ガーデニングブームに火をつけた庭デザインの一つ「イングリッシュガーデン(英国風庭園)」。その庭デザインに欠かせない花の一つが、デルフィニウムです。花穂が1m以上と丈長く伸びる豪奢な咲き姿で、庭に取り入れるだけで、まるで外国を思わせる風景が演出できます。そんなデルフィニウムの魅力と基本の育て方について、神奈川県で30年以上ガーデニングを楽しむベテランガーデナーの遠藤昭さんに教えていただきます。

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イングリッシュガーデンを象徴するデルフィニウム

デルフィニウム

かつてイングリッシュガーデンが流行り、ガーデニングブームが最高潮だった頃のガーデニングショーに行くと、必ずイングリッシュローズとデルフィニウムがたくさん使われていた。かくいう僕も、当時ガーデニングコンテストに応募する時は、デルフィニウムをよく使用した。

下の写真が、その時の応募写真(ガーデニング雑誌『園芸ガイド』にて2003年に開催されたコンテストで、グランプリをいただいた応募写真の一部)。やはり、ブルーの花が多数咲くデルフィニウムが主役になっていた。

デルフィニウムのガーデン

あれから17年の歳月が流れ、ふと今年、職場である川崎市緑化センターの花壇に我が家のベンチを持ち込み、イングリッシュガーデン風の花壇を制作。デルフィニウムを中心に植栽したら、これが来園者に大好評なのだ。意外と一般の方々がデルフィニウムを見る機会は少ないようだ。

「外国の景色みたい!」「この花、日本でも育つのですか?」「ガーデンショーに来たみたい!」…、と感動の言葉を口にしてくださる。

正直なところ、時代遅れかなと心配したが、やはりデルフィニウムの豪華さや華やかさは、20年近い歳月を経ても衰えることがなく、多くの来園者が感動してくださり、このコーナーは毎日賑わっているのだ。わざわざ事務所に御礼を言いに来てくださる方もいらっしゃるほどだ。

川崎市緑化センター デルフィニウムのガーデン 川崎市緑化センター デルフィニウムのガーデン
川崎市緑化センター デルフィニウムのガーデン
いずれも川崎市緑化センターにて、2019年5月9日に撮影。

デルフィニウムとは

イギリスで見たデルフィニウム

このデルフィニウム(学名:Delphinium)は、キンポウゲ科の植物で、原産地はヨーロッパ・北米なので、環境的に日本の夏の暑さは苦手だ。本来は多年草だが、日本の暖地では夏を越すことができず、一年草扱いされる。

イングリッシュガーデンの本場イギリスでは、多年草として栽培されるので大株に育ち、昨年イギリス旅行をした時には、彼方此方で2mを越すような巨大なデルフィニウムにたくさん出くわし、その大きさに圧倒された。

大株のデルフィニウム 大株のデルフィニウム
大株のデルフィニウム
見上げるような大株に成長したデルフィニウムは、圧倒的な存在感。3枚いずれも、イギリス・コッツウォルズにて撮影。

ちなみに、インターネットの情報によると、学名のDelphiniumの由来は、ギリシア語でイルカを意味するDelphisで、 これはつぼみの形がイルカに似ていることに由来するという。

そこで、手持ちの写真の中からつぼみの写真を探してみた。なるほど! 可愛いイルカだ。

デルフィニウムのつぼみ

ところで、豪華な花姿を持つデルフィニウムは、花径数cmの花が穂状に縦に並んで咲いているように見えるが、実はこの花は、花弁のように見えている部分は萼片である。本当の花は中心で、花弁が集まり小さく咲いているように見える部分なのだ。

デルフィニウムの花
花弁のように見える部分は萼片で、中央に小さく咲いているように見えるのが花。

また、デルフィニウムはバラの最盛期と同時期に咲き、バラとの見た目の相性がとてもよいことでも知られている。爽やかな白やブルーの花が、艶やかなバラを一層引き立ててくれる。

バラとデルフィニウム
バラとデルフィニウム
バラにはない涼やかな青系のデルフィニウムは、バラと引き立て合う花としてローズガーデンによく取り入れられる。
デルフィニウムのガーデン
デルフィニウムとバラが咲き、種々の宿根草や植物に彩られたガーデン風景。

デルフィニウムの白とブルーは爽やかで、5月の新緑に映え心癒される色だ。

デルフィニウムとジギタリス
青いデルフィニウムと白のジギタリス。鈴のような花をたくさんつけるジギタリスもまた、イングリッシュガーデンには欠かせない存在だ。
デルフィニウム

デルフィニウムの育て方とタネの採取方法

デルフィニウムのガーデン

最後に、デルフィニウムの育て方についてご紹介しよう。

デルフィニウムは、春先に園芸店などでポット苗を入手することができるが、タネから育てるのも楽しい。発芽適温は15~20℃で、あまり暖かいと発芽率が落ちるので、関東地方では10月の中旬~下旬頃にタネを播くとよい。本葉が2~3枚になったら、3.5号ポットに移植して育苗する。日当たりのよいところであれば、冬でも成長するので、液肥を2週間に一回ほど施すとよい。

デルフィニウムの苗

これは1月中旬の様子。

この後、花壇などに定植するが、その際には苗と苗の間に30cmほどの間隔が必要だ。植え付けの前に、土に腐葉土、堆肥、元肥をしっかり漉き込んでおこう。なお、この時期は寒さが厳しいので、霜柱の被害を防ぐために、植え付けたらマルチングで寒さ除けをしたほうが無難。あるいは、一旦7号鉢に鉢増しし、日当たりのよい軒下で育て、5月に花の色が判明してから花壇に植え付ける方法をとると、寒さ対策にもなり、配色デザインをきれいにまとめることができる。もちろん、そのまま鉢で楽しんでもOK。鉢植えの場合は、2週間に1回程度、液肥を与えるとよい。なお、倒れやすいので、支柱を添えるのをお忘れなく。

デルフィニウムのタネ

デルフィニウムのタネを採取する場合、必ずしも親世代のクローンができるとは限らないが、花後に採取し、ポリ袋に乾燥剤と共に入れて冷蔵庫の野菜室に保管し、10月に播くと、自家採取したタネで翌年の花を楽しむことができる。

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Credit

写真&文/遠藤 昭
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。現在は、川崎市緑化センター緑化相談員を担当しながら、コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施。園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。

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