーレ。大きな花弁を持つピンク色の花が可愛らしく、秋のガーデンでよく見かけます。

清楚な印象の白花品種も。

こちらもガーデンでよく利用される、コルチカム・スペシオサム。

ゴージャスな八重咲き大輪花を咲かせる園芸品種‘ウォーターリリー’。その名の通り、まるでスイレンのような花形が印象的です。

花色が濃く鮮やかな‘バイオレット・クイーン’。
これらのほか、コルチカムには珍しい黄花で春咲きのコルチカム・ルテウムなどもあります。
コルチカムのガーデン実例
秋のガーデンを彩るコルチカム。そのガーデンでの使い方の実例を、いくつかご紹介します。

グラスやチェリーセージと合わせて、秋らしいガーデン風景に。

グラスに囲まれた中に、草丈が同程度のコルチカムをまとめて植えて。


花ばかりが一斉に咲くコルチカムは、群植させると見事な光景をつくります。スペースがあれば、花の川のようにデザインすることもできます。

イギリスのキューガーデンに植えられたコルチカム・シリシカム。この品種もよくガーデンで利用されます。花が咲くまでは土や水がなくてもいいコルチカムは、ロックガーデンにも。

樹木の株元をカバーするように、周囲にコルチカムが群植されているのもガーデンではよく見られる光景です。

芝生の中にナチュラルに咲かせたコルチカム。フランス・ジヴェルニーのモネの庭にて。

ボックスいっぱいに詰め込んだコルチカムを、ガーデンのアクセントに。

花がすっくと伸びるコルチカムは、単体でポットに植えて並べても存在感があります。

コンテナや可愛い器に入れて、室内で楽しむのもいいですね。
コルチカムの育て方

コルチカムは9~10月に植え付け期を迎える、夏~秋植え球根。開花期は9月中旬~11月頃で、草丈は5~30cmと、あまり大きくならないガーデンプランツです。耐寒性、耐暑性ともに強い丈夫な植物で、土質もそれほど選ばず育てることができます。

球根に栄養分を蓄えているため、花を咲かせるだけなら土に植え付けなくても楽しむことができますが、翌年以降の開花のためには、球根をしっかり育てる必要があります。土に植えずに楽しんだ場合、花後は土に植え、春に伸びる葉をよく成長させましょう。また、水耕栽培にすると根が伸び、植え付けの際に伸びた根を傷めてしまうこともあるので、土に植えない場合は水は与えずに育てたほうがよいでしょう。

栽培の際は、日当たりがよい場所で管理し、水はけのよい土に植え付けましょう。光が弱いと、花色が薄くなることがあります。球根を植え付ける時は、元肥を施した土に深めに植え、土が乾いたら水やりをします。

花後、早春から新芽が伸び出し、初夏まで艶のある葉が茂ります。梅雨頃に葉が枯れたら水やりをストップし、枯れた葉を取り除いて球根を休眠させましょう。水はけのよい土であれば植えっぱなしで構いませんが、高温期の長雨で球根が傷むこともあるので、梅雨前に掘り上げて風通しのよい日陰で保管しておくのもよい方法です。

地植えの場合は数年植えっぱなしでも花を咲かせますが、分球して次第に増えるので、株が込んできたら植え直しを。鉢植えの場合は、毎年分球して植え替えをするとよいでしょう。
参考文献:
「みんなの趣味の園芸」NHK
「自然毒のリスクプロファイル」厚生労働省
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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